2009年6月7日日曜日

景気上方修正は選挙対策か


景気指標改善では、前月比が時々プラスになるが、底入れ確認に最も説得力があると言われる前年同月比では余りない。
 しかし月例経済報告(21年5月25日)では、「景気は厳しい状況にあるものの、悪化のテンポは緩やかに減少している」という。
 雇用状況は悪化する中で、輸出は大幅減少から下げ止まりで対外経済改善の動き、生産の大幅減少も下げ止まりで在庫調整圧力の低下、さらに今まで打ってきた経済対策の効果が期待できることが根拠のようだ。
4月の「景気は急速に悪化が続いており厳しい状況にある。輸出・生産は極めて減少し、雇用も急速に悪化」に比べると一縷の光りが見えてきたと強引に言いたいのだろうが、実感は湧かない。
 そうだろう、生産活動は極めて低い水準で、雇用は一層の悪化が懸念され、景気は更に下押しのリスクがあると続けている。
 何やら迫り来る選挙対策のにおいがする。
 他として、公共事業は底堅い動き、倒産件数の増勢は鈍化していると言う。
 今後の政策としては、当面は景気対策、中期は財政再建、中長期は「改革による経済成長」の3段階で進める事になるが、75兆円という経済対策を確実に実施することになるらしい。
 景気実感として景気判断指数は家計、企業、雇用すべてに4ヶ月連続で上昇しているというが、個々に見ていくと心許ない。
家計部門では、プラス要因として高速道料金下げ、定額給付金の給付、環境対策車への減税が上げられている。高速道料金の1000円は、無駄な目的、CO2の排出で感心しない。本当に高速道を必要としている人には良い迷惑だ。早く国民が諦めることを期待する。プリウスなど売れているらしいが、反対に他の車種が売れないと営業は困っている。マイナス面として、価格競争の激化は問題が残る。企業収益は落ちて、人件費、雇用に影響する。
 企業部門では、在庫調整、受注が回復したと言うが、2月が底で4,5月は2~3割増でも好況時の50~60%でしかない。値下げ圧力は継続すると見られている。
雇用は、求人数も減少し、離職者も増加している。
それでも「悪化と判断する人」は31.6%から23.4%に減少し、「変わらない」という人が29.4%から38.4%に増えている。
 株価だって、数ヶ月前までは危険水域の7000円を割り込む危険があったが、年金基金が買い支えた経緯があるが、今は10000円を何時突破するかだ。麻生さんにしてみれば高いに越したことはない。
 日本は今不安だらけだ。「家族の不安」「社会の不安」「制度の不安」が上げられているが、麻生さんは「国家の像」「社会の像」を提示し、国家の「大きな不安」に答えようと、「安心社会実現会議」を設置した。
 日本をどういう社会に導いていくのか、早く示して欲しい。不安払拭は景気に大きく影響することは間違いない。

2 件のコメント:

真人 さんのコメント...

翌日6月8日の読売新聞キャッチボールで
経済指標改善 「景気の夜明け」見極めを
という記事が掲載されました。
5月の月例経済報告で景気認識を上方修正したが、本当にそうでしょうかと疑問を呈している。
需給ギャップは45兆円、デフレの影は消えず、不安材料はすくなくない。
日銀の白川総裁は日本が直面している状況を「フォールスドール」と表現した。
夜明け前の明かりという意味のほかに、人に期待させながららくたんさせるものという意味もある。
もう少し判断に時間が必要だと記している。

真人 さんのコメント...

朝日新聞 009.6.19付け
 社説 景気底打ち宣言 「回復への道はまだ遠い」

政府が事実上の「景気底打ち」宣言をした。これには多くの人が実感とのづれを感じるに違いない。と論じ、政府には、底打ちsんげんで消費の萎縮を食い止めたい、とのねらいもありそうだ。
大型の危機対策の効果と実績を演出し、総選挙に役立てたいという思惑もあるだろうと論じた。

為政者のやることは自分に利するようにメーセージを国民に送っている。私達はしっかりその背景を読まなければならない。