2009年7月11日土曜日

こんな日本でも「まだマシ」なのか


一時だろうが、円高傾向が止まらない。東京外国為替市場は92円台までなり、米国でも「底打ち期待」が後退したこともあって91円台に急伸したという。

 この厳しい経済危機にあって、日本が新産業育成で評価され円高が進み、内需拡大が続いているなら問題ないが、今の状況は米国の先行き不安、雇用統計の悪化などから他の通貨に比べれば「まだマシ」感から、この傾向が出てきているらしい。

 これでは堪ったものではない。未だ輸出依存の強い我が国の輸出産業の株価は下がる。続落で9、300円台を割ってしまった。リーマンショックの昨年9月15日に12、000万円台だったモノが、今年の3月10日には7、054円に。この時、危険水域の7,000円台を割るのではないかと思い、東京証券取引所に取材に行ったが、年金基金が買い支えて逆に8000円台へと値上がりしていった。

 その間、一部経済指標の好転兆しもあってか、内閣府は「景気の現状は厳しいながらも、下げ止まり」感があると公表、6月12日には10,135円にもなった。どう見ても選挙対策でのコメントしか言いようがなく、米経済の期待後退での株安、円高に振り回される経済状況が続いている。

 日本の政治・経済を考えると、本当に「まだマシ」なのかと疑問が出てくる。逆に、それほど米国をはじめ世界の経済は厳しいことに変わりないのだ。

 今から思えば、何故ブッシュ政権は、リーマン・ブラザーズの破綻を決定したのか。あの時救済していれば、これ程酷くはならなかったと思えるが、如何にせん、経済は過去に戻って実験するわけに行かない。

 当時、与謝野金融相は「ハチに刺された程度だ」とコメントしていたことを考えると、政府は「アメリカの問題」と高をくくっていたことは分かる。しかし、経済学者、エコノミストの間では「実体経済への影響が心配」と警告していたことを考えると、政府の判断ミスだ。早急な経済対策が必要であったが、その発動がおくれたことになる。

影響は大したことはないと見られていた日本が、開けてみれば一番影響している事は、IMFの09年度世界経済見通しで、世界経済全体でー1.4%、先進国―3.8%、米国―2.6%、日本はー6.0%と断トツに悪いことからも分かる(10年度の見通しは、先進国0.6%、米国0.8%、日本1.7%だ)。

 失業率は、米国は9%程に達した。日本は4~5%だから、まだ日本の方がマシなのか。自動車産業をはじめ、業界によっては生産が回復しているようだ。プリウス、インサイトなどエコ・カーの増産、太陽光発電関係など日本が比較優位の立場にある産業が期待されるが、米国は、グリーン・ニューデイールはじめ、新しく「ヘルスケア」分野を伸ばすらしい。しかし、自動車産業は衰退していく産業と見られている。

 この未曾有の経済危機を乗り切るには、「大きな財政出動が必要だ」と米国の著名な経済学者は提案する。しかし、我が国の債務残高は約820兆円で、対GDP約170%に当たり先進国一の借金国である(米国は確か76%程度)。財政出動も赤字国債のことを考えると、躊躇するが、米国からは「効果を出すには、少ない」と見られている。

 また、我が国は、「小泉構造改革」の呪縛から脱することが出来ない。今まで「小さな政府」を目指しながら、緊急事態に直面して「大きな政府」に舵取りしなければならなくなったが、構造改革推進派からは非難されている。米国大統領のオバマさんは「小さい政府か大きい政府かは問題ない」と言ってのけた。

 デフレからの脱却も大きな課題だ。小泉政権下でも、「何時、脱デフレか」が話題になったように覚えている。デフレから脱却することは大きな政策なのだ。しかし、異天田解決していない。

 米国では、インフレ・ターゲットが政策課題になり、今は暗黙の2%が設定されているというが、これでも低く4%は欲しいと見られている。
 我が国は、米国から4%のサジェッションがあったが、速水日銀総裁の時に一笑に付したという。確かにインフレ・ターゲットの信頼性はないが、米国では進められている。

 一方で、政治も「失われた数年が続いている」。一時、経済一流、政治三流とまで言われたが、政治も経済も三流になった。

 昨年のノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授は「よき道徳は、よき経済学である」といい、「今、最も弱い人を助けることは、需要を維持するためにいいこと」と言う。失業者に失業手当を強化して、出来るだけ弱い人を助け、個人的は危機を乗り越えさせることだという。

 日本でも「道徳を忘れた経済は罪悪」と教えた人がいる。あの二宮金次郎だ。今回の金融危機に直面し、この教えは骨身に染みる。市場原理主義を信じすぎて、規制緩和に走った反省だ。そもそも規制は、国民の財産、身体、安全への危険を防止するために作られたモノであり、それを解除することは危険が再度現れることなのだ(ただし、ある特定の団体が利するような規制もあるので、これは排除しなければならない)。

 景一時だろうが、円高傾向が止まらない。東京外国為替市場は92円台までなり、米国でも「底打ち期待」が後退したこともあって91円台に急伸したという。

 この厳しい経済危機にあって、日本が新産業育成で評価され円高が進み、内需拡大が続いているなら問題ないが、今の状況は米国の先行き不安、雇用統計の悪化などから他の通貨に比べれば「まだマシ」感から、この傾向が出てきているらしい。

 これでは堪ったものではない。未だ輸出依存の強い我が国の輸出産業の株価は下がる。続落で9、300円台を割ってしまった。リーマンショックの昨年9月15日に12、000万円台だったモノが、今年の3月10日には7、054円に。この時、危険水域の7,000円台を割るのではないかと思い、東京証券取引所に取材に行ったが、年金基金が買い支えて逆に8000円台へと値上がりしていった。

 その間、一部経済指標の好転兆しもあってか、内閣府は「景気の現状は厳しいながらも、下げ止まり」感があると公表、6月12日には10,135円にもなった。どう見ても選挙対策でのコメントしか言いようがなく、米経済の期待後退での株安、円高に振り回される経済状況が続いている。

 日本の政治・経済を考えると、本当に「まだマシ」なのかと疑問が出てくる。逆に、それほど米国をはじめ世界の経済は厳しいことに変わりないのだ。

 今から思えば、何故ブッシュ政権は、リーマン・ブラザーズの破綻を決定したのか。あの時救済していれば、これ程酷くはならなかったと思えるが、如何にせん、経済は過去に戻って実験するわけに行かない。

 当時、与謝野金融相は「ハチに刺された程度だ」とコメントしていたことを考えると、政府は「アメリカの問題」と高をくくっていたことは分かる。しかし、経済学者、エコノミストの間では「実体経済への影響が心配」と警告していたことを考えると、政府の判断ミスだ。早急な経済対策が必要であったが、その発動がおくれたことになる。

影響は大したことはないと見られていた日本が、開けてみれば一番影響している事は、IMFの09年度世界経済見通しで、世界経済全体でー1.4%、先進国―3.8%、米国―2.6%、日本はー6.0%と断トツに悪いことからも分かる(10年度の見通しは、先進国0.6%、米国0.8%、日本1.7%だ)。

 失業率は、米国は9%程に達した。日本は4~5%だから、まだ日本の方がマシなのか。自動車産業をはじめ、業界によっては生産が回復しているようだ。プリウス、インサイトなどエコ・カーの増産、太陽光発電関係など日本が比較優位の立場にある産業が期待されるが、米国は、グリーン・ニューデイールはじめ、新しく「ヘルスケア」分野を伸ばすらしい。しかし、自動車産業は衰退していく産業と見られている。

 この未曾有の経済危機を乗り切るには、「大きな財政出動が必要だ」と米国の著名な経済学者は提案する。しかし、我が国の債務残高は約820兆円で、対GDP約170%に当たり先進国一の借金国である(米国は確か76%程度)。財政出動も赤字国債のことを考えると、躊躇するが、米国からは「効果を出すには、少ない」と見られている。

 また、我が国は、「小泉構造改革」の呪縛から脱することが出来ない。今まで「小さな政府」を目指しながら、緊急事態に直面して「大きな政府」に舵取りしなければならなくなったが、構造改革推進派からは非難されている。米国大統領のオバマさんは「小さい政府か大きい政府かは問題ない」と言ってのけた。

 デフレからの脱却も大きな課題だ。小泉政権下でも、「何時、脱デフレか」が話題になったように覚えている。デフレから脱却することは大きな政策なのだ。しかし、異天田解決していない。

 米国では、インフレ・ターゲットが政策課題になり、今は暗黙の2%が設定されているというが、これでも低く4%は欲しいと見られている。
 我が国は、米国から4%のサジェッションがあったが、速水日銀総裁の時に一笑に付したという。確かにインフレ・ターゲットの信頼性はないが、米国では進められている。

 一方で、政治も「失われた数年が続いている」。一時、経済一流、政治三流とまで言われたが、政治も経済も三流になった。

 昨年のノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授は「よき道徳は、よき経済学である」といい、「今、最も弱い人を助けることは、需要を維持するためにいいこと」と言う。失業者に失業手当を強化して、出来るだけ弱い人を助け、個人的は危機を乗り越えさせることだという。

 日本でも「道徳を忘れた経済は罪悪」と教えた人がいる。あの二宮金次郎だ。今回の金融危機に直面し、この教えは骨身に染みる。市場原理主義を信じすぎて、規制緩和に走った反省だ。そもそも規制は、国民の財産、身体、安全への危険を防止するために作られたモノであり、それを解除することは危険が再度現れることなのだ(ただし、ある特定の団体が利するような規制もあるので、これは排除しなければならない)。

 景気対策で、大企業などの法人税引き下げ、富裕層の優遇税(証券優遇税制)、そして大銀行の法人税ゼロなど、道徳を忘れた政策だ。所得に応じた負担をするのが、日本社会の伝統であり、企業の社会的責任である。

 そして景気回復のためにも、失業者を守らなければならない。新聞報道では、自動車産業が回復に向かい、期間工の採用を始めたという。あの時、首切りにあった期間工の皆さんは今どうなっているのか。何のセーフテイー・ネットも築かれないうちに、従来通りの採用が始まるのでは、「あれは何だったのか」ということになる。

 輸入された経済学でなく、日本独自の経済学を築づかなければならないと言われて久しいが、二宮金次郎の言うように「道徳・倫理のある経済」を築かなければならない。気対策で、大企業などの法人税引き下げ、富裕層の優遇税(証券優遇税制)、そして大銀行の法人税ゼロなど、道徳を忘れた政策だ。所得に応じた負担をするのが、日本社会の伝統であり、企業の社会的責任である。

 そして景気回復のためにも、失業者を守らなければならない。新聞報道では、自動車産業が回復に向かい、期間工の採用を始めたという。あの時、首切りにあった期間工の皆さんは今どうなっているのか。何のセーフテイー・ネットも築かれないうちに、従来通りの採用が始まるのでは、「あれは何だったのか」ということになる。

 輸入された経済学でなく、日本独自の経済学を築づかなければならないと言われて久しいが、二宮金次郎の言うように「道徳・倫理のある経済」を築かなければならない。

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