2009年11月18日水曜日

官の事業は、「国民のため」の事業だが


事業仕分け人の矢継ぎ早の質問に、書類をめくり返して応える官僚、「私にも説明させてください」と訴える公益法人の理事長。さながら公開処刑との批判も当たっているように見えるが、私達に国家予算の仕組み、官の事業の実体を見せてくれた効果は大きい。

 何かにつけ発言がブレたり、閣内不一致の目立つ鳩山総理率いる政権の下落する支持率が60%台を保ったのも、この事業仕分け作業が斬新に見えた結果だろう。この作業を「オレたちもやっていれば」と歯ぎしりしている自民党議員も多いはずだ。

 民主党政権にとって、初めての目玉政策とはいえ、「比較的うまく行っているのでは」と思って見ていたが、やっぱり財務省の手のひら上で踊っていたことになる。何故最初に財務省の担当者が、見所を説明するのかと思ったら、財務省の力を借りなければ出来ない仕分けであり、財務省の考えが大いに反映されているのだ。

 仕分けされた事業の内容も詳細にシートに書き込まれているようだが,メデイアが報道する仕分け人の質問を聞いていると、「目的は」とか「効果は」、「何故、国が」が目立つように思う。

 官の事業は、税金を使った「国民のため」の事業だ。PLAN(計画)→DO(実施)→CHECK(評価)→ACTION(見直し)のプロセスをしっかり踏むことだ。

 官だって計画を立てる場合は、どんな社会現象に対応するのか、放置すれば将来悪影響が出るかも知れないことに対応しようとしているはずだ。しかし、そこに縄張り、陣容(天下り先の確保など)、金が絡んでくると、邪な考えが出てくる事に問題がある。

 実施に当たっては、建物、装備、陣容、提供できるサービスの内容など、しっかりした検討が必要であると同時に、大切なことは、数値目標も含め目標を明確にし、どういう状態になったら目標を逸れているのか、どういう状況になったら撤退するのかも決めておくことだ。目標から逸れていることが分かれば修正するための政策が必要になる。

 そのためにも、定期的なCHECKが必要になる。これがうまく行っていないのだ。その理由に村意識、拙いことには蓋をする。先輩達のやってきたことを変更しないという役人根性がある。これを守らないと役人人生が破滅するのだ。

 一度大きな事業を決めると、後はその事業を維持するための予算取りに明け暮れていればいいという考えもある。特別会計には、予算取りはするが、決算が公になっていない事業がほとんどだという。税金は他人の金という意識がうすい。右肩あがりの税収であれば問題なかったろうが、税収が支出を大幅に下回る事態には適応出来ない。財務相だった塩川さんが「母家ではお粥を啜っているのに、離れではすき焼きを食っている」を例えたとおりだ。彼らは、赤字国債を発行しても何とも思わないのだ。

 官は莫大な量の情報を握っているテクノクラートだ。事業計画に予測(予想)値を掲げるときがあるが、それも都合のよいように使われているとおり、ウソが多いのだ。自分たちの利権のために正確な予想を曲げている。予想は裏返せば、「ウソヨ」と言うことになる。

 情報公開など期待すること自体がおかしい。 閉鎖社会の官は、事なかれ主義、役人論理、ウソがまかり通る社会なのだ。鳩山政権での官邸機密費の公開が袖にされたのは、何ら珍しい事ではない。公開すると拙いのだ。その拙いのは何かを知りたいのだから約束など守れるはずがない。

 官の事業は「国民のために」、国民の税金を使って実施する事業なのだ。PDCAのサイクルをしっかり廻し、国民に批判されない事業に取り組むべきだ。そして、今継続して進んでいる事業も、PDCAサイクルで見直し、国民を裏切る結果が出ていれば、思い切って撤退すべきである。

 ムダはそり落とし、予算は圧縮して「湖0区民のため」の事業を実施する人材を評価すべきである。

 次に再開される「事業仕分け」は、財務省関連の事業がある。是非行って傍聴したい。

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