2009年11月20日金曜日

現在の経済社会が、今後恒常化するのでは


企業の経営環境は、改善されて来たと言うが、相変わらず雇用は厳しい。政府は緊急雇用対策本部を設置し、就職未定者の支援、企業に雇用拡大の促進を訴えているが、企業だって生き残りをかけている。

 企業に収益の改善が見えているとは言えリストラ効果だ。企業は経営に占める固定費の軽減に人件費を抑制した経営を余儀なくされているが、雇用調整助成金で企業内失業者を抱えたままだ。企業の価格競争も日増しに激しくなっている。これは更に雇用悪化の要因になる。

 昨年のリーマン・ショックで今までの経済社会は構造的に変わり、現在の困窮した状況が今後恒常化し、それが当たり前の社会になるのではなかろうか。

 我が国は、古くから景気後退の度に、内需拡大の必要性が叫ばれてきたが、その度に海外市場の回復で、輸出に甘んじる経済にどっぷり浸かってきた。しかし、今回の金融危機の教訓から米国は新戦略に転じた。

 先のオバマ大統領東京演説で、貯蓄を殖やす、支出を減らす、金融システムの改善、財政赤字/負債の削減だ。今までのように米国民の借金に頼る消費に依存することは出来なくなった。却って日本と米国はあらゆる面で競合することになる。

 我が国も本気で、内需依存の経済構造に変革していかなければならないが、これが難しい。

 新たな期待分野に、介護、福祉、環境事業が上がっている。

 この介護・福祉分野は高齢者化が進むと、絶対に必要であるが、私達の払う保険で運用されている。利益を出せる分野では決してない。私の住んでいる街にも多数の施設が存在するが、送迎バスは高齢者、夜間勤務は介護士が勿論いるが、管理責任は定年退職者に任されたり、家族経営の超零細施設も存在する。

 職員の給料も安いようだ。酒井法子さんが更生のために介護士の資格を取り、介護をやりたいと言ったとき、専門家は15~16万円の安い給料で、反対に勤務は厳しい職業だとコメントしていた。若者がこの程度の給料で絶えられるのか。製造業が立ち直ればそちらに逃げていくとも言う。必要性は認められるが、生活するには不安定な職場なのだ。

 環境分野では、太陽光発電、風力発電、エコシステムなどが上がっているが、これだって補助金で持っているようなモノだ。投資額は200万円を超える設備であるが、100万円位の補助金がつくから、初期投資は低くなり、更に発電量全量が電力会社の買い上げにな
るから10年経たずにペイするというのだ。しかし、どう見ても需要の先取りの感がする。
その気になって増設すると痛い目にあう。
 労働市場も需要と供給の関係がある。職を求める者が多くなれば、賃金は下がる。

  低所得化が進んでいるのだ。正規雇用者でもこれまでの35歳とは異なる状況にあるという(NHKスペシャル“35”歳を救え)。低所得、社会不安は結婚も出来ず、人的資源の使い捨て、労働力の再生産も出来なくなる。
 
景気拡大を狙った急場を凌ぐエコカー補助金、エコポイント制度も即効性に疑問があるし、需要の先取りの心配もあり、補助金、制度を止めると売れ行きが極端に落ち込む事は、先にも例があり、当然危惧されることである。

 デフレ・スパイラルもやっかいな問題だ。低価格競争が後を絶たない。安売りは人件費を抑えるためにアルバイトを多用する。小売りNO1のユニクロの銀座店に行ったとき、増設するというので、スタッフを募集していた。全員がアルバイトで時給1300円ぐらいだったと思う。従業員の生活を保証できるNO1ではないのだ。

政治に期待するのも大変だ。

民主党に変われば、経済政策もかわり、景気も回復することに期待した向きもあるだろう。税収が40兆円を下回るようでは、新しい景気刺激策も期待薄である。CO2 25%削減は、家計に15~76万円の負担増になると言う報告もある。どうしようもなく消費税増税となると、景気の冷え込みは避けられない。

内需拡大はほとんど無理となると、米国、中国、インド市場に頼るようになるのだろうが、それでは先進国首脳会議で批判の的になる。

あれも欲しい、これも欲しいという世代の消費は萎み、特に欲しいモノはないが、老後が心配だと言う世代が増えていく。

現在の経済社会は、今後も恒常化するだろう。官事業のムダは徹底的に排除し、若者、弱者救済の制度も完備し、社会不安を取り除くことが先決か。
写真は、三菱総合研究所 Thinking TODAY
  正規雇用者でもこれまでの35歳とは異なる状況にあるという 。 低所得化だ。

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