2009年12月10日木曜日

この悪化する経済を財政規律で切り抜けられるか


 経済は本当に難しい。「自分が経済学者になったのは、経済学者にだまされないためだ」といったのは大経済学者ケインズの愛弟子だときいたことがある。経済学者が10人集まれば、10通りの見方があるのだ。現下の経済情勢に対して、いろんな見方が出されている中で、鳩山政権の経済対策が発表になった。

 09年度の第2次補正予算案の新たな経済対策で財政支出が7.2兆円、事業規模で24.4兆円が決まった。財政支出は当初7.1兆円といわれていたが、国民新党の亀井さんが8兆円を主張してもめたようだが、鳩山さんが7.2兆円で決定したそうだ。

 この結果、税収は36.9兆円に落ち込むために、借金になる新規国債発行額は53.5兆円にのぼり、麻生政権で44.1兆円だったので、44兆円以下にしたかった鳩山さんだったが、景気低迷での税収減、公約実現のため9兆円を越え、過去最大になるらしい。

 民主党政権、財務省は財政赤字を抑えるために赤字国債発行額にこだわったが、亀井さんは、「景気対策には財政出動が必要だ」という考えのようだ。今回は8兆円を要求していたが、1000億円の増で我慢したらしいが、10年度の予算では大幅な財政出動が必要だと怪気炎を上げている。10年度の予算の概算要求は95兆円だ。仙谷さんは、事業仕分けで3兆円削減を目標にしていたが、今回は1.7兆円で終わった。

 財政出動か、財政赤字の抑制か。

 景気対策に財政出動し赤字国債が増えると、国民や投資家の信頼を落とし、長期金利は上昇、経済は停滞するという見方を、民主党政権や財務省はとっている。

 しかし一方で、今は景気対策で思い切った財政出動しなければならないときだと主張する人も多い。景気が回復すれば、雇用、税収も増え、家計もよくなるので消費が戻るとみる。国民新党の亀井さんもこっちのほうだ。

 ほかにも国内でも財政出動を訴える学者もいるが、どちら正しいというか、どちらが経済対策として適しているのかわからない。ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授も財政出動派だ。今は思い切ったことをやらなければ、景気は回復しないという。

 今回の政府の経済対策の見方もさまざまだ。エコカー補助金、エコポイント制度の延長、更には拡大政策で景気を下支えする効果に期待し、適切な規模だという産業界の評価があるが、市場関係者は雇用調整助成金の至急条件緩和などで雇用に安心感が出て、個人消費を下支えし、物価の下落も支えるのではないかと期待する一方で、エコカー、エコポイントは需要の先食いだと疑問を投げかける。

 なんら麻生政権の政策と変わらず、目新しい政策がないことに失望する人もいる。当たり前のことだ。みな官僚の政策に頼っているのだ。政治主導といって、民主党側から特に出てくるものもない。考えることは皆同じなのだ。

 「明日の安心と成長」のための緊急経済政策と銘打ってはいるが、雇用創出、新産業の育成といってもこれといった妙案は思いつかない。経済ビジョンを知りたいのだけど、民間研究機関からも官庁経済機関からもでてこない。

 すでに国の借金は600兆円を超え、先進国では一番の悪い財政事情であることから、「財政危機」を心配する向きは多い。当然である。思い切った無駄の削減をして、その分を有効な経済政策にまわすことも重要である。

 しかし、不思議なことに霞が関から積極的な事業見直し、予算削減の話は一向に出てこない。メデイアも独立法人のピンハネ体質、法外な役員報酬をすっぱ抜いているが、税収が落ちれば自分たちの報酬も減ることぐらいわからないのか。

 わかってはいたことだが、官僚国家の弊害は一夜にして“CHANGE”できるものではない。

 財政出動か、財政規律か、難しい判断だが民主党政権は財政規律で進めるようだが、政権内部でのゴタゴタは、国民に不安を掻きたたせるだけだが当分は改善の見込みはない。

 ビジョンに欠ける民主党政権、税制改革で家計に増税/減税の二極化がはっきりしてくると、「こんなはずではなかった」と考える国民が多くなってくるだろう。そうなると民主党支持は落ちてくる。

 自民党にはそれに変わる政権復帰への体制ができていないので、すぐには政権交代はないだろう。
写真 首相官邸
    経済ビジョンを示して国民に安心感を与える必要があるが、政権内、政権与党内でのゴタゴタが     国民の不安感を増長している

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