2010年2月19日金曜日

町工場の「モノづくり」を支える若者のネットワーク







ここ東京都大田区は、日本経済を支える町工場が多く、その生み出す製品は、区役所3階のホールに陳列されている。陳列と言っても天井からワイヤーで836個が吊されている。小さいモノではネジやスプリング、大きいモノでは絞り製品であるH2ロケット先端部もある。実に見事な製品や先端技術が紹介されている。

 その大田区の産業プラザで、今、第14回凍土技術・技能展「おおた工業フェアー」が開かれている。大田区や秋田、新潟をはじめ近県と広域連携した中小企業が出店し、商談も活発なように見える。

 大田区内の企業もモノづくりを広げるために、アジア9カ国に製造拠点を海外に展開しているが、中国60社、インド33社と市場が期待されている2国が圧倒的に多い。

 しかし、海外に生産拠点を移さなければ生き残れないが、一方で国内では雇用が減り、税収も減る。なんと言っても国内で活況を取り戻さなければいけない。

 知り合いの銀行員に聞くと「中小企業も、30~40%に落ち込んでいた売り上げも最近は60~70%に戻してきた」と言うが、売り上げが10%落ちると大騒ぎになっていたことを考えると、まだ大変な経営環境だ。

 聞くと、加工業も忙しい所と暇なところと二極化しているようだ。廃業したところもあってか、この2月はドッと問い合わせが増えるという。競争は「時間とコスト」で、当然「作り方」を工夫しなければならず、仕事としてはきついという。

各社似たような製品、技術で競っているが、「モノづくり」に若者のネットワークが活用されていることに気づく。異業種の若者が集まり、アイデアを出し合っている。

 「TEAM職人魂」は7社の若き職人に漫画家や独立法人の研究者が加わり、面白い技術を紹介している。昨年は多足ロボットを試作し、テレビなどでも紹介されていたが、今年は「スターリングエンジン」を提案している。ヒーターと水冷、ドライアイスと常温の温度差を利用して動力源にするのだ。デモ試作器が出展されていた。聞くと20~40代の若者が月一回集まり、デイスカッションしている。

「THE連携」は、二代目加工集団で7社が加わって二代目の新現役が「モノづくり」をサポートするという。跡継ぎがいなくて廃業する町工場が多い中で、二代目への世代交代がうまく行った例だ。ものすごく忙しいらしい。「時間とコスト」との闘いなので、技術集団としてのネットワークは欠かせない。

 国だって黙ってはいられない。2007年問題と言われた団塊の世代の退職に際して「技術の継承」の必要性が叫ばれた。経済産業省も人材育成を支援した。

 東京工大でも中小企業向け人材育成講座を開設、社会人交流に寄与している。仕事の経験もあり、目的意識もしっかり持って参加しているので、学生とは大違いのようだ。1人30万円はかかるが、希望者は多い。若者が異業種の技術者と交流できた効果は絶大で、プログラム終了後も付き合いが続いていると言う。

今回は、福祉用移動機械「歩行椅子」のブレーキを開発するテーマが与えられ、3チームが、試作機を作り展示されている。時代の要求にもあった開発プログラムだ。

このような若者や中小企業のネットワークづくり、技術交流は各地で起こっている。異業種の若者が集まり、情報交換する。人脈づくりは、「モノづくり」の底力だ。海外の企業に負けない力の源になって欲しい。

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