2010年3月2日火曜日

チリ地震大津波警報:災害情報も受けて側の判断次第


今回のM8.8の巨大なチリ地震は、遠く離れた我が国でもいろんな教訓を残した。

 思い出すのは、2007年1月13日に千島海溝の深さ30kmでM8.3の地震が発生したときに、我が国でも津波警報1m、注意報0.5mが北海道から和歌山県に至る海岸線で発せられた。

 この時、NHKテレビニュースは、「津波に注意してください。海岸日回避とは安全な場所に避難してください」と繰り返し放送した。警報が発せられている自治体の総務課長には電話インタビューでは「防災無線、広報車で勧告している」と言うことだったが、予め作成されたハザードマップで危険地区を指定して避難させた自治体はなかったようだ。ズッとテレビを見ていて緊張感がなく、「津波1mは、まだ安全なのか」と言う記事を書いた。

 今回気象庁は、最大で3mの大津波警報を出した。 避難指示・勧告を受けた人は146万人に及んだ。しかし、津波の高さは最大で1.2m、避難した人は指示・勧告された人の6%だったという。公共交通機関をはじめ,警報に対する対応はマチマチだったようだ。

 前回の1960年の時は、3~4mの津波を経験し、多くの人が犠牲になったことを考えるとチョット寂しい。

 こういう災害情報の有益性は、受け手側がどう判断し、行動するかが大きく影響する。

 気象庁は、予測が過大だったことを陳謝したが、これは仕方ないことではないか。もし問題があるのであれば、予測値に例えば2~3mと幅を持たせて公表すればよいのではないか。災害予想を躊躇してはいけない。

 そもそも正確に予測することは難しい。津波予想シミュレーションの「カオス現象」という問題がある。初期値のわずかの違いで結果が大きく異なるのだ。今回は地震の規模であるマグニチュードの取り方で差が出てきたのではないか。気象庁は当初、M8.6とみて、津波の高さは1m程度と見ていた節があるが、米国地質調査所がM8.8と発表したので、それに従ったため高めの予測になったのではないだろうか。

災害の被害を少なくするためには、少しは大きめの予報も仕方ないことだと思う。予報を受けて余裕を持って避難することが大切であるが、地方の市町村では可能であっても、首都圏など大都市では大混乱が起きる可能性がある。
 我が国では、近い将来必ず東海地震、東南海地震、南海地震など巨大地震の単独または同時発生も予測されている。東京、名古屋、大阪など大都市での津波対策は簡単ではない。

 「1mは、まだ安全」と考えていては、対策にならない。

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