2010年5月4日火曜日

危険が一杯の築地市場買物記







老朽化で移転が予定されているが、その移転先が土壌汚染という難題を抱えている築地市場に行ってみた。

見学者、買い物客、フォークリフト、運搬車、オートバイ、自転車、トラック類が行き交う市場は大混乱であったが、事故が起きないのが不思議なぐらいだ。店と店の間の通路を歩いていると、いつの間にか運搬車が近づく。「危ないよ」と家族で互いに注意して安全を確保するが、不思議に運転している人は何も言わない。

6時頃着いたので、取りあえず朝食をとろうと食堂に並ぶが、連休で休業している店もあり、当然営業している店は、長蛇の列だ。「どのぐらい待つの」と聞かれたら「30分ぐらい」と答えるようにアルバイトが指示されていた。実際には待ち時間はもっと長い。

店に入って「移転はどうなっているんですか」と聞くと、「東京都が移転を言っているのであるでしょう。25年頃までに」と言う。「既に100年が経過し、老朽化が目立ちます。毎日どこかで工事をやっている状態です」とも言う。

店を出るとき、「一般の客にも売ってくれるんですか」と聞くと「卸だからダメなんですが、店によっては売ってくれます。素人は値段がよく分からないので、いろんな店を見て、買い物することです」とアドバイスしてくれた。

店を回って驚くのだが、誰も「値引き交渉」をしない。安いという頭があるためか。今の時間帯はほとんどが一般客だが、家内も「安い」という。

「本マグロだよ」と言う声がかかってきた。床においた板の上に大きなマグロが横たわっている。1本数十万はするらしい。「これが今日、全部売れるんですか」と聞くと、首を横に振る。売れ残りは陳列棚に並べられ、明日の売りになるらしい。いつも新鮮とは限らない。

噂どうり海外の観光客が多い。ある店では商売の邪魔になるらしく、「あっちに行け」と手で追い払っている。外国の観光客はほとんど買い物をしない。マグロの競り見学者が人数制限されているが、4月8日から5月9日までは、安全確認のために、マグロの競り場への部外者の立ち入りを禁止する張り紙が出ている。

場内を見渡せば、危険が一杯だ。

ケーブルダクトには、ケーブルが裸で走っている。可燃性の発泡スチロールの箱が、至る所に山積みされている。こういう可燃物に火がつくと消化は困難になる。特にケーブルに火がつくと、消化しにくく延焼しやすい。

消火栓も少ない。あると思ったら、鉄枠がはめられていた。不要か、使用できないのなら撤去すべきだ。

衛生面も良くない。ゴキブリ、ネズミが出てきそうだ。食中毒の恐れもある。常に大量の水で洗われてはいるが、決して衛生的とは言えない。

建物も耐震性は低いようだし、鉄骨構造物も老朽化していて全体に危ない。どの店も、支払い場所は、板で囲まれた1m2位の仕切部屋設けられている。中にいるのは女性だ。

しかし、子の築地市場の移転先の豊洲では、01年にベンゼンが環境基準の1500倍の濃度で見つかるなど、有害物質が検出されて社会問題化している。「食の安全」が確保出来ないとして800に及ぶ仲卸業者の6割が移転反対を訴えた。

都は、汚染対策の効果を検証する実験をし、3月に中間報告、6月に最終報告をすると発表し、この3月に2つの方法で無害化が可能と発表した。ところがネイチャー電子版に、「可能かどうか判断することも不可能」と報じられた。

その原因に、過去の汚染の測定値と今回の実験前の測定値とが違っていて、説明が付かないことにあるらしい。

私も経験があるが、土壌汚染調査での環境測定値は測定の度に異なる。言えることは周辺に比べて高濃度に汚染されていることだ。問題は、2つの処理方法が、その濃度に適した方法なのかどうかだ。

築地市場の現在地での立て替え費用は3400億円、豊洲での総事業費は、汚染度状対策費を含め4316億円になる。当初移転に反対していた民主党が賛成に回ったらしい。

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