2010年5月14日金曜日

選挙対策で民主政治、政策をゆがめるな!




先の衆院選での民主党のマニフェスト実現が、財源や公平性などから疑問視されているが、今度は参院選に向けて票固めのための民主政治、政策を歪めかねない動きがある。

私達は、一つ一つの政策をじっくり考えて行動しなければならないが、パッケージとなるとなかなか難しい。

子ども手当や農家戸別補償制度の実施が急がれている。参院選に向けての実績を狙ってのことだろうが、子ども手当は財政を圧迫するし、母親さえも、現金支給ではなく、保育所などの施設整備を要求している。適用範囲も大きな問題になっている。

農水省の推進する戸別補償制度は、10アールあたり15000円、180万戸対象で総額1兆円になると言う。ところが、休耕田を積極的に借り入れて大規模農業を目指していた農業経営者に“貸しはがし”の問題が出てきた。突然田圃を返せと言うのだ。百姓すれば15000円がもらえる。

本来は来年のはずが、米に限って今年度から実施するらしい。選挙のためで、ビジョンなきバラマキ政策である。農業再生に暗雲がかかっている。

国などの借金が882兆円になり、IMF殻も警告され、財政再建が叫ばれている。鳴り物入りで始まった事業仕分けでも無駄削減は遅々として進まず、鳩山さんは4年間は増税しないと言う。税制改革の議論が始まろうとしているが、増税提案は選挙にはマイナスだ。

公務員制度改革も、みんなの党の渡辺さんが猛烈に批判するように抜け穴だらけ、自治労などが支持母体の民主党に期待するのが無理だ。

郵政民営化も逆行の方向になった。2000万円に拡大した枠で集めた莫大な貯金を何に使うのか。財投のようなモノと亀井さんは説明するが、それでは民営化以前の状態ではないかと疑問が出てくる。郵便局員がやっていた“公共性”のある仕事は棄てきれない面もある。
しかし、特定郵便局の票目当てがあるとすれば、考え違いだ。

これらに関連する法案や国会改革法案などの審議が遅れている。与党は308議席を背景に十分な審議がされないままに、強行採決でごり押ししたいらしい。多数党の横暴である。

民主政治を守るためにも、民主党の単独過半数など許しては行けない。

その参院選で、人気、知名度からタレント、元スポーツ選手、歌手などが候補者に上がっている。中には柔道で次のオリンピック出場も目指す二足わらじの候補者も出てきた。

国会議員の仕事はそんなに、簡単なモノなのか。おまけに一人当たり年間1億円にも及ぶ税金を拠出している。そんな二足わらじの議員に出せる余裕があるのか。

国会の二院制は、議会に民意を正しく反映せしめ、多数党の横暴を抑制するために設けられた。民意が正しく反映されていれば一院制で十分なのだ。昔から職能代表など議論されたようだが、衆議院との違いが出ていない。このままでは必要が合い参議院である。

比例区は、候補者名か政党名を欠くことになっているが、順位があって政党名を書いても自分が望む候補者が上がってくるかどうかは分からない。寧ろ議員削減で白票か無効票を投じたいほどだ。

政党が提案する政策は、パッケージとして受け入れなければならないが、選挙前提の耳障りの良い政策ではなく、ビジョンのある耳障りの悪い政策も聞き入れなければならないのだ。

大衆迎合では、政権交代の二の舞になる。
写真左:「新しい農政が始まる 戸別所得補償モデル対策 加入受付中」の看板を掲げる農水省

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