2010年6月13日日曜日

東京スカイツリー:その期待と不安




3月29日東京タワーの333mを抜いて、完成すれば634mになる。この完成で残念がっているのが、京都タワーだ。タワー展望台で10位に位置していたが、ついに11位に転落するらしい。

この京都タワーが計画段階の時に、私は京都で学生生活をしていた。京都の表玄関に、こんなタワーを建てるのは古都の景観を壊すと猛反対が起きた。しかし、年が経つに従って慣れたのか、展望台に上れば一望できると評判になった。

しかし、高層建造物は何かと物議を醸す。その後、京都ホテルが高層ホテルに改造しようとした時、神社仏閣関係者が反対に立ち上がった。京都ホテル宿泊者には入場禁止にしたのだ。

この押上、業平地区の下町の街並み保護しようとすると、スカイツリーは問題があるだろうが、街への集客、活性化を考えると期待が持てるかも知れない。

地下鉄押上疫のB3を出ると工事中のヘンスが張り巡らされている。どこかと思って横を向くと工事中のスカイツリーが目に飛び込んできた。確かに異様な風景である。

京成橋から見ると「現在398m」という表示が見える。高さ約400mを、巨大なクレーンが、約7分かけてゆっくりつり上げている。地上でも風が強かったので、上空はもっと強いはずだが横揺れもなくほぼまっすぐに上がっていく。

地震に強い五重塔の伝統的技法をと最新の技術で、このような公報になったという。東京タワーは早稲田大学の先生が計算尺一本で設計したと言われているが、東京タワーとは公報が大きく違う。富士山をイメージし、デザインされている。

橋から見える北十間川に映るスカイツリーの姿は、撮影ポイントとして度々紹介されている。当日は風も強く川面は波だっていたが、観光客は一瞬の風の緩むのを待ってシャッターを押していた。

それにしても何故634mなのか。このプロジェクトが計画された当時、600m級のタワーが必要とされていた。都心部は200mを超す高層建築が林立しており、電波妨害のない送信を考えると、610mが必要らしい。しかし、中国で610mの電波塔建設の構想があることが分かり、更に高く634mになった。何やら武蔵の国と言うことでムサシ(634)としたらしい。東京タワーもエッフェル塔より高くと言うことで333mになった。それぞれ競争されているのだ。

事業費は、タワー関連で約500億円、関連事業全体を含めると1320億円になるらしい。この500億円をNHKや民放5社など利用者の賃貸料と入場料で回収するらしい。

しかし、入場者数二期帯が出来るのか。「新タワーによる地域活性化など調査報告書」によると、年間550万人が予測されている。一方で、有識者検討委員会は、この種のタワー展望台はオープン当初をピークに減少するのだという。一度見ればそれで良いのだ。

東京タワーはオープン当時520万人だったが、現在は50%減の270万人になっているというデータが示されている。往々にして当初の予想(ヨソウ)は、逆に読んでウソヨと言うことになる。

街区への来訪者も、1260万人と見ているが、大型商業施設への集客が主で、旧来の街は寂れていく例が多い。共存できる街作りには課題も多い。

他にも指摘されている問題がある。

この辺の下町は地盤が悪い。当然、直下型地震など巨大地震時の長周期地震動に対する措置は技術的にされていようが、実際には予測できない事態も考えられる。このスカイツリー自体が、防災機能百道あわせているために、これ自体が不能になると防災上重大な事態になりかねない。

また、電波塔による健康障害は、古くから言われている。疫学的調査では可能性はありそうだが、まだ確証には至っていない。

期待と不安を掲げて、2011年12月に竣工する。

東京スカイツリーも地デジ化対策の一つであるが、この地デジ化も、今必要なのかという疑問も上げられている。何やら郵政省の利権がからんでいる事業だとも言われている。
東京スカイツリーの建設の進捗を面白がって見ているばかりではダメだ。
写真左:見物客でにぎわう東京スカイツリー 現在398m 2010.6.12
写真右:北十間川に映るスカイツリーの影 撮影ポイントになっている

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