2010年10月1日金曜日

中国漁船衝突事件:外交的「駆け引き」とは程遠い茶番劇


今回の事件は、日中関係は戦略的互恵関係ではなく、戦略的侵略関係が明確になった出来事だった。双方が外交の「駆け引き」で解決策を探ってきたが、国民の目から見れば「駆け引き」とはほど遠い茶番劇だった。

最近の中国の主権拡大路線は、国連の常任理事国とは思えない暴挙であり、国際世論に中国脅威論が高まるのは当然だ。ここ一連の中国の恫喝的発言、理不尽な要求にこれが中国政府の本心かと驚くばかりである。

国連憲章には「・・・寛容を実行し、かつ善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するために、我々は力を合わせ・・」と記し、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為を鎮圧のため有効な集団的措置をとるという。

中国は常任理事国として憲章の趣旨を率先垂範すべきであるにもかかわらず、逆に率先して脅威を隣国にばらまいている。

中国は、ギクシャクした日中関係で、どちらが傷つくのかしっかり考えた方がよい。貿易収支は日本が輸入超過、人の動きも日本から中国へが圧倒的に多い。中国は日本に負うところが大きいことが分かっておらず、互恵関係にはなっていない。

一方、我が国は、相変わらずの迷走を続けている。民主党が標榜する「開かれた政治」とはほど遠い対応だ。

船長釈放に多くの国民が不満を持った。「政治介入があったのでは」と疑念を抱くが、政府は「政治介入はない」と突っぱねる。領海侵犯での衝突事件だ。誰が考えても起訴相当だ。
那覇地検の「処分保留のまま釈放」決定に指揮権発動の影が見える。検察審査会に審査を要求出来ないのか。

さらには、細野議員の突然の訪中、フジタ関係者3人の釈放も不思議だ。難題を抱える日中外交に一議員が関われるのか。これも政府は無関係を主張する。

外交に機密は付きモノであるが、指揮権発動の有無は重要な問題だ。「開かれた政治」は、国民に政治への関心を高める重要な課題であるが、このままでは民主党も自民党も変わらない。自民党は野党として、「政治介入の有無」を追求しているが、自民党政権だったらどうなるのか。

永田町の常識は、国民の非常識だ。

結局は何ら改善されず、うやむやのうちに、次の事件が起きるまで関心はメデイアから遠のいていくだろう。その間、中国は姑息な手段で少しづつ侵犯を繰り返すのだ。
写真:衆院予算委員会集中審議で政治介入を否定する菅総理 2010.9.30 テレビ朝日 報道ステーション「日中関係大きく動く」より

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