2010年10月22日金曜日

姿を消す旧京品ホテル




ホテル単独では利益を出していながら、経営者の放漫経営による60億円とも言われる借金の返済のために売却されることになり、経営者側と元従業員の間で闘争が続いていた京品ホテルも解体工事が終盤に近づいていた。

私が京品ホテルの闘争を知り、最初に取材に行ったのが2008年の11月だった。建物内外には多くの関連組合の檄文がはられ、従業員により一部の宿泊施設とレストランで自主営業がされていた。

ホテル内にはいると宿泊予約に訪れていたサラリーマンもいた。内部は歴史を思わせる造りで、日光金谷ホテルや軽井沢の万平ホテルを小さくしたような感じだった。

檄文には「ハゲタカは死んだ。よみがえれ京品ホテル」など多くの檄が寄せられ、従業員を勇気づけていたようだ。

ところが2009年1月に自主営業に対して立ち退き強制執行が為された。確か夕方だと思うが、警官隊の警備を背後に、執行された。

これで終わりかと思っていたが、元従業員側も闘争を続け、2009年6月に取材に行ったときは、ワンコインのカンパ弁当を販売していた。「組合側の了解が取れない限り、物件は売れない」と幹部は言うが、10月に破産裁定が下された。

その後、解決したというニュースを見て、2010年5月に行ったところ、封鎖に使われたベニヤ板に張られた警告文などは剥がされた状態だった。

そして、2010年10月21日、羽田殻の帰りに寄ってみると、工事用の囲い壁で囲まれ、中を見ると重機で解体工事が行なわれ、一階部分の壁の取り壊しにかかっていた。

今回の闘争は、会社側が従業員に退職金を支払っての廃業であった。解雇された元従業員方は職を見つけることが出来たのだろうか。時期が時期だけに心配だ。

それにしても今回の闘争で考えさせられるのは、「会社は誰のモノか」と言うことだ。法的には経営者のモノであるが、企業は従業員なしではやっていけない。従業員の生活の基盤でもあるのだ。やたらに経営側の理由だけで廃業などできない。

英国では,そう言う考えもあり、廃業に制限があるが日本ではない。文化の違いだという。

組合幹部が「闘争するというとマスコミはドッと来るが、普段は全く来ない」と言った言葉が印象に残った。

0 件のコメント: