2010年10月23日土曜日

スーパー堤防の費用vs効果:何時起こるかわからない大洪水、巨大地震に備える公共事業











大洪水、地震など災害から街を守る高規格堤防(スーパー堤防)が事業仕分けの特別会計事業仕分けのやり玉に挙がりそうだ。計画を初めて20年も経つが、その整備率は低く「国民の安全かムダ削減か」が問題になりそうだ。

それも100年か200年に一度起こるか分からない洪水とか、何時発生するか分からない大地震への対応だから無理もない。財源が足りないのだから差し迫った事業に廻せと言われれば仕方ないと思うかも知れない。

この「スーパー堤防整備事業」(社会資本整備事業特別会計)は、計画を越える大洪水による壊滅的な被害から街をまもるために昭和63年から始まった。人口や工場などの密集地が対象になるらしい。

時事通信やSANSPOによると、首都圏、近畿圏の6河川で872kmを造る計画で、今までに整備済み、整備中を入れて約50km、6943億円を使ったと言う。整備が終わったのはたったの6%だ。2009年度は224億円使用した。

私の住んでいる東京都大田区も多摩川下流域として整備の対象に上がっている。京浜河川事務所のHPによると、多摩川では11カ所が完成し、6カ所が整備中だという。

近くなので下丸子地区に行ってみた。「スーパー堤防特別地域」の表示が出ている。多摩川があり、河川敷は野球場に整備され、堤防が高く盛られている。これがスーパー堤防で桜並木となっている。市街区域は堤防の高さに盛り土され、洪水や地震に強い地盤になっており、万一浸水しても緩い傾斜面を流れるので建物が流されることはないらしい。

しかし、これもマンションや高層ビルを建てたりする新しい開発区域であればよいが、市街地が工場や古い民家の密集地であると河川側は整備されても住工密集地側は整備が出来ていない。洪水や地震に強い街づくりの難しい処だ。

多摩川の過去の災害を、京浜河川事務所の多摩川歴史年表から見ると、平安時代の878年には関東に大地震が発生し甚大な被害が発生してというし、安土桃山時代の1590年には多摩川に大洪水が発生し、川崎市多摩区内の流路が変わり、ほぼ現在の位置になったという。

最近も豪雨で水嵩が増し、逃げ遅れた人達を救出するニュースが絶えない。普段は休日になると野球やサッカーの試合などで賑わう河川敷のグランドも洪水で簡単に姿を変える。

大田区の洪水ハザードマップ多摩川版を見ると、下丸子、六郷地域は2~5mの浸水が予測されているが、下丸子の一部区域は平成16年度に整備されたスーパー堤防により多摩川の堤防が決壊しても浸水のおそれがなくなったと記されている。しかしその周囲の区域は、浸水するのだ。

費用vs効果で考えると、どうだろうか。事業仕分けの判断に注目する。
写真上段左:かさ上げだけすんだ堤防 住工密集地ではなかなか進まない
写真右:川崎側の整備中の区域
写真下段左:下丸子地区のスーパー堤防特別地区表示
写真下段右:下丸子地区の整備済み地域 桜並木が作られ市街区側は堤防の高さに盛り土され、マンションや高層ビルが建っている。こういう地域は本当に少ない。 

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