2010年10月28日木曜日

社会資本整備事業:効果は大きく、費用は小さく、後に膨張?







国の会計は複雑だ。一般会計約92兆円に対し、特別会計は176兆円と巨額だ。しかも一般会計から約40兆円が特別会計へ廻されている。10%カットで20兆円が浮く特別会計は事業仕分けのうってつけと思っていたが、そうはいかない。財源確保が目的ではないと予防線だ。

初日の仕分けの状況をテレビで見ると、官僚は決められた事業を淡々と遂行しているようだ。「民間でどうしてやれないのか」と聞かれると諸外国の例を挙げて正当化する。「米の備蓄にかかる費用が巨額すぎる」と指摘知れば、「食の安全保障だ」と安全保障には費用がかかると言わんばかりだ。

当然かも知れない。官僚はやっとの思いで利権に係わる事業を手に入れた。当時の社会事情があったにしても状況が変われば見直しをすべきであるが、先輩達の築いた利権を見直すことは、官僚にとってはやってはならないことだし、出世にもひびく。

その事業の役目、今の時代に即しているかなど省みず、毎年経費を計上する。誰からもチェックを受けないのだから「費用vs効果」など何処吹く風だ。官僚だって税金を納めているのだから無駄な事業には抵抗があると思うのだが、彼らには利権という美味しい餌がある。逆に国民は税金の無駄使いには強い抵抗がある。

その事業が今も意義があるのか、費用vs効果は我慢の出来る範囲にあるのか、大事なことなのだ。

2日目の事業仕分けでは、長期にわたるスーパー堤防事業に対して仕分け人がどういう判断を下すのか確認したかったが、スケジュール変更で聞くことが出来ず、代わりに港湾事業で「費用vs効果」の議論を聞くことが出来た。

港湾整備事業は、2003年に30兆円のインフラストックになるが、我が国の全体の貨物量は1980年代から大きく増加していない。需要予測も126港のうち実績が計画を上回ったのはわずか16港で「釣り堀港湾」と指摘されているらしい。

この間韓国釜山港はコンテナ貨物が集まりハブ港湾となり、釜山港に追いつき、追い越す政策としては、スーパー中枢港湾として横浜、神戸に荷物を集中することで効果を計算するべきだと言う。一方港湾の耐震化も急がれている。

効果について、沖町を時間短縮するのが効果であって、他の港湾に集まっていた荷物が当該港湾に移ってくる効果もあげているのは、大きく見せるためではないのか。効果の数字を考え直す必要があると指摘されている。

費用の面では、積算が甘すぎる。個人的には30%はカット出来るのではないか、下積算を一社でやるのではなく、五社ぐらいでやって欲しいという。

費用の膨張率も大きい。当初計画では4027億円だったのが、完成時には5511億円
に膨らんである。理由を糾されて、土木工事なので予測していなかった事態が発生しているという。仕分け人から専門家なのだからいろんな事態を想定してやって欲しいと指摘。

公共事業で一番問題になるのは、需要予測だ。今回も126港湾のうち計画を上回ったのは16港湾だけだったが、乖離が大きすぎる。計画が過大ではなかったのか。需要の見直しが必要だ。

責任は誰にあるのかとの質問に、港湾管理者にあるという。デモ需要予測を間違い、費用vs効果で問題があっても責任を取った人はいない。

この事業の評定は、需要予測を見直し費用が膨張しないように。予算要求は10~20%圧縮すると言うことだった。

仕分け人に指摘されるまでもなく、事業担当者は、P→D→C→Aで、事業を適正に実施するのが当然なのだが、民間企業のように利益を挙げる必要がないので、公共事業はP→Dだけで事業を進めていることに問題がある。   

初日は一般席に空席があったようだが、2日目は満席だった。社会資本整備事業で公共事業だったのでわかりやすかったのだろうか。

願わくば、民主党主体ではなく野党も加えた超党派での「事業仕分け」であって欲しい。
写真上段左:ワーキンググループの仕分け後の評決 費用便益分析では情報公開を進めるよう指摘されている
写真上段右:作業終了後記者団に質問に答える長妻議員
奢侈下段:2日目w-キンググループBの会場 一般席はほぼ満席の盛況だった

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