2010年10月2日土曜日

中国漁船衝突事件と国益

今回の中国漁船衝突事件での政府の及び腰な対応、政権党内の「小沢vs反小沢」での抗争、スキャンダルを抱えた小沢さんの代表選出馬、更にはさかのぼってここ数年の内閣総理大臣の無能報道、度重なる内閣支持率の低下など国益に反するニュースが溢れている。

今、ニュースは6分で世界を駆けめぐると言われている。こういった国内ニュースも世界に配信され国際的にも笑いモノになっているはずだ。

私も以前、こういったことは国益を害すると言う記事を書いたことがある。改めて「国益とは何だ」と思い広辞苑を引くと、「国の利益」と出ている。

政治家、メデイアはどう考えているのか。ここ2日間の新聞報道を見てみた。

読売新聞(2010.10.1)社説「懸念処理に与野党は歩み寄れ」で「単なる政治批判の繰り返しは菅政権の内外の信頼を貶め、中国を利するだけで結果的に国益を害するしかない」と論説する。

産経新聞(2010.10.2)「土日曜日に書く」欄の「菅外交はどこで敗れたか」で「何よりも国家と国益を預かる政権中枢に降りながら菅氏や仙石氏に領土や主権を犯されたうえに、国家財産を損傷させられたことに対する責任感や国家意識が少しも感じられない」と酷評され、「日本の大切な国益が失われた事実に代わりはない」と論評した。

一方、朝日新聞(2010.10.2)には中国2010年版外交白書の「国境と海洋は国家の主権、安全保障、発展の利益に係わり中国外交の重要な部分となっている」という部分が紹介されている。中国の言う国益なのだろう。資源が埋蔵されていることが分かって主権拡大が激しくなってきた。

自民党の谷垣総裁は30日の記者会見で「国の主権、国民の安全を守らない政権であることが分かった」と言っている。

国益とは、国の主権、国民の安全、財産なのだ。

日本の領海を我がモノ顔で航行したり、巡視船への故意の衝突行為により公務執行妨害で逮捕された船長を拘留期限を満たないままに釈放させた恫喝行為は明らかに日本の主権を害するモノであり、政府の判断は国益を害するモノである。
更に尖閣諸島の領海内での多数の中国漁船の操業は、日本の漁民の安全を害する行為であり、これも国益に反する行為だ。

日本の正当性を主張できるビデオがあるにもかかわらず、拘留が続いている1人のフジタ関係者の安全を考えると公開できないと言う。

昔、「1人の命は、全地球より重い」と言った総理がいたが、1人の安全を守ることと国益をどう守っていくのか。海外での安全の自己責任をどう考えるか。事あるごとに繰り返される議論である。

中国は人口13億人、巨大な市場でもあり、将来のことを考えるとエネルギー資源の確保は急務であるが、国連の常任理事国として平和に対する脅威の防止、除去と侵略行為を鎮圧するため集団的措置をとるべき立場にあるにもかかわらず、自ら主権拡大のために隣国と紛争を巻き起こしている。

日本は、こういった中国に対して毅然とした態度で、国益を守るべきであり、同じ不安を持つ東南アジア諸国の先頭に立って戦うべきである。そうしなければ常任理事国入りなど覚束ない。

参考記事
中国は尖閣を「争う余地のない主権」とし「国家の革新的利益」に分類した・・読売新聞2010.10.3
香港紙の中国外交筋のはなしとして、尖閣諸島は台湾、チベット問題と同じ「国家の核心的利益」にかかわる問題として扱い始めたという。
中国指導部は昨年、主要な懸案を重要度によって「国家の利益」と「国家の核心的利益」に分類することを決定。東シナ海、南シナ海の「争う余地のない主権」について「国家の核心的利益」に分類したという。

0 件のコメント: