2010年11月2日火曜日

尖閣ビデオ限定公開:見透かされた民主党政権の弱腰外交


中国漁船の領海侵犯、公務執行妨害事件は、何故記録映像の公開をしなかったのか。横浜で開催予定のAPEC首脳会議への影響を危惧した仙石官房長官が船長の早期釈放を強要したのだろうが、「国内法で粛々と処理する」と言いながらながらの弱腰外交は、その後の国益に反する事態を招いた。

中国と協同歩調を取るロシアも、ついに北方領土の訪問を強行した。抗議をしたが、純粋な国内問題だという。

国会でも民主党政権の外交が問題になったが、質問する側も、答弁する菅総理も国民の感情に反して冷静な対応だった。

尖閣ビデオの限定公開を見た自民党の武部さんが、予算委員会で「世界にアピールするためにも公開すべきだ」と迫っていたが、委員会内では笑い声も聞こえ、武部さんが、「笑っているときではない」と叱責するほどの体たらくだった。

こんな調子では、中国、ロシアから国益を害する無謀な行為を受けても仕方ないことだ。

ここに来てギクシャクしていた日米関係であったが、米国が「尖閣諸島は日米安全保障の範囲に入る」と明言し日本にとっては助け船になっているが、アメリカの態度が鮮明になってきたのは米中関係が影響しているのは誰が見ても明らかだ。

恫喝に屈する弱腰外交を「柳腰外交」などと言っていては、仙石頼りも危険だ。

何故、即座にビデオを公開しなかったのか。以前に参考になる事例があるではないか。

小泉内閣の時、領海侵犯している北朝鮮の漁船(?)を発見し、海上保安庁の艦船が追跡、撃ち合いになった後、疑惑漁船が沈没する事件があった。漁船との銃撃戦の映像が流され、暗闇の海に大きな袋が放り投げられる映像が映っていた。どうも麻薬の密輸入の疑いが出てきた。

この時、沈没した漁船を引上げるかどうかで議論になったとき、小泉さんは引き上げを指示した。北朝鮮との関係を危惧する意見もあったようだが、一つの決断だった。北朝鮮は何ら日本を誹謗中傷するコメントを発することは出来なかった。映像で何も言えなかったのだ。
今回も即座に公開していれば、日本の正当性が示され、その後の理不尽な中国の恫喝にも会わなくて済んだはずだ。

確かに中国の成長は目覚ましい処があるが、APECに中国の胡国家主席が出席しなかったところで、何ら日本の失点ではない。正しい情報を流していれば今のような状況にはなっていなかったはずだ。

国益を守れない政権に、政治を託すわけにはいかない。仙石さんも「影の総理」としていろいろ言われているが、小沢さんが要職にいた時の「反小沢」の急先鋒として存在価値はあったが、政権内での存在には疑問を感じる。

今回の那覇地検の処置に対して、告発文が提出されたという。当然のことであるが、船長は放免されてしまった後だが、検察審査会の中で、未だ公開されていない情報もでてくるだろう。特に検察が不起訴処分にした背景、最高検都のやりとり、更には政府高官とのやりとりも明らかになるだろう。

指揮権発動に準ずるような背景があったかも知れない。ここはしっかり解明して欲しいモノだ。

菅内閣の支持率は最近40%になったという世論調査が発表されたが、更に落ちるだろう。

政権にあっては、内政で点を取れないときは、外交で点数を稼ぐのが常套手段だ。中国、ロシアは外交で点数稼ぎをしているが、菅内閣は外交で点数を失っている。

菅総理は一度、正式に記者会見でしっかり国民に説明すべきである。もう「もう、ア菅」では済まされない。
写真:日中韓首脳会談を前に、韓国大統領が菅総理、温首相を握手させようと努力している。 2010.10.30 朝日新聞より

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