2010年11月4日木曜日

日米両民主党政権:希望から不安へ、そして不満へ


米・中間選挙は、民主党が上院でやっと過半数を維持したモノの、下院では過半数を大きく下回り、オバマ民主党は大敗した。4日の新聞は、トップ面を含め4面を中間選挙の報道に費やした。さながら国内の総選挙のようだ。

米国の選挙は世界の政治経済に大きく影響を及ぼすが、私達には選挙権がない。じれったさを感じながら見るしかなかった。

日米両民主党政権は、国民に大きな希望を持たせたが、思うような生活改善は出来ない不安が不満へとなり、日本の民主党政権は「総理の指導力の無さ」、「政治とカネ」の問題があったにせよ、内閣支持率が下落する一方であり、米国のオバマ民主党政権も、若者の無党派層が離れていった。「何もやっていない」というのだ。

その一番の要因は雇用が改善しないことだ。オバマ大統領は、景気刺激策として64兆円を投じて、グリーン・ニューデイール政策を打って出たが、雇用は生まれず、壮大な無駄使いと批判された。

菅さんは先の民主党代表選で「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と政策を訴えたが、雇用は改善していない。逆に生活保護世帯は、7月で139万世帯になり過去最高だという。高齢者、母子家庭、障害者は当然としても、職のない世帯が増えているらしい。

企業の業績は改善しているにも係わらず、雇用が創出されていない。従来と構造が変わってきているのだろう。

雇用が増えているのは製造ラインの一部だろう。大企業と共に中小企業も海外へ工場を移しており、中国や東南アジアで雇用が創出されているだけだ。米国で輸入が増えても中国や東南アジアで雇用が増えるだけのことだ。国内の労働力を活用することにはならないのだ。

財政再建が急務の経済状況の中での、景気対策は誰がやっても難しい。オバマさんも、菅さんも大変な時期に政権を担うことになった。国民の支持が一番の拠り所であるが、成果として生活の改善が見られないのだから、希望から不安へ、そして不満を増殖することになった。

オバマ政権の「大きな政府」政策に「もっと税金を払うのは御免だ」と「小さな政府」を目指す「テイーパーテイー」運動がオバマ政権に立ちはだかった。保守層の目覚めだと言うが、若者達の無党派層はこの運動にも共感は出来ないと言う。

「一つのアメリカ」という考えが崩れ、分裂したかに思えるが、議会は共和党、大統領は民主党と考え協力して欲しいというのがアメリカ人の考えだろう。

我が国だって、議会は「ねじれ国会」だ。菅さんは「熟議の国会」とか表現しているが、野党もそれなりの責任を負うことになる。「成熟した国会審議」をして欲しいモノだ。

今回の米・中間選挙での結果、オバマ政策はどう変わるのか。

アメリカ製品の輸出振興になるとドル安が続くだろう。円高の傾向は今後も続くのではないか。在日米軍はどうなるか。普天間移設問題で、日米関係はギクシャクし、それが中国、ロシアとの領土問題へ波及しているという。対中、対露戦略はまず日米関係の修復にあるのだ。しかし、沖縄の状況を考えると普天間移設問題はますます厳しい状況だ。民主党は沖縄県知事選に候補者を立てることが出来ないらしい。

対中国では、今まで協調路線のようだったが、尖閣問題で「尖閣は安保の対象」と日本よりの発言になってきた。ASEANに見られるように中国の自己中心的な経済政策に米国も警戒を強めなければならない。人民元の切り上げも思うような成果にはなっていないようだ。

オバマ政権の政策は、即私達の生活に影響する。1日も早く信頼を取り戻して欲しいモノだ。
写真:米・中間選挙結果を報じる読売新聞 4面を使っての報道は、さながら総選挙のようだ 2010.11.4

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