2011年1月21日金曜日

経団連vs連合:その社会的責任




今最大の課題は雇用の創出である。菅総理は「デフレ脱却、国内投資、雇用拡大」のため法人税5%下げを決断したが、財界は雇用創出の確約は難しいという。一方で連合は経済活性化をめざし「賃金の引き上げによる消費拡大」のために給与総額の1%引き上げを求めたが経団連は定昇のみ認めた。

連合の調査でも「日本の安定的な成長や発展に効果があると思うこと」に72%が「就職率の向上や終身雇用など雇用の安定」を上げている。かって日本が持っていた良き慣習が「国際競争力」という名の下に破壊されてしまったことを残念に思う。

今経済環境は改善し企業は金余り状態だが、家計は逼迫状況が続いている。

連合大阪の「大企業の内部留保と経済波及効果と雇用創出」(2011.12.17)によると、この1年間の全国の大企業の内部留保は244兆円で、11兆円の積み増しになっており、手元資金が52兆円と「空前のカネ余り」でお金が対流しているという。役員報酬や株主配当は増額するも労働者の年収は200万円以下が4人に1人だ。

日銀の「資金循環統計」から家計と企業の資金状況を見ても、1年間出し入れされた資金の差額は09年度企業が17兆円で、給与総額への配分だけでなく、設備投資や株式投資に廻さず手元資金で残っている。逆に家計は11兆円で2年前都比べて半減だという(この項 朝日新聞 2011.1.21)。

春闘に際して、連合の古賀会長は「経営側は旧態依然の主張を続けているが、国際競争が激化するのは当然であるが、内需をどうしていくのか」ともっともな指摘をする。

経済団体は、「法人税を下げろ」とか、「規制緩和を進めろ」と要求ばかりする。菅総理は財源の当てもないのに、「デフレ脱却、国内投資、雇用拡大」を期待して1兆5000億円にもなる減収を省みず、法人税の5%下げを決断した。

しかし、経済同友会は雇用の創出は難しいという。経団連は言及を避けている。

経団連も雇用関連の指標配膳として停滞、雇用問題は将来不安の最も大きな要因の一つで、この解消が経済回復のカギであると認識しており、新産業を育成し雇用を創出すると言うが、その分野はサービス関連の分野だ。

経団連のHPを見ると、2011年版経営労働政策委員会報告(2011.1.8)では、目次しか掲載されていないが、「全員参加型の雇用社会の実現に向けて」で若年者の就職機会の創出、高齢者が活躍できる場の創出を上げているが、その内容は不明だ。

又、日本社会活性化には内需拡大も重要政策である。内需拡大は相当前から指摘されているが一向に改善されない。国内消費を改善するには、コスト削減ではなく、家計の改善が必要になる。

しかし、連合が経団連の「2011年版経営労働政策委員会報告」に反論する処によると、経営側は、従前から総額人件費抑制に拘りデフレを深刻化させ、持続的成長の確保の対する責任ある姿勢が見られないと言うのだ。

減税しても、海外へ投資したり、内部留保されては何の意味もない。国内雇用創出した結果で、その企業を雇用減税するなどの方法を採った方が良いのではないか。

今の日本社会は、大卒の就職率70%弱、アルバイト、フリーターの増加、失業率5%、そして世界に類を見ない賃金指数の低下と、政府は景気の上方修正をしているが、実体社会で改善は感じられない。
普通であれば、就職し社会人教育を受け結婚し、次の労働力になる子供を育てることになるが、今のように職に就くことも出来ず、社会人教育もろくに受けることもなく育つ若者に何が期待できるか。

次にやってくるだろう有能な労働力の確保が出来ない事態は、必ずツケとなって企業に跳ね返ってくる。
企業経営者は、しっかり考えるべきだろう。
写真左:経団連 東京大手町
写真右:連合 東京駿河台

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