2011年2月14日月曜日

物価統制で適切価格での商行為支援が必要でないか




物価安定という面で考えるとデフレ状態は、よりやすいモノを手に入れるコトが出来、消費者にとってこれ程良いモノはない。年金生活者、低所得者にとってはありがたい。でも今日本経済はデフレスパイラルで悪化の一途だ。

物価を監視する日銀は、デフレ脱却の妙案はなさそうだ。インフレを警戒しなければならないし、景気回復の腰折れを避けるために、金利の引き上げの時期も消費者物価指数前年同月比1%上昇を目標にしているようだ。

目に見えた実感できる経済回復は遅く、経済指標は好転していると言うが、社会は疲弊している。町工場の閉鎖、商店街のシャッター化、従業員の首切り、失業率、新卒者の就職率の悪化、企業は安い人件費を求めて海外へ向かい国内製造業の空洞化は、まだ目立つ状態だ。

消費面では、安売り競争が絶えない。海外の安い製品、加工品、農産物が流入するので、国内の生産者は生活にも四苦八苦し、廃業の憂き目にあっている。TPPは「第三の開国」と菅総理は言うし、経済界は評価するが、選挙を控えて与野党にはそれぞれ事情があるようだ。

しかし、物価の安定、社会経済秩序の維持、国民生活の安定は、政治の最重要課題である。

池上本門寺の近くの蕎麦屋「蓮月庵」に新しい価格表と共に「停止価格」板が今も掲げてある。終戦直後の物価統制令の時のものらしい。70銭ぐらいの価格が記されていたが、今は600~700円だ。

物価統制令(昭和21年3月3日勅令第118号 最終改正平成18年6月7日)は、終戦直後の事態に対処し物価の安定を確保してもって社会経済秩序を維持し、国民生活の安定を図ることを目的に、価格、運送料、保険料、賃貸料、加工賃、修繕料などに統制額があるときは、この価格を超えてはならないとしている。

更に、主務大臣が必要があると認める時は、政令の定めるところにより、価格の原価に関する計算を為さしむるコトを得るという。

零細下請け、孫請けが企業のコストダウン要求にリストラや、人件費削減、廃業の目に遭っているし、運送業でのコストカットは、運転手の過労、事故など社会現象を起こした。しっかりした根拠を持った最低価格の維持が必要なのだ。

物価統制と言っても、今残っているのは公衆浴場の入浴料で最高価格が決められているが、ダフ屋行為の取り締まりにも適用されたこともある。

ところが価格統制のようなコトは行なわれている。

タクシー初乗り料金、以前は国鉄の料金改定、最低賃金、人事院による公務員の人件費、まだ実施されたことはないがガソリン高騰対策である条件での税の一部解除などがあげられるのではないか。

社会経済秩序を維持し、国民の生活を安定させるには、インフレのみ為らず、デフレ脱却も大切だ。
そのためには物価の高騰ばかりでなく、最低価格の確保も大事だ。

生活必需品などの商品の価格、運送費、賃貸料、加工費、修繕費など資本に物を言わせての企業による零細業者虐めを防止し、生産者や流通業者、サービス業者など零細業者が適正な経済活動が出来るように最低価格の確保が重要になる。

安売り価格競争でユニクロ、ニトリなどが海外生産を展開し利益を上げているが一方で、国内生産者は価格競争に負けて撤退、廃業の目に遭っている。

国内の業者がやっていける価格の本当の姿はどうなのか。知りたいところである。

そして企業のあり方が問われてもいる。

法人税の引き下げ要求は「税金逃れ」と批判されている。世界は引き下げ競争に入ったが、「法人税の最低税率の導入」が求められ出した。我が国も40%から5%引き下げ35%台に下げ、国内雇用、設備投資を期待しているが、企業はどう行動するのだろう。

今朝のNHKラジオで、日本経済は「踊り場」から脱却の可能性があると経済学者が自分の見方を紹介している。米国経済の明るい兆し、我が国でも設備投資、個人消費に明るさが見えてきたという。新興国も員フィレの危険はあるが、依然として高い成長率を保ち、輸出も回復していると経済学者が解説していた。

経済指標だけから見ての判断だが、実感できる回復の姿はない。アイデイアを活かせばチャンスはあるというが、すべての人がアイデイアを持っているわけではない。それでは商店街の幽霊化は解決できない。

適正価格での商行為を支援する政策が必要ではないか。
写真:池上本門寺近くの蕎麦屋「蓮月庵」に掲げてある物価統制令の「停止価格」板

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