2011年3月2日水曜日

マニフェストの不確実性:誇大宣言→破綻→政権失墜


あれだけ政権交代の風に乗ってもてはやさすれた政政権公約・マニフェストも、財源不足で破綻したと見ると、政権は急速に信用を失い、政権維持が難しくなってきた。一方、マニフェスト一辺倒の議論は政治離れも加速させる。

我が国でのマニフェストは、2003年に当時の三重県知事が作成を提唱し、民主党が政権交代に向けたマニフェスト作成で脚光を浴び、各党が作成を競い合った。当時政権党の自民党は、民主党のマニフェストを見てからの発表となるほど注目を集めたものだ。

政策目標達成の工程と数値目標を掲げることが必須になっていたので、数値目標抜きのマニフェストは評価の対象外だった。

地方の首長選でもマニフェストを掲げて選挙を戦い、新人が現職を破っての当選となる例が出てきたが、政策の目玉は後退したという。その知事は「選挙の時、政策に財源がいくら必要か把握できなかった」、「簡単に勝てる選挙ではなかったので、かなりのことを言わなければならなかった」と述懐している。実情を知る人は、自民党の県連と県議が考え、知事が丸受けしたコトに無責任さがあると言う(朝日新聞2008.12.29群馬版)。

何か今の民主党にも言えることだ。政権交代したいがために「反自民」で誇大宣言になった。政策は党幹部と中堅の政策通と言われる議員が当たったらしい。当時はテレビにも度々顔を出していたが、今は余り見ない。勿論財源の問題があることは分っていたが、「財源はなんとでも為る」という小沢さんの言と、政権交代の現実味を帯びるに従って、その財源問題はかき消されていった。

冷静さを失ったマニフェスト主張は誇大宣言になり、実現のハードルは高くなる。政権党でなく野党ともなれば情報も少なく至難の業だろう。

そして今、税収減もあるだろうが、マニフェスト破綻から政権運営に支障を来す結果になっている。野党は、マニフェストが破綻したのだから国民に信を問えと言われ、政権与党内からも「マニフェストを守れ」「政権交代の原点に帰れ」と責任追及されるコトになった。

そう発言している民主党議員達の立場は親小沢であることから権力闘争の具に使われている。何とも困ったモノだ。

今、菅総理がやるべきことは、何故マニフェスト見直しが必要なのか、どれだけ努力しての結論か、良く説明することだ。更に党内議論を尽くしているのか。マニフェスト見直しに反対する議員グループはマニフェスト実現に向け、どんな方策を持っているのか。

そこがはっきりしない。ただの「小沢頼み」だけなら無責任すぎないか。

私は、マニフェストに掲げる各政策はP→D→C→Aで修正しながら目標を達成するべきだと思う。

子ども手当だって無理して支給するのではなく、今はこの支給レベルで、税収が増えれば更に支給レベルを上げていくことを説明し、国民の理解を得ることだ。勿論現金支給より施設の拡充の期待が大きいのであれば、施設拡充に方向転換し、少子化、子育て支援をしていくことだ。

マニフェストの本家でもある英国でもマニフェストに悩んでいる。政策が似通って、中身の詳細よりもイメージづくりに力を入れているという。また、マニフェストを読む人も1割以下と学者は見ている。「数値目標」も良いことばかりではないらしい。成果主義に走って根本的問題は解決していないとも言われている(朝日新聞2010.4.19)。

兎に角、どれだけ努力してもこうしかならず、見直しすべき説明をしっかりしなければならない。財務省に洗脳されたと見られては政治主導から大きく外れていないか。

0 件のコメント: