2011年3月4日金曜日

この政局は、いつか来た道


この政局はいつか来た道? そうだ、考えてみれば自民党政権末期の麻生政権の時に似ていないか。時の総理は、「指導力がない」、「決断できない」、「政策がブレる」と、野党のみならず、与党からも総理降ろし、解散・総選挙が声高に叫ばれた。当然世論調査での内閣支持率も20%を切る危険水域だ。

時の政治課題は刻々変われども、政治家気質、国民気質は変わらないのだ。

政権交代前の自民党政権は、国民の信を問わず、自民党内でのご都合主義で政権のたらい回しをし、数々の失政も相まって解散・総選挙が緊急の課題になっていた。

総選挙になっても勝てる顔として、自民党総裁選で麻生さんが選ばれ麻生内閣が発足したが、景気回復のための緊急課題とし経済運営に力を入れた結果、野党や国民が要求した解散・総選挙は、衆議員任期一杯まで先送りになった。打ち出す新たな政策に対して、そこまで麻生政権に託していないと言う批判もあった。

政権に就くと、まず米国詣が当たり前のようになって、麻生さんも日帰りのブッシュ会談を持った。総理の求心力低下、内閣支持率の低下、暫定内閣感、個人的な資質問題を抱えていては、外交もままならないのではと心配になるほどだ。国連総会での麻生さんの演説になると、空席が目立つ議場の映像を見て日本の国際社会での立場が分るような気がした(この状況は、以前から変わらないと言う)。

今、菅政権を見ると、民主党のたらい回しでの政権であったが、財政再建、社会保障と税の一体改革、TPPなどに政治生命をかけると言うほど菅さんは重要政策を打ち出しているが、マニフェストとの整合性に問題があり与党内からも批判が続出、それに指導力不足、政策のブレ、世論調査での内閣支持率の低下で求心力が低下している。

国民が政権交代で期待した政権として、鳩山、菅政権は期待に答えることが出来なかった。取り扱う政治課題は変わっているが、解散・総選挙が一番わかりやすい政治局面であることは、自民党の末期政権と似通っている。

この政局は、いつか来た道なのだ。

求心力を失い、支持率低下が激しい菅政権に、社会保障と税の一体改革、TPP、消費税増税などを任すことは、財務省、官僚の言いなりになる危険がある。マニフェストが大事なのであれば、新たにマニフェストに加えて正々堂々と議論すべきであり、唐突な政策提案、マニフェストに反すると批判する民主党内の反対勢力とも整合性すべきだ。

その時その時で、為政者は批判されるが、後になってふり返ると「どうなんだ」ろう。

麻生さんは、その後、「たけしのTVタックル」に出演し、たけしさんから当時の心境を聞かれた。麻生さんは、「解散時期の検討もしたが、ここは景気回復に全力を挙げるときだ」と判断し、結局は任期一杯での総選挙になった述懐され、判断に間違いはなかったと言う。

たけしさんは、「そんなこととは知らず、漢字が読めない、決断が出来ないなどいろいろなことを言って済みませんでした」と誤っていた。総理経験者が立場を離れて当時の心境を曝露することに感銘することが多い。私も「麻生さん、早く辞めろ」と言ったが反省している。

麻生内閣支持率は低かったが、麻生さんが官邸を去るとき、集まった国民の間から「太朗ちゃーん」の声があがり、麻生さんは車から降りて手を振っていた映像がテレビから流れたのを覚えている。

街頭に立てば聴衆が集まり声援が飛ぶが、世論調査での支持は低い。麻生さんは「どうしてだ」と周辺に聞いたそうだが、私も不思議に思う。ただ言えることは、「有名人見たさ」の現象らしい。

菅さん! 判断を間違えないで欲しい。

私達は、いつか来た道でなく常に新しい道を歩まなければならないのだ。

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