2011年5月3日火曜日

復興構想会議:未来志向の創造的青写真が提言できるか



油断した頃やってきた今回の巨大地震・津波災害の復興は、全国民が共有すべき問題であり、復興構想会議での議論と青写真は復興の指針になるモノであり注目せざるを得ないが、配布資料は公表されるが、会議内容は非公開で、記者ブリーフで知るしかない。

会議の進め方を見ると、5月中旬を目処に「検討課題」を整理し、6月末までに菅総理からも要望のあった「提言」を取りまとめる予定のようだが、新聞報道によると、5月中に緊急提言をするらしい。被災自治体では独自に復興案が作成されているようだし、二度とこんな災害に遭わないように安心・安全な街作りが期待されるが、テレビ報道を見ると被災地の自分の敷地にプレハブが建つなど、被災現場はドンドン変化している。モタモタしていると指針に役立つ提言など出来ない恐れがある。

詳しい会議内容は分らないが、内閣官房のHPから東日本大震災復興構想会議に関する資料を見ることが出来る。それから会議の内容の一部と15人の選ばれた委員がどういう考えを持っているかを知ることが出来る。

被災地域の復興で重要なのは、いかなる立場の人でも安全で安心して暮らせる強固な地域づくりをすすめ、更に人口減少、高齢化などの課題に果敢に取り組み、環境と調和するシステムを構築するなど先駆的な地域の創出を目指すコトだという(内閣総理大臣の諮問)。

ただ復興には、発災が終わった津波災害は議論が出来るが、原発災害は進行中である。菅総理の意向もあって原発災害は除こうとしたらしいが、原発災害被災者を放置することは出来ないという異論が出てきて原発災害も含むことになった。議長提出資料の基本方針を見ても「未曾有の複合震災」という表現はあるが、特に原発災害を明記した表現はない。

そして復興の基本は被災者が主役の自立復興で自分たちの手で復興すると言うことを確立して貫いていくコトが大事だというが当然のことだろう。そのためには首長が社長の「復興まちづくり会社」を設立し復興事業を受け、雇用機会も提供できる。

今回の震災で仕事、職場を失った多くの失業者が出てきた、震災が無くても高齢化、後継者不足で産業は停滞していたが、農業、水産業で構造転換資、集約・大規模化で経営効率を上げ儲かる事業に持っていかなければならないと言う。

自然との付き合い方も考え直さなければならない。今までは、巨大な防潮堤を作るなど自然と対決型の社会であったが、耐震型社会から免震型社会への移行が大事だ。今回被災した各地域には、コレまでの巨大津波被害から先人達が「これより下に家を造るな」という意味の石碑を建て教訓としていた。
守った人は助かったが、防潮堤を信じて海岸近くの平野部に家を作った人はすべてを失った。

復興財源についても議長提出資料では、全国民的支援、負担の必要性を訴え、義捐金+公債+震災復興税が提案されているが、「増税ありき」に批判も出た。テレビ番組でそこを聞かれて、議長は自分の私見だと弁解した。阪神淡路大震災を兵庫県知事として経験した貝原さんが招かれて「財源無き復興ビジョンは寝言だ」と復興税の必要性を指摘した。国会の予算委員会でも議論されているようだが、
増税は「財務省の言いなりだ」との批判が大きい。経団連も予備費の活用、2011年予算の組み替え、臨時の国債発行、時限的増税を提案している。

更に経団連は、政治の強いリーダーシップで式命令権を持つ司令塔の確率が必要と提言している。委員の中にも、官僚が含まれていないことに実行面で不安を呈するモノもいるし、何分にも構想を実現するには政治の強さ、政権の強化が必要であるが、今のままでは心許ないという。

今までは、この会議も各委員の構想、考え方を開陳しあってきたようだが、このままでは何もまとまらないと危惧する委員も出てきた。これから復興すべき分野ごとに、しっかりテーマを決め、一つ一つ議論してまとめていく必要がありそうだ。

私達も東北の被災地の問題だと他人事で考えてはいけない。今世紀前半には発生が確実視されている巨大地震に備え且つその復興のモデルにもなるのだ。東海地震、東南海地震、南海地震の3連動型なら東京、名古屋、大阪の首都圏が被災地になり、東日本災害どころではない。中部電力の浜岡原発の被害次第では原発災害の再来だ。

更に政権、政治家の利権誘導にも注意し、監視を怠ってはならない。






写真:復興構想会議の「月内緊急提言」を報じる読売新聞2011.5.1

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