2011年5月14日土曜日

悲観論が社会不安を助長する今、コンセンサスを得る努力を



大震災に原発災害が加わったのだから仕方ないコトだが、我が国は未曾有の社会不安に駆られているテレビにスウィッチ入れ、新聞を開けば福島原発事故への対応や避難、その賠償問題、公平な負担のための増税、電気料金値上げ、東日本大震災関連の法案の処理の遅れ、企業業績の悪化、更に悪いことに政権与党内の権力闘争による菅政権の脆弱さなど不安要因は数え切れない。

肝心の今回の災害は何なんだ。天災なら我慢も出来ると被災者は言うが、人災の要素も大きいようだし、文明災だという学者もいる。電気を多用する文明社会では電力供給に「政策上、最も安全」と言われた原子力発電建設が推進され、危険な巨大技術でありながら安全意識が追いついていかなかった。

人災と言うにはいろんな理由があるだろう。政府は、検証委員会を設置し、菅首相の事故対応も含めて検証するという。

まず急がなければならないのは福島原発事故処理による原発災害の終息であるが、先に6~9ヶ月で目処を付ける工程表が示されたが、1号機の燃料棒のメルトダウンの事実が分って工程も狂ってくることになる。当初年単位での処理が予想されていたのに、月単位の工程には疑問を抱く国民が多かったはずだ。案の定経済産業相は、工程表の見直しの必要なことをコメントしたが、メルトダウンが無くても早晩同じ結果になったはずだ。

原発災害が長引くと、「次はどうなるんだ」と不安が募る。パニック、政権批判を恐れて厳しい重要な情報を隠蔽していることは十分に考えられることだ。本当の情報を流しても、パニック、政治批判は起きるのだから、最初から情報は公開すべきだ。

被災地での会社/工場の被害は、電気産業、自動車産業などにも大きな支障を与えている。家電量販店でパソコンを見ていたら、新モデルのパソコンが1ヶ月で生産中止になったという。東北地方の工場が被災したので部品が入ってこないのだ。

雇用状況も今回の震災で悪化するだろう。雇用は何としてでも確保しなければ社会制度の破壊を招き、社会不安の要因になる。電力供給不安、電気料金の値上げがあれば工場は海外へ移転し、国内は空洞化すると警告する。雇用を確保し将来にわたって良質な労働力を供給できる体制を維持しなければ、このツケは必ず経営者に戻ってくることを肝に銘じるべきだ。

被災地の地域経済回復も最大の課題だ。三陸沖という超優良の漁場があるのだから漁業関連産業の早い復旧が望まれるところだ。

被災地の街作りにも注目したい。被災住民の願いは今まで通りのコミュニケーションを維持するコトの出来る街作りで、復興ではなく復旧なのだ。私も居住地は高台移転、被災地は商業地域と考えていたが、高台での平地の確保は難しいらしい。先例になる奥尻島の復旧が参考になるのか。

それにしても一番の心配事、不安の原因は菅政権の政策推進にある。経団連会長の談にもあるように、結論がパット出て、その過程がブラックボックスなのだ。政策を打ち出すにしても十分に検討された過程がわからないし、それがもたらす影響にどう対応していくのかわからない。

要は、国民に対するコンセンサスを得る過程が欠如しているのだ。コレでは困る。

被災地の復旧・復興を国民全員が公平に負担する財源の確保での増税論、東電を救済するわけではないが電気料金の値上げ、原子力発電のこれからのあり方、浜岡原発を期限付きで停止したが、2~3年後の再稼働時に必ず大きな問題になるだろう。

更に考えておかなければならないのは、今は東北地方太平洋側の震災、原発被災地の問題であるが、これから発生するであろう東海・東南海・南海の3連動型地震、首都直下型地震が発生すると今回の災害どころではない。その時どう処理していくか、どう国民に公平な負担を課していくのか。

国民の不安解消にもコンセンサスを得る努力を政府は惜しむな。


写真:浜岡原発の一時停止を申請したと記者会見で報告する菅総理、安全を考えると英断かもしれないが、国民のコンセンサスを得られるのか。再稼動が予定されている時に、原発不要の大きな問題にならないか。

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