2011年5月18日水曜日

福島第一原発事故:東電は、「メルトダウン」も想定外というのか



東電は、やっと「メルトダウン」に至ったことを認めた。メルトダウンが「想定外」だったとすれば、東電の技術者は余程能力がなかったのか、隠蔽しているかで、原子力三原則の一つである「情報の公開」も守れない企業に原子力発電事業を託した国の責任は重大である。

それにしても、この事故には不思議なことがあった。早い時期に「メルトダウンの可能性」に言及した原子力安全・保安院のスポークスマンが更迭され、NHKの解説員は一時画面から消えた。事情通が言うには、東電や政府筋からクレームが付いたそうだ。専門家やメデイアは以前から「メルトダウン」ではないかと疑っていたのだ。

当事者である東電は、認めたくなかったのだろう。諸事情から認めざるをえなくなってやっと認めた。記者から「メルトダウンが起きたと認めて良いのか」との質問に、苦しい条件を開陳し、そのコトから考えるとメルトダウンだと認めた。

「では、東電はどういう状態をメルトダウンというのか」と追求すれば良かったものを、その記者は更なる追求をしなかった。外国メデイアに比べて日本のメデイアの質問は不甲斐ない。

核燃料は、濃縮されたウラン粉末を直径1cm、高さ1cm位の円柱状に成形したペレットを約400個集めたものが核燃料棒で、原子炉には約1000万個のペレットが炉心にあるそうだ。1個のペレットで一般家庭での8ヶ月分の電力を賄うことが出来る。

メルトダウンとは、ペレットが2600度を超えると溶け出し、どろどろの状態で圧力容器の底に落ちたことを言うのだそうだ。

東電は、メルトダウンであって欲しくなかったのか、こんなことは起こらないと考えていたのか。空焚きが起きるとメルトダウンの危険が出てくる。何時起きても不思議ではない事故なのだ。「詳細なデータがなかった」とは言い逃れでしかない。

今までの事故対応は甘すぎたという批判がある。確かに、甘い想定の下での対応と、厳しい想定の下での対応とでは自ずと内容は違うはずだ。モタモタしていると、本当に20年、30年は帰れない結果になってしまう。

放射能の大気、水、土壌、農作物、魚類、家畜類そして人間に対する汚染は、拡大の一方かも知れない。

年間被爆線量を考えると、事故処理が長引けば原発内で作業する作業員が底を突き、二進も三進もいかなくなる事態も考えられる。

今回メルトダウンがはっきりし工程表に見直しがされた結果、冷却法は変更になるが安定化の目標時期の変更はないと東電は言う。でも、今まで裏切られっぱなしだった東電の言うことを素直に納得できるか。

巨大地震・津波も想定外、今回のメルトダウンも想定外と、都合の悪いことはすべて想定外にする東電に危険な原発事業を任せることは出来ない。今回の大震災に伴う放射能汚染事故は、安全軽視、コスト重視の都婦伝の経営に由来する人災だ。「安全第一」のモットーを軽視した東電の責任は余りにも大きすぎる。

東電は、どうやって信頼を取り戻そうというのか。

写真:事故以来、警察に警護される東電本社

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