2011年6月24日金曜日

菅総理の損得勘定:本人の意思に反し、失ったものも大きい



「辞めたくないよ」とばかりに延命の政策を打ち出し、国会会期延長では、3党合意の50日案もごねて70日を獲得したモノの与党執行部、野党との信頼関係を大きく失し、今後の政局運営に赤信号がともった。本人は8月一杯総理の座を守り、その間、うまく行けば支持率を回復できるのではないかとの淡い希望を持っているかも知れないが、この茶番劇で失ったモノも余りにも大きい。

ここに来て、国民新党の亀井さんは、「大規模な内閣改造をやれ」と発破をかけるが、後数ヶ月の菅総理に誰がついて行くのか。本人は否定するが復興担当大臣を狙っているのは見え見えだ。何の魂胆もなく動く人ではない。民主党政権が躓いたきっかけは、鳩山政権時亀井さんが金融相、郵政民営化担当相になり斉藤さんを日本郵政の社長に据えたことだ。コレで高級官僚の天下り禁止が蔑ろになった。

「菅降ろし」の急先鋒であった仙石さんと会談し、「政権運営の協力を要請した」という。復興担当大臣の噂もあるようだが、反菅派を取り込んで延命を図る菅流政治手法に陥る議員なんて信用できない。

第2次補正予算、特例公債法案など重要法案を通すためには、参議院が法案の採択に応じなくても参院送付から60日で衆議院再可決が可能で、70日という事はそれを担保したことになる。衆議院で、民主党に圧倒的多数の議席を与えた結果だ。

国会なんて審議はいい加減なセレモニーだ。会期末が決まり、法案可決日が決まり、審議のスケジュールが逆算される。審議内容はどうでもよいのだ。時間が無くなったら強制採決すれば良く、国会内の乱闘騒ぎは常態なのだ。延長国会が始まったって直ぐ国会審議が始まるわけではない。

菅総理は、今回の茶番劇で、本心は総理の座を守ったと思っているだろう。鳩山合意文書にしろ、今回の「新体制の下で」の文言にしろ、退陣の言質は与えていない。いかようにも解釈でき「退陣」を突っぱねることは出来る。

しかし、今回のドサクサ劇で、菅総理の失ったモノは大きい。

菅総理を支えるはずの民主党執行部との軋轢は、今後の政局運営に支障を来すはずだ。予定されている両院議員総会は見物だ。菅総理は袋たたきに合うだろう。逆に、そんなに総理がやりたかったら、自分で民主党議員を説得すべきである。岡田幹事長をはじめ、執行部は統一地方選の惨敗、不信任決議案での処理の責任を取って辞任してはどうか。菅総理にこれだけごねられても職にあるメリットがあるのか。

野党に対する信頼関係も失墜した。折角3党合意した延長国会会期50日を拒否し、70日を獲得した。勝ったように見えるが、対野党の関係が悪くなったこと政局運営への影響は大きい。

また、国民にとって、民主党及び民主党政権に国政を委ねる事への信頼も無くなった。政権党としての心構えが欠如している。政権交代が出来る2大政党制も民主党のだらしなさで消えそうだ。

菅政権が歴史にどう残るか。今まで提案した政策をしっかり執行できればよかろうが、今までの様子では「総理の座に執着した最低の総理」のレッテルを張られかねない。

写真:3党合意を評価しなかった菅総理を批判する自民党谷垣総裁 2011.6.24 NHK「おはよう日本」

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