2011年12月7日水曜日

世界経済危機:政治と市場の「つばぜり合い」

政治家が国民、国家を守らなければならないのに、ギリシャを発端とする欧州経済危機は政治と市場の果てしない「つばぜり合い」の様相を呈している。EU条約改正、ユーロ共通債構想で混乱も収まるのではないかと思っていたが、独仏両首脳の会談も不調に終わり多くの人をがっかりさせた。

おまけに又、S&Pはユーロ15カ国の国債下げに続き欧州金融安定基金(EFSF)も格下げの方向で見直しているとの報道が流れた。

一方、政治面では、各国が首脳交代、政権交代、財政削減政策を打ち出しているが与野党の主導権争いもあり、この国難に一致団結して当たろうとする気概は感じられない。

市場は相変わらず、財政・金融危機を払拭できず、景気回復も覚束ないと見ている。当然だろう、今増税、財政支出削減すれば経済成長は鈍化し税収は上がらず財政再建は遠のくと多くの人は見ている。しかも、基軸通貨であるドル安、ユーロ安で、円高が続いている。

市場は、政治家の不甲斐なさに危機を感じ、リスク資産回避のため、欧州では売りが先行している。その影でヘッジ・ファンドが暗躍しているのだが、国家財政も破壊されかねない危険があるのだ。

私たちは普通、安く買って、高く売り利益を出すが、ヘッジファンドは逆に高い時に売って安くなって買うそうだ。ヘッジファンドの特徴とも言える「空売り」だ。下相場でも大きな利益を出すのだ。おまけにレパレッジをかけるので実際には何倍ものカネが動くのだ。

この「空売り」で暴落を防ぐために政府は介入するのだ。

わが国財務省は、10月31日に大規模な為替介入に踏み切り、断続的な介入で1ヶ月に9兆円を投じた。11月末でのわが国の外国為替残高は約1兆3000億ドルの過去最高額になった。借金して介入し、ドル安で国民の財産は目減りするダブルパンチだ。おまけにこの1兆ドルがどう運用されているのかは財務省しか分からないのだ。

この実体経済、国家の財政の破綻をファンドから守るためにヘッジファンドを規制しようとする動きもあるというし、S&Pのような格付け会社の規制強化の話もあると報道されていたが、ヘッジファンドの横暴な動き、基準のはっきりしない格付けなど規制の必要なことも理解できる。
だが、一番肝心なのは政治家が財政再建、健全化に真剣に取り組んでいるかどうかだ。市場はそこを突いてきているのだ。

政治と市場の「つばぜり合い」は、しばらく続きそうだが世界経済は破綻し、莫大な利益を得たのはヘッジファンドだけという結果は避けたいものだ。

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