2012年3月4日日曜日

「1票の格差」違憲状態での解散・総選挙は可能か


「1票の格差」違憲状態での解散・総選挙は可能なのか。何やら解散・総選挙の可能性も出てきそうな政局であるが、最高裁が言う違憲状態での選挙で本当にできるのか。野田総理は1月4日の年頭記者会見で「1票の格差の問題は、解散権と結びつかない」と述べ、衆院解散・総選挙は可能との認識を示していた。

最高裁は「憲法の要求する投票価値の平等に反する状態に至っていた」というが、選挙そのものの無効の訴えは退けた。

その「1票の格差」是正はそれぞれ各党の思惑があって、なかなかうまく進まないらしい。野田総理は先の党首討論で「1票の格差」是正を優先する意向を示したが、格差是正、定終削減、制度抜本改革を同時にやろうとする他の政党に拒否され、足踏み状態なのだ。

しかし、そんなことを言っていると社会保障と税の一体改革など重要な制度改革などに対する国民の審判を仰ぐ解散・総選挙ができないことになり政局は大混乱する。うがった見方をすると、次の選挙では民主党惨敗が予想され民主党としては選挙を避けたいところだ。これを口実に解散・総選挙は無理ということもできる。

民主党政権にすれば法案成立後、実施する前に解散・総選挙を謳っているし、自民党は法案成立前に解散・総選挙を主張している。野田総理が言うように2014年の引き上げを実施する前に解散・総選挙となると来年あたりが総選挙となるだろうが、それまでに「1票の格差」問題が解決し、各党が納得のいく区割りが決まるかは疑問である。

「投票価値の平等」に反する違憲状態での選挙を実施するとなると、「1票の格差」問題で投票の平等さの犠牲になっている有権者以上に何らかの有権者の価値(権利)が守られなければならない。その価値(権利)とは何か。

国民は主権者として国政を信託するに当たり、公務員を選定及び罷免する国民固有の権利を持っている。政権は社会保障と税の一体改革、消費税増税などの公約掲げて主権者たる国民に、その信を問い国民の信託を受けなければならない。信託を受けられなかったら政権から退かなければならない。

今の政局は、その国民に信を問うべき時なのだ。少々の投票の不平等さは犠牲にしてでも大方の国民固有の権利を実行する時なのだ。憲法には第13条に「公共の福祉」という個人の人権違反を判断する制約原理がある。
選挙制度が改善されないままに選挙をすれば、選挙自体が無効の提訴があるかもしれないが、裁判所は選挙そのものを無効にはできないだろう。それは大いに立法府の仕事である。

選挙制度の改革は国会議員にとっては生死にかかわる問題で一朝一夕には決まらない。今の小選挙区制も政権交代可能な二大政党を育てるための導入であったが、地方区で落選した候補者が比例区で復活するなど有権者の判断を蔑にする結果にもなったし、政党得票率以上の議席を確保する結果になったり、おかしなことばかり起きる制度だ。

おまけに、選挙にカネがかからないなど言われていたが、実態は程遠いものだ。

私は中選挙区制の方が面白いと思うがどうだろう。願わくは早急に抜本改革をすべきである。

それまでは違憲で、不満足な選挙制度下でも国民に信を問う選挙はやるべきである。

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