2012年4月8日日曜日

後期高齢者医療制度:「痛みの分配」は、理解を得る政治手法で


後期高齢者医療制度の中止、撤回
を求める座り込み
2008.6.6 自治省前にて

後期高齢者医療制度ほど混乱の続く制度はない。「姥捨て山の制度」のようだと言われ批判を浴びた制度を2009年「廃止」するとマニフェストで約束し、民主党は政権交代を勝ち取った。だが新しい制度の姿が見えてこない。

73年老人医療費無料化で始まった高齢者医療制度だったが、83年には定額負担を求める老人保健制度の導入、06年に医療制度改革関連法案が成立し、08年4月に今の後期高齢者医療制度がスタートした。公費負担5割、現役世代負担4割、高齢者負担1割になった。

少子高齢化が進むなかで、増え続ける高齢者の医療費をどうするか。高齢者に応分の負担を求め、医療費の抑制をどう図っていくか、これも「痛みの分配」で言うと消費税増税も同じことだ、

まず、決定するプロセスを透明にすべきだ。族議員が厚生労働省の役人、関係団体の幹部など一部の人間の内部調整で制度の大筋を決めていたが、この政策決定のプロセスを透明にし、国民を納得させることが大切だと指摘する学者もいる。

65歳、70歳、75歳になると色んな制度で線引きされる傾向にある。別枠で「痛みの分配」を要求されるのだ。だとすると結果を押し付けるのではなく検討プロセスも明らかにすべきである。

座り込み宣言書
2008年後期高齢者医療制度がスタートした時、「年寄の声を聴かない政府に明日はない」、悪法の中止、撤回を求める座り込みが厚生労働省の前であり取材したことがある(2008.6.6)。

彼らの主張は、誰が75歳の線引きをしたのか、年金からの天引きは窃盗であるという。戦争に耐え、戦後は復興に励んだ我々を医療費無料化で慰労せよという。社会保障費削減でなく、防衛費削減、道路特定財源を使えと言うことだった。

この座り込みをやっていることをテレビニュースで知り、遠方より多くの高齢者が激励に駆けつけたという。主催者によると各政党に連絡したが、激励に駆けつけてくれたのは共産党だけで、当時野党だった民主党は誰も激励に来なかった(総理は福田さん、民主党代表は菅さんだ)。

海外メデイアも取材に
海外メデイアも取材に来ていた。通訳の「何の反対ですか」との問いに主催者が丁寧に説明していたのを思い出す。

高齢者は、なかなか反対運動をするのも大変なのだ。

これからの政治は、いかにして関係者の理解を得られる政治ができるかだ。国民の代表者である国家議員も民意を政策に生かす政治活動が必要になる。

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