2012年5月15日火曜日

東電・勝俣会長、小沢元代表に見るトップの権力と責任


国会事故調委に出席して弁明する
東電・勝俣会長
2012.5.15テレビ朝日 
スクランブルより

東電福島第一原発事故を調査する国会事故調委に東電・勝俣会長が呼ばれ弁明したニュースが新聞で伝わった。小沢元代表の政治資金規正法の虚偽記載での控訴と相まってトップの「権力」と「責任」を考えさせられる事案だ。両方ともに権力を持ったトップでありながら責任逃れという病根は同じだ。

勝俣会長は、「陣頭指揮を執る責任は社長、第一代務者は副社長」と弁明し、06年の経済産業省安全・保安院の津波で全電源喪失の可能性の指摘にも「後で聞いた」、「来るか来ないかの判断はしていない」と弁明した。

社会一般が認めている実力者会長の責任は欠片もない。巨大地震、津波災害による電力喪失は、今回の事故での大きな原因になっているが、会長の積極的な関与を否定しているようだ。

おまけに、事故直後の「菅総理、細野さんの直接指示は現場に混乱を生じさせた」と官邸からの指示、東電トップ指示のどちらを優先するが事故対応に影響したと当時の官邸の在り方を批判し、事故対応の責任者は社長で最高指揮官は所長だ」と言う。

今まで事故対応で批判が大きいベント、海水注水の判断の遅れも官邸にその責任があるかのようだ。

そして、新しくできる原子力規制庁にも触れ、実情も理解されないなかで、強制的に規制されることは困る」とまで言ったそうだ。原子力発電を一番よく知っているのは我々東電だと言わんばかりで相変わらずの横暴さを示す。

本当に勝俣会長に責任はないのか。

当時の東電は、会長の勝俣さんは中国に出張中で急遽帰国、清水社長は関西出張中と言われていたが夫婦で関西旅行中だったというメデイアの報道もあった。急いでの帰社も何やらいろいろあったらしい。副社長が武藤さんで原子力部門の責任者、現場所長が吉田さんだ。

当時の新聞報道でも勝俣会長が実力者で、海水注入も廃炉を覚悟の処置とすれば会長の判断を仰がなければならないとした。役員交代も取りあえず社長だけにして全てを知り尽くしている会長はしばらく残すという判断がされたはずだ。
一般社会通念上は社長に責任があるにしても、本人がどう言おうと東電では勝俣会長の責任は大きい。

トップに立つことは、権力とともに責任を伴うことを忘れてはいけない。小沢元代表の陸山会事件も同様だ。事故を防止できなかった企業、公明正大な政治活動をやっていることを有権者に示さなかった政治家、その根底には権力はほしいが、責任は避けたいトップに立つ人間のエゴが見て取れる。

そんな連中が企業や政界に君臨しているのかと思うとゾッとしないか。

小沢元代表や東電・勝俣会長には、それぞれ責任を否定しなければならない事情がある。

小沢元代表は、すでに過去の政治家という評価も流れるが、責任を認めれば政治生命にもかかわり、これから展開するであろう政局にも大きな影響、支障が出てくる。

勝俣会長は、株主代表訴訟が待っている。損害賠償額は、その責任に応じる。あらゆる面で実力者、権限を持っていたとなると経営陣では最高の額になるだろう。少しでも責任を否定しておきたいところだ。

本人たちがその責任をどう考えているのか定かではないが、社会通念からすると実力者トップは、それに匹敵する責任がある。影響が大きければ大きいほど、責任は重大だ。

0 件のコメント: