2012年5月12日土曜日

何故、国会は経済成長路線をしっかり議論しないのか


経済成長路線を提案した
みんなの党の江田幹事長
に「増税一本やりではない」
と反論する野田総理
2012.5.12 読売新聞

何故、我が国で経済成長路線の議論が活発にならないのか。11日の消費税増税の衆院本会議で審議入りでの論戦でみんなの党の江田幹事長が負債ばかりではダメで、資産を含めた国家財政の検討が必要であり、1000兆円もの大借金をどうやって返していくのか。財務省と野田政権は消費税を5%上げれば10.5兆円増収になるというが、こんな時に増収すれば更に景気は悪化すると警告し経済成長路線を主張した。

江田さんは橋本内閣時の秘書官で、当時消費税増税を実施したが税収は伸びず、逆に景気は後退した経験がある。この経験から国会予算員会での質疑でも増税の反対を繰り返していた。

これに対して野田総理は、国債費が増加することにも留意しなければならないとし、財政再建には債務残高の安定が必要だ。一体改革はそのための需要な1歩であるが、同時に力強い経済成長を実現するとともに無駄の削除、歳出削減にも取り組まなければならず、決して増税一本やりではないと反論した。

しかし、その野田総理の消費税増税への取り組みを見ていると、「不退転の決意」とか「政治生命をかける」など威勢はいいが、何かしら「危うさ」も感じる。

力強い経済成長、無駄や歳出の削減策は増税への付けたしのように思えて真剣さと取り組みに欠ける。

折しも財務省は10日、今年度末の国の借金が1085兆円と1000兆円を超える見込みだと発表した。一般会計の国債発行額が44兆円超、年金交付国債、外国為替資金証券の発行などが要因らしい。

でもこれは国家財政のうちの負債だけで、このほかに巨額の資産を持っている。巷間では負債が対GDP200%でも、資産が120%ほどあり、差し引き対GDP80%(60%という数字もある)では、喫緊の政治課題ではないとも言われている。

国民に負担を強いるのであれば、国家財政の正確な把握、情報の開示が必要である。

そして、いつも疑いが晴れない問題が「今、増税すれば景気はどうなるか」だ。財務省、政府がどう見ているか。

復興予算で景気は好転する。増税すれば将来の負担が軽減され、生活の安心感から消費が伸びる。いろいろ言われてはいるが希望的見方だ。

緊縮政策は国民の生活を疲弊させる。フランス大統領選、ギリシャ議会選の結果で「NO」を突き付けられた。

多くの著名な経済学者が、緊縮政策を批判し、「こういう時は財政出動だ」と主張している。我が国でもそう主張する経済学者が多い。

野田総理も「力強い経済成長」の必要性を認識しているのであれば、もっと国会で議論すべきではないのか。菅総理時代の成長戦略はほとんど実現していないという報道を見たことがある。

安易に消費税増税に走るあまり経済成長戦略が疎かになっているのではないか。モタモタしている間に国内は空洞化し、雇用は失われ失業と家計収入の減少で税収は先細りになっていく。

財政再建と経済成長、両方を同時に受け入れることはできないとすればどちらを優先するかだ。

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