2012年6月29日金曜日

野田総理では解散・総選挙はできないのでは

今の政局を見ていると、野田総理では解散・総選挙はできないのではないか。野党の「マニフェスト違反」追及は、解散・総選挙で国民に信を問うまで続くだろう。国会審議での野田総理の謝罪だけでは許してくれない状況だ。

でも今のままでは一体改革、消費税増税は不完全のままで解散は国民の信を失うことになり、民主党のモットーである「国民の生活が第一」に通じる政策課題であり、「政治生命をかける」と言った手前、なんとしても自分の手で達成させたいだろう。

更に民主党にとって、念願の政権の座だ。今選挙ともなると民主党の惨敗は確実で、議席の過半数維持どころか第一党もおぼつかない。

だから、できるだけ長く政権の座にあって甘い汁を吸い取り続けたいのではないか。能力、資質は別として大臣になりたい人間は多いはずだ。

野田総理が解散・総選挙に踏み切ろうとすれば、黒幕ともいえる実力者が抑えにかかるだろう。海部総理、宮沢総理は、決断した途端に引きずりおろされた。

自民党はどう出るか。

谷垣さんが思うような「話し合い解散」は無理ではないか。自民党が主導したと思っている3党合意も紆余曲折があるだろう。民主党の出方によっては破棄ということにもありそうだ

そうなると内閣不信任決議案の提出にもなる。

受けて立つ野田総理は、解散・総選挙を選ぶ力はない。総辞職だろう。もっと人気のある代表が出てきて選挙に臨む可能性がある。たらいまわしの批判もあるだろうが、任期いっぱい民主党政権で押し通すのではないか。

後1年とチョット、国会運営はギクシャクし、山積する政治課題は停滞するのは確実で、外交にも影響が出るだろう。

私も、解散・総選挙でゴタゴタをクリヤーし、包括的な一体改革に当たるのが一番と思っていたが、早期の解散・総選挙は望めそうにないとみえてきた(そのうちに早期とはいえなくなる)。

今、採決時の民主党造反の首謀者に離党勧告、その他の議員は資格停止処分というニュースが流れている。輿石さんの意に反して厳しい処分になりそうだ。

益々、解散・総選挙は遠のくのではないだろうか。




野田総理、谷垣総裁、小沢さん 民意はあなた方から離れているのでは

国論を2分する消費税増税の衆議院採決にあたり3党合意で大差の可決となったが、肝心の野田総理、谷垣総裁そして小沢さんは「民意から離れているのでは」と感じる。それぞれに政治的立場があり、狙うところは「国民の生活の安定」だろうが、思惑が違うところに騒動の原因があり民意はどんどん離れていく。

要は、自らの主張点、立場をきちんと説明せず、「先送りできない 待ったなし」、「マニフェスト違反、国民に信を問え」、「その前にやることがあるだろう」の言い合いでは困る。

今回の増税採決は民・自・公3党合意があったために大差での可決になったが、民主党で73人もの造反者が出たことに野田官邸はショックを隠せず、自民党・谷垣さんは「造反者を処分せよ」というが、小沢元代表は「参議院で強行採決するのであれば、重大な決意をする」と離党をほのめかし、野田政権を揺さぶる。

野田民主党政権は、増税関連法案を通したいために3党合意にこぎつけたが、本来の民主党マニフェストを見直し、あるいは棚上げする結果になり、民主党政権の寄って立つ根拠がぐらついてきた。

小沢グループは、「国民との約束を守れ」、「マニフェストの原点に帰れ」と反対する。

野田総理は丁寧な説明をやってきたというが、民主党の事前審査、臨時代議士会の様子を見るにつけ、これでしっかり説明しているのかと疑問になる。

自民党も今回の3党合意では主導権を握り、一見連立政権の様相を呈しているようにも見え、満足な面もあったようだが国会審議では「マニフェスト違反」「早期解散・総選挙」を訴える。

谷垣さんも「話し合い解散」の言質を取っているかのように感じさせたが、そんな裏取引はなかったようだ。焦るあまりに、内閣不信任決議案を提出する動きも出てきた。

一方、反対票を投じて断然注目を浴びた小沢元代表だが、100人とも言われたグループも一枚岩ではなく同調者は40人超で足踏み、世論調査でも期待する意見は10%超程度で離党、新党結成の大義がないという。

この同調者も、何が何でも小沢さんではなく、小沢さんの理念に賛同してついていく者もいる。それは、まず国民と約束したことをやりぬき、それでも不足の場合は増税を国民に問うて審判を仰ぐというのだ。

小沢元代表だけでなく、グループの議員は、ただ反対のために「その前にやることがある」だけではなく、政策上どういう努力をしたかだ。ただ、民主党は政策を決定するプロセスが不明確な党で、小沢グループの議員の発言がどう生かされたかわからない。官僚主導の「最初に結果ありき」の運営では小数意見は無視される可能性も大きい。

野田総理は増税法案の参院での成立を目指し、谷垣総裁は会期内の早期解散・総選挙を目指し、小沢さんは参院での強行採決回避を目指し、一寸先は闇の政界をわたることになるのだろうが、民意は既に離れているのではないか。

野田総理は民主党代表選、谷垣総裁は自民党総裁選、小沢元代表は離党、新党結成を控え、目を離せない政局になってきた。








2012年6月28日木曜日

谷垣総裁 民主党に「造反者を処分せよ」とはチョットひど過ぎないか


自民党谷垣総裁が、民主党に向かって「造反者を処分せよ」と要求し、場合によっては3党合意の破棄を臭わせている。チョッとやり過ぎではないか。確かに折角合意した法案の採決で大量の反対、棄権・欠席者を出したということは公党間の信頼を失せるものであるし、民主党のガバナンスに疑問も出てくる。このままでは今後の政策協調にも支障きたすことは確かだ。

先の09年の衆院選で自民党が惨敗し、目の敵にしている民主党のマニフェストの政策責任者の小沢元代表が、「マニフェストの原点に帰れ」「国民との公約を守れ」「増税の前にやることがある」と野田政権に反旗を翻し、今、参院で採決強行するのであれば、重大な決断をしなければならないと「離党も辞さない」と野田政権を揺さぶっている。

国会審議などで、マニフェスト違反を追及され、「国民にお詫びする」と野田総理は謝罪するが、自民党など野党は納得しない。早期解散・総選挙を要求し続けているが、野田総理は言質を与えない。

9月の民主党代表選、自民党総裁選を控え、野田総理も谷垣総裁も自らの立場をかけての駆け引きをしているのだ。

しかし、何故造反者、特に小沢元代表切りを迫るのか。

造反者の処分で離党させ民主党の勢力を削ごうとしているのか、民主党内で増税反対されると3党合意に支障をきたすし、総選挙後の連立政権或いは政策協定にも障害になると考えても不思議ではない。

考えてみると、このような政権の政治生命をかけた重要な消費税増税に、反対者がなく全会一致で賛成の方が恐ろしくないか。

反対者がいることが民主政治には必要なのだ。反対者がいたからこそ、法案の問題点も明らかにされてきたし、時間をかけた審議(?)もできるのではないか。

私も小沢元代表を評価しているわけではないが、「小沢憎し」から来る造反者の厳重処分要求は考えものだ。

民主党内の造反者に対する処分は民主党でやるべきであり、他党が言及する問題ではないと思う。

小沢一郎さんという政治家は、政治を正し、国民の生活を守ったか


小沢一郎さんは、政治家として政治を正し、国民の生活を守ったのか。野田総理が政治生命をかけ、「国民の生活が第一」にも通じるという消費税増税法案の採決で小沢グループの47人の議員が反対票を投じ、政権与党の民主党が分裂の危機にある。またまた、小沢さんの、小沢さんによる政変が始まったのだ。

「小沢さんは政治を正し、国民の生活を守ったのか」と問われれば、答えは「NO」だろう。

「政治を正す」「国民の生活を守る」をスローガンに、自民党政権とは180度違った数々の斬新な政策を打ち出したように見えたが、自らの考えは私利私欲、権力の拡大、政界を操ることだったのだ。政治を正すと言っても、自分は自民党時代と何ら変わっていないのだ。

野党にあっては言いたいことを言っておけばいいし、メデイアも面白がって取り上げようが、政権与党にあっては権力闘争、主導権争い的な行動は、政治を混乱させ国民に迷惑をかけることになる。

自民党から離党し、魁を立ち上げ、細川政権で官房長官を務めたが「民主党」への合流を鳩山さんに頑なに拒否された武村健一さんが述懐していた。民主党の間違いは、小沢さんの自由党と合併し小沢さんを受け入れたこと、その小沢さんを幹事長、代表にしたことだという。

小沢さんは、民主党に合わない人間だったというのだ。同感だ。「クリーンで開かれた政治」を目指す民主党にとっては、一番不適当な政治家だったかもしれない。しかし、小沢さんでなくても「クリーンで開かれた政治」から程遠い政治姿勢を示した民主党議員もいるのだから小沢さんだけを批判するわけにはいかない。

小沢さんが関与したと思われる、小選挙区制度、政党助成金制度の導入は「政治とカネ」の悪弊に終止符を打つ目的だったし、国会の参考人招致は国会議員の自浄作用を促すものだったはずだ。しかし、カネのかからない政治からはかけ離れたものになったし、自らの陸山会事件では国会での説明を頑なに拒否した。

そして、09年の民主党マニフェストは小沢さんの肝いりで作成した「国民の生活が第一」のための政治改革だった。ところが実際に政権の座についてみると、税収減も加わり財源不足は明らかだ。事業仕分けでひねり出された無駄は数兆円で、16.7兆円には遠く及ばなかった。かえって野党からはバラマキ、人気取りの政策として酷評されることになった。

更に菅政権、野田政権で打ち出した消費税増税は、このマニフェストには記載されていなかった政策だ。小沢さんは将来にわたって否定はしないが、今やるべき政策ではない。「その前にやらなければならないことがある」、「国民との約束を守れ」と断固反対の姿勢で、26日には反対票を投じた。

こんな小沢さんに何故、47人もの議員がついていくのか。

小沢グループの一人は、小沢さん本人よりより、小沢さんの政治理念に共感しているのだという。

消費税の前にやることがたくさんある。公務員改革、公益法人の見直し、一般会計と特別会計の見直し一本化、社会保障の改革も具体的に見える段階に来ていない。小沢さんの政治理念は、まず、それらを全部先にやる。それでも財源が足りなかったら、選挙で国民に負託を受けてから、負担を強いる政策をやるかどうか、ということなんだ(週刊新潮2012.7.5 「民主党ご臨終です」の岡本英子議員談)。

もっともな考えだ。真っ当な意見と思える。こう主張されると野田総理の「先送りできない、待ったなし」というだけの説得は通用しないのではないか。小沢さんに如何にして見出されたかは知らないが、何が何でも小沢さんについていくという議員もいるようだが、理念を大事にする議員もいるのだ。

小沢さんの行動は「まず政局あり」と見られがちで国民の理解を得るには難しい面のあるが、近いうちに解散・総選挙はある。しっかり有権者に訴え、判断を仰ぐべきだ。

そして、2014年の4月までに新しい政権で、増税に「GO」かどうかを判断すべきだ。

2012年6月27日水曜日

理解されず苦悩が続く野田総理


マニフェストには記載しなかったことでも
与野党で協議して推進することもある
26日 国会特別委員会
テレビ朝日 スクランブル
2012.6.26

26日の衆議院本会議での採決は363vs97の大差で可決したが、民主党で73人もの造反者が出、理解が得られず苦悩が続く野田総理だ。「一体改革、消費税増税は待ったなし、嫌われてもやるんだ」と細かな約束事はべつとして大筋ではブレた様子はない。これも国民のためという考えが頭にあるのだろう。「原点に戻れ」と党内からも批判されているが、野田総理は「国民の生活が第一という理念は踏まえている」と記者会見で反論した。

採決前から民主党は分裂の危機に直面していると見られていたが、73人もの大量の造反者が出たことは野田総理サイドもショックだったはずだ。記者会見での「厳しく処分する」という言葉に怒りが見え隠れするが、党内融和を重んずる動きもあり、政治基盤の脆弱な野田総理にできるのか。

どうして理解が得られにくいのか。

野田総理はことあるごとに丁寧な説明、熟議をいうが、一向にその姿勢は見えてこない。

一体改革の国会審議でも、野党の女性議員がボードで資料を提示しながら増税しても税収は上がらないことを指摘し増税に反対していたが、野田総理は「その時、その時の経済環境が違う」と反論するばかりで、増税しても税収減にならない説明はできていなかった。

確かに、過去の増税はそれに相当する分の減税があったことは確かで、今回は減税策はないので増収につながる可能性はあるかもしれないが、景気を悪化させる懸念は強い。

野田総理の国会の委員会での答弁を聞いていても他の大臣のようにペーパーの棒読みはしないが、答弁に面白さはなく記憶にも残らない。

かえって安住財務相の方が面白い。答弁に四苦八苦する姿を見ると、ここが問題なのだとわかる。経済成長名目3%、実質2%は増税の前提条件かと問われた時、前提条件ではなく目標だという。現在の経済環境でも増税はGOだと言ったことがあるが、今は「その時の政権が決めること」と常識の範囲内での答弁だ。

消費税増税は「マニフェスト違反」と野党からしっこく追及されている。野田総理は「見直しについては国民に謝罪しなければならない」と繰り返しているが、野党は納得しない。解散・総選挙を要求しているのだ。

これについては、一体改革、行政改革、財政改革などやらなければならない改革をやった後で民意を問うと記者会見で言う。

野党に言質を取られることを恐れての曖昧な発言であったが、民主党自体そして民主党政権の存在が問われているのだ。その背景には、マニフェストの見直し、3党修正合意がある。認めることは民主党マニフェストの崩壊につながるのだ。

野田総理は採決前の特別委員会で、「マニフェストに書いてないことも3党合意で実施する」と説明していたように思うが、やっぱり一度は解散してこのゴタゴタをクリーンアップしなければ、政治は前に進まないのではないか。

そして、野田総理の政治手法なのだろうが、期日を切って、時間切れを狙った強引な政権運営が目につく。採決を15日と言ってみたり、無理と思うと21日と言い換え、最後は期末ギリギリの26日の採決になった。

これは野党にも警戒感を持たせることになった。執行部に任せていては前に進まず、総理が直接陣頭に立って「政治を前に進める」姿勢を今回は示したことになるが、総理官邸と民主党執行部の思惑の違いはあった。

26日の記者会見で野田総理は、「増税は景気の足を引っ張るという消極的考えでなく、一体改革で経済も強化しなければならない。2014年の消費税値上げまでにあらゆる改革をやり抜く」のであれば、それなりの決意と国民に納得できる説明をすべきではないのか。

今の野田総理にその決意が見えない。

2012年6月26日火曜日

消費税増税法案採決:363:96大差で可決、連立政権の始まりか


衆議院での投票
NHK国会中継 2012.6.26

明鏡止水の心境を披露した野田総理であるが、消費税増税採決は賛成363、反対96(うち民主57)、棄権・欠席16の大差で予想通り可決した。連立政権がすでに始まっている感じだ。採決前に集まった小沢元グループ議員が42人ということだったので反対57人は総理サイドにとってはショックだったろうが、小沢元代表サイドは、まあまあの結果だったのだろう。

それにしても棄権・欠席16人だったが、どうして正々堂々と意思表示できないのだろうか。造反者の処分を考えて重い処分を避けるための手段なのか。野田総理は後の記者会見で造反者を厳正に処分することを表明していた。

また、この増税は政権の命取りになる重要なテーマであるが大差で可決されたことは、すでに連立政権が始まっていることか。

それにしてもどうして野田総理サイドより反対した小沢元代表サイドの方がメデイアで目立つのか。メデイアは小沢新党結成に注目する。総理サイドよりもこっちの方がニュース性がある。

でも小沢元代表は、「原点に戻れ」という意味の働きかけをするというが、新党構想には含みを持たせる。

野田総理サイドも小沢元代表サイドも、先のことは不透明ということなのだろう。

一方、3党合意を主導した自民党の谷垣総裁も早期解散・総選挙への道筋が建てられないのではないだろうか。内閣不信任決議案をいつ提出するか。

延長国会の会期末頃には野田総理は民主党代表選、谷垣総裁も自民党総裁選での自らの立場が鮮明になっているだろう。

混とんとしてきた政局にあって、政治評論家が情報番組で重宝される事態が続くだろう。

高度の安全注意義務、自己責任の欠如した東電に原発を担う資格なし


東電勝俣会長のインタビュー
記事を掲載する読売新聞
2012.6.26

高度の安全注意義務、自己責任の欠如した東京電力に原子力発電を担う資格はない。今回の福島第一原発事故では天災、想定外、官邸の介入もあり、東電は被害者の立場を主張するような事故調査報告書を出したのはつい先日だった。そして今度東電の勝俣会長が事故後初めて読売新聞(2012.6.26)のインタビューに応じた記事が掲載された。

一番ポイントになる福島第一原発の安全対策は「充分であったと思う」と従来の考えを繰り返し、政府と見解が異なっている全面撤退そして原子力損害賠償法の不備などに言及した。

この福島第一原発の事故に関して言えることは、一旦事故が起きると取り返しのつかない事態になる原子力発電事業にあって「高度の安全注意義務」が事業者にどう求められているかだ。

いろんな事故が起きると安全配慮義務違反が問われ責任が追及されるところであるが、今回の原発事故はどうなるのか。

勝俣会長は自分たちの安全対策は十分だったとし、新たな情報にも目配りし確立した知見があれば従う方向だったと言い、国の方針や学会の研究などにも気を配っていたことをしていたというのだ。

当時の新聞報道を捲ってみた。

福島第一原発を襲った波高さは想定5.4mに対して3倍近い14m超、壊滅的な被害を受けたが、東北電力女川原発は9.1mの津波に備えていたので大きな被害はなかった。2009年には過去に大きな津波があり、再び来る可能性が指摘されていた。90年代から東電の想定は甘いという警告は専門家からも指摘されていた(読売新聞2011.3.25)。

そして東電は06年にも設計の数値を超える津波が来る確率を「50年以内に約10%」と予測し、06年7月米国であった原子力工学の国際会議で発表したという。それによると10mを超える確率が約1%弱だったという。報告書では「想定を超える可能性が依然としてある」と指摘していたが、対策にどうつなげるかは今後の課題としたようだ(読売新聞 2011.4.24)

また、08年には東電の試算で高さ15mを超える津波の遡上を予測していた。「想定外の津波」の東電の主張を崩すものだった。それでも東電は対策を強化することはなかった。無理矢理に想定した結果であり、公表の必要もなく、また設備や運用に反映する類のものではなかったと松本立地本部長代理は記者会見で述べている(読売新聞 2011.8.25)。

原子力行政まで関与した東電が産業界からの圧力もあり、頑なに巨大津波による被害を想定外として否定していたことになる。

120kmほど離れた東北電力女川原発が大きな被害を被らず、逆に被災住民を受け入れていたことを考えると何と情けない企業かと思う。

3月15日未明の早い段階から「作業員を同原発から撤退させたい」という真意が政府と東電で大きく食い違っていた。政府、官邸は「全面撤回と受け止めた」というが、東電は「70人ほど残した退避」だと強調した。

無責任な東電だから全員撤退を申し出たのだと思う。しかし、政府関係者の拒否にあい撤退を断念したのだろう。菅総理が東電に乗り込んで「撤退などあり得ない」と迫ったという。その時の東電幹部の受けた印象は異様なものだったと東電の事故調査報告書は言う。

この時以降、官邸が事あるごとに介入してきたことが、指揮・命令系統の混乱を導き、初動対応などに遅れを生じさせたと東電は批判し、自分たちは被害者という立場を鮮明にしているようにも思える。

賠償問題の不備も指摘している。

原子力損害賠償法では、「異常に巨大な天災地変または社会的動乱」が原因の場合は電力会社は責任を逃れる「免責条項」がある。

当時新聞報道では、この免責条項が議論されていたが、東電は世論が激しくなれば公的資金や銀行による資金支援が実現せず、結果的に破綻しかねないと断念したようだ。例外規定は事実上使えない条文だというのだ。

しかし、損害賠償にあたっては東電の「賠償能力」に配慮するよう原子力損害賠償紛争審議会に要望書を出したことに批判が集まっていた(asahi.com 2011.5.5)。
東電の社長も天井知らずの損害賠償になることを恐れたのだろう。
それにしても原子力発電という危険で巨大な技術を扱う電力会社が、高度の安全注意義務に反して経済性を重視した経営姿勢は批判されて当たり前だ。

特に08年だったと思うが、巨大津波の来襲が予想されることが分かった時に、その対策としての防潮堤の工事費が80億円と見積もられていた。80億円という金額は今回の資金注入、損害賠償額に比べると如何にちっぽけな金額であることか。経営者はそれでも自分たちの判断が正しかったと考えているのだろうか。

経営陣には、刑事上、民事上多大な損害賠償の責任が求められている。

高度の安全注意義務、自己責任の欠如している東京電力に、原子力発電事業を担う資格はなかったのだ。

2012年6月25日月曜日

3党修正合意:民主党は変わったのか、総理の熱意は?


民主党臨時代議士会で増税賛成に
向け「心から、心から、心からお願い
申し上げます」と懇願する野田総理
NHK ニュースウヲッチ9
2012.6.25 

25日の衆議院社会保障と税の一体改革特別員会は想像どうり3党修正合意に対する批判で、「民主党は変わったのか」、「総理の熱意は」と野田総理が追及された。NHKの国会中継を見ると総理大臣を始め、関係大臣に各党の質問者に加え3党合意の提案者が質疑に加わった。

その中で、民・自・公の3党協議は民主党の大幅な譲歩が目立ちマニフェストの後退が懸念されたことで「民主党は変わったのか」ということになり、国民との公約を守るということから「総理の熱意は」という質問になったのだろう。

野田総理は、国論を二分することになったが、先送りできないテーマで、増税は社会保障の安定財源であり、社会保障の安定は「国民の生活が第一」にも通じることだ。このことを国民に理解を求めていくという。

この程度のことで国民を説得できると思っているのだろうか。民主党の小沢元代表グループ議員の地元での有権者との話し合いの場がテレビで放映されていたがこの程度では無理だ。

テレビニュースによると、25日夕の民主党の臨時代議士会での野田総理のあいさつでも、「最低保障年金制度、後期高齢者医療制度の廃止も旗を降ろしたわけではない。社会保障が待ったなしの中で、安定財源確保のための増税で、経済再生もやる、政治改革、行政改革もすべてやり抜く包括的な改革で、みんな結束して実現したい。心から、心から、心からお願い申し上げます」と懇願するのだ。

私達国民の「生活が第一のため」に頑張っているんだという姿勢だ。

「消費税増税は大義だ」と言うが、考えてみればおかしなものだ。

09年の総選挙では自民党に対抗して「増税しない」と言いながら、菅政権で唐突に消費税増税、自民党が公約している10%を参考にすると言ったが、批判が多く出て議論するのはいいだろうとトーンダウンした。

野田総理は、代表選で消費税増税を掲げ、代表→総理になった。

「増税の根拠は」と聞かれ、09年の所得税法改正での付則で消費税上げが記されていることを挙げたが自民党政権時のことではないか。

前原政調会長は、消費税増税を掲げて代表選を勝ち抜き、総理になって「増税に政治生命をかける」と言っているのだから全員一致で賛成しなければならないと「党議拘束」が掛かっていることをにおわす。

大義というにはお粗末すぎる。これで国民に理解を求めるなんて大丈夫かと言いたい。

次の総選挙で国民に何と説明するのか。そして大事なことだが、解散・総選挙となると民主党は大惨敗で政権党から引きずりおろされるだろう。しかし自民党が過半数を確保できるとも限らない。政界再編もすぐにはできないだろう。

自民党、民主党、公明党そして第三極からどの党かが出てくるだろう。政策合意の連立政権ということになるが、今社会保障と税の一体改革でゴタゴタしていることが、このまま続くのだろうか。不毛な政局は、もう御免だ。

ロバート・シラー エール大教授曰く「必要なのは増税と財政支出の同時実施」と


週刊現代2012.7.7

各国政府、中央銀行が緊縮政策を推進する中で、ロバート・シラー エール大教授は、今必要なのは増税と財政支出の同時実施だという。日本は先進国一の債務国であるが、回復力をひそめており、自信と責任感から再建の余地はあると言い、1990年代のバブル崩壊後、財政政策をとり続け低速ではあるが成長を続けた日本をモデルにせよともいう。

週刊現代(2012.7.7)の新聞広告の記事紹介「ロバート・シラー 日本経済にこれから起きること」が目につき購読した。米国は「財政の崖」と言われ、来年頭には財政が緊縮化してしまう。中国も社会不安や戦争などで成長軌道を外れるかもしれない危険もある。そんな中で、目新しさは別として日本再生への道をアドバイスしている。

シラー教授は、今必要なのは「均衡のとれた景気刺激策」、すなわち増税と財政出動を同時にやることだという。そうすれば職が生まれ、政府債務は増えなくてよくなる。このことを国民がよく理解することだという。

この点日本はよい実例だともいう。1990年代のバブル崩壊後、政府は財政政策をとり続けた結果、低成長を維持することができ、恐慌には至らなかった。日本モデルを見習えと言うのだ。

勿論、日本は債務が増加したが、景気対策で増加したのであり、ギリシャとは違う。まだ自信を持っているし、持ち前の責任感もあって、再建できる余地は十分にあるという。

そして日本は平等な社会であり、互いが連携し大きな仕事ができる。これが経済成長へと持って行けるのだ。

財政出動もインフラ投資から教育インフラ、アート、サイエンスへの投資で経済を刺激せよという。

そしてもっと若い力を認めるようにならなければならないとも指摘する。

更に金融機関をよりよく機能させなければならないという。日本は金融の力で大きな産業が発展してきたが、今金融機関は傲慢になって人々は怒っている。「金融の民主化」=人間にやさしい金融機関が必要だというのだ。

クルーグマン教授も、「銀行救済ではなく、労働者を救済せよ」と主張しているが、シラー教授も巨大金融機関救済に賛成の意見ばかりではない。いずれは救済が行われない可能性もあるという。

政府、銀行が信用を失い、預金引き出しが急増すると最悪の場合欧州危機が引き金となって1929年の世界恐慌再来のシナリオもあり得ると警告する。

クルーグマン教授も、ギリシャのデフォルトは一時回避されるが、将来90%の確率でデフォルトするだろうと見て、それが世界恐慌の到来につながると見ている。

この経済下で増税を実施することは、かえって景気後退の危険があり、税収減になるのではないかと思うが、成長路線も加味されるようになってきた。25日の衆院特別委員会でも自民党の伊吹さんが、「増税してもPBから考えると、まだ不足だ。公共投資で成長路線に持っていく必要があるのではないか」と野田総理を追及していた。

自民党は確か国土強靭化基本法案とかいう法案で公共投資を提案していたと思う。

どの分野に投資すれば成長路線に乗せるができるのか。増税で税収減になり、財政出動で赤字国債が膨らむようなことになっては最悪と思うのだが・・。

2012年6月24日日曜日

国連持続可能な開発会議(リオ+20):乏しい成果は当然の結果


読売新聞 2012.6.24

ブラジル・リオデジャネイロで開催されていた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)が、成果が上がらないまま22日閉幕した。20年前にもこのリオデジャネイロで地球サミットが始まった。この時、政府関係者が「国内問題も満足に解決できないのに、こんな会議がうまくいくとは思えない」と言った発言を思い出す。その通りに進んでいるのだ。今回も政治的立場の人間は「会議は成功」というが、環境団体などの失望は隠せないようだ。

讀賣新聞(2012.6.24)によると、具体的な目標や政策がなく、「成果には程遠い結果」だという。

国際会議での成果に反して、気候変動(大気中の二酸化炭素濃度)、生物多様性損失速度、大気中から人工的に取り出される窒素量、海洋の酸性化では地球は限界を超えているとストックホルム大のヨハン・ロックストロム教授はいう。これからは経済発展ではなく、「安定的な地球」を最優先すべきなのだ(読売新聞2012.6.19)。

3つの分野で地球の限界を
超えていると言う
読売新聞 2012.6.19
また、人間がこのままの生活を続けるには地球が1.5個必要だとも言われている。

会議の目標は現在70億人いる世界人口が2050年に90億人になっても発展出来る社会をつくることで、その手法としてグリーン経済がある。

この持続可能な開発手法の一つであるグリーン経済は、石油など化石燃料の使用を減らし、環境関連産業を育成し、低炭素社会を築くことらしいが世界共通の工程表が作れなかったのだ。

地球温暖化防止のための二酸化炭素削減もそうだが、科学的検証も不十分なままに政治が絡んでくるとややこしいことになる。20年前に、このリオデジャネイロで地球サミットが開催された。確かに当時は政治的課題もなく、この地球サミットに政治家が集まり注目を浴びようとした。日本からは総理経験者の竹下さんが出席したのだ。

目指すは地球環境保護と途上国の発展を両立させる世界の枠組みつくりだったが、先進国と発展途上国の思惑の違いとCO2排出量の多い米国、中国、インドなどの不参加で効果が疑問視された。当然のことで、先進国はすべての国の参加を主張するが、途上国はまず先進国からの削減を主張し対策は先送りだ。

今回も中国は「大きな途上国」と言い出し、地球環境問題では先進国が特別な責任を果たすべきだと言い出す始末で、途上国は先進国からの支援を期待する。日本は60億ドルを提供する羽目になった。

世界的規模での環境問題解決には政治が絡まなければうまくいかないだろうが、逆に政治が絡むと自国の経済発展との兼ね合いで協調路線など期待できない。

20年前の環境サミットで政府関係者が「国内問題も満足に解決できないのに、こんな会議がうまくいくはずがない」と言ったことは真実なのだ。

環境問題は、パッと出てきて、そのうちに下火になり次のテーマに移ることを繰り返してきた。そしてそのたびに利害関係者が変わってくる。原子力ムラが問題になっているが環境でも環境ムラがあるようだ。

今、東京ビッグサイトで開催されるイベントを見に行くと、エコカー、電気自動車や太陽光発電を使ったスマートハウス、スマートコミュニテイーなど環境配慮の提案が目につく。

政府は白熱球の製造を中止し価格は高いがLEDの採用を促している。ある試算によるとすべての照明をLED に変えたら原子力発電13基分に相当するというから驚きだ。

太陽光発電も、売電量ではなく発電量での買い取り価格が42円になったということで注目されるようになった。補助金を加味するとペイするというのだ。皆で自然エネルギーへ負担しようと私も毎月の電気料で5円ほど支払っている。でもこんなことがいつまで続くのか。買い取り価格が減額されると収支も違ってくるのだ。

環境問題に政治がどう対応しようとも日常生活での無理のない廃棄物削減、省エネに努めればそれなりの効果は出るのではないか。無理な施策は長続きしない。

民主党政権の過ち:何故、増税法案提出前に国民に信を問わなかったのか


一体改革、消費税増税で民主党内は党内手続きで分裂の危機にある。何故、法案提出前に国民の信を問わなかったのか。ここまで政治を混乱させた民主党政権の過ちの原因はここにあるのではないか。

2009年の衆院選で自民党は消費税10%を公約したが、民主党は「4年間は増税しない」ということで政権の座を勝ち取った。

だから唐突な消費税増税は、自民党からは「マニフェスト違反」、党内小沢元代表グループからは「その前にやることがある」「マニフェスト遵守」「政権交代の原点に返れ」と野田政権を揺さぶる。

コロコロ総理が変わることもまずいことではあるが、マニフェストには掲げなかった喫緊の課題について「国民に信を問う」のと、国民に信を問わないのでは大きな違いがある。

特に菅政権、野田政権は国民の信任を得て総理の座に就いたのではないから、このことは大事だ。

「マ二フェスト違反」だとか、「国民に信を問え」の高まる野党の批判に、菅政権で「消費税増税実施の前に国民の信を問う」という可笑しげな方針が出されて今まで続いている。だから早期解散・総選挙を望む自民党は3党修正合意をいそいだ。

また、「4年間は増税しない」という意義づけに、8%になる2014年は4年の任期後だと強弁するようにもなった。

「増税実施前に国民に信を問う」ということは、法案は成案になっているのだから総選挙で民主党が大敗したところで増税は確保されていることになる。

どうしてこんな発想ができるのか。

まず増税を確実なものにしたい財務省の入れ知恵が考えられるが、選挙にでもなれば民主党は惨敗が予想され、折角手に入れた政権の座を手放したくないという民主党のエゴも考えられる。

自民党政権の時もそうだったが、野党の主張の方が真っ当さを感じるのはどうしてなのか。
政権の座は、利権も多くうまみもあるだろう。ツイツイ出てくる慾にくらんで判断を誤るのではないか。その時適切なアドバイスのできる人材不足も民主党の弱いところだ。

今、増税反対の小沢元代表側と官邸・執行部側とで54の攻防、綱引きをやっている最中でどうなるかわからないが、自民党谷垣総裁は9月の会期内までに解散・総選挙に持って行くという。

野田政権は、政局の節目での判断を間違ってはいけない。

2012年6月23日土曜日

消費税増税を援護する新聞が、何故新聞の軽減税率を求めるのか


読売新聞 2012.6.21

消費税増税を後押ししている新聞だが、何故か新聞、出版物には値上げ反対、軽減税率を求める動きをしている。現行税率の維持を求めているのだ。20日超党派による「活字文化議員連盟」が声明を発表した。

それによると消費税引き上げは、活字離れを加速し日本を支える人づくり、地域づくり、国づくりにも悪影響を及ぼすという。新聞などは国民の知る権利と議会制民主主義を支え、活字文化保持の中枢をはたし、その公共性を維持するためにも欧州各国で実施されているゼロ税率が必要なのだという。

新聞協会が税率軽減を訴えていたのは知っていた。財務省の意を汲んでの消費税増税へのヨイショ記事も税率軽減の暗黙の了解が出来てのことだった疑いが出てくる。

更に今回のように議員連盟を通しての働きかけは、政治に強い発言ができなくなる恐れはないのか。

民主主義、公共性を訴えるのであれば、増税一辺倒ではなく、増税反対の考え方も掲載しバランスのある報道をしなければ国民は正しい選択はできないのではないか。

今のメデイアの動きは、増税に反対する小沢元代表らの「その前にやることがあるだろう」の主張を批判する。修正合意は成立すると党内の増税反対派をきちんと説得し、採決時の造反を抑え込めともいう。

小沢元代表は「国民のための正義、曲げるわけにいかない」と増税反対の意向を表明すると、今度は小沢新党を煽り、政局を望んでいるようだ。

今新聞は産経新聞100円、朝日新聞150円、その他は130円とまちまちで、有料サイトもある。新聞の購読が減少しているのは確かだ。テレビの情報番組を見ると解説付きでニュースを深読みすることもできる。新聞にはチョッとまねができない。

公器であることを主張するのであれば、消費税増税問題もバランスのある報道であってほしい。

2012年6月22日金曜日

東京電力事故調査報告書:天災、想定外、官邸介入で被害者なのか


東京電力事故報告のポイント
2012.6.21 読売新聞

やっぱりと言ってもいいのか。東電の事故調査報告書は、「天災」、「想定外」、「官邸介入」を強調することにより、東電は被害者という立場を鮮明にし責任回避の論調だ。危険な巨大技術を駆使する原子力発電所にあって、あらゆる面で想定の甘さが目立ち事故拡大の防止が不十分だった。

この程度のことしか言えない東電の電力供給に頼っていたのかと思もうと腹立たしい。電力料金値上げの要請が来ていたが、契約アンペアを落として一層の節電をしようと思う。

ところで、新聞に記載された東電の事故調査報告書要旨を読んでみたが、知りたいことにはほとんど答えていない内容だ。

地震・津波の想定について、地震関係機関も考えていなかった、まさに知見を超えた巨大地震、巨大津波であったという。

しかし、2008年には仮想敵条件で算出した結果で実際には怒らない津波高さ(15.7m)と考えたようだが、実際には発生してしまった。

この時、堤防の工事費は80億円と見積もられたようだが、事故後の損害賠償などの費用を考えるとなんという微々たる金額だったのか。安全対策費をケチる判断はどういう過程でされたのか。

機器や電源がすべて機能を喪失し、想定されていた事故対応を大きく外れる事態になったことから従来の安全への取り組みだけでは事故の拡大防止はできなかったという。原子力発電という一旦トラブルが発生すると取り返しのつかない結果になる意識に欠けていた。

この福島第一原発の事故が、最初の事故ではない。チェルノブイリ事故は先例として多くのことを学ばなければならないにもかかわらず、類似災害から事故防止する意識に欠けていたのではないか。

非常用復水器も表示が消えて開閉など動作状況を把握することが困難だったという。でも当時の新聞にはオペレーターが間違って主導で閉にしたと報じられていた。この強制的に発生するスチームで冷却する機能があるから安全なのだとテレビでコメントしていた原子力関係者がいた。

ベント作業が遅れた要因の説明もしていない。ただ、所長からベントの準備指示が出たので、ベント操作手順書を作成していたというのだ。ためらったり、意識的に遅らせたことはないとも言う。

海水注水については、自衛隊による注水までに紆余曲折があったことは当時のニュースで知ることができたが、官邸の了解が取れないので中止したと発表されたが、実際には所長の指示で継続されていた。この判断は正しかったという。

報告書では、事故の応急復旧に対する責任者の所長の判断を超えて外部の意見を優先し、現場を混乱させた事例だったとして、総理の異常な介入を批判している。

自衛隊に注水を実施させるには総理の許可もいるだろう。官邸は素人なのだからプロ(?)である東電の判断でどうするかどうかを決めれば良い事ではないのか。あえて介入を批判することは責任逃れにならないか。

撤退か、退避かで政府関係者と東電の言い分が違っている。政府関係者は全員撤退と受け取っているし、東電は約70人を残しての退避だと言い、この行為は菅総理の発言によるものではないという。

しかし、東電のことだ。全員退避を考えていたのではないか。国民は政府の言い分を信用するしかない。

結びでは、史上まれにみる津波の影響で機能を喪失し、結果的に炉心損傷を防止することができず、申し訳ないという。

総電源喪失が大きな要因ではあったが、本当に津波の影響だけなのか。地震には十分に対応できたのか。

更に今回の津波に実際に遭遇し、事前の備えが至らなかったことを真摯に反省するともいう。

一旦事故が発生し、その影響は甚大で損害賠償も天井知らずの金額であることを考えると、津波の安全対策など微々たるものなのだ。安全対策を怠った東京電力経営陣の責任はあまりにも大きすぎないか。

「天災」、「想定外」、「官邸の介入」を強調する余り責任逃れであってはならない。そんな程度の意識しかない東京電力に巨大で危険な原子力発電を事業にする資格はない

54の攻防:民主党は消滅の道へ

一体改革、消費税増税への3党修正合意がついたと思ったら、民主党内で民主党政権の根源ともいえるマニフェストの在り方をめぐり、増税賛成か、反対かに向けて54の攻防が始まった。

反対派リーダーの小沢元代表はマニフェストを作成した時の代表でもあり、そのメンツをかけての交渉が続く。「国民のための正義、曲げられない」とかたくなに反対を主張し、グループ内議員も「その前にやることがあるだろう」と執行部のやり方に異論を唱える。

考えてみれば、大手メデイアは一斉に批判するが、一番真っ当な考え方だ。

一方、野田政権、執行部は分裂で大量の離党者が出ることは今後の政権運営に大きな影響が出るし、分裂は汚点を残すことになる。当然過半数をかけた54の攻防が続く。

おそらくアメとムチ、党議拘束、処分、官邸機密費からの札束攻勢が考えられる。議員一人ひとりが自分の良心で採否を決めることが民主主義政治であるが、如何にせん、三流政治だ。どんな手を使っているのか。

でも考えてみれば、民主党/民主党政権は消滅への道を進んでいるのだ。

3党合意でマニフェストの主要なテーマである最低年金保障制度、後期高齢者医療制度の廃止などを棚上げし、自民、公明ペースで修正を余儀なくされた。

重要政策での党内手続きの不手際を、国民の目の当たりにした。

そして、採決時期、会期延長で野党との約束事も守れない事態をさらけ出した。

一方の自民党も3党合意で主導したが、会期延長、採決時期では譲歩を重ねることになった。谷垣総裁が目論んでいた「話し合い解散」も怪しげなものだ。

野田総理、谷垣総裁の力量不足もさらけ出した。

党内抗争の絶えない民主党に政権担当能力などない。

早い時期に解散・総選挙で政界をクリーンアップすべきだ。そして民主党政権でない新しい政権で「景気条項」を検討し、最終的な増税の可否を決めればいいが、自民党はその「景気条項」の削除を提案していた。

どっち道、消費税増税は避けられないのだ。

「民主党破れ 増税あり」、今回の消費税増税の勝者は、また財務省なのか。


2012年6月21日木曜日

G20ロスカボス・成長と雇用の行動計画:金融緩和政策で効果があるのか


読売新聞2012.6.21

成長と雇用の行動計画が採択された。従来からやっている金融緩和政策で効果があるのか。メキシコ・ロスカボスでのG20サミット・首脳宣言で、「持続可能な成長が最優先事項で、成長を支え信認を回復し、失業を減らすためのあらゆる必要な政策を採用する」と謳い緊縮財政一辺倒でなく経済成長を促す姿勢を明確にした。

行動計画でも「先進国における財政健全化のペースが回復の後押しにとって適切となることを確保する」とも言う(以上 讀賣新聞2012.6.20夕刊)。

ギリシャの総選挙、フランス大統領選で反緊縮、経済成長の動きが出てきて、財政再建に加え、成長政策を加味せざるを得なくなった。

米国でも市場は現行の金融緩和
の強化策を延長するとの見方が強い
朝日新聞 2012.6.20
景気回復のため市場、経済界は規制緩和、更なる金融緩和措置を要望するが、デフレ、株安経済下で、日銀の金融政策だけで経済成長路線に持って行くのは無理ではないか。政府も企業も真剣にかんがえなければならない。

日銀の金融緩和政策でも、実質ゼロ金利で伝統的な政策を展開する余地はほとんどない。そのために日銀は非伝統的な政策を実施している。いわゆるCP,社債、株式などの金融資産の買入れで基金の規模は来年で70兆円になるという。日銀白川総裁に言わせると毎月金融緩和を強化しているというのだ。

それにもかかわらず、日本を含め先進国の経済は力強い成長軌道には乗っていない。

詳しくはわからないが、資産の買い入れで、金利は低下し、企業の資金調達コストも低下する。贅沢な資金供給は金融市場を安定化させるというのだ。

しかし、この日銀の資金供給もゼロ金利のために日銀の当座預金に積み上げられ、企業の投資行動につながらないようだ。

事実、日銀の白川総裁が講演などで紹介するのは、企業経営者は手元資金に不足していない。不足しているのは仕事の量であり、需要なのだという。日本経済の問題点は資金不足ではなく、ビジネスチャンスや成長の機会が乏しいというのだ(デフレ脱却へ向けた日本銀行の取り組み 白川総裁の日本記者クラブ講演 2012.2.17)。

白川総裁は、過剰な金融政策への期待は禁物だとし、成長への構造政策が必要だという。
丁度、朝日新聞(2012,6,20)の経済気象台「量的金融緩和論者に問う」でも量的金融緩和が本当に有効な政策かどうか検証する必要があるという。

それによると、量的金融緩和論は量的金融緩和→物価上昇→円安→輸出競争力強化の流れだが、物価上昇の実現可能性は少ないし、企業に資金供給しても期待利潤率の高い事業がなければ投資行動は前向きになりにくい。大部分の企業の手元現預金は十分にあるが、投資すべきビジネスがみあたらいのだという。

日銀は金融面から下支えをするが、成長力をどうやって強化するかだ。

成長率=[労働力人口の伸び率]+[労働生産性]だ。労働力人口は高齢者や女性の就業の機会を増やすことだ。労働生産性は労働のミスマッチを回避し、ニーズの高い財やサービスへシフトし、賃金や利益を上げていかなければならない。

今の成長率は、労働人口の伸びが-0.3%、労働生産性は0.8%として成長率は0.5%、日銀の言う0%台前半だ。

もうひとつ、デフレ脱却で国会でもよく議論になるのだが、マネタリー・ベースで考えると日銀の流通紙幣量が欧米中央銀行に比べて少ない。もっと流通量を増やせと追求されている。しかし、日銀は対GDP比で考えると先進国では一番高いと主張し、かたくなに拒否する。コストダウン、賃金安が影響しているとでも言うのか。

とにかく財政再建しながら成長路線に持っていかなくてはならない。金融面を日銀が支えるとして、後は政府の政策だ。財政出動をどうするか、財政出動なしでの成長路線というと輸出の振興か。そうするとTPP参入などが重要な課題になってくる。

菅政権の時の新成長戦略を作成したが、9割で効果がなかったという。おそらく官僚の政策をならべたのだろうが、官僚に頼ってもどうしようもないのだ。

もっと国会で真剣に成長戦略を論じ、経済界を巻きかまなければならない。財界は規制緩和、量的金融緩和をオウム返しに訴えてばかりいてはならないのだ。

2012年6月20日水曜日

消費税増税:G20の行動計画に記したいために合意を急いだのか


読売新聞 2012.6.20

野田総理は国際公約だった消費税増税をG20の行動計画に明記したかったために、本来ならもっとしっかりやるべきだった国内議論を省略し修正合意を急いだのだ。民主党内であれだけ慎重な態度を見せていた中間派と言われる議員が軒並み賛成に回った。特に何も変化はなかったのに何故ここ数日で変わったのだ。

議論することは大切だが、3党合意もできたことが考え方を変えた主要な要因だろう。丁寧な説明、熟議を訴えていたのは野田総理ではなかったか。

それとも選挙も近づき、その資金に官邸機密費でも使ったのか。中間派が選挙で優遇される話でもあったのか。

野党の自民党だって反対、慎重派の意見はどうなったのか。

前原政調会長への「一任」も不思議なものだ。「代表戦で財政再建を訴えて代表になり「政治生命をかける」と言ったのだから法案成立は責務だ」(読売新聞2012.6.20)と言ったというが、何やら八ッ場ダム建設中止の時に「マニフェストに書いてある」と言ったことと相通じるのではないか。

20日には、3党合意に基づく修正法案が国会に提出されるという。景気対策軽減税率、所得税、相続税の見直し、歳入庁の検討、生活保護制度の見直し、年金制度の議論などが含まれているようだ。

景気対策、雇用の確保は最重要課題だ。G20行動計画でも環境分野で質の高い雇用の増加をめざすというが、環境分野がそんな大きな課題を背負わす分野なのか。

そして財政出動に頼らない経済成長の実現というが、そんなうまい方法があるのか。

消費税増税一本やりではないことを示す国民への目くらましではないのか。

国民に負担を強要する法案でありながら、何というわかりにくい政治プロセスではないか。

2012年6月19日火曜日

米・放射能汚染地図放置:原子力安全・保安院の許しがたい不作為責任


米情報を 避難に活かさず
朝日新聞 2012.6.18

福島第一原発事故に関連し、米エネルギー省から提供されたモニタリング「放射能汚染地図」が活用されず放置されていたことは原子力安全・保安院の無責任さ、許しがたいミスどころか、不作為責任があるのだ。

朝日新聞(2012.6.18)によると事故直後、米・エネルギー省が福島第一原発から半径45㎞の範囲を米軍機を使ってモニタリングし、放射能汚染地図を作成、在日米大使館→外務省→原子力安全・保安院、文部科学省に伝えられたが、どういう訳か官邸や原子力安全委員会には伝えられなかった。その結果、近隣住民は放射能濃度の高い地域へ避難する結果になった。

避難住民は、公表されていれば避けることができた高濃度の放射能を被爆したのだ。

18日の原子力安全・保安院の記者会見で「今考えれば公表すべきであった」と言う。しかし、緊急時対応センターの放射線班には伝わったが、同じセンターの住民安全班には伝わらなかったという。公表しなかった理由については、今調査中というだけでコメントがなかったようだ。

あきれたことだが、自らの業務について検証できず、国会の事故調査委員会に判断をゆだねるそうだ。当事者意識の薄さを曝け出す結果になった。

そういえば思い出すこととして、事故直後、米政府から協力支援の申し出があったが、当時の菅総理は「まず、日本がやるべきだ」というメンツだけで申し出を断ったニュースが流れていた。

そういう官邸の考え方が官僚の行動に影響していたのだろうか。しかし、国民の生命、安全に関することだ。そんなことに影響される問題ではない。

改めて原子力安全・保安院の業務を調べてみた。

原子力災害発生時の住民としての対応で、次のように要望されている。

原子力災害発生時の国、自治体から出される情報を正確に入手し、落ち着いて行動をせよという。万が一事故が発生しても健康に被害を与えるほどの量が放出されるまでかなりの時間がかかるともいう。
今回、国は正確な情報を迅速に住民に示したのか。自前データに拘ったために決定的なミスを犯した。

原子力安全・保安院の行動規範も立派だ。強い使命感、科学的・合理的な判断、業務の透明性を高めるために情報公開に積極的に取り組み、説明責任を果たすともいう。

果たしてもらおうではないか。情報公開に積極的でなかったこと、何故住民に伝達されなかったのか。

原子力安全・保安院は、原子力ばかりでなく、高圧ガス、鉱山、火薬など守備範囲は広いが、今回の不作為責任は許しがたい行為で糾弾されなければ反省などしないだろう。

前の原子力安全・保安院長が業務上過失傷害罪で民間団体に告発されているようだが、他の職員の不作為責任をも追及すべきだ。

消費税増税に賛成か、反対かと問われれば


3党修正合意で社会保障制度改革推進法案の成案が現実味を帯びてきた。「消費税増税に賛成か、反対か」と問われれば、財政健全化を目指す必要からも、食料品など日常必要品の税率を軽減することで賛成せざるを得ない。

先日、地方で家業の酒屋を継いでいる従弟が「どげんなるんじゃろか消費税増税」と心配顔で聞いてきた。個人商店では、増税になっても売値に転嫁できず、その分は持ち出しになるという。そうで無くても規制緩和で商売がむずかしくなっているのに、増税だと死活問題なのだ。

テレビで中小企業の経営者が「加工賃に転嫁できないどころか、コストダウンを要求される」と経営の難しさを訴えていた。物価統制令で最低価格でも保証しなければ雇用の確保もままならないことになる。

しかし、現段階では社会保障制度の全体像が先送りの「まず増税ありき」の政局なのだ。

野田総理は国際公約した財政再建、消費税増税を着々と進めていることをG20で説明するための無理押しの合意を進め、海外メデイアは「ブレない野田総理」を評価しているようだが、野田総理は肝心なことは何ら説明できていない野田。

第一に何故今急がなければならないのか。日本の国家財政の現状をどう評価しているのか。
我が国の借金は対GDPで200%を超え、先進国一の最悪の状況だと財務省は言う。2位のイタリアでは、今ギリシャ危機が飛び火する危険になる。日本もギリシャの二の舞になるというのだ。

ところが、違う意見もある。日本には多額の資産もあり、それを考慮すると何ら問題はないとみる見方と、4~5年はまだ猶予でき、その間にしっかり議論すればいいという見方だ。
問題ないことはないと思うが、喫緊の課題ではないと思うのだが。

景気への対応は、景気条項もあるように判断を誤ると取り返しのつかないことになる。デフレ、円高、株安の経済状況の下ではさらに悪化するという見方が正しいのではないか。名目3%、実質2%の経済成長が前提条件になっていると思っていたが、政府は前提ではなく努力目標だという。自民党は国会審議で削除を要求したが野田総理は拒否した。

増税は税収減になると国会審議でもみんなの党の江田幹事長が事あるごとに追及していた。
確かに今までは増税分を減税していたので、そうだった。しかし今回は減税がないので増税分がそのまま税収増になるともみられているが、そううまくはいかないだろう。私だって消費は控えるだろう。

食料品などの税率を軽減すれば、予定税収増分の約30%は減収になるので政府は手続きなどが煩雑になるという理由でいい返事をしない。また、どういう品物をどうするかで官僚の権限が大きくなると心配する向きもある。しかしそこは知恵を出し合い審査会などの設置で対応できないか。勿論事務局に任せることは避けなければならない。

また、2015年の消費税10%でも付則で、最終的には16%を超える必要があるという見方が出ている。財務省は付則で更なる値上げを臭わせていたが、民主党の事前審査でも問題になった。

結局、デフレ脱却、経済成長路線での税収増を目指さなければ埒が明かない。3党修正合意でも「財政の状況及び見通しなどを踏まえ」という曖昧な語句が使われている。

野田総理も国会審議で「増税一本やりではない」と、経済成長路線を臭わせ、菅政権時代の新成長戦略を見直し検討をしているというが、9割は効果が見いだせなかったという。それだけ成長戦略へ持って行くことは難しい。

世界の潮流は緊縮政策より成長路線へのかじ取りが必要といい、各国政府が成長路線をにおわすようになってきたが、良い策はないようだ。

増税の前にやることがあるだろうと言われれば当然に無駄の削減が挙げられるが、成長路線で雇用の確保が最重要課題ではないか。

国家財政のコンセンサス、成長戦略の策定なくして増税はない。

2012年6月18日月曜日

社会保障と税の一体改革法案:3党合意は大丈夫か


社会保障と税の一体改革関連法案の3党合意は本当に大丈夫なのか。「後は党内手続きをやってくれることを確信している」と言い残しG20へ満足顔で飛び立った野田総理、一方で「21日に採決」という自民党、「丁寧な議論」と党内分裂回避のため、採決先送り、会期延長を画策する民主党執行部、そこへ「21日採決は3党合意の前提」発言も自民党から出てきた。

テレビ画面で、3党合意の合意書(?)に署名する関係者の表情を見るにつけ、十分に議論されたのか、玉虫色で合意を急いだのか、その内容をうかがい知ることは難しい。

そもそもこの3党合意が大きく動いたのは14日、野田総理が谷垣総裁に「何とかしていただけないか、こちらも大変なんです」という懇願の電話から始まったことが新聞の報道から知ることができる。

野田総理がG20出発前に合意を急いだのは、国際会議での我が国の財政再建、社会保障と税の一体改革が進んでいることを強調したい総理の意向が強く働いたのは確かだ。

だから曖昧な合意、不十分な詰めが残り、それが重要な節目で顕在化することは確かだろう。自分のご都合で、自分が言い出した「丁寧な議論、熟議」を蔑にするなんてもってのほかだ。

合意に対して色んな意見が出ていることも気になる。

「マニフェストの撤回ではない」(長妻)、「マニフェスト政策の法案は出していないので棚上げではない」(藤村官房長官)、「政策談合だ」(小沢)、「画期的な合意」(町村)など。どの意見もあっているようだし、間違ってもいるようだ。

今になって、会期延長、21日に採決できなければ内閣不信任決議案提出のニュースが流れるのも不思議な話だ。自民党の要求する早期採決、解散の約束も取れていないのだろう。谷垣総裁が「野田総理の気持ちは分かっている」と合意に舵切りした背景も勝手な思い込みではなかったのか。

民主党の党内手続きを進める事情も複雑だ。

小沢元代表グループも反対に一枚岩ではないし、反対を表明していた鳩山元総理も党内分裂を回避するために採決委先送りにトーンダウンしているようだ。

政治につきものの駆け引き、ゆさぶり、けん制もいいが、社会保障と税の一体改革は国民の生活に直接影響し、負担を強いる政策なのだ。国民に分かりやすい政治プロセスであってほしい。

2012年6月15日金曜日

民主党の功罪:政治の流れを変えることが出来たのか


近くて遠い仲? 自民党と民主党
左手奥に自民党本部、右手奥に
民主党本部 歩いても5分とかから
ない近さだ

民主党政権って何だったのか。政治の流れを変えることができたのか。まだ民主党政権が終わったわけではないが、政権交代なった民主党の功罪を考えざるを得ない今の政局なのだ。「政権交代してみませんか」、民主党議員の呼びかけは民主党支持者でなくても「ここらで一度」と思ったぐらいだ。

そして今、自民党政権よろしくたらい回しで総理の座を射止めた野田総理は、民主党マニフェストになかった消費税増税に向け突き進んでいる。増税、増税というと増税が先行する誤解を与えることを危惧し、社会保障と税の一体改革と言い出した。

増税が党内を分断、採決で造反する動きが出てきて、反対派に見切りをつけ、同じ消費税増税を謳う自民党にすり寄り、今民・自・公3党による修正協議で合意にこぎつけようとしているが、各党の思惑もあって時間がかかりそうだ。

社会保障では、自民党は「現行制度を基本に」と考えているが、民主党は改革をしようと、最低保障年金制度、後期高齢者医療制度廃止を譲らない。合意を急ぐあまり棚上げ案も出ているようだ。

消費税増税については、低所得者救済では対策が違うようだが、増税は民・自考えは同じだ。3党修正協議は、民主党の政策に修正を加え、自民党の政策も内容が変わってきている。

兎に角、増税したい民主党・野田政権、合意、採決で解散させたい自民党・谷垣総裁の妥協が15日にできるかどうかだが、党内手続きというハードルが立ちはだかっている。

それはそれとして、民主党は政治の流れを変えることができたのか。

財政再建の必要性、消費税増税は以前からも言われていたこと。自民党政権でも小泉総理は「自分の間は増税しない」と増税が有権者に嫌われることはわかっていて手を出さなかった。

年金制度もこのままでは行き詰まることも分かっていた。

無駄の削減の必要性も当然のことだ。確か小泉さんが郵政民営化に突進した時も、理由の一つは、カネの無駄な使い方を削減することだったと思う。

自民党政権が十分に取り組まなかった政策を民主党は果敢に挑戦しようとした。反自民の姿勢でマニフェストをつくってしまったが、政権に就くと予想はしていたが、財源という現実の壁は高く、おまけにリーマンショック後の税収の落ち込みは想定外だったのだ。

そして、3.11大震災、それに続く福島第一原発事故だ。復興財源、東電支援に莫大な金がかかるようになった。赤字国債は膨らむ一方だ。景気も停滞する中で、復興需要が景気回復に役立ってきたとは言うものの、その影響は限定的と見られている。

稚拙な政権運営、相変わらずの党内抗争、想像絶する人材不足、後を絶たない「政治とカネ」の問題などその責任を問われる民主党政権だ。これでは自民党政権と変わらないという批判も受けなければならない面も多い。

だが、自民党政権との違いを出そうとした努力、何とか政治の流れを変えようとした努力は認めるべきではないか。総理や閣僚ではなく、中堅の政策マンを見るとそう思えて来る。

今、民・自・公3党の連立政権の構図も見られるが、解散・総選挙で新しい政界の構図を変えてほしいものだ。

2012年6月14日木曜日

クルーグマン教授! 金融緩和で雇用確保ができるんですか


クルーグマン・コラム「金融緩和で
労働者を救え」
朝日新聞 2012.6.14

クルーグマン教授は「金融緩和で労働者を救え」というが、金融緩和では雇用の確保に効果があるのか。政府の景気対策としての財政政策、中央銀行のやる利下げの金融政策、量的緩和があるが政府の財政政策は手詰まり状態で中央銀行の金融政策に期待が寄せられるが、金利はゼロ金利で下げる余地は狭く、量的緩和(金融緩和)も実施と様子見の繰り返しで、その都度市場も好感したり、がっかりしたりの繰り返しだ。

クルーグマン教授のコラム「銀行救済 金融緩和で労働者も救え」(朝日新聞2012.6.14)が目についた。雇用確保は政府の最重要課題ではあるが、各国ともに失業率は高い。

自国経済に危機がやってくると、政府はまず銀行救済を要請する。最近のスペインもそうだ。クルーグマン教授は、銀行ばかり救済され、失業者はほったらかしだと批判している。スペインで労働者の1/4近くを失業に追いやった政策を変更しようとも思っていないというのだ。

金融政策ではまず金利下げだというが、欧州中央銀行(ECB)は6月6日、政策金利を据え置いた。ユーロ崩壊の危機が高まっているのに、経済回復のために、緊縮財政、賃金カットばかり要求されてきたが、それには人々が心から、その必要性を信じてくれれば効果があるという高官たちの話を紹介している。

ギリシャは、国民自身に当事者意識が低いという。

しかし、クルーグマン教授は、この戦略は力強い成長と穏やかなインフレが必要で、今は金利を低く抑え、たくさんの紙幣を発行すべき時だともいう。

米国もこれから数年間は低インフレと高い失業率が予想されるが、今まさにFRBは景気刺激策をとるべきだが、FRBは動こうとしないと不満を表明する。

クルーグマン教授の自説は、財政再建で緊縮政策を実行するのではなく、ここは財政出動で経済成長路線に切り替え、雇用の確保を優先すべきだというものだったと思う。だから、今の主要国の緊縮政策、財政再建には賛成できないのだ。

世界的に人的、経済的な参事が進んでいるにも関わらず、欧米がマヒ状態なのは、政治に問題があるという。

今、明確になってきているのは、17日のギリシャの再選挙で反緊縮派が伸びギリシャのデフォルトが確実視されればユーロ離脱、スペインも加わってユーロ崩壊につながり、クルーグマン教授が警告する世界恐慌へと進む壊滅的出来事になる。

そうなれば、銀行救済にとどまらず、何らかの政治的措置が現実的にとられるようになるだろうとクルーグマン教授は指摘している。でも世界恐慌はご免だ。その前に政治的な措置を講じてほしい。

クルーグマン教授のいう財政、金融政策を実行する世界のリーダーはいないのか。フランス大統領が緊縮派から反緊縮、成長路線を訴えて交代した。ギリシャ、イタリアでも反緊縮ののろしが上がっている。

アメリカでも、そのような動きがあるというし、わが国でも財政再建一本やりではなく成長路線を加味した政策に舵切りをしたように見えた野田総理だが、社会保障と税の一体改革では重要政策を棚上げし、増税だけが先行する様相を呈してきた。

日銀も政府や市場の要求により、量的緩和を実施したり様子見を繰り返しているが、金融政策に過度に頼らず成長経済への政策を政府に要求し続けている。インフレターゲットも1%とし、クルーグマン教授が指摘する3~4%には程遠く、やる気なしとみなされている。

民主党政権の経済成長戦略も菅政権時策定されたが、その効果は期待に反するものだった。野田総理は国会審議で、そういった検証も含めて見直しをやって、新たな挑戦を考えているというが手詰まり感は避けられない。

雇用確保は最優先課題である。銀行救済より優先すべきかもしれない。雇用の創出・確保なくして経済成長、財政再建はない野田。

見えてきた野田総理の魂胆:一体改革でなく、ただの増税では


社会保障と税の一体改革は先送り・棚上げ、ただの増税で見えてきた野田総理の魂胆。「自民党の対案・基本法案を修正し共同提案を目指せ」という野田総理の指示で、3党による修正協議もおかしげなことになってきた。最低保障年金制度、後期高齢者医療制度など民主党のマニフェストで主要な政治課題を「現行制度で見直す」と提案した自民党案を民主党は削除する修正骨子案を提出した。

民主党はこの社会保障制度改革の根幹部分を残したいようだが、自民党は「現行制度を基本にする」方針に反しており難色を示している。

一体この社会保障と税の一体改革はどうなるのか。小沢元代表の「決して国民の皆さんにご理解いただけない」という意見の方が真っ当だ。

15日までにまとめる方針を打ち出した野田総理の魂胆は、「国民の生活が第一」の一体改革ではなく、ただの増税でもいいと言うことか。

そして増税の狙いは、財政再建、市場の危機感を払拭し国債下落などに波及することを回避する国際公約(?)を守ることなのだ。

そして、メキシコでのG20で日本は公約通り着々と緊縮政策を進めていることを謳えたいのだ。

しかし、こんな修正合意(?)されようとしている社会保障と税の一体改革をどうやって国民に説明し信を問うのか。3党での合意だとして自民党、公明党との共同責任であることを主張するのか。

民主党政権は、主要な政策で民主党らしさ失い、自民党に飲み込まれそうだが、自民党の政策だって民主党によって基本案から異質なものになりそうだ。

野田総理の言う熟議、丁寧な説明が国民にされているのか。「いい加減に辞任しろ」と国民は言いたいのではなかろうか。

2012年6月13日水曜日

社会保障・税一体改革法案採決:各議員の自由意志での投票ではダメなのか


社会保障と税の一体改革法案の採決は、各議員の自由意思で投票できないのか。今、国会は15日の合意をめざし、民主、自民、公明の3党で修正協議が進んでいるが民主党が掲げた最低年金制度、後期高齢者医療制度の廃止は棚上げされ、兎に角増税が先行する調整になっているようだ。

更に困難を極めるのが合意に基づいて各党が党内手続きしなければならないようだが、これに手こずっている。反対派、慎重派が微妙な動きだし政権与党ばかりでなく自民党も同じなのだ。

先日の国会・特別委員会での審議で、「党内がまとまらなかったらどうするんだ」と聞かれた野田総理が「党議拘束しているので、最後は賛成してもらえる」と従来の希望的観測を繰り返した。

でも、何故民主党は党議拘束しなければならないのか。

過去にも自民党政権時代に、党議拘束に反して反対したために除名、離党した事例として、公務員制度改革での渡辺さん、郵政民営化法案の時に多数の除名、離党者を出した。

そして、その結果が今の公務員制度改革であり、郵政民営化改革だ。うまくいっているものではない。そのゴタゴタが今も続いているのだ。

今回の社会保障と税の一体改革だって、このままでは二の舞になりそうだ。そもそも民主党は2009年のマニフェストに「増税はやらない」と言っていたのを急遽、政策課題に挙げてきた。自民党はその時増税を謳っていた。

これが、国民が民主党を選択した一つの理由になっているのは確かだが、野田総理は「やると言ったことはやっているし、何も言っていないこともやっている」と抗弁する。無理な論調だ。

マニフェストで「やらない」と言ったことをやっているので、党内をまとめるにも党議拘束が必要になり、造反者には除名などの処分でけん制しているのだろう。

こんな状態では、私たちが国政を負託した国会議員が自分の自由意思で票決に加わることを阻害している。憲法での表現の自由を侵すものではないか。
無理な採決ではなく、国会議員一人一人の自由意思で票決すべきではないのか。そして、万一否決されれば総理は解散権を行使して、国民に信を問えばいい。

これが憲法で保障された政治プロセスだ。

2012年6月12日火曜日

福島第一原発事故:逃れられない東京電力の刑事責任


福島の住民が東電を告発した
2012.6.12 朝日新聞

福島第一原発事故では東京電力の刑事責任は逃れられない。例え地震、津波の天災が関係していたとはいえ、これほどの大参事を招いた福島第一原発事故での東京電力の刑事責任は大きい。原子力発電という巨大技術を使った事業に携る東京電力には、通常に比べてはるかに大きい安全に対する注意義務があるのだ。

朝日新聞(2012.6.12)で福島県の住民1324人が、東電幹部、国の関係者ら33人を業務上過失致死傷罪などの容疑で告訴、告発状を福島地検に出したという。安全対策を怠った結果、住民を被爆させた刑事責任を問うたのだ。

住民感情、被害者感情からして至極当然の対応だと思う。

しかし、裁判ということになると罪状構成要件が厳しく適用され、被爆と傷害の因果関係の立証も手こずるだろう。更に地震、津波による総電源喪失でメルトダウンなどが発生し、放射性物質の流出に至る予見可能性が東電にあったかどうか。巨大化する地震、津波情報がどう伝えられ東電で問題を共有化していたか。そして今回のような惨事を防止する技術、対策があったかどうか。

事故の規模があまりにも大きく、責任追及を回避することはできないのだ。

それに福島第一原発の事故は、初めての原子力発電所の事故ではない。チェリノブイリ事故は多くの教訓を原子力事業者に与えていたはずだ。東電はこの事故から何を学んでいたのか。予見可能性は否定できない。

まず大事なことは関連する証拠の保全だろうが、恐らく東電は家宅捜索などを予想して不利になる証拠書類は破棄しているだろう。地検が必要として家宅捜索する時に存在する証拠書類は責任を追及する資料として役立つものではない。原子力村だってどの程度協力してくれるか。

民間と国で事故調査が実施されている。東電関係者の参考人招致での発言も、新聞報道によると責任のなすりあい、菅官邸の異常な介入で指揮命令系統、対応に混乱を生じたなど責任回避の主張が主だ。東電はすでに社内対策を終わっているだろう。

まず、考えられるのは今回も適用が考えられる刑法211条(業務上過失致死傷)だ。業務上必要ナル注意ヲ怠リ因っテ死傷ニ致シタル者ハ・・・・。原子力事業という危険な業務に従事する者は高度な注意義務を要求されることは当然で、法律上明文がなくても注意義務を逃れられない。

問題は放射性物質を飛散させ、住民が被爆し、その結果生命、身体に危害が発生したことだ。今症状は表れていなくても、将来現れる危険は十分にある。それが放射能被爆の本質だ。

放射能の環境濃度が高く、帰宅できず村、自宅を放棄して避難生活をしている人も多い。

刑法第260条 建造物損壊 他人ノ建造物又ハ艦船ヲ損壊シタル者ハ・・・・。ここでいう損壊とは、その用途にしたがって使用することができない状態に至らしめた場合も含まれるのだ。

そして、水産動植物にも放射能汚染が出ている。

福島県漁業調整規則第34条 有害物の遺棄、漏せつの禁止 水産動植物に有害なものを遺棄し、または漏せつしてはならないと規定し、罰則がある。

更には大気に放出した放射性物質が遠方まで運ばれて土壌や樹木、落ち葉に高濃度のセシウムが検出されている。これらの被害の責任をどう追及できるのか。

脱原発の機運も高まってきたが、政府は大飯原発の再稼働に向け着々と手を打っている。

事業者は大きな責任と注意義務があることを肝に銘じるべきだ。


[後記]
朝日新聞(2012.6.13)に「東電、06年にも大津波想定」記事が掲載された。
それによると、04年のインド洋大津波を受けて06年、国が東電に対策の検討を口頭で要請したほかに、08年には東電が福島第一原発で最大15.7mに達すると試算したが、対策は採られなかったと言う。


それが事故を回避するチャンスを失ったことになる。


東電の検討は具体的に実施されており、20mの津波から施設を守るためには、防潮堤建設に80億円かかると言う。


しかし、社内研修の場だったために、会社として正式に承認した資料ではないと広報部は責任回避している。


安全対策のための防潮堤建設費は80億円、一旦災害が発生した場合は会社倒産、天井知らずの賠償費用がかかること考えると余りにもちっぽけな費用ではなかったか。

2012年6月11日月曜日

「ブレない」野田総理、後は不信任決議か解散・総選挙の崖っぷし?


「15日までにまとめ、21日までに採決」
のブレない姿勢を表明する野田総理
2012.6.11 NHK国会中継

「ブレない」野田総理だが、それがために後は不信任決議か解散・総選挙の崖っぷしに立った感じだ。藤井税調会長の「ブレるな」のアドバイスを忠実に守り(?)増税に突き進む野田総理だが、自ら「修正あり」で自民党を協議に引きずり込んだのはよいが、民主党ばかりでなく自民党までも賛否2分する事態になり採決見送りでは野田総理、谷垣総裁ともに崖っぷしに立つ。

一国の総理が事あるごとにブレたりすると「政策が前に進まない」、「決められない政治」になる。ところが猪突猛進では困る野田。事態の変化に対応しなければならないことも重要なのだ。野田総理は増税の採決にあたっては修正協議に応じる姿勢を見せているが、増税に突き進む姿勢に変わりはない。

しかし、最低年金保障制度や後期高齢者医療制度廃止などは自民党の主張する既存制度での対応に反しているが、譲歩すると民主党内がまとまらなくなる恐れがある。そうでなくても原発再稼働もあって反対派の鼻息は荒い。

一方、自民党の谷垣総裁も修正協議でハードルを下げたとはいえ、増税に向かっているが、党内では慎重派、反対派も動いている。執行部の発言が新聞に掲載されているが、それで一枚岩とは限らないのだ。

修正協議での結果を持って各党内合意をどう取り付けるか。修正協議が整わず、合意に至らなかったらどうなるか。

野田政権が先送りしようものなら不信任決議案の提出になるだろうし、強行採決で否決されると解散権を行使し総選挙に打って出ればいい。

11日の特別委員会の審議でも野田総理は15日までにまとめる真意を聞かれ、「何とか全力をあげてまとめる」といい、民主党の中には幟を立てて反対の運動をしているではないかと質っされ「政府が提案した法案だ。党議拘束してでも責任がある」と従来の考えを繰り返した。

解散・総選挙になれば民主党は大惨敗で100議席まで落ちるだろう。民主党と自民党の立場は逆転する。

自民党政権は10%の増税を提案しているが、民主党はどう対応するのか。
民主党がマニフェストで約束している政策を飲まなければ賛成できないという立場をとるのか。自民党の既成制度での見直しで賛成するのか。今の合意のできにくい環境がそのまま新しい政権での繰り返しになるのか。

それに「景気条項」がある。名目3%、実質2%の経済成長を前提に増税を実施するのだと思っていたが、民主党政権は努力目標で前提条件ではないという。自民党は、GDPという指標は、後になって何%だったというのがわかる指標で、法案に掲げる数値には向かず、この条項の取り下げを修正協議にかけるというが、野田総理は特別委員会で「努力目標としてあってもいいのではないか」と答弁した。

社会保障一体改革は、その内容が明確にされないままに増税が先行するおかしなことになっている。野田総理は合意に至るよう努力し、今国会期中に成案にしたいと繰り返すばかりだ。

与野党で設置する国民会議でしっかり議論し、しっかりしたビジョンを国民に示してから国会へ提案すべき政策である。そして景気条項も努力目標ではなく、本来は前提条件なのだ。成長路線への政策も怠ってはいけない。

11日の衆議院特別委員会でも「15日までにまとめ、21日までに採決する」ことが野田政権の責務だと言った。

野田総理の姿勢はブレていないが、修正協議の結果をどう党内手続きで合意に持って行くか。ひと波乱ありそうだ。

2012年6月10日日曜日

国会事故調査・検証委の論点整理:総理が菅さんでなかったらうまく行ったのか


福島第一原発事故の事故調査・検証
委員会が論点整理を公表
2012.6.10 読売新聞

福島第一原発事故対応で、総理が菅さんでなかったら、うまくいっていたのか。そんな気がしてくる事故を検証する国会の事故調査委員会の論点整理で6項目が公表され、菅官邸の過剰な介入、通報/報告の不手際による初動対応の遅れが指摘されている。

こういう事故調査の場合は、当事者が自分の言動を正当化する傾向にあるが、今回もその域を出ていない。特に東電は株主代表訴訟もありその証言は影響を受けるはずだ。会社全体の責任もあり関係者が雁首揃えて対応を考えたことは容易に想像がつく。

原子力災害は、一度起きると途方もない被害をもたらすことはチェルノブイリ事故で経験していることで、今回もチェルノブイリと比較した事故規模が盛んに報道されていたが、結局はそれを超える事故になってしまった。

その間、チェルノブイリほどの事故ではないという願いもあったのではないか。それが対応を遅らす要因にもなっていると思う。

3月11日以降の新聞報道で思い出すことは、菅総理のへリコプターによる現地視察の是非、全般を通じての菅総理の記者会見の多さ、一時退避要請を受けての東電本社への乗り込み、総合対策本部の設置、海水注水、住民退避とドイツの放射能拡散予測、非常電源車の手配の不手際、メルトダウン発言での安全・保安院のスポークスマン、NHK解説員のすげ替え、ベント作業の遅れ、水素爆発と斑目委員長の「水素爆発はない」発言、外部専門家の内閣府参与採用、そして電気が途絶えてもしばらくの間が強制冷却されるシステムの手動でのOFFの原因などだ。

更に本当に津波にやられたのか、地震では大丈夫だったのか。東電内で想定津波規模が大きくなっていたにもかかわらず、なぜ対策をとっていなかったのか。

知りたいことはいくらもあるが、論点整理では主として官邸の対応を指弾する内容だ。

チョッとパフォーマンスの傾向がある菅さんが総理でなかったら、原子力安全・保安院、東電に任せていたらうまくいったのか。

事故対策は、1箇所に情報を集め、それを吟味し、必要な情報、指示を発信することだろう。論点整理で官邸を含めた役割分担と危機管理体制の再構築が指摘されているのは当然だ。菅総理が情報不足で、現地視察を急いだ気持ちはわかる。

情報隠しがあったことが疑われているが、政府は国民の安全を第一に守ることは当然だが、混乱を避けるためにも迅速な情報の発信をためらったことも容易に想像できる。

それだけ今回の原発事故は未経験でマニュアルができていなかったことにある。

一時、阪神大震災での村山元総理の「責任は俺がとるから、思うようにやってくれ」という姿勢が最高責任者の姿だというのだ。市民運動家出身で、パフォーマンスを好む菅さんにしたらそうはいかなかったのだ。

危機管理担当大臣、経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会そして官僚の仕事ぶりがはっきりしない事故対応だった。

特に誤った政治主導で官僚が萎縮し十分な働きがなかったと新聞で報道されていたが、これは全く馬鹿げた話だ。そんな官僚なら首にすればいい。国難の時ほど政治家に気兼ねせず、果敢に挑戦する官僚であってほしい。それがなかったということは、官僚にも対応能力がなかったことだ。

兎に角、根本原因の究明は別として、論調しやすい面、叩いても国民は文句を言わない政府を指弾する傾向があるのではないか。

6月中に報告書をまとめるというが、事故調査・検証委員会の委員が自ら報告書をつくるのか、それとも事務局の官僚に任せるのか。それによって報告書の信憑性は違ってくる。

菅総理、菅官邸でなかったら、もう少しはうまくいっていたのか。