2012年6月10日日曜日

国会事故調査・検証委の論点整理:総理が菅さんでなかったらうまく行ったのか


福島第一原発事故の事故調査・検証
委員会が論点整理を公表
2012.6.10 読売新聞

福島第一原発事故対応で、総理が菅さんでなかったら、うまくいっていたのか。そんな気がしてくる事故を検証する国会の事故調査委員会の論点整理で6項目が公表され、菅官邸の過剰な介入、通報/報告の不手際による初動対応の遅れが指摘されている。

こういう事故調査の場合は、当事者が自分の言動を正当化する傾向にあるが、今回もその域を出ていない。特に東電は株主代表訴訟もありその証言は影響を受けるはずだ。会社全体の責任もあり関係者が雁首揃えて対応を考えたことは容易に想像がつく。

原子力災害は、一度起きると途方もない被害をもたらすことはチェルノブイリ事故で経験していることで、今回もチェルノブイリと比較した事故規模が盛んに報道されていたが、結局はそれを超える事故になってしまった。

その間、チェルノブイリほどの事故ではないという願いもあったのではないか。それが対応を遅らす要因にもなっていると思う。

3月11日以降の新聞報道で思い出すことは、菅総理のへリコプターによる現地視察の是非、全般を通じての菅総理の記者会見の多さ、一時退避要請を受けての東電本社への乗り込み、総合対策本部の設置、海水注水、住民退避とドイツの放射能拡散予測、非常電源車の手配の不手際、メルトダウン発言での安全・保安院のスポークスマン、NHK解説員のすげ替え、ベント作業の遅れ、水素爆発と斑目委員長の「水素爆発はない」発言、外部専門家の内閣府参与採用、そして電気が途絶えてもしばらくの間が強制冷却されるシステムの手動でのOFFの原因などだ。

更に本当に津波にやられたのか、地震では大丈夫だったのか。東電内で想定津波規模が大きくなっていたにもかかわらず、なぜ対策をとっていなかったのか。

知りたいことはいくらもあるが、論点整理では主として官邸の対応を指弾する内容だ。

チョッとパフォーマンスの傾向がある菅さんが総理でなかったら、原子力安全・保安院、東電に任せていたらうまくいったのか。

事故対策は、1箇所に情報を集め、それを吟味し、必要な情報、指示を発信することだろう。論点整理で官邸を含めた役割分担と危機管理体制の再構築が指摘されているのは当然だ。菅総理が情報不足で、現地視察を急いだ気持ちはわかる。

情報隠しがあったことが疑われているが、政府は国民の安全を第一に守ることは当然だが、混乱を避けるためにも迅速な情報の発信をためらったことも容易に想像できる。

それだけ今回の原発事故は未経験でマニュアルができていなかったことにある。

一時、阪神大震災での村山元総理の「責任は俺がとるから、思うようにやってくれ」という姿勢が最高責任者の姿だというのだ。市民運動家出身で、パフォーマンスを好む菅さんにしたらそうはいかなかったのだ。

危機管理担当大臣、経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会そして官僚の仕事ぶりがはっきりしない事故対応だった。

特に誤った政治主導で官僚が萎縮し十分な働きがなかったと新聞で報道されていたが、これは全く馬鹿げた話だ。そんな官僚なら首にすればいい。国難の時ほど政治家に気兼ねせず、果敢に挑戦する官僚であってほしい。それがなかったということは、官僚にも対応能力がなかったことだ。

兎に角、根本原因の究明は別として、論調しやすい面、叩いても国民は文句を言わない政府を指弾する傾向があるのではないか。

6月中に報告書をまとめるというが、事故調査・検証委員会の委員が自ら報告書をつくるのか、それとも事務局の官僚に任せるのか。それによって報告書の信憑性は違ってくる。

菅総理、菅官邸でなかったら、もう少しはうまくいっていたのか。

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