2012年6月25日月曜日

ロバート・シラー エール大教授曰く「必要なのは増税と財政支出の同時実施」と


週刊現代2012.7.7

各国政府、中央銀行が緊縮政策を推進する中で、ロバート・シラー エール大教授は、今必要なのは増税と財政支出の同時実施だという。日本は先進国一の債務国であるが、回復力をひそめており、自信と責任感から再建の余地はあると言い、1990年代のバブル崩壊後、財政政策をとり続け低速ではあるが成長を続けた日本をモデルにせよともいう。

週刊現代(2012.7.7)の新聞広告の記事紹介「ロバート・シラー 日本経済にこれから起きること」が目につき購読した。米国は「財政の崖」と言われ、来年頭には財政が緊縮化してしまう。中国も社会不安や戦争などで成長軌道を外れるかもしれない危険もある。そんな中で、目新しさは別として日本再生への道をアドバイスしている。

シラー教授は、今必要なのは「均衡のとれた景気刺激策」、すなわち増税と財政出動を同時にやることだという。そうすれば職が生まれ、政府債務は増えなくてよくなる。このことを国民がよく理解することだという。

この点日本はよい実例だともいう。1990年代のバブル崩壊後、政府は財政政策をとり続けた結果、低成長を維持することができ、恐慌には至らなかった。日本モデルを見習えと言うのだ。

勿論、日本は債務が増加したが、景気対策で増加したのであり、ギリシャとは違う。まだ自信を持っているし、持ち前の責任感もあって、再建できる余地は十分にあるという。

そして日本は平等な社会であり、互いが連携し大きな仕事ができる。これが経済成長へと持って行けるのだ。

財政出動もインフラ投資から教育インフラ、アート、サイエンスへの投資で経済を刺激せよという。

そしてもっと若い力を認めるようにならなければならないとも指摘する。

更に金融機関をよりよく機能させなければならないという。日本は金融の力で大きな産業が発展してきたが、今金融機関は傲慢になって人々は怒っている。「金融の民主化」=人間にやさしい金融機関が必要だというのだ。

クルーグマン教授も、「銀行救済ではなく、労働者を救済せよ」と主張しているが、シラー教授も巨大金融機関救済に賛成の意見ばかりではない。いずれは救済が行われない可能性もあるという。

政府、銀行が信用を失い、預金引き出しが急増すると最悪の場合欧州危機が引き金となって1929年の世界恐慌再来のシナリオもあり得ると警告する。

クルーグマン教授も、ギリシャのデフォルトは一時回避されるが、将来90%の確率でデフォルトするだろうと見て、それが世界恐慌の到来につながると見ている。

この経済下で増税を実施することは、かえって景気後退の危険があり、税収減になるのではないかと思うが、成長路線も加味されるようになってきた。25日の衆院特別委員会でも自民党の伊吹さんが、「増税してもPBから考えると、まだ不足だ。公共投資で成長路線に持っていく必要があるのではないか」と野田総理を追及していた。

自民党は確か国土強靭化基本法案とかいう法案で公共投資を提案していたと思う。

どの分野に投資すれば成長路線に乗せるができるのか。増税で税収減になり、財政出動で赤字国債が膨らむようなことになっては最悪と思うのだが・・。

0 件のコメント: