2012年6月27日水曜日

理解されず苦悩が続く野田総理


マニフェストには記載しなかったことでも
与野党で協議して推進することもある
26日 国会特別委員会
テレビ朝日 スクランブル
2012.6.26

26日の衆議院本会議での採決は363vs97の大差で可決したが、民主党で73人もの造反者が出、理解が得られず苦悩が続く野田総理だ。「一体改革、消費税増税は待ったなし、嫌われてもやるんだ」と細かな約束事はべつとして大筋ではブレた様子はない。これも国民のためという考えが頭にあるのだろう。「原点に戻れ」と党内からも批判されているが、野田総理は「国民の生活が第一という理念は踏まえている」と記者会見で反論した。

採決前から民主党は分裂の危機に直面していると見られていたが、73人もの大量の造反者が出たことは野田総理サイドもショックだったはずだ。記者会見での「厳しく処分する」という言葉に怒りが見え隠れするが、党内融和を重んずる動きもあり、政治基盤の脆弱な野田総理にできるのか。

どうして理解が得られにくいのか。

野田総理はことあるごとに丁寧な説明、熟議をいうが、一向にその姿勢は見えてこない。

一体改革の国会審議でも、野党の女性議員がボードで資料を提示しながら増税しても税収は上がらないことを指摘し増税に反対していたが、野田総理は「その時、その時の経済環境が違う」と反論するばかりで、増税しても税収減にならない説明はできていなかった。

確かに、過去の増税はそれに相当する分の減税があったことは確かで、今回は減税策はないので増収につながる可能性はあるかもしれないが、景気を悪化させる懸念は強い。

野田総理の国会の委員会での答弁を聞いていても他の大臣のようにペーパーの棒読みはしないが、答弁に面白さはなく記憶にも残らない。

かえって安住財務相の方が面白い。答弁に四苦八苦する姿を見ると、ここが問題なのだとわかる。経済成長名目3%、実質2%は増税の前提条件かと問われた時、前提条件ではなく目標だという。現在の経済環境でも増税はGOだと言ったことがあるが、今は「その時の政権が決めること」と常識の範囲内での答弁だ。

消費税増税は「マニフェスト違反」と野党からしっこく追及されている。野田総理は「見直しについては国民に謝罪しなければならない」と繰り返しているが、野党は納得しない。解散・総選挙を要求しているのだ。

これについては、一体改革、行政改革、財政改革などやらなければならない改革をやった後で民意を問うと記者会見で言う。

野党に言質を取られることを恐れての曖昧な発言であったが、民主党自体そして民主党政権の存在が問われているのだ。その背景には、マニフェストの見直し、3党修正合意がある。認めることは民主党マニフェストの崩壊につながるのだ。

野田総理は採決前の特別委員会で、「マニフェストに書いてないことも3党合意で実施する」と説明していたように思うが、やっぱり一度は解散してこのゴタゴタをクリーンアップしなければ、政治は前に進まないのではないか。

そして、野田総理の政治手法なのだろうが、期日を切って、時間切れを狙った強引な政権運営が目につく。採決を15日と言ってみたり、無理と思うと21日と言い換え、最後は期末ギリギリの26日の採決になった。

これは野党にも警戒感を持たせることになった。執行部に任せていては前に進まず、総理が直接陣頭に立って「政治を前に進める」姿勢を今回は示したことになるが、総理官邸と民主党執行部の思惑の違いはあった。

26日の記者会見で野田総理は、「増税は景気の足を引っ張るという消極的考えでなく、一体改革で経済も強化しなければならない。2014年の消費税値上げまでにあらゆる改革をやり抜く」のであれば、それなりの決意と国民に納得できる説明をすべきではないのか。

今の野田総理にその決意が見えない。

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