2012年6月28日木曜日

小沢一郎さんという政治家は、政治を正し、国民の生活を守ったか


小沢一郎さんは、政治家として政治を正し、国民の生活を守ったのか。野田総理が政治生命をかけ、「国民の生活が第一」にも通じるという消費税増税法案の採決で小沢グループの47人の議員が反対票を投じ、政権与党の民主党が分裂の危機にある。またまた、小沢さんの、小沢さんによる政変が始まったのだ。

「小沢さんは政治を正し、国民の生活を守ったのか」と問われれば、答えは「NO」だろう。

「政治を正す」「国民の生活を守る」をスローガンに、自民党政権とは180度違った数々の斬新な政策を打ち出したように見えたが、自らの考えは私利私欲、権力の拡大、政界を操ることだったのだ。政治を正すと言っても、自分は自民党時代と何ら変わっていないのだ。

野党にあっては言いたいことを言っておけばいいし、メデイアも面白がって取り上げようが、政権与党にあっては権力闘争、主導権争い的な行動は、政治を混乱させ国民に迷惑をかけることになる。

自民党から離党し、魁を立ち上げ、細川政権で官房長官を務めたが「民主党」への合流を鳩山さんに頑なに拒否された武村健一さんが述懐していた。民主党の間違いは、小沢さんの自由党と合併し小沢さんを受け入れたこと、その小沢さんを幹事長、代表にしたことだという。

小沢さんは、民主党に合わない人間だったというのだ。同感だ。「クリーンで開かれた政治」を目指す民主党にとっては、一番不適当な政治家だったかもしれない。しかし、小沢さんでなくても「クリーンで開かれた政治」から程遠い政治姿勢を示した民主党議員もいるのだから小沢さんだけを批判するわけにはいかない。

小沢さんが関与したと思われる、小選挙区制度、政党助成金制度の導入は「政治とカネ」の悪弊に終止符を打つ目的だったし、国会の参考人招致は国会議員の自浄作用を促すものだったはずだ。しかし、カネのかからない政治からはかけ離れたものになったし、自らの陸山会事件では国会での説明を頑なに拒否した。

そして、09年の民主党マニフェストは小沢さんの肝いりで作成した「国民の生活が第一」のための政治改革だった。ところが実際に政権の座についてみると、税収減も加わり財源不足は明らかだ。事業仕分けでひねり出された無駄は数兆円で、16.7兆円には遠く及ばなかった。かえって野党からはバラマキ、人気取りの政策として酷評されることになった。

更に菅政権、野田政権で打ち出した消費税増税は、このマニフェストには記載されていなかった政策だ。小沢さんは将来にわたって否定はしないが、今やるべき政策ではない。「その前にやらなければならないことがある」、「国民との約束を守れ」と断固反対の姿勢で、26日には反対票を投じた。

こんな小沢さんに何故、47人もの議員がついていくのか。

小沢グループの一人は、小沢さん本人よりより、小沢さんの政治理念に共感しているのだという。

消費税の前にやることがたくさんある。公務員改革、公益法人の見直し、一般会計と特別会計の見直し一本化、社会保障の改革も具体的に見える段階に来ていない。小沢さんの政治理念は、まず、それらを全部先にやる。それでも財源が足りなかったら、選挙で国民に負託を受けてから、負担を強いる政策をやるかどうか、ということなんだ(週刊新潮2012.7.5 「民主党ご臨終です」の岡本英子議員談)。

もっともな考えだ。真っ当な意見と思える。こう主張されると野田総理の「先送りできない、待ったなし」というだけの説得は通用しないのではないか。小沢さんに如何にして見出されたかは知らないが、何が何でも小沢さんについていくという議員もいるようだが、理念を大事にする議員もいるのだ。

小沢さんの行動は「まず政局あり」と見られがちで国民の理解を得るには難しい面のあるが、近いうちに解散・総選挙はある。しっかり有権者に訴え、判断を仰ぐべきだ。

そして、2014年の4月までに新しい政権で、増税に「GO」かどうかを判断すべきだ。

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