2012年7月10日火曜日

選挙を控えて「損得」で政治を歪めていないか


民主党代表選、自民党総裁選そして総選挙が近づくと、議員であり続けたい、政権の座にとどまりたい欲望で政治は「損得」が絡んで複雑な動きになる。野田総理は代表、総理の座に未練があり、谷垣総裁は自民党総裁の座を維持し、政権奪取を目論み総理の座を狙う。国会議員は、選挙で勝ち残れるかどうかが重大な関心事だ。

政局の根底には、この問題が付きまとう。要所要所での判断基準が我が身の立場なのだ。

9日の衆議院予算委員会の国会中継を聞いた。

民主党分裂後の初めての予算委員会に、小沢元代表と離党した「国民の生活が第一」の議員が「消費税増税の党内決定過程に問題がある」と野田総理を追求したが、「瑕疵はない」と跳ね除けた。

谷垣総裁は、債務問題には自民党も責任があると認めながらも、相変わらず「マニフェスト違反」を取り上げ、早期の解散・総選挙を要求する。

野田総理は、「やるべきことをしっかりやった後」というが、社会保障と税の一体改革関連法案ばかりでなく、特例公債法などやらなければならないことがあると、解散・総選挙の時期の言質を取られないように従来の考えを繰り返す。

自民党は、主導した3党合意が怪しくなるのを心配し「造反者を処分せよ」と、まだ民主党内に造反者を抱えていることを危惧する。

鳩山さんの処分で、党員資格停止期間を6か月から他の処分者と同じく2か月に減らしたことも、国民にとってはどうでもよさそうなことでも、「解散・総選挙ありき」の自民党にとっては問題にするのだ。

内閣不信任決議案、問責決議案など追い詰める手はあるが、その提出が今の解散・総選挙に「得なのかどうか」が判断基準になるのだ。

一方、民主党は政策を実行する責任があり、野党に比べて国民の批判は大きい。政権の座にいる強みで、政治的スケジュールを考えた時に、いつが一番「損」が少ないかが判断基準になり、「損」が大きい状況下でも一番「得」は方法を選ぶのだ。

政権与党内の抗争で長期間参議院が休会の状況にあったり、3党合意に至っても、その実行性に問題を抱えている。

万一、総選挙で自民党が第一党に返り咲いたとしても、民主党のメイン政策で、一時棚上げになった後期高齢者医療制度の廃止、最低保障年金制度などは3党合意の中で復活してくるものなのか。野田総理は党内の反対派に「放棄したわけではない」と弁明していることを考えると、今の民主、自民、公明間のゴタゴタは続くのだろう。

日本の政界の混乱も、市場はまだ「政治機能不全」とは見ておらず、ユーロ危機の安定化先送り要因もあり、長期金利も低下し、日本国債はまだ安全資産と考えられて取引されている。

野田民主党、谷垣自民党の「損得勘定」で政治を歪められるのは御免だ。

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