2012年8月31日金曜日

都内直下の飯田橋断層:山手台地直下を震源とする地震の可能性?

日本第四紀学会2012年度
講演要旨集

南海トラフ巨大地震での人的被害者数には驚く。首都圏直下地震でも4ケースで被害想定が発表になっているが、今度JR中央線飯田橋駅付近の飯田橋断層の活動性から山手台地直下に震源を持つ地震の可能性が明らかになった。まさしく東京直下地震になる。

すでに新聞やNHK・おはよう日本などでも報道され、最近では週刊誌では田端→飯田橋→四谷の最悪の場所で発見された「首都縦断」活断層でM7地震が直撃するとまで言う(週刊現代2012.9.8)。

その研究報告は20日の日本第四紀学会2012年大会で発表された豊蔵さんらによるものだ。私も講演要旨集を入手し読んでみた。口頭発表タイトルは「山手台地下の伏在飯田橋推定第四紀断層の活動性」だ。

調査は、既往の1000件を超す地盤調査用ボーリングデータの再解析から始まったようだ。その結果、JR中央線飯田橋、市ヶ谷駅及び九段付近で地層の深さが大きくズレていることが分かったというのだ。

飯田橋断層の北北東ー南南西系の
伸びを地図に落とした
四谷ー市谷ー飯田橋ー本駒込ー
田端に伸びる実線 中央が
JR飯田橋駅
九段付近にも断層がある(右側の
実線) 
飯田橋駅、市ヶ谷駅周辺から北北東―南南西に伸び、新聞、週刊誌では北は田端、南は四谷まで伸びて、最大で7kmにわたり断層が食い違っており、更新世中期後半から後期にわたり繰り返し活動した可能性が出てきた。

従来は、荒川断層方向の北西―南東に伸びる断層が注目されたのだが、この北北東―南南西の断層も注目する必要があるらしい。

関東平野は厚い堆積層に覆われており、この飯田橋断層も表層部に存在するが、より深いところでは地震を起こす断層につながっている可能性があるのだ。

更に、この断層は正断層型で岩盤に引っ張る力が働きズレたのだ。

3.11東北地方太平洋沖地震が発生する前までは、活断層は東西方向の圧縮応力で形成される逆断層型が主に注目されたが、4.11福島県浜通りの地震を起こした井戸沢断層は正断層型だった。

このことを考えると、超巨大地震の後で、このような正断層型が動く可能性もあることを考えると、首都直下地震の発生後に飯田橋断層が動くことも考えられる。そうなると週刊現代がシミュレーションしていた衝撃の事実が現実になってくる。

研究者は、飯田橋断層の分布の長さ、繰り返し間隔、最終活動時期、変位量などを詳細に調べる必要があるという。

今まで、ただ見つからなかっただけのことで、これからも出てくるだろう。断層がないこと自体がおかしいのだ。

[後記]
9月2日のテレビ朝日 スクランブル「大地震 銀座&築地に断層帯」で、豊蔵さんが出演されて銀座、築地に断層帯あることを示唆されていた。そのとき飯田橋断層帯にも触れていた。

私の地図に図示したものが少し違っていたので、スクランブルで図示された画面を表示する。
飯田橋断層帯の他に市谷断層帯、九段断層帯が推定されている。
2012.9.2 テレビ朝日 スクランブルより

2012年8月30日木曜日

どっちみち「いばらの道」の野田・民主党か

どっちみち「いばらの道」しかない野田・民主党なのだ。「近いうち」の具体的な時期を表明しなかった野田総理に突き付けられた首相問責決議が可決したが、本人は退陣する気はないらしい。社会保障と税の一体改革の中身をまとめる国民会議を立ち上げる責任があるというし、特例公債法など重要法案の積み残しがある。

9月8日の会期末まで国会は休会というが、本当に何もせず、民主党・代表選、自民党・総裁選に政局が移るのか。

谷垣さんは、解散を明確にすれば懸念事項には応じる用意があると囲い込み記者会見で発言していた。

問責決議を受けても法的な効力はなく、自民党政権時代の福田さんは退陣し、麻生さんは解散を選んだが、野田総理は続投するらしい。

代表選も有力な対立候補もなく、再選ということになるのだろうが、国会審議がストップでは政治は進まない。

臨時国会で、内閣不信任決議案でも出れば総辞職か解散になるが、総辞職でも野田総理に突き付けられた不信任だから解散しかない。

解散・総選挙になっても民主党は厳しい結果になる。マニフェスト違反だけでは何とかなるだろうが、「期待はずれ」では2度と国民の支持はない。政権交代で期待が外れた時は他の政党に移るというのが無党派層なのだ。

大方の予測では自民党が過半数まではいかず、第一党で公明党を加えて過半数を超す勢力になる。民主党は第二党で、100議席を大きく割るかもしれない。

民主党が政権の一翼を占めようと思えば連立政権になるが、今のゴタゴタを考えると自・民・公の連立などできないのではないか。

はっきり言えることは、自民党、民主党が攻守を変えての政局運営になる。そんな時、民主党が「あの時の仕返しを」と考え、政局運営がゴタつくこともあるだろう。

どっち道、野田・民主党は「いばらの道」しか残されていない。「期待はずれ」は拭おうにも拭えない負の遺産なのだ。










2012年8月29日水曜日

129vs91首相問責決議可決:その後の展望があってのことか


129vs91で野田総理問責決議が参院で可決したが、その後の展望があってのことか。それとも「近いうち」解散の時期が取れず、業を煮やした自民党・谷垣総裁が一歩前へ出たのか。民主党・輿石幹事長をして「不思議な問責決議」と言わしめたが、与野党に、その後の展望があってのことなのか。

自民党は、内政・外交の数々の失政を提案理由にしたが、その前に野党7会派が消費税率引き上げ法案に反対しての決議案を提出していた。結局は野党7会派の問責決議に自民党が乗ることになったが、消費税率引き上げに賛成しておきながら、それに反対する問責決議に賛成したのだから常識で考えれば無理筋の決断だった。

民主党から、自民党は自ら3党合意を破棄したとか、自己否定の賛成と言う批判にさらされた。

しかし、自民党、民主党、野田総理にとって、その後の展望があってのことか。

国民生活に重要な影響がある赤字国債発行のための特例公債法、増税前にやらなければならない選挙制度改革関連法案は民主党単独で衆議院を通過したが、参院審議がストップすると廃案になる。

先の菅政権が退陣要求された時、「一定のめどがついたときに、若い世代に引き継ぐ」と言いながら、煮え切らない菅総理を特例公債法と引き換えに退陣させた。

野田総理が解散を約束すればいろんな
懸念事項の相談に応じるという谷垣総裁
NHK ニュース 2012.8.30
今回も会期末の9月8日までに、何らかの取引があるのか。本当に休会にし、政局は民主党・代表選、自民党・総裁選に移るのか。野田総理は再選の可能性もあるが、谷垣さんはわからない。

代表選、総裁選で消費税増税が議論されると、場合によっては両党から離党者が出る可能性もある。

谷垣総裁は、3党合意に基づき野田総理を追い込んだと思っているようだが、逆に追い込まれた状況にもある。

野田総理も「野田はNOだ」を突き付けられたことになる。

明日から難しい政権運営が始まる。野田、谷垣退陣で新しい政権を築いた方が少しはましではないのか。

今後6ヶ月が日本の政治の正念場:託せる政党選びが出来るか


衆議員の任期が近づく今後6か月が、日本の政治の正念場で、本当に託せる政党が選べるかどうかにかかっている。メデイアは「維新の会」の橋下さんや松井さんの言動を報じて既成政党や現役議員の右往左往ぶりを伝えるが、こんなことで託せる政党を選ぶことができるのか。

「「維新の会」がなかったら」を前提に考えてみるのも一手ではないか。

9月8日の国会会期末を控え、日本の政界は混とんとしてきた。「近いうち」の密約はなかったようだし、自民党・谷垣総裁は騙されたのか。

「維新の会」が政党化を目指すというと既成政党、現役国会議員が生き残りをかけ右往左往する。民主党にしてみれば負け戦が決まっている総選挙は控えたいだろうが、自・公は政権復帰のチャンスと見て解散・総選挙を訴える。

解散・総選挙に向けた野田総理の態度が煮え切らないと見てか、今日、自・公も野党7会派の問責決議案に賛成する方針で可決するようだ。

先日は、国民の生活に重大な影響を及ぼす特例公債法、自ら身を削る選挙制度改革関連法案は、民主党単独での賛成で衆院を通過したが、参院ではこの始末で、廃案になるようだ。今のままでは赤字国債が発行できず、政府は歳出抑制をせざるを得なくなった。

野田総理は、先のNHKクローズアップ現代で、国民会議の立ち上げ、経済再生、領土、領海問題などを上げ、やることがあるのに、その前の解散・総選挙とは何事かと不満たらたらであった。

でも、自民党・谷垣総裁は「今の民主党政権は、すでに詰まっている」と言い、新しい政権での政治課題だという。

色んな政治課題が山積しているが、一番の関心事は解散・総選挙だろう。

「政党がどんな政策を掲げるか、候補者は、誰が党首か」など国民はギリギリまでわからないようでは、今後の政治を選んでいく国民にとっては不安が募る。

おまけに、原発、消費税増税に賛成か否かを問われる事態になれば、今までの民主党政権とは異なった選択になるかもしれない。

野田政権は、重要課題にこのまま突っ込んでいくのではなく、新しい政権に託すことも考えるべきだ。さもないと総選挙後の政治に混乱をきたすことになる。

そして、「維新の会」の言動に迷わされず、「「維新の会」がなかったら、どうなるか。既成政党、現役国会議員そして候補者がどう行動するか。

生き残りをかけ、「維新の会」に振り回される政策、政治手法、政界再編は避けようではないか。

託せる政党選びにメデイアの報道に惑わされては、民主党の二の舞になる。

2012年8月28日火曜日

野田総理 そんなことで「決める政治」が進むのか

NHK クローズアップ現代で最近の政治を
説明する野田総理
2012.8.27

野田総理 そんなことで「決める政治」が進むのか。総理が政治生命をかけた社会保障と税の一体改革関連法案も3党合意に持ち込んで危うく成立にこぎつけたが、国会審議を聞いていても政治基盤の脆弱な野田総理にとっては、党内的にも、対野党的にもビシッとしたことが言えないところに最近標榜しだした「決める政治」が危ういものになってきた。

27日のNHK・クローズアップ現代の「野田総理に問う」を聞いても、肝心なところをはぐらかした説明に国民との隔たりが見え隠れするものであった。

今、一番国民が関心を持っているのが「解散は何時か」だ。キャスターの「近いうち」とは何時なのかとの問いに、従来どうりの「それ以下でも、それ以上でもない」と答え、これからやるべきことがあると次の課題を挙げた。

法案は成立したが、社会保障の内容をまとめる国民会議を早く立ち上げること。経済を再生すること。国民に増税を強いる前に自ら身を削ること。領土、領海、主権に関することを上げて見せた。

でも、解散時期というのは、次の総理を決める選挙であって、誰が、どんな政策を掲げるのかを知りたいところであるが、ギリギリまでわからないところに国民との隔たりがある。野田総理は代表選に立つのか、意欲はあるのかとキャスターが畳み掛けた。

野田総理は、「今国会で一生懸命やっている最中なので言えない」と頑なに言明を拒否した。

エネルギー政策でも原発再稼働は国民生活などへの影響を考えて判断したと言い、ゼロになる場合、灰色になる場合どうなるかの判断資料を作成させ、最終的には政府が定めるという。

キャスターは、総理はゼロかゼロでないのかと突っ込んだが、極力依存度を下げていくという。ゼロを目指さないのかとの質問には、再生可能エネルギー、省エネはどうなるかなど考えなければならないともいう。

3.11以降、何を重視するのかで安全性77%、コスト16%が出ているが総理は把握していたのかとの質問には、出来るだけ多くの声をしっかり受け止めていきたいと明言を避けた。

社会保障制度改革は、増税だけ先に決めて内容は棚上げになっていないかとの質問には、野田総理は関連法案は8本あり、年金2本、子育てなどもあり、決してお座なりにはしていないことを強調した。

改革の内容をまとめる国民会議は新しい政権でやるべきではないかと自民党・谷垣総裁は言うが、野田総理は「自身の手でやりたいのか」との追及には、20人の人選、3党合意もあり、早く立ち上げる責任があるという。

国民会議を立ち上げて初めて社会保障と一体改革に魂が入ることになるので、何故解散・総選挙が先になるのかと疑問を呈していた。

最近の野田総理は、記者会見、テレビ出演が多いが、やっぱり国民に一番関心がある「近いうち」を明確にしなければ誰にも納得されないだろうが、求心力の低下にもつながりこともあり避けたいところだろう。

「先送り」も決して悪いものではなく、しっかり議論して決定できればそれでいいのではないか。寧ろ「玉虫色の対応」こそ、後々混乱を招き政治が停滞する要因ではないだろうか。

「決める政治」と言うが、先送りされる政策が多いのも確かだ。

2012年8月26日日曜日

小沢「オリーブの木」構想:細川連立政権は「何の木」で、何故枯れた?

「オリーブの木」構想を伝える読売新聞
2012.8.26

小沢「オリーブの木」構想がメデイアをにぎわせているが、19年前の細川連立政権は「何の木」だったのか。そして何故枯れたのか。新党「国民の生活が第一」が野党連立の「国民連合」をつくり、民意を反映させた第3極連合を画策しているようだが、それぞれに思惑の違いがありうまくいかないようだ。

今の民主党野田政権は民・自・公の3党連立で成り立っているようだが、それに代わる国民連合だというのだ。小沢さんの提唱する構想らしいが、数合わせでキャスティングボードを握ろうとしているのか。

政策、政治手法の違う政党が寄り集まってもうまくいかないのは約19年前に経験済みだ。その失敗を繰り返さないためにも、あの時は「何の木」で、何故枯れたのかを検証すべきだ。小沢さんという強力な肥料に頼る危険性は拭えない。

19年前、自民党・宮沢政権への内閣不信任決議案が可決した。その時自民党から武村さんらが離党し、「新党・さきがけ」、続いて小沢、羽田さんらが「新政党」を結成し、選挙戦では自民党が過半数割れし、小沢さんの新生党、細川さんの日本新党、武村さんの「さきがけ」が躍進した。

当時、細川さんは政治腐敗、既成政党不信に加え政治改革、行政改革が遅々として進まないこともあって、保守、革新の二大政党ではなく、政権交代の可能な保守二大政党を目指していた。

当時の自民党総裁は河野さんで、細川さんは自民党と連立を組もうとしたが小沢さんから首相を打診され6党派の連立になった。細川政権は、日本新党、日本社会党、新生党、公明党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合、民主改革連合による非自民、非共産の連立政権になった。

こんなたくさんの党が政権の軸をつくるのだから主導権争いも起きるだろう。うまくいくはずがない。

政策も「政治改革」がメインテーマになり、細川さんと河野さんのトップ会談で小選挙区制が合意され、細川政権は公職選挙法、政治資金規正法、政党助成金など政治改革4法を成立させた。

河野さんは後日談で、政治改革がいつの間にか小選挙区制に鞍替えされたことを恥じ、小選挙区制より中選挙区制への再改正を望んでいるという。

これらの政治改革4法がその後の政治を改善したとは聞かない。

政治手法も対立があった。

小沢さんは、与党の意思決定機関として「連立与党代表者会議」を設置し、公明党との一・一ラインが権力を誇った。一方武村さんは官邸主導を提唱し、政府と政権与党でギクシャクする結果になった。権力の二重構造は小沢さんについて回る。

そして、政権内の権力闘争と相まって、消費税を止めて7%の国民福祉税構想が小沢、財務省で打ち上げられたが政権の反発もあり翌日撤回され、細川総理への求心力は一気に落ちて行った。

当時の連立政権の木は枝が細く、多すぎて見栄えの悪い木になり、剪定不良と小沢さんという強力な肥料で枯れてしまった。

政治手法は何故か鳩山政権での小沢さんも居た頃の民主党政権に似ている。小沢さんがいる限り権力の二重構造は避けられないのだ。

この「オリーブの木」構想もうまくいっていないと聞く。「政策の違い」が大きく、参加する政党、政治団体が結集を躊躇していることもあるだろうが、人気の高い「維新の会」との連立で生き残ろうとしていることに不純さを感じる。

第三極構想には注意が必要だ。

2012年8月25日土曜日

一向に改善しない円高、デフレ:日銀の金融政策は効果があるのか


日銀の金融政策は円高、デフレ対策に効果があるのか。毎月の金融政策決定会合が近づくと更なる金融緩和を日銀がやるのかどうかが問題になり、更なる緩和をやると市場は好感し株価は上がり為替は円安に動くが、追加緩和がないと市場はがっかりというところだ。

今までも日銀の決定は市場に一時的に影響があるが、長続きはしない。ところが米・FRBの動きは世界的にも注目され、9月に追加緩和に踏み切るのではないかと予測されている。

最近1週間の新聞報道では、米国の雇用の回復は遅れ、景気も減速懸念から追加緩和を検討しているらしい。方法としては2014年末までゼロ金利政策を延長することらしいが、15年度以降も継続する考えもあるようだ。

もう一つ、国債、不動産担保証券の資産を買い入れるQE3に踏み切るかどうかだ。しかし、米国経済指標は堅調という見方もあり、効果には疑問もあり、インフレリスク懸念もあることから異論があるようだ。

欧州経済はユーロ圏全体ではマイナス成長で、輸出の面から中国経済にも影響を与えている。

日本経済は、海外経済の減速、為替円高の影響はあるものの国内復興関連需要で堅調に推移し、「穏やかに持ち直しつつある」と判断している(最近の金融経済情勢と金融政策運営 2012.8.24 白川日銀総裁)。

そうは言っても、各国中央銀行の緩和政策の動きが出ると機械的にリンクしていないとは言っても、その動向は気になるようだ。

FRB、ECBが9月に追加金融緩和に踏み切るのではないかとの観測が強まり、様子見だった日銀も難しい判断を迫られるという(讀賣新聞2012.8.25)。

ところで、今の日本経済の円高、デフレ状況を見ると日銀の金融政策に円高、デフレ脱却効果があるのかと疑う。

産経新聞(2012.8.19)の主要企業アンケートによると優先的に取り組むべき政策は相変わらず「追加金融緩和など円高対策」が54%でトップだ。

日銀が今、金融政策運営をどう考えているかを先の白川総裁のレポートから知ることができる。

機会あるごとに日銀に更なる金融緩和が要求されるが、日銀は金融資産買い入れを来年6月末までに残高70兆円に積み上げようとしている。今57.8兆円だから更に12兆円の積み上げを行っている途中なのだ。金融緩和の効果は今後も間断なく強まっていくとみている。

金融緩和の波及効果として金融機関の貸出金利も低下しており、企業の金利支払いも低水準で推移し、低金利が企業の投資・支出の増加につながり、支出の増加が物価の上昇につながり、更にはインフレ率も上昇するとみている。

出発点はあくまでも金利水準の低下で、デフレからの脱却、物価安定の下で持続的成長を後押ししていると評価している。

一方で、最大の問題点は企業が国内での投資に魅力を感じていないと指摘する。外需を取り込み、内需を開拓することが必要で、政府の規制緩和、企業のビジネス・モデルの確立も欠かせないという。

当然だろう。企業は政府や日銀に規制緩和、更なる金融緩和を要求するが企業としてのイノベーションで売れる製品の開発など企業としての努力をしているのか。

円高については、日銀は特に何も言っていない。以前からマネタリーベースで通貨量が先進国の中で一番低水準にあり不足しているのではないかという民間エコノミストの指摘があるが、日銀は対GDP比で考えると先進国一高水準にあると反論する。

今後も政府債務残高問題で経済危機は続き、日本型の鈍化した市場が欧米などで長期間続く予測もある(「2050年の世界」英・エコノミスト誌 文芸春秋 2012年8月)。

日銀は「適切な金融政策運営に努めている」というが、一向に改善しない円高、デフレを考えると何か間違っているのではないかと考える。

2012年8月24日金曜日

尖閣、竹島領土問題での弱腰外交:「冷静、沈着な対応」が誤ったメッセージを送る?

参院特別委員会での野田総理
NHK国会中継 2012.8.24

尖閣諸島、竹島に関する対中韓・日本弱腰外交は国家主権にかかわる問題であるが、政府は「毅然たる対応」をとると言いながら、一方で「冷静な対応」に終始することにより、相手国に「恐れるに足らず」の誤ったメッセージを送り、解決どころかエスカレートするばかりだ。

海洋国家として、東京から遠く離れた国境の島であっても近隣諸国の不法侵略は、国民の生命、財産、安全を脅かすものであり、毅然とした対応が必要で警察、海上保安庁で対応できなければ自衛隊による防衛も考えなければならない。

ところが、こういう事態は発生した時、政府はいつも「毅然たる対応」をするという一方で、本音は「冷静・沈着な対応」を念頭に置き曖昧で甘い対応する。事を荒立たせず、双方の立場を考え、未来志向で全体に悪影響が出ないような対応を優先するために何の解決にもならず、面倒な問題は先送りするいつものパターンになる。

24日の参院特別委員会のNHK国会中継で日本外交の一部を知ることができた。

自民党の山谷議員が、野田総理が野党時代に国対委員長をしていた時、「自民党政権の弱腰外交を追求していたが、今野田政権は弱腰外交しているのはどうしてか」と問うていたが、明確な答弁は避けた。

竹島問題について

自民党・山本議員から出た韓国に対する通貨スワップで130億ドルから700億ドルへの拡充措置が10月に切れるがどうするのかとの質問では、融資枠縮小を検討しているようだ。この拡充は韓国の要請によった処置だったが、今回韓国は日本からの要請だったという情報を流したために抗議したという。仲がこじれてくると事実も正反対になるのだ。

メデイアでは、韓国への経済報復を示唆する意見も出てきている。

竹島への体制強化が必要になるが、予算、人の関係もある。北方領土の方もしっかりやらなければならないという。

慰安婦問題では、野田総理は「知恵を絞る」と発言したが、1965年に法的決着はついているが、それ以上に人道的に何ができるというのか、知恵とは何かと追及されたが、具体的に何かがあるわけではなさそうだ。

かえって、これが「何かしてくれるのか」と誤解を生む原因にもなっている。

武藤駐韓大使を一時呼び戻したが、外務大臣が会ったのは翌日の朝で、危機感がないのではないか。閣僚会議を何故開かなかったのかと職務怠慢を追及されたが、玄葉大臣はオールジャパンでの対応を指示していたという。でも反省しているとも言う。

ただ外交ルート上問題があったようだ。駐韓大使が韓国政府と連絡を取ろうとしたが、連絡がつかなかったという。以前にも何度かそういうことがあったようだ。これについては深刻に受け止めるべきではないかと言う。

大事な時にコミュニケーションをとろうとしても取れないことは確かに深刻だ。

また、すぐに大使を返してしまったのはなぜか。早すぎた帰任は間違ったメッセージを送ったことになり、もっと毅然たる対応をすべきだったのではないかとの質問に、大使も現地で抗議する仕事があるためだという。

世界にアピールするために国際司法裁判所(ICJ)に共同提訴を働きかけているが、実際問題としてICJでの議論も100件中4件で世界にあまり知られていないという。

韓国、国際社会にメッセージをどう伝えるか。今までは確かに自民党政権時は「韓国による不法占拠」としてきたが、民主党政権になって「法的に根拠のない支配」という表現に後退させたが、今回はっきり「不法占拠である」ことを発信した。夕方の野田総理の記者会見でも「不法占拠」を主張していた。

しかし、この「不法占拠」も国会審議で野党議員から執拗に質問され、外務大臣がやっと「不法占拠だ」と認め、野田総理も追認した。つい2~3日前のことだ。こんな民主政権の態度が、韓国に間違ったメッセージを送っていることにもなる。

尖閣問題について

海上保安庁が公開した台湾活動家
上陸時の映像
2012.8.27 民放テレビより
尖閣諸島は固有の領土であり、有効支配しているので問題ないが、今回の異常事態に際して外交問題はあり、方針を変えていく必要があるという見解を示した。

自民党・岸議員は、無人等で支配が脆弱ではないのか。自衛隊が駐留するとか、日本人が住むこともできるように避難港をつくってはどうかと提案、きちんと管理できるようにしなければならないのではという。国土交通相は、22年に要望が出され政府全体で検討しているという。

また、日本人は上陸できるようにしなければおかしい。だから相手が付け込んでくるという。

自民党・山谷議員は、強制送還の判断はどこから出たのか、石を投げても公務執行妨害になるという最高裁の判断があるが、何故入管65条適用になるのかとの質問に、野田総理は捜査機関の判断の報告などを受け、最終的に私が判断したという。

腰砕けの判断の責任を問われて、顔色を変えての反論だった。事を荒立てたくない、冷静沈着に、未来志向で対応したい気持ちがありありの国会質疑だった。

最後に山本議員と岸議員が「近いうちの解散」について「何時だ」と質問したが、野田総理は「それ以上でも、それ以下でもない。時期、時間までは含まれていない」と従来の考えを繰り返した。

やっぱり、谷垣総裁は騙されたことになるのか。

社会保障と税の一体改革、消費税増税関連法案成立に向けて、野田総理は何度も電話で強く要請し、解散について時期の明言はしなかったが谷垣さんは法案成立の了承をした。

野田総理のやり方は人間失格だ。問責決議案を出すと山本議員は息巻いた。

この日本外交の弱腰は、何も民主党政権で始まったことではない。竹島に施設、ヘリポートが建設されたのは自民党政権の時だ。自民党議員は民主党政権のやり方を批判ばかりするのではなく、オールジャパンで対応しなければならない外交問題だ。

東京都が測量のために上陸を申請しているが、24日の石原知事も記者会見で「自分も行く」という。石原知事の方が国民にとってはわかりやすい対応だ。

2012年8月23日木曜日

原発ゼロ:その理想と現実

22日の再稼働に反対する市民
団体との面会での野田総理
NHK おはよう日本
2012.8.22

「原発ゼロ」は理想なのか、それとも現実に可能なのか。将来のエネルギー戦略は国民生活、産業構造に大きく影響する政策課題であるが、その中でも原発政策は脱原発か否かで国論が分かれる様相を呈してきた。政府は大飯原発再稼働にあたっては、国民の生活などへの影響を考慮し高度の政治判断をした。

しかし、高まる脱原発の動きに、政府は2030年までに原発比率を「0%」「15%」「20~25%」の3案について国民の意見を聞く試みを実施した。

新聞報道によると、討論型世論調査では電話調査では「0%」が32.6%だったのが、討論後は46.7%になったという。討論前に原発ゼロと考えている人が33%いるということは通常考えられることであるが、討論後に47%近くになったことに驚く。そのほかに「15%」が15.4%、「20~25%」が13%だったという。

討論型世論調査での原発比率
NHK おはよう日本
2012.8.23
どんな情報を得て考えが変わったのか。そこが問題だ。原発依存を考える時に正確で、十分な情報を得ていたかどうかが大事なのだ。これはこれから総選挙などで脱原発が争点になり、YESかNOの候補者を選ぶ時も同様だ。

また、パブリックコメント(意見公募)も行われた。

途中集計らしいが、それによると、「即刻原発ゼロ」は81%、「段階的になくす」が8.6%で合計89.6%の人が原発依存比ゼロを支持している。

これらから判断すると、原発依存ゼロを目指さなければならないが、政府は原発政策をどう政治判断するのだろうか。

代替エネルギーである再生可能エネルギーである太陽光発電、風力発電などをどう考えるのか。天然ガス、石油など海外に頼らなければならない火力発電への不確定要素、それぞれの発電コストはどうなるのか。国内産業に及ぼす影響はどうか。原発を維持すると考えるとその安全性、放射性廃棄物の処理、使用済み核燃料の処理など解決のめどが立っていない問題にどう対応するのか。

国民の生活、産業に及ぼす影響としては発電コストがある。

エネルギー白書2010によると、1kWhあたり太陽光発電49円、地熱8~22円、風力10~14円、水力8~13円、火力7~8円、原子力5~6円だ。しかし原子力について政策的に非常に低く設定されていたが見直しの結果9~10円という数値を見たことがある。

一方、国家戦略室の試算では天然ガス火力10.7円、石炭火力9.5円、原子力9円でほぼ横並びということになる。燃料費の占める割合は天然ガス火力で約90%、石炭火力で約70%であるのに原子力は約10%で、エネルギー安全保障を考えると原子力は限りなく国産の電源になることは確かだ。

風力発電、太陽光発電が脚光を浴びているが、単独での電源としては頼りなく、火力発電のバックアップがあってはじめて成り立つ電源だ。

かといって、原子力発電の安全性には大きな疑問が残る。今回の福島第一原発の事故は地震、津波に起因するとはいえ東電経営陣の安全意識の欠陥によるところが大きい。一度事故が起きると取り返しのつかない事態になることは今回の事故が証明し、未だ解決にも至っていない。

おまけに事故調査で提出が求められた会議録画ビデオも手が加えられた一部の画像で原因究明に役立つ内容ではない。

原子力三原則は「公開」「民主」「自主」であるが、情報公開を渋ることは安全を蔑にすることはあってはならないことであり原発に対する大きな弱点だ。

もうひとつ、原発の安全性で問題になっているのが、施設の直下に活断層と思われる断層があることだ。原発の建設ラッシュの時は「原発ありき」でその断層の評価も捻じ曲げられていた傾向にある。3.11以降、活断層評価も厳しくなって再調査が原子力安全・保安院から指示されている。万一活断層ともなれば当然運転停止、廃炉になる。

原発に対する国民の目は厳しくなっていることはわかる。政府も脱原発に対する検討を始めた。

脱原発は理想であるが、現実論としてゼロが妥当かどうか、国民が判断できる資料の提出が要求される。

ところで、英・エコノミスト誌が「2050年の世界」で40年後の世界のトレンドを予測しているが、その中で原発がどう評価されているか調べてみた。
「知識と科学」の項で、今後40年でエネルギー価格は安くなるだろうと予測している。

原発ではウラン燃料の水冷式から脱却し、安全性の高いトリウム溶融塩炉に移行すればエネルギー価格の低下に貢献するかもしれないという。今考えられている再生可能エネルギーについては金食い虫になるだろうから熱心に補助金をつぎ込んでいることに孫たちの世代はびっくりするだろうとも言うが、脱原発の動きに関しては何ら記述がない。

そういう意味では不完全な将来予測である。

2012年8月22日水曜日

民主党の凋落:要因はマニフェスト違反より期待はずれか

09衆院選 各党の政権公約
読売新聞2009.8.30

政権に就いて3年、財政再建に向けた社会保障と税の一体改革、消費税増税関連法案を何とか成立させた民主党政権だったが、造反、分裂で凋落傾向にある。その要因はマニフェスト違反よりも政権選択への期待外れが大きいのではないか。

2009年の政権選択選挙では時の政権政党の自民党は、景気回復、雇用、老後、子育てに不安のない「安心社会」、景気回復後の消費税率引き上げを掲げ「政党の責任力」を問えば、野党だった民主党は官僚主導の政治から国民参加の新しい政権を作り出す革命的目的を持った政権交代だとする一方で、「生活が第一」とわかりやすいキャッチフレーズで戦った。

当時、自民党は国民の信を問うことなく総理の座をたらい回しし、民主党から「すでに統治能力を失っている」と言わしめたが、今は全く逆のことが当てはまっている。

今一番野党から「マニフェスト違反だ」と追及され続けている消費税増税に自民、民主はどう考えていたのか。

自民党・麻生首相(当時)は、景気回復後に消費税引き上げをめざし、当面の景気対策は財政出動で「景気の底割れ」を防止することを最優先で考えていた。民主党の鳩山代表(当時)は、政権を取っても4年間、消費税増税はしないと宣言し政治の仕組みから見直して財源を捻出するというのだ。

この約束に反して消費税増税に突き進む野田総理は、支持率を大きく下げることになった。野田総理は、マニフェストに載せていなかった政策でも緊急性があり、やらなければならないものもあると抗弁するが理解されにくい。おまけに2009年当時のマニフェスの作成過程も問題になり、新聞報道では次回の衆議院選でのマニフェストでは実現可能で、作成過程も分かりやすい見直しをやっているという。

2009年の政権選択選挙で国民は政策(マニフェスト)で民主党を選んだのだろうか。

朝日新聞(2009.7.19)の世論調査によると、投票先を決める判断材料では実績(20%)よりも期待(79%)を重視するといい、投票した政党が政権を担当し、実績が期待を外れたら次の選挙では「別の政党に投票」(59%)するという。投票先は比較的容易に変わるのだ。

政党や候補者を決める時も重要な判断材料は、「これからの期待」(47%)が「政党の掲げる公約」(19%)を大きく引き離している(同上)。

その政党の掲げる公約を、当時9団体が比較検証した「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)が主催した公約検証大会が開かれた。

それによると、総合評価で3団体が自民優位、4団体が民主優位で2団体が同点だった。数値目標をより明確に示したとして民主党への「期待値」が高まる一方で、政策の実現性については自民党に「安定感」の評価が集まった(朝日新聞2009.8.10)。

実績、実力のほどは不透明であるが、民主党への期待が大きいことがわかる。

政権運営ビジョンでは民主党が全団体から高い評価を受け、自民党は首相がコロコロ変わり政権運営でのビジョンが重視されていないと指摘されていたが、今はどうか。民主党も首相がコロコロ変わり政権運営なんて全く不安定だ。政策決定プロセスも不明朗でゴタゴタの要因になっている。

比較検証した9団体もいい加減な評価か。

麻生さんは2009年衆院選で、「経済成長戦略を持たない民主党に経済政策をやれるはずがない」、「党内の意見集約もできない政党に日本の安全を任せるわけにいかない」と民主党の経済政策、外交・安保に批判の矛先を向けていた。

今考えると麻生さんの指摘は的中していないか。

新しい政権が新しい政治を印象付けるには「政策の刷新」が必要であることはわかるが、「新しさ」、「改善」だけを訴えるメデイア戦術先行型のキャンぺーンには注意しなければならない。

民主党も国民に「期待外れ」と判断されれば、次の選挙では第一党も覚束ないだろう。

2012年8月21日火曜日

同時に読まない方が良い? 「2050年の世界」と「専門家の予測はサルにも劣る」


左:2050年の世界 英エコノミスト編集部
文芸春秋 2012年8月
右:専門家の予測はサルにも劣る
ダン・ガードナー 
飛鳥新社 2012年5月
同時に読まない方が良いのだろうか? 「2050年の世界」と「専門家の予測はサルにも劣る」を新聞の書評欄を見て通販で買ってしまった。英・エコノミスト誌が2050年の世界がどうなっているかを予測した「2050年の世界」と、専門家が自信を持って、こうなると予測したことはほとんど外れているというダン・ガードナーの「専門家の予測はさるにも劣る」の2冊の本だ。

チョッと考えてしまった。どちらを先に読もうかと。でも短時間で読みあがらないし、同じ本をずっと読むと飽きてしまうので交互に読むことにした。

この「2050年の世界」の目的は、あらゆる側面から世界を変革するトレンドによって2050年の世界がどのように形作られるかを予測することで、一見非常識なほど大きな野望に思えるかもしれないと言いながらも、一方で「専門家の予測はサルにも劣る」で論証されている通り、人類の歴史には100%でたらめな予言がちりばめられていることにも触れている。

しかし、「2050年の世界」は未来を予測してみる価値はあると言い、基本的には楽観的立場をとっていると解説する。

多義にわたる分野で世界のトレンドから予測しているが、日本に関する記述を拾ってみた。

日本は世界的にも高齢化比率は最高レベルを維持し、2050年には被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べる高齢化の進んだ社会になるという。人口動態で突出した世代があるがその世代が労働年齢に達する地域は急成長し、リタイヤする被扶養世代になると成長は止まる。

日本に次ぐ第2位はヨーロッパだが、これらの国ぐにがどう反応するかはわからないという。

高齢化と税収減少による国家財政の悪化は世界的な現象であるが、改革によって防ぐこともできるというが、その改革とは年金や保険医療分野における徴税額の上昇に歯止めをかけることだという。年金については雇用期間の延長、富裕層には選択的に支払わないなどの措置、健康医療費については貧困層、弱者には政府が援助し、そうでない部分では民間の医療保険に市場を開放するなどの方法があるという。日本で導入が可能?。

世界経済で最も重要な地位を占めるのはアジア経済で、2050年には世界の半分がアジア経済だという。

そんな中で、日本は急速にプレゼンスを失っていく。世界経済に占める日本のGDPは、2010年に5.8%だったのが2030年には3.4%、2050年には1.9%になり、経済成長のスピードも今後40年を通じて1.1~1.2%を占めると予測している。

1人当たりのGDPを見ると2050年には日本はアメリカの58.3%に。因みに韓国は105%、ドイツ87.7%、フランス75.4%だ。

とは言いながら、経済学は大きな強みを持っているが、40年後の成長予測はできないという。その強みに含まれていないというのだ。

また、今、尖閣諸島、竹島問題は日中、日韓の紛争地域になっているが、日本、韓国、台湾の東アジア地域におけるアメリカの安全保障体制を脅かすほど中国は軍事大国として力を身につけるだろうと見ている。

一方、「専門家の予測はサルにも劣る」では、多数の事例を上げながら、専門家の予測が外れっぱなしであることを説明している。

特に経済学者の予測というものは、最も必要とされるときに、最も正確性を欠くものだという事実が、ほぼ世界共通であることが証明されているとも言う。

2冊の本を交互に読んでいると、この予測はあっているのか、外れているのかが頭をよぎる。

結論は「予測できない」が一番あたっている予測なのかもしれない。しかし、「こういう予測もできるのか」と参考にする価値はあるかもしれない。

2012年8月19日日曜日

想像を絶する被害をもたらす富士山大噴火が近いのか

宝永の大噴火で出来た巨大な火口
富士山噴火と崩壊の危険
2011.12.15テレビ朝日スクランブル

もし噴火したら想像を絶する被害をもたらす富士山大噴火が近いのか。800年、864年、1083年と平安時代の3度の噴火から620年後の1707年(宝永4年10月4日)の宝永大噴火、そして今まで300年が経過し、メデイアは最近、3.11の東日本大震災後の富士山直下の地震の発生や富士山周辺の異常を伝え富士山大噴火が近いのではないかと危機感をつのらす。

更に悪いことに、山体崩壊の危険もあるのだ。富士山直下に活断層らしい断層が見つかった。この周辺には富士川河口断層帯、神縄・国府津―松田断層帯が存在しリング状になる。東海・東南海・南海地震の同時発生でも起きればM9クラスの地震になり、富士山噴火も誘発することは間違いないという。

宝永の大噴火は、東海・東南海・南海地震が連動した宝永大地震の49日後に発生している。

富士山直下に活断層と見られる断層
周辺には富士川河口断層帯、神縄・
国府津ー松田断層帯がリング状に
存在する TBSテレビ
NEWS23 2012.5.10
宝永大噴火は、平安時代の噴火から600年以上たっているので相当のエネルギーが溜まっていたために巨大な規模の災害をもたらしたのだろうが、それから300年たった今、噴火があってもそれ相当の規模になるらしい。

天気のいい時は、私の住んでいる近くの東急池上線御嶽山駅から富士山を眺めることができる。富士山は約1000万年前に海底で堆積した火山岩類の上に噴出した火山体で、小御岳、古富士火山の噴出物を覆う形で新富士火山体をなしている。

週刊誌などで「3年以内に富士山は噴火する可能性が高い」という記事を最近見受けるが、警告するのは琉球大学名誉教授の木村政昭さんだ。

名誉教授は、火山の噴火は周辺で小さな地震活動が頻発した時期から、35年±4年後発生している。富士山周辺では1976年に地震が頻発したから35年後の2011年から±4年のうちに噴火する可能性が高いという(週刊現代 8月18,25日 3年で富士山は噴火する)。

近隣の住宅地では異常出水が各所に
見られる 富士山異常直撃
2012.2.5 テレビ朝日 スクランブル
富士山周辺での地震というと2011年3月15日、午後10時31分、M6クラスの富士山直下地震が発生し、その時は大量の岩、土砂が崩れ落ちたという。
更に周辺ではマグマ上昇による山体の温度上昇が原因ではないかと思われる異常が続いている。テレビで報道された事象に住宅地での異常出水、洞窟内での氷の溶解、コウモリの異常繁殖などがある。

以前にも、富士山の永久凍土の標高が段々上に移っているという調査報告を見たことがある。これも関連しているのではなかろうか。

こういった動きから、各自治体も富士山大噴火の被害想定シミュレーション、防災対策をやっている。

被害総額は2兆5000億円と見られているが、それを鵜呑みにする者はいないだろう。

富士山噴火の首都圏への影響
テレビ朝日 スクランブル
2011.12.15
降り積もる火山灰は、富士山近くで50cm以上、遠く離れた東京、千葉、埼玉でも2cmが予想されているが、交通、通信、電気機器、健康などへの影響は計り知れないし、停電、飲料水への影響も要注意だ。

古文書などから降砂被害は想像を絶するものであったことが分かる。灼熱の火山弾で火災が発生し、全滅する村が多発し、田畑も深い砂で埋まった。勿論農産物は全滅だ。雨が降れば河川に流れ込み酒匂川では川底が異常に上がり大洪水をもたらすなど2次災害での被害も広範囲で長期にわたったという(富士山宝永大爆発 永原慶二 集英社新書2002年)。

3年後と言うと、もうすぐではないか。

溶岩流シミュレーション
御殿場市ハザードマップ
いつ起きても不思議ではない首都直下地震あるいは東海地震、そして富士山大噴火にどう対応するのか。おまけにほとんど同時発生なのだ。










2012.2.9 富士山大噴火は、避けることの出来ない自然現象の繰り返し
                  

国難を乗り切る新政権を:野田さんはもう終わり、谷垣さんでは不安


一体改革関連法案成立で「お詫び」と
「感謝」の記者会見をする野田総理
民主党HPより
野田さんではもうダメ、谷垣さんでは不安、国難を乗り切るためには新政権の誕生が望まれる。今の政局は、難題山積での政治機能不全、既成政党への不信の一方、第三極への期待の高まりで政局は混とんとしてきた。

おまけにわかりにくい政治が続く。

3党合意に基づき社会保障と税の一体改革、消費税増税関連法案が可決・成立したが、谷垣さんが執着する解散時期については「近いうち」の玉虫色の決着で早速混乱が始まった。

谷垣さんは、「今国会会期中」と思っているようだが、野田総理は特例公債法、2013年度概算要求基準など予算編成へ足を突っ込んできた。

これに谷垣さんは怒り、内閣不信任決議案、問責決議案の提出で解散・総選挙を迫るという。

では、あの時の野党7会派の内閣不信任決議案での欠席戦術はなんだったのか。法案を通すための苦肉の策だったのか。小沢さん主導の戦術には賛成できなかったのか。それとも党内領袖クラスの考えに左右されたのか。

野田総理は、政治生命をかけると言った社会保障と税の一体改革、消費税増税関連法案成立で退陣すべきだろう。コロコロ総理を変えるわけにはいかないので、代表選は野田代表再選だ。

3党党首会談後会談内容を発表する
谷垣総裁 8月8日
自由民主党HPより
一方、自民党の谷垣総裁には不安が残る。内閣不信任決議案、問責決議案ではブレまくっている。

2人で密室談合をやったようだが、騙されどうしだ。

更に、2人とも財務相経験者として財務省に牛耳られた格好だ。増税へGO判断をする来年中頃は、この2人は政権内にあってほしくない。

「政治は国民が決める」と優等生の発言も見受けられるが、それなら一日も早く国民の判断を仰ぐための解散・総選挙を実施すべきではないか。

2012年8月18日土曜日

野田民主党政権よ 「今は負けるから選挙はダメ」では情けなさ過ぎないか

「近いうち」の時期について参院審議
で質問を受ける野田総理
2012.8.10 TBSテレビ ひるおび

「「近いうち」に国民に信を問う」という合意事項が、不明確なために解散時期についていろんな説が飛び交っている。しかし、民主党の中に「今、選挙になれば負けるからダメ」という考えが多いことはわかるが、国会議員として余りにも情けなくないか。

逆に、自民党は「今、選挙をやれば勝てるから早期解散を」というのも当然とは思うが、国会議員として恥ずかしくないか。

確か議員は常在戦場でいつ解散になってもいいように緊張感を持って政治にあたるべきであるが、そんな意識に欠けているのではないかと疑問に思う。

確かに、行政能力未知数の民主党が大変な時に政権の座に就いたことに同情すべき点もある。

リーマンショックの実体経済への影響、景気後退での税収不足、在日米軍問題、3.11東日本大震災それに続く原発事故などは経験不足の民主党政権では荷が重すぎる政策課題であるが、自民党が政権にあったとしても、うまく対応できていたとは思えない。。

しかし、自らの失政も大きい。 

反自民で耳さわりのいい政策を並べ、これで日本は変わるんだという意識を国民に植え付けたが、マニフェスト違反と野党から追及され、解散・総選挙を突き付けられどうしだ。

決まり文句であった「政治主導」も、国家戦略局構想の行き詰まりで、肝心の予算編成権も財務省に取り戻される始末で、無駄削減を謳った事業仕分けも財務省の手の内で操られる始末だ。

財務省指導による財政再建に向けた消費税増税は菅政権がつまずき始め、続く野田政権で社会保障と税の一体改革、消費税増税に突き進み関連法案が成立したが、野田政権の人気は下落し、政権与党の民主党は崩壊寸前だ。

財政再建への道筋ができたとムーデイーズなど市場は評価したが、野田政権の支持率は上がらず、逆に政治機能は不安定で「民主党滅びて増税あり」の状態だ。

外交にも失点が多い。先の尖閣諸島への香港の活動家による不法上陸事件も、国内法で厳罰に処すべき事案でありながら、早期決着を画策する野田政権は早々と強制送還処分にした。

野田総理と谷垣総裁による会談で「近いうちに解散」の合意はできたが、時期は不明朗で、2人の間にまだ秘密の約束事があるかのようだが、憶測が飛び解散・総選挙モードに近い。

秋頃とか来年早々と言われているが、判断するのか野田総理だ。民主党に不利な選挙を強行し、大惨敗の導く判断ができるだろうか。

少しでも政権の支持率を上げようと努力するのが当然としても、どんな政策で評価を受けることができるのか。

どうしても政治となると、高額所得者や企業に有利な政策になり、中間層に受ける政策は難しい。人気を上げる手立てはない。

寧ろ、今の混とんとした政界、実現不可能なマニフェストという負の遺産を抱えたままの民主党政権をクリヤーするためも解散・総選挙を急ぐべきではないか。

皮肉なことだが、野田総理が解散・総選挙を決断することが一番評価を得ることになるのか。

解散・総選挙:候補者のよって立つ政党に思い入れがあるのか


総選挙で候補者のよって立つ政党に思い入れがあるのか。そんな気がしてきた今の政界だ。近づく総選挙では3つの地域政党が政党化に向けた現役国会議員の取り込みが激しくなってきた。民主党は今回の消費税増税で造反者を抱え、それらの人たちが何時離党してもおかしくない不安定な状態が続いている。一方の自民党も総理経験者の安倍さんが地域政党へ移るのではないかと思われていたが、その意向は否定された。

維新の会も現役議員なら誰でもいいわけではなく、政治の中枢で活躍した経験者がほしいらしい。

新しく選ばれる候補者、政党を移ろうとする既存政治家の意識は一体どうなんだ。

理由に挙げられるのが、考え方、政策目標が近いという。民主党政権が原発再稼働、消費税増税に動いているのだからその反対で、「脱原発」「増税反対」が大きな選択テーマになるだろうが、そのほかの政策課題で考えが一致しているのか。

2の政策課題は同じだが、憲法改正、外交、政治改革、公務員改革などで異なり烏合の衆になる可能性はないのか。その結果、肝心な時に党内がギクシャクし政治が進まないことになる。

選挙区の問題も大きい。特に比例区選出の議員は地盤を持ちたいだろう。今の政党では宙ぶらりんなので新しい政党に移り地盤を得ようとする。

また参議院から衆議院への鞍替えを目論むこともある。閣僚、総理を狙おうとする野心があれば衆議院の方がいい。残念なことだが、今の参議院は衆議院のコピーであり、衆議院で籍を失った者の救済の場が参議院になっている。

政治実績もあり、新しい政党の看板になりそうな現役議員を引き抜く動きもある。既成政党だと活躍の場が少ないが、新しい党になると活躍の場ができてくることに期待をする。

そして何よりも勢いのある政党、政治団体に移り当選の可能性を大きくしたいのだ。民主党では落ち目で惨敗が予想されるが、維新の会では当選の可能性が出てくる。

新しい候補者、既存政治家の政党選びには、それぞれの思惑があり有権者はその選択に厳しい目を向ける必要があるのではないか。支援する議員が政党を変われば、支持者も政党を変わるのか。

それなら利権を求めている行動ではないか。

「既存の政治家ではなく、新しい政治家を選ばなければならない」とは、維新の会の橋下さんが言ったと思うのだが。

2012年8月17日金曜日

尖閣不法上陸事件:国益を守るのは強制送還か、刑事手続きか


尖閣諸島への不法上陸
を伝える読売新聞
2012.8.16
本土からは遠く離れた国境の島だが石垣島からは近い尖閣諸島に香港の活動家らが不法上陸し、日本の領海、領土侵犯事件を起こした。こういった事件がおきるたびに政府は右往左往するが、国益を守るのは早期強制送還か、じっくり時間をかけて刑事手続きで厳しく対応することか、国論も二分している。

国民の生命、財産、安全を守るためにも、領海、領土侵犯は許しがたい行為であり、同じ行為の繰り返し、更にはエスカレートし占有されることを防止するためにも厳罰に処すべきである。

しかし、多くの場合高度の政治的判断で強制送還される場合が多い。相手国である中国、台湾からの早期の釈放、安全確保が強く要求されれば弱腰の日本政府は折れてしまう。

こんな暴力的で無法な行為に対して何故、安全確保を要求されるのか。

国益を守り、このような行為がエスカレートするのを防止するためには、刑事手続きをし、送検し国内法に沿って厳罰に処すことだ。そしてこのような行為の背景もしっかり把握し国民に開示すべきだ。

ところが、今回も海上保安庁が入管難民法違反で逮捕した9人は、刑事処分不要で身柄を入管に移し強制送還することになったという。

一方、沖縄県警が逮捕した5人も入管に移し、強制送還するらしい。

政府が日中関係への影響を恐れての強制送還処分で早期決着を図ったらしい。

野田総理は当初、官邸での記者の質問に「法令にのっとり厳正に対処する」と発言していたが、逮捕、強制送還は尖閣諸島における我が国の実効支配を補強できたと考えているのだろうか。

2年前の菅政権時も、巡視船への体当たり行為などがあり、公務執行妨害で逮捕され、検察庁に送検されたまではよかったが、那覇地検が高度の政治判断で釈放し強制送還処分になった。

当時は、APEC開催も控えて中国の不参加を回避するために政府が地検に高度の政治判断を要求したと言われている。

しかし、その後大きな禍根を残したことは疑いのないことである。

韓国の大統領の竹島上陸も含めて、国境の島の安全が脅かされている。両島ともに海産物加工の実績がある島で、疑いない我が国固有の領土だ。

尖閣諸島については、竹島のようにならないように実効支配を目で分かるように港湾施設などを建設し自衛隊艦船などの常備が必要ではないか。

また、領土を侵されてまで香港、中国に配慮すべき理由があるのか。政府はしっかり説明すべきだ。

第三極構想は、「維新の会」より「みんなの党」を軸に


みんなの党HPより
ここ数日のメデイアの世論調査、第三極構想で「維新の会」への期待が大きい報道が目立つが、まずは「維新の会」より「みんなの党」を軸に考えるべきではないのか。ポピュリズムを煽るような報道は小泉劇場で反省したはずだ。今の難しい政局を橋下さんの個人的人気だけの地域政党に任せるわけにはいかないのではないか。

野田、谷垣の密室政治で何が決まったのかわからないが、「近いうち」に解散・総選挙の可能性が出てきたことで、「維新の会」が政党化で次の総選挙に打って出ようとし、それに現役国会議員が参加し保守結集するというのだ。

如何に新党だと言っても国政未経験の人材の寄せ集めでは第三極として連立は難しく、現役のしかも政権を担ったこともある人材が欲しいのだろう。

確かに、「維新の会」への期待は大きい。大阪での橋下さんの行政、言動を見ていると国民の怒りに真っ向から切り込んでいることに共感すべき面が大きい。

讀賣新聞(2012.8.14)の世論調査での衆院選ブロック別の比例投票先調査でも、民主を抑えて第2位に位置し、政権与党を追い落とす勢いには驚かされる。

しかも、最近の週刊誌では次期衆院選での当落予想を実施しているが、「維新の会」の候補者が不明なのに候補者を出した場合のことを考慮した結果でも無党派層、若手有権者を吸収し好成績が予想されている。

讀賣新聞(2012.8.13)の全国世論調査での次の衆議院選挙の比例代表選挙では、どの政党や政治団体に投票しようと思うかとの設問に、「大阪維新の会」16%(民主党11%、自民党21%)でここでも期待が大きい。

しかし、私は「維新の会」より「みんなの党」を軸に第三極を考えた方が良いと思う。

先の世論調査で「みんなの党」の支持は6%だったが、国会審議などでもいい質問をしているし、行政に実績のある人材もいる。

増税の前にやらなければならないことを、口を酸っぱくして国会で追及している。共感すべき点が多い。

「みんなの党」を政権の中にあって活躍させたい政党ではないだろうか。

メデイアのポピュリズムの乗せられず、NHKの国会中継での審議をよく聞いて、第三極構想を考えるべきではないか。

「維新の会」が国政に出てこようが、すぐに連立を組める勢力ではなく、一期を様子見にし、次の次に期待した方が良いのではないか。

細川政権の失敗、民主党政権の期待薄を考えた時に、新党への期待は要注意なのだ。

2012年8月10日金曜日

188vs49:大きな不安を抱えたまま消費税増税法案可決・成立へ

消費税増税法案の可決・成立を
報じるNHK参院本会議中継
2012.8.10

大きな不安、不満と疑惑を抱えたまま消費税増税法案が10日午後、参院本会議を188vs49で可決・成立した。8法案のうち消費税増税は記名式だったが、他の法案はボタン式で粛々と投票がすすんだ。

本会議の国会中継があるとは知らなかったので、そろそろ結果も出ている頃だろうとNHKにチャンネルを回したら、提出法案に対する賛成、反対の討論が交互にされていた。

民主党議員は世界に冠たる社会保障制度を維持するためには社会保障と税の一体改革は必要で国論を二分することになったが政治が決断した。また3党合意で政治も進化してきた。財政危機が生活を直撃しているが、安定財源として公平な消費税増税は必要だ。80時間かけて審議してきたことに敬意を表すると賛成論を打った。

みんなの党の小野議員は反対理由として、民主党は約束に反する。2009年シロアリ退治を訴えたが、シロアリ退治は出来ず国民を欺罔している。天下り、公務員給与などやるべきことは山ほどあるが、名ばかりで内容は増税後に検討することになっている。デフレ下での増税派一層景気を悪くし税収増はない。3党合意で手を加えられ曖昧になり、再増税に縛りがなくなり、財務省のフリーハンドだ。また、財政再建にはつながらない公共事業拡大にのめり込んでいる。シロアリはウヨウヨしており、自民党は国土強靭化基本法案で10年間に200兆円の大盤振る舞いを考えているなど理由を挙げ、反対し、早く国民の判断を仰げと主張した。

小野議員の国会審議の内容は国会中継で聞くことが多かったが、消費税増税法案の問題点をよくつかんでいた。

自民党の中村議員は民主党のいい加減な政策が3党協議で合意に達し、いい法案になった。これから本格意的な改革が始まるだろうと自民党が法案の修正に加わったことを評価した。そして国民の声、現場の声を聴くために国民の審判を仰げと解散・総選挙を訴えた。

共産党の市田さんは、満身の怒りを込めて反対討論をした。自民・公明は公約違反と言いながら公約違反を押し付けることをやった。低所得者のことを考えるのであれば増税はしない方がいい。更に(増税分を価格に転嫁できない)中小企業の負担をどうするのか。廃業の危機にあると訴える。メデイアの報道でもこのことを指摘する人は多い。経済に大打撃を与え、財政は悪化、社会保障解体法案だと皮肉った。

公明党の荒木議員は、廃案の危機にあったことは政府の責任だとしたが、衆議院を通った法案を3党で見直し、議員立法とした点を評価し賛成討論したが、早期に解散し国民の信を問えと訴えた。

社民党の又市議員は、談合による法案に反対だとし、(社会保障と税の一体改革の)全体像を示して財源をどうするかを考えるべきだと主張、デフレ下での増税派可処分所得を減らす。高額所得者への課税を70%から40%にし、法人税を43.3%から30%へ下げたことで20兆円の減収になったではないか批判した。この点は経済学者がよく指摘するところだ。そして、増税への怒りは燃え上がる。政治家は良心を取り戻し反対せよと訴えた。

無駄の削減、身を切る改革が中途半端で、社会保障と税の一体改革の全体像が見えない中での増税が先行する政治に不安と不満は大きい。

デフレ下での増税は常識で考えれば税収減で、財政再建など程遠いと思うが、政府による納得のいく説明は国会審議では聞けていない。実際のところはわからないのだろう。正直に言わないところに政府に対しする不信が募る。

そして、社会保障と税の一体改革で可処分所得が大きく減少することだが国民は納得しているのか。国会審議でこの点を聞かれた野田総理は減収ばかりを話題にするが受益分もあると抗弁していた。

一体改革関連法案は参院を通過し成立することになったが、財政再建に向け将来の明るさが見えて来たかというと逆ではないか。

賛成討論した議員でも、早く国民に信を問えという。丁度参院特別委員会でも「近いうち」「3党合意の効力」について質問が出ていた。野田総理は時期の明確化はできない。3党合意の効力は総理が変われば効力はなくなるが、3党合意というものに基づいて考えなければならないという意味の答弁をしていた。

大きな不安と不満の払拭できない一体改革が緒についたことになる。消費税増税施行に向けGO判断する政権がどんな政権かわからないが財務省の息のかかった政権であってほしくないと願う。

「決められる政治」に拘る野田総理の危うさ


党内政治基盤も脆弱で、力不足の野田総理が実力以上の「決められる政治」へ突き進むのだから、いろんな障害が出て来るし、党内不協和音は高まるばかりで危うさを感じざるを得ない。政治生命をかけた一体改革関連法案も党内の一致結束が無理とわかると、民・自・公の3党合意で成立を期そうとしたが、これも叶わないと見ると、民・自の党首会談で打開策を探った。たまたま自民党も消費税を10%に増税する公約を謳っていたので、今回は成功したかに思えた。

野田総理も「決められる政治」が維持できたと高く自負したが、自民党・谷垣総裁の要求した解散確約は明言を避けざるを得なかった。

総理が解散に言及しようものなら、政権はぶっ飛び、民主党は完全に分裂の危機なのだ。

野党7会派の内閣不信任決議案の採決でも民・自から賛成者が出てきた。参院本会議での採決になると造反者は増えるだろうと見られている。野田総理、谷垣総裁では党内をまとめることは難しくなってきている。

9日の長崎での野田総理記者会見で、特例公債法など続く政策課題に言及した。何やら菅前総理の退陣要求の時の様相と同じになってきたが、菅前総理の時は新しい代表を選んで総理にすればよかったが、今回民主党は政権の座から降ろされる可能性が高いのだ。

野田総理も一体改革では陣頭指揮で「決められる政治」を推進したが、TPPは先延ばし、特例公債法もそこまでやるのかと自民党は批判され、選挙制度改革では各党の思惑ちがいでまとまりそうにない。

自民党は、10日の法案の参院通過後、速やかに解散するシナリオを描いているが、野田総理のシナリオと一致するのか。

今のような「決められる政治」では、内閣の人気を挽回することは出来そうにないのだが。二進も三進もいかないことは野田総理自身がよくわかっているのか。

決められる政治を進めるには、汗をかいてくれる味方が必要だが、それが財務省では反感を買うばかりではないか。

解散しようにも負け戦が決まっている選挙に挑戦するのは避けたいところだろう。

選挙を控えて政治判断が狂っていないか


選挙を控えて、政治判断が狂っているように思えないか。政府と国会の意見が違ってくると国民の意見を確認するために、総理は解散・総選挙に打って出るのが常識と思うが、一体改革関連法案、消費税増税の政局にあって野田総理や政権与党の民主党は解散先送りを画策している。

民主党政権は菅政権の時から「法案成立後、増税実施前に国民の信を問う」と言っていた。
だから「法案成立後、近いうちに国民の信を問う」という合意は決してぶれてはいない。

ところが、自民党始め野党は「マニフェスト違反だ」として、法案成立前に国民に信を問えという。真っ当な意見だ。

しかし、増税は選挙にマイナスであることがわかっている民主党は早期の解散・総選挙は控えたいところだ。さらに今のように増税にひた走る野田総理の求心力が落ちた段階では尚更だ。

「今、選挙は出来っこない」は、民主党議員の共通の思いだろうが、常在戦場と言われる国会議員にあっては情けないことだ。

党内分裂、離党者が出た民主党内事情もあり、野田総理は民・自・公の3党に頼る動きに舵切りしたが、この「3本の矢」も一本は細すぎるし、残る2本はひびや割れ目の出来た状態では結束など期待できない。

寧ろ、強引な3党合意、民・自の密室政治は、今後に大きな禍根を残した。一体改革法案の争点が埋没し、民主党の標榜した「開かれた政治」「わかる政治」に汚点を残す結果になった。

一体改革に政治生命をかける野田総理は、国民に負担をかける難しい政策を「決められる政治」に向け理解を得ようとする一方、解散・総選挙で政権奪取を目論む谷垣総裁の選挙を控えた2人の駆け引きが続くが、政治判断を誤ってほしくない。

一票の格差問題が残る選挙制度改革、特例公債法、原子力規制委員会の問題など早急に解決しなければならない課題もある。輿石幹事長は「すぐには解散できないでしょう」と記者会見で言うし、自民党は特例公債法案まで協力できないという。

8月10日の参院特別委員会では
「近いうち」について質問を受けた
野田総理
2012.8.10 日テレニュース
3党で合意したはずの「近いうち」も時期を巡って自民党は攻勢をかけるのではないか。
合意の後でも解釈を巡ってゴタゴタすること自体が何のための合意だったかわからない。

緊迫した局面でも従来のままの曖昧な対応をしたツケは大きい。

今回の局面で、民主党も自民党も支持を落とすのではないか。こんなことをしていてはポピュリズムの乗って実力の不透明な第三極に票は逃げていく。それもまた心配事ではないか。