2012年8月21日火曜日

同時に読まない方が良い? 「2050年の世界」と「専門家の予測はサルにも劣る」


左:2050年の世界 英エコノミスト編集部
文芸春秋 2012年8月
右:専門家の予測はサルにも劣る
ダン・ガードナー 
飛鳥新社 2012年5月
同時に読まない方が良いのだろうか? 「2050年の世界」と「専門家の予測はサルにも劣る」を新聞の書評欄を見て通販で買ってしまった。英・エコノミスト誌が2050年の世界がどうなっているかを予測した「2050年の世界」と、専門家が自信を持って、こうなると予測したことはほとんど外れているというダン・ガードナーの「専門家の予測はさるにも劣る」の2冊の本だ。

チョッと考えてしまった。どちらを先に読もうかと。でも短時間で読みあがらないし、同じ本をずっと読むと飽きてしまうので交互に読むことにした。

この「2050年の世界」の目的は、あらゆる側面から世界を変革するトレンドによって2050年の世界がどのように形作られるかを予測することで、一見非常識なほど大きな野望に思えるかもしれないと言いながらも、一方で「専門家の予測はサルにも劣る」で論証されている通り、人類の歴史には100%でたらめな予言がちりばめられていることにも触れている。

しかし、「2050年の世界」は未来を予測してみる価値はあると言い、基本的には楽観的立場をとっていると解説する。

多義にわたる分野で世界のトレンドから予測しているが、日本に関する記述を拾ってみた。

日本は世界的にも高齢化比率は最高レベルを維持し、2050年には被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べる高齢化の進んだ社会になるという。人口動態で突出した世代があるがその世代が労働年齢に達する地域は急成長し、リタイヤする被扶養世代になると成長は止まる。

日本に次ぐ第2位はヨーロッパだが、これらの国ぐにがどう反応するかはわからないという。

高齢化と税収減少による国家財政の悪化は世界的な現象であるが、改革によって防ぐこともできるというが、その改革とは年金や保険医療分野における徴税額の上昇に歯止めをかけることだという。年金については雇用期間の延長、富裕層には選択的に支払わないなどの措置、健康医療費については貧困層、弱者には政府が援助し、そうでない部分では民間の医療保険に市場を開放するなどの方法があるという。日本で導入が可能?。

世界経済で最も重要な地位を占めるのはアジア経済で、2050年には世界の半分がアジア経済だという。

そんな中で、日本は急速にプレゼンスを失っていく。世界経済に占める日本のGDPは、2010年に5.8%だったのが2030年には3.4%、2050年には1.9%になり、経済成長のスピードも今後40年を通じて1.1~1.2%を占めると予測している。

1人当たりのGDPを見ると2050年には日本はアメリカの58.3%に。因みに韓国は105%、ドイツ87.7%、フランス75.4%だ。

とは言いながら、経済学は大きな強みを持っているが、40年後の成長予測はできないという。その強みに含まれていないというのだ。

また、今、尖閣諸島、竹島問題は日中、日韓の紛争地域になっているが、日本、韓国、台湾の東アジア地域におけるアメリカの安全保障体制を脅かすほど中国は軍事大国として力を身につけるだろうと見ている。

一方、「専門家の予測はサルにも劣る」では、多数の事例を上げながら、専門家の予測が外れっぱなしであることを説明している。

特に経済学者の予測というものは、最も必要とされるときに、最も正確性を欠くものだという事実が、ほぼ世界共通であることが証明されているとも言う。

2冊の本を交互に読んでいると、この予測はあっているのか、外れているのかが頭をよぎる。

結論は「予測できない」が一番あたっている予測なのかもしれない。しかし、「こういう予測もできるのか」と参考にする価値はあるかもしれない。

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