2012年9月29日土曜日

尖閣問題:対中改善を急いで国益を損ねるな

国連総会で演説する野田総理
2012.9.27 テレビニュース

エスカレートする尖閣問題で、対中改善を急ぎ中国の手に落ちるような国益を損ねる対応は避けるべきだ。2年前、中国漁船による尖閣諸島領海侵犯事件での菅政権の対応は、APECを控えての中国との関係悪化を懸念したとはいえ、多くの国民の批判するところとなった。

そして、今、石原東京都知事の尖閣購入発言で全国から14億円の献金を集めたが、国が買い上げる方針転換が、政府の思惑とはかけ離れ日中関係をさらに悪化させる結果になった。

ウラジオストックでのAPEC会場で野田―胡錦濤立ち会談で、胡主席から国の買い上げを反対されたが、その2日後に政府が買い上げを宣言したことが、中国の唐元外相をして「胡錦濤国家主席は面子を潰された」というのだ。

ウラジオストックでのAPEC会場で
野田総理ー胡主席の立ち会談
テレビニュースより
今までも国が借り上げていたし、東京都が所有して港湾施設を作るよりも、国が買い上げて現状を維持する方が中国を刺激しないと考えたのだろう。野田政権だって急に宣言したわけではなく、今までもあらゆるチャンネルで中国側へは説明していたはずだ。

野田総理は26日の国連演説で、領土、領海問題は国際法に従い、平和的に解決するとの原則を堅持し、国際司法裁判所の活用を提案した。至極当然の主張であり、記者会見でも後退する妥協はないと日本の主権を守る決意を示した。

自民党・石破幹事長は、具体的に何故、島の名前を挙げなかったのか。このままではエスカレートするばかりだと苦言を呈したがその通りになりそうだ。

これに対して、国連では中国楊外相が、1895年の戦争末期に日本が尖閣列島を盗み取った。日本が一方的に魚釣島を購入することは、中国領土の主権を侵害すると反論した。何時聞いても中国の主張は支離滅裂で、これが安保理常任理事国かと思うとがっかりする。

政治が思うようにいかなければ、日中友好関係、経済界のチャンネルで中国は要人を招待して、中国寄りの解決の糸口を探ろうとしている。

経団連会長は、「自分たちに問題がなくても相手が問題と言っていることを解決するのがトップの役割」と首相発言を批判した。日本政府が解決する意図は全然ない態度を示していることに懸念を示している。

日中友好関係者、経済界の人間が中国参りしたが、関係修復を急ぐあまり中国の手に落ちることは止めてほしい。国益を害する結果になることは避けるべきだ。

オバマ大統領の演説の時は満席だったが
野田総理の演説になると空席が目立つ
専門家に言わせれば、こんなものだそうだ
2012.9.27テレビニュース
中国の理不尽な対応には怒りを覚える。日本は請われて中国の経済発展に協力してきた。拡大する軍事、人工衛星を打ち上げる中国にODAはないだろうと2008年に問題になった。一部見直しはされたが無償資金協力、技術協力は続いているはずだ。経済援助も累計すれば相当な金額になる。恩義も分からない国に援助はないし、経済界だって儲けばかり考えていては馬鹿にされないか。

ここらで毅然とした態度で、対中政策を見直さないといつまでも馬鹿にされる。

今回の国連総会での日中の攻防は、空席も目立つ会場での深夜の攻防になっただろうが、中国の理不尽さを浮き彫りにしたことは成果だったのではないか。

チャイナ・デイリーがニューヨークタイムズ
ワシントンポストに掲載した意見広告
YOMIURI ONLINE
2012.9.29
また、今新しいニュースとして中国の英字紙「チャイナ・デイリー」が28日付、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズに「魚釣島は中国のものだ」という意見広告を載せたという。駐米大使は「一方的意見で、誤解を与える」と広告を掲載した新聞社に抗議をしたという(YOMIURI ONLINE2012.9.29)。

中国の政権が変わるまで、解決を急がず、理不尽な主張には一つ一つ反論することの繰り返しになる。

そして、これを機に国会でODAについてしっかり議論すべきだ。借金してまで援助する理由があるのか。考えるに、外務省がいい顔をしたいがための援助ではないのか。

自民党新執行部:経験に裏打ちされた古い名前で構成?

近くて遠い仲? 左奥に自民党本部、
右奥に民主党本部 歩いても5分と
かからない距離

石破、高村、甘利、細田、浜田さん達による安倍新執行部が発表されたが、経験に裏打ちされるとは言え古い、昔の名前で構成された感がする。3年前に下野して以来、自民党は思った程変わっていないのだ。

改革か論功行賞かと言えば後者だ。相変わらずの派閥均衡、安倍新総裁誕生への論功行賞だ。石破さんは党員投票で圧倒的多数の支持を得たために、民意を反映せざるを得なかったいきさつがある。

自民党は、実績のある人材をそろえた執行部で「日本を取り戻す」戦術に出たのだろうが、民主党の党人事に絡み同じ名前が巡っていることをメリーゴーランド人事と揶揄されていたが、自民党だって同じだ。

先の選挙の惨敗を反省し党改革の必要が叫ばれていた。今回の総裁選でも票集めには派閥の存在は大きく、領袖・長老の動きも注目されたが、石原惨敗、町村派分裂に終わった。党役員人事を見ても、名前の後に( )で派閥名が記されていることを見ても自民党自体もさることながらメデイアの意識も変わっていないのだ。

遅まきながら派閥の在り方も変えていく方向性が出されている。

「政権担当能力をアピールする」というが、総裁選中の発言、討論でも特例公債法、2012年度補正予算、衆議員選挙制度改革、社会保障と税の一体改革国民会議などへの取り組みの考え方がそれぞれニュアンスが違っている。

尖閣問題での対中改善も高村さんが対応するらしいが、党内で一致しているのか。

2012年度補正予算の減額要求に民主党の安住幹事長代行は柔軟な対応を臭わせているが、何故財務相の時にできなかったのか。財務省の呪縛から解けたとでも言うのか。

また、自民党は「近いうち解散」にどう向かいあうのか。安倍総裁は当然早期解散を勝ち取るというが、野田総理は「時期など言えるはずがない」と従来の考えを踏襲するらしい。

大方の政治ジャーナリストは12月解散を予測しているが、私は野田総理に解散する力はないと見ている。

民主党は、党内分裂の回避に汲々とし、自民党は一途に早期解散・総選挙を目指す。そんな政局にあってメデイアは「停滞国会をもう繰り返すな」(讀賣新聞 2012.9.29)のような論調だ。

こんな二大政党に飽きた国民が「日本維新の会」に期待したが、その日本維新の会の賞味期限も近づいているようだ。

安倍新総裁に「がんばれ」と言いたいが、「昔の名前で出ています」では覚束ない感じがするのだが。


2012年9月27日木曜日

今の政局をどう思うか:民主は譲歩する度量を


今の政局をどう思うか。民主、自民の党首選が終わり両党の陣容が固まってきたが、政局は代り映えしないようだ。お互いに主張の仕合で妥協点がなく、民主党は政局絡みでの国民の批判を自民党に向けようとするし、自民党は国民の批判を受けるのではないかと曖昧な姿勢になり、駆け引きで政治は前に進まない。

野田政権は、特例公債法、選挙制度改革、一体改革の内容をまとめる国民会議の1日も早いたちあげを目論み野党に協議入りを要求するが、自民党は早期解散を至上命題に「近いうち解散」の約束がない限り応じる気配はなさそうだ。

強気の姿勢をとる自民党も国民にどう映るかが心配なようだ。

事態が打開できない要因は、両者ともに折り合いがつかなず政治が停滞することになる。そこを国民が批判する。

折り合いをつけるには、政権与党の「譲歩」が必要になるが、政権の経験がなった民主党にはさじ加減がわからない。

おまけに野田総理には党内に強力な支持基盤がないから譲歩などできないのだが、3党合意は党内の批判を押し切っての政治の前進であった。しかしご多分に漏れず分裂になった。

政策の論争は大いに結構だが、相互に信頼関係があれば、ここぞという時に譲歩も可能になるが、今の民主党、自民党のトップに信頼関係などない。

自民党・谷垣前総裁は、政治を進めるにはコミュニケーションが大事だと野田総理との会談を重視したが、野田総理にはその意が伝わらなかった。

思い出してほしい。江戸城無血開城は、西郷隆盛と勝海舟の信頼関係があったからこそ意に添わない勝の提案を西郷は受け入れたことにある。

自民党政権時、与野党が妥協できない政局になった時、自民党の影の実力者が野党を回って妥協の道を探ったものだ。官邸機密費は政治の潤滑油とのたまった。

決してカネで解決するのがいいとは言わないが。両党に譲歩する「大人の政治」をしてほしいものだ。特に政権与党には譲歩する度量がほしい。

譲歩できる度量がない民主党は政権の座から去るべきだ。それが「前に進める政治」、「決められる政治」の基本だ。

党首選投票率 民主34%、自民63%は党の勢いの違いか


今回の党首選投票率は民主党34%、自民党63%、この違いは党の勢いの違いなのか。

民主党は逆に棄権率を重視し、66%が民主党離れしていることを意味しているという見方が出た。党員、サポーターの最大の関心事は総裁(総理)選びであるが、その総裁選びを棄権したことになるのだ。候補者選び、候補者討論での内輪事で党員の関心も消え失せたのだろうか。

一方自民党は63%という高投票率で、石破さんが圧倒的支持を受けて1位になったが、2回目の国会議員のみによる投票で安倍候補108票、石破候補89票の僅差で安倍新総裁の再登板となった。

党員たちの意思とは反対の結果になったことで、石破支持者は民意が反映されていないと反発した。

先の民主党代表選ばかりに注目していたので、石破さんが何故高い支持を得たのか新聞を読み返してみた。

顔は受けないが、政策通であることは自他ともに認めることである。全国を回って落選中の元議員の応援に奔走した。党改革にも言及している。国会中継を聞いていてもしごく真っ当な論調だ。訳ありの他候補に比べて無難な候補であったが、如何にせん派閥、長老の覚えが悪い。

全国の党員の支持は受けたが、永田町自民村では反発もあり、もう一歩だったのだ。
安倍新総裁は、この実績を重視せざるを得ない状況だったが、27日10時ごろテレビで「石破氏 幹事長就任」のニュースが流れた。

谷垣総裁に続き、「近いうち解散」を勝ち取って政権奪取が安倍新総裁の当面の目標であるが、3党合意、早期解散にどう対応していくか。安倍新総裁は自民党内では派閥を持たず、寄って立つ地盤は薄弱で、谷垣さんの二の舞になれば政権奪取など覚束ない。

「政治を前に進める」、「決める政治」に向けリーダーシップが試される。

2012年9月26日水曜日

野田総理続投、安倍総裁再登板:これが「悪さ加減の少ない」選択か

安倍新総裁決定を伝えるNHK中継
2012.9.26
民主党・野田総理続投、自民党・安倍新総裁再登板は、「悪さ加減の少ない」選択だったのか。次期総理になってほしい候補ではなく、なりたがった候補の乱立(?)だったが、やっと民主、自民二大政党の党首が決まった。ドロドロした政界の暗部を垣間見た印象だ。

今回の民主党代表選では、野田総理が相当の批判を受けていた。野田総理は一体改革など「やり残した政策を進めたい」と言うが、他の候補は党内運営の不手際、政策決定プロセスの不備の改善を要求する内向きの論争になった。そして新宿駅西口での街頭演説はメデイアの報道によると激しいヤジを受けたようだ。最後は失政(?)の原因は、自民党時代からの先送り政治だと不満の矛先を自民党に向けたが、野田総理の本音だったのだろう。

一方の自民党総裁選では、次期総理の期待もあって政策論争もあったが、各候補の支持票の奪い合いが注目され、相変わらずの長老支配も臭わせ古い自民党体質丸出しの選挙戦になった。


握手で労をねぎらった谷垣総裁、安倍
新総裁
NHK 自民党総裁選中継
自民党総裁選のNHK中継を見ていたが、2回目の投票が終わり安倍新総裁が決定し、挨拶に立った時、まず新総裁は「3年間、野党のリーダーとして自民党を支えた功績に感謝する」と谷垣総裁の労をねぎらった時の谷垣総裁の笑顔が印象に残った。こんな笑顔があったのかと思うぐらいだった。

安倍新総裁は、共に戦った他候補にも敬意を表し、ノーサイドを宣言し、「日本を取り戻す」ために政権奪取を誓った。

自民党総裁選では、今回40年ぶりの決選投票となり、安倍108票、石破89票の結果になったが、候補者はそれぞれ訳ありだった。安倍さんは、6年前体調を崩して所信表明前に総理を辞任し、その後の総理たらい回しの悪例を作った。石破さんは一端自民党を出た経緯もあり長老連中には評判が悪かった。石原さんは本命と言われていたが、谷垣さんを突き放したり、口の軽さが災いした。町村さんも自派を分裂させる結果になったし、林さんは国会審議で論戦を張っていた実力は分かるが、如何にせん参議院議員で、チョット無理筋だった。

安倍さんの再登板を驚くと同時に、野田総理続投と合わせ、これが「悪さ加減の少ない」選択だったのかと思う。

これからの政局は、党首間の信頼関係で切り抜けていかなければならないが、野田総理、安倍新総裁に信頼関係が築けるのか。

3党合意はどうなるのか、「近いうち解散」に野田総理はどう答えるのか。「それ以上でも、それ以下でもない」の珍答弁では信頼関係は築けない。


2012年9月25日火曜日

次々続く巨大地震・津波予測:1100年前の貞観地震(869年)の繰り返しから学ぶか

貞観地震の震源域は、何時起きても
不思議ではないと思われている宮城
沖地震の遥か沖合いを震源域とする
毎日新聞 2012.5.24

次々に続く巨大地震・津波予測は1100年前に発生した貞観地震が根拠になっているのか。東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)は、平安時代の869年に発生した貞観地震が1100年経って繰り返された巨大地震・津波の天災なのだが、あの寺田寅彦博士が「天災は繰り返される自然現象だが、時期、規模はわからない」と言うほど予測は難しいのだ。

3.11以降、専門家は何かが吹っ切れたように今まで「想定外」と思われていたM9,震度7クラスの巨大地震、30mを超える巨大津波の発生を次々と発表している。近いうちに起きるだろう南海トラフ関連の巨大地震も、東海、東南海、南海、日向灘の4連動はおろか、南海トラフ沿い地震を加えた5連動も可能性があるという。

その背景には地震考古学、古文書史学、地質学などの専門家の研究に負うところが大きい。

産業技術総合研究所によると津波で運ばれた砂などの堆積物から東北太平洋岸の津波被害は、紀元前390年、430年、869年(貞観地震)、1500年頃の津波によるとみられ、450年と869年の貞観地震による津波の規模は東日本大震災と同程度と見られるという(河北新報 2011.5.18)。

しかし、貞観地震では、津波で運ばれた砂などの堆積物から仙台、石巻平野は海岸線から3~4㎞、南相馬市では1㎞以上内陸に津波が到達したと見られていたが、更に1~2㎞内陸に及んだ可能性が高く、他の巨大地震の津波も想定されている(同上)。

遺跡調査からも貴重な巨大地震の痕跡が見つかり、古文書などの記述から地震が想定されてもいる。

皿沼西遺跡 住居跡に噴砂で地割れ
が残っている
産経新聞 2012.3.14
平安時代の818年に記録に残る関東最古の大地震が起き、上野国(今の群馬県)などでは噴砂が起きたらしいが震源地はわからなかった。ところが、埼玉県深谷市の皿沼西遺跡で住居の床などが噴砂で切り裂かれ壊れているのが見つかり、818年の地震による被害とわかった。謎の首都直下地震が貞観地震の前に起こっていたのだ(産経新聞 2012.3.14)。

このように巨大地震は連続して発生する危険があるのだ。

地震は固め打ちすることがあり、東日本大震災に誘発された震災が続く可能性が十分あると専門家が警告する。現代の地震活動は貞観地震の発生した9世紀と非常に似ており、9世紀にあって近年起きていないのは首都圏と南海トラフだと警告する(毎日新聞 2011.8.31)。

9世紀の発生した震災と
今世紀に入ってからの震災
を比較、首都圏と南海トラフ
関連がまだ発生していない
と言う
毎日新聞2011.8.31
震災の世紀に入っているのだ。

この宮城県沖では地震調査委員会が、30年以内にM7.5前後の地震が発生する確率を99%と予測していた。東日本大震災が発生した時には宮城県沖地震が起きたのかと思われたが、震源域が違っていた。貞観地震の震源域はさらに沖で、宮城県沖から福島県南部沖まで長さ200㎞、幅100kmと見られていた。これは津波の痕跡調査からコンピューターで再現した震源域の検証結果だった(毎日新聞 2010.5.24)。

それまでは、この近辺でこれほど巨大な地震・津波が起きるとは考えられていなかったのだ。

それでも古文書には貴重な情報が残されている。

「日本三代実録」に貞観地震が記録されている。それによると、「貞観11年5月26日、夜にもかかわらず、発光現象が起きて昼のように明るくなった。家の倒壊や地割れで生き埋めになり、多数の被害者が出た。・・・多賀城の城郭、倉庫、門、櫓、壁は崩れ落ち、被害は数えることもできない。荒れ狂う海は渦巻きながら膨張し、巨大な波はまたたく間に城下を襲った。どこが地上と海の境だったかわからず、今や道も野も水の中にある」と言う。東北地方はこの時期を境に住む場所は大きく変わり、村ごと、町ごとの移転が現実に起きていたのだ(讀賣新聞 2011.5.18)。

チョッと心配な記述がある。発光現象が起きたというのだ。今新しい資源としてメタンハイドレートの存在が脚光を浴びてきたが、地震等で海底の断層が動けばメタンハイドレートの層も崩れ、メタンガスとなって大気中に出て着火することも考えられ海溝型地震では要注意なのだ。

貞観時代とは違って震災による被害の種類と規模は大きく違ってくる。港湾施設、船舶類、タンク群、海岸線まで密集する住居、地下深くまで潜っている地下鉄などの交通網、超高層ビル群などまだ本当の被害は経験していない。

唯一の経験は、収拾のめどがつかない福島第一原発事故だ。

22年前の1990年に東北電力は女川原発の増設に絡んだ調査で、津波が残した砂などの調査から、貞観地震による津波は仙台平野では海岸線から3㎞程度が浸水する規模のものだったことを報告していたのだ。これから女川原発の津波想定を9.1mとしたそうだ。

東北電力は浪江・小高原発を68年に発表していたが、ここで津波調査をやっていれば福島第一原発の危険性も分かった可能性があるが、住民の反対で実施しなかったという(河北新報 2011.5.30)。

東北電力の小高原発を反対したために、かえって福島第一原発で危険な目に合っているとでも言えるのか。

「想定外」を避けようと専門家は出来る限り最悪の事態を予測するようになった。言い換えれば責任逃れをやっているのかと疑問に思っていたが、地震考古学、古文書研究、地質調査から総合的に判断していることがわかり、今世紀には必ず起きる巨大地震、巨大津波に身構える姿勢が必要だ。

2012年9月24日月曜日

民主党・輿石幹事長続投:政権与党の幹事長として党内融和だけか


これからの政治の要ともなる民主党・輿石幹事長の続投が余りにも簡単に決まった。輿石さんが「お任せします」と言ったかどうかは知らないが、野田総理の要請を受諾した。しかし今の民主党の最大の課題はこれ以上離党者を出さないことへの配慮との見方が多いが、政権与党の幹事長としての責任は党内融和だけなのか。

今回の代表選での他候補の主な主張は、政策決定プロセスの曖昧さ、党運営の不明確さなど党内改革である。野田総理は責任を感じているようだが、党改革の動きは鈍い。

そして、分裂、多数の離党者を出すなど党運営の責任をどう考えているのか。「責任をとるのも政治文化」という者もいるが、民主党は責任をとらない生ぬるい緊張感に欠けた政党なのか。前原政調会長は「自分にも責任がある」とコメントだけはしている。

また、よく言われているように輿石幹事長の発言は野田総理とは面従腹背の傾向が目立ち、寧ろ政治不信を掻き立てる結果になった。

「近いうち解散は気にするな」、「3党合意はなかったこと」などの発言は3党協調を否定する発言で、野党から批判された。

もしかして、輿石幹事長がアドバルーンを上げて、世間の反応を見て、野田総理が最終的な判断を下す政治手法を使っているのか。それで野田総理が「決める政治」をやっていると強調したいのか。

来年の衆参ダブル選挙発言は、個人的な考えなのか、民主党内の大方の考えを反映しているのか。「近いうち解散」が延びて一安心ともなれば党内融和には役立つが、自民党、公明党は反論し3党合意も危うくなり政治は不安定になる。

幹事長たる者は、自党の状況に沿った行動、発言も大切であるが、政権与党の幹事長としては「政治を前に進める」重大な責任がある。

参議院はねじれ国会状態で、おまけに首相問責決議が可決した。参議院議員会長としても野田総理が手腕を期待しているのだろうが、どんな老練さで切り抜けようとしているのか。

今、政局で一番大事なことは相互の信頼関係だ。輿石幹事長は自民党の誰と信頼関係を築いて、この難局を切り抜けようとしているのか。
江戸城無血明渡は、西郷隆盛と勝海舟の信頼関係で達成できたことは有名な話であり、自民党・谷垣総裁も野田総理と信頼関係を築こうと努力したが、「近いうち解散」では裏切られる結果になり総裁選出馬も断念した。

野田総理は、政権与党の幹事長として輿石幹事長の続投を決めたのはどうしてなのか。国連総会出席という差し迫った政治スケジュールの中で、周辺に有無を言わせぬ決断であってほしくない。




2012年9月23日日曜日

野田総理の選択:政治の安定か、党内融和か


野田総理の優先すべき選択は「政治の安定」か「党内融和」か。民主党代表選に再選された野田総理に重くのしかかってきた課題だ。消費税増税で多くの同志が離党し、今も造反者を抱え、過半数割れの危機を回避するには党内融和が必要であるが、政治の安定を考えると国会運営で民・自・公の3党協調が欠かせない。

野田総理は政策が揉めると「丁寧な説明」の必要性を強調していたが、代表選では他候補から政策決定の不明朗さ、党内運営の不手際が執拗に指摘され、代表選に圧勝したとはいえ他候補も善戦し問題の根深さを露呈した。

一方、参議院で問責決議を受けた対応は明確にしていないが、国会運営を考えると3党協調がなければ政治の安定は不可能の状態だ。野田総理は自民党総裁選後に3党合意の確認を含めて党首会談を希望し、自民党候補者も応じる構えだ。

しかし自民党候補者は谷垣路線を継承し、「近いうち解散」を要求するという。

ところが、野田総理は党内人事で輿石幹事長に続投を要請したという報道に、誰でも解散は遠のくと見た。当然のことながら自民党、公明党は3党合意の背後には「近いうち解散」があると批判した。

野田総理は「近いうち解散」、「そう遠くないうちの解散」と言うが、その真意は負け戦を出来るだけ避けたいということだろうし、生き残りをかける民主党議員は皆そう思っているだろう。

野田総理にとっては二者択一なのだ。

政治を前に進めるには、民主党融和、再生を犠牲にしてでも国民のための選択をすべきなのだ。今までも離党者を容認し、党内より3党合意を優先してきた。

国民にとって「民主党再生・党内融和は国益にあらず」だ。重要な政策課題をなし崩し的に進める政治は禍根を残す結果になりかねない。

2012年9月22日土曜日

民主党代表選、野田総理再選:民主村10万人が選んだ総理の行方?

代表選後、挨拶する野田総理
2012.9.21 TBS NEWS23

低調だった民主党代表選で野田総理が再選された。民主党員・サポーター約32万人、投票率33.7%というと約11万人の民主村が選んだ総理なのだ。野田総理は早くから岡田さんや前原さんらの支持を受け、更には対立候補への醜いけん制工作で再選された。確実とは言われていたが、選挙期間中の候補者討論会でも笑顔はなく、暗いイメージの選挙だった。

それもそうだろう。対立候補からは離党者を出す党運営の不手際、マニフェスト違反を指摘され通しで内向きの討論に終わったのだ。

メデイアの報道によると、最後の新宿西口での街頭演説では、今の失政(?)は自民党政権時代の尻拭いをしている結果だと自民党へ批判の矛先を向けた。聴衆から激しい批判を受けたようだが、野田さんは民意がどこにあるか分かったのだろうか。

しかし、選挙の結果は野田総理818ポイント、反野田390ポイントで、3候補ともに100ポイントを超えたことをどう評価すればいいのか。圧倒的に野田有利の選挙戦だったのだから批判票が多かったと判断すべきだろう。一方で民主離れの現象も指摘できる。

選挙後の野田総理のコメントも「今日は高揚感より緊張感、責任の重さを感じる」だったが、日本再生もさることながら党再生への道筋は立っていないようだ。衆参選挙を控えて、内閣改造、党人事で答えようとしているが、場合によっては10人ほどの離党者が出るうわさも絶えない。

その生き残りをかけた解散・総選挙について「遠くない将来」と言及したが、真意はわからない。谷垣総裁は早速反論するが、野田総理では解散を決断する力はないのだ。下落する人気を食い止め回復させる政策手段も見当たらない。

野田総理が再選に拘った理由の一つに、一体改革の内容をまとめる国民会議の立ち上げがあるようだ。谷垣総裁は新しい政権でまとめるべきだというが、野田さんは自分の手で立ち上げてマニフェスト違反と批判され続けているバラマキ政策を課題にねじ込みマニフェスト違反の批判を回避し、人気を取り戻そうとする魂胆があるのではないか。

支持率回復より支持率を落とす政治課題が続くが、問責決議にどう対応しようとしているのか。自民党総裁選後に党首会談を行い3党合意などを確認したいようだが、自民党候補は谷垣路線を踏襲すると言っている。国会運営も薄氷の思いだ。

民主村は野田総理を再選し、先の朝日新聞・経済気象台は野田総理を「国益を守り決断力のある政治家」と持ち上げたが、次は国民が審判を下す時である

2012年9月21日金曜日

環境税導入:身近なはずの地球温暖化問題の議論は未熟なまま

環境税導入を報じる読売新聞
2012.9.21

身近なはずの地球温暖化問題が議論未熟のまま二酸化炭素排出量削減のために、10月から環境税が導入され電気代、ガス代、ガソリン代が値上がりする。気温上昇原因には二酸化炭素人為説が主流であるが、一方で自然変動説を唱えて否定する学者もいる。身近なはずの地球温暖化問題もオープンな議論の場がないまま課税だけが先行する。

讀賣新聞(2012.9.21)によると、来月から導入される環境税も完全実施後は年間で2600億円の増税になると言い、一般家庭の電気代は1kWhあたり0.05円、ガソリンで1Lあたり0.25円の値上げに相当するらしい。

ところが肝心の温暖化起因説に関して、各分野の科学者による十分な議論がされないままに、政治マターとなり、コンピューター・シミュレーション結果によりCO2人為説が主流になった。

JGL 変化は人的起因か
平均地上温度変化を太陽変動や火山噴火など自然の影響だけで見た場合、観測値と計算値の傾向が合致しないが、これに人為的要因を加味すると観測値と計算値の傾向が一致したという(JGL 変化は人的起因か)。

しかし、CO2のどういうデータをアルゴリズムに組んでいったかは公表されていない。地球シミュレーターで計算した人と人為説を信じて活動している人とは別なので講演などで質問しても分からないのだ。

ところがこのCO2人為説を主張する研究者の間でデータをねつ造、改ざんしたのではないかと疑うクライメートゲート事件(英国イーストアングリア大学の電子メール盗難事件)が発生したが、事実は認められなかったと結論付けた。

しかし、気候学者や他分野の研究者からCO2人為説に疑問が呈され話題を呼んだ。私もこの点に非常に興味を持っている。

アラスカ大学名誉教授の赤祖父先生は、IPCCの「政策立案者のための要約」で、温暖化の「大部分」が炭酸ガスの温室効果によるとしているが、「この大部分」を数字で示すことができる何人いるのか。温暖化問題が重大問題であれば「大部分」という漠然とした言葉は使うべきでないといい、自然変動が5/6、人間活動の影響が1/6であるという(正しく知る地球温暖化 赤祖父俊一 誠文堂新洸社 2008年7月)。

色んな分野の研究者がその専門知識を生かして地球温暖化問題に取り組まなければならないのだが、その赤祖父先生に国立環境研究所のCO2起因説をとる研究者、他の分野で活躍している研究者ら5人による討論が繰り広げられた。

エネルギー・資源学会の
新春e-mail討論
現在も学会のHPで見る
ことができる
エネルギー・資源学会が2009年に実施した「新春e-mail討論 地球温暖化:その科学的真実を問う」だ。今も学会のHPに載せられているので見ることができる。十分な科学的なコンセンサスを得ないまま、予防原則に重点を置いてその先の議論を進めることは大変危険であり、純粋に科学的な検討を徹底的の行うことが焦眉の急と言えると討論の意義を指摘している。

この種の討論をいくつか読んだが、お互いに自分の見解を述べ合うもので、データの取り方、読み方に事実誤認、誤解があると言いあっているばかりのように思える。

CO2削減対策として国民に課税するのであるから、広く国民に議論の場を作るべきだと思うが、今まで国民を巻き込んだ議論はなかったと思う。


聖教新聞2012.9.21
に掲載された記事
ところが、聖教新聞(2012.9.20)に「温暖化リスクにどう向き合うか」という記事が掲載され、前述のエネルギー・資源学会の討論にCO2人為説論で参加した、国立環境研究所の江守さんがインタビューに答えていた(断っておくが私は学会員ではない)。

その中で、温暖化リスク判断の主体者は市民であり、科学者による温暖化予測を踏まえた丁寧な情報提供は不可欠であるが、そのうえで幅広い主体者が「自分にとっての温暖化リスク」を踏まえ、オープンに議論するような、双方向的なコミュニケーションの在り方が定着していくべきだと指摘している。

さまざまな対話の場を設けながら地球温暖化問題に向き合う必要があるのだ。

政治が先行すると、2009年9月の鳩山イニシアテイブのように90年比25%削減を宣言したりする。そして今、原発ゼロ議論が湧いてくると益々CO2削減は難しくなる。そんな中で、課税のみが先行する消費税増税の二の舞だ。



2012年9月20日木曜日

朝日新聞・経済気象台の言う野田総理は国益を守り、決断力のある政治家なのか

野田総理は国益を守り、決断力のある政治家なのか。朝日新聞(2012.9.20)経済気象台「国民の声と政策決定」では、消費税増税、原発ゼロ問題、TPPなど国論を二分する政治が続くなかで、一定方向に偏重しかねない国民の声から真に国益に沿う政治を政治家が断固たる決意で決定しなければならないと真っ当な主張をする。

そして、そういう意味から消費税増税に踏み切った野田総理の決断は正しく、後世の歴史家が高く評価するだろうと稀にみる高い評価をしている。

タイトルに言う「政策の決定」プロセスでも、国民がすべて正しい情報を持ち、国益に沿って冷静に判断できるかと疑問を呈し、だから政治家の判断が必要なのだともいう。

しかし、すべての政治家が、その資質を持っているのかと言う前に、国会議員であれば十分な情報を得て、活発に議論する場をもっているか。

先の消費税増税国会でも、委員会採決間際まで「今なぜ消費税増税なのか」、「その前にやることがあるだろう」と国会の予算委員会、特別委員会で反対質問がされていたが、野田総理は真正面から答えていなかった。

質問者は民主党内でも十分に検討されていないこと暴露したほどだ。

今、進行中の民主党代表選候補者の討論会でも、野田総理以外の候補者は一様に党内運営、政策決定プロセスへの改善を主張しているありさまだ。

原発を含むエネルギー政策での討論型世論調査では、当初原発も仕方ないと考えていた者が、討論を終えると原発ゼロに傾く傾向にあった。

その場で、どんな情報が提供されたのか。それが問題なのだが詳細は分からない。

国民が正確な判断を下せるほど、今の政府が十分な情報を公開しているとは思えないが、総理は国民に公開されない情報も知っていて、国民の民意とは別の政治判断を下しているのか。

メデイアも政策決定に大きな役割を担っていると思うのだが、今回の増税では一斉に増税賛成の論調を張った。財政再建、社会保障と税の一体改革では避けて通れないというのだ。

国民が正しく判断するためには、増税した場合のデメリットも提供すべきであるが、法案が成立後に論調した程度だ。財務省の意向が強かったとは言え片手落ちのメデイアの対応ではなかったか。

しかも軽減税率に話が移ると、新聞の適用を要求しているとは言語道断である。今の新聞は公器としての役目がかけている。


国民の声をできるだけ聞き、国民的議論を重ねるには、十分な情報を国民に提供することが前提である。

それもできず、十分な説明もしない総理を歴史家がどう評価するのか。野田総理に対する国民の審判は「近いうち」に決まる。









日銀追加緩和:白川さん 市場には金がダブついているのではなかったのか

日銀の追加緩和を報じる読売新聞
2012.9.20

日銀が更なる追加緩和を決めた。白川さん! 市場にはカネがダブついているのではなかったのか。おだやかな回復軌道を想定していた日銀が、世界経済の減速にあたり19日の金融政策決定会合で追加金融緩和を決めた。

安住財務相も驚く10兆円規模の基金買入れ目標を追加し、70兆円から80兆円に増額するとともに、期間も6か月延長した。

背景には、欧米の中央銀行の追加緩和があった。日銀は従来から他国の中央銀行の政策とは機械的にリンクしないという立場をとり様子見の姿勢が多かったが、これ以上の円高は回避する必要があるために、追加緩和に踏み切ったようだ。

しかし、日銀の追加緩和の必要性はすでに言われていたことで、市場は織り込み済みでサプライズと言える効果はなかったようだ。

でも、日銀白川総裁の今までの講演資料などを読むと、市場にはこれまでの緩和政策でカネがダブついており、銀行は企業に貸出するのではなく国債に買入れに使用したり、金利の関係から日銀の口座に置いたままにしているという。

寧ろ企業に投資意欲を掻き立てる政策を打ち出す必要があるともいう。

喫緊の課題であるデフレ対策も、従来からの金融政策で金利は低水準を保っており、企業がモノを買ったり、投資をすれば物価は上昇するというのだ。

それでも欧州経済、インド、中国の経済減速があるとしても日銀の思惑通りには進んでいないのも確かだ。

おまけに、党首選挙でデフレ脱却、円高対策を「政府と日銀が協調して」取り組む必要を各候補が提案している。先の国会でも日銀法の改正が話題になった。

政府、日銀のお題目とは裏腹に、一向に改善しない円高、デフレ対策に違った面からアプローチする必要があるのではないか。日銀の金融政策決定会合がある度に、「しっかりしろ」と言いたい気分になる

近いうち解散:自民党よ 野田・民主党政権の騙しのテクニックに乗るな

自民党よ 野田・民主党政権の「近いうち解散」の騙しのテクニックに乗ってはいけない。18日のTBSテレビ「民主党代表選生出演」以来、野田総理は問責決議が可決したことで3党合意、近いうち解散も見直しの必要があり、自民党総裁選後党首会談で確認したいと発言しだした。

自民党の総裁選候補者も同意する。3党合意は公党間での約束で、サインもされているので、谷垣さんが交代しても継続すべき課題である。

でも「近いうち解散」は国会審議でも問題になったが、その真意がわからない。

自民党・谷垣総裁がこだわった早期解散要求も、野田総理の主張は、近い将来→近いうち→それ以下でも、以上でもない→時期は詰めていないと変遷している。

菅前総理も退陣要求に「一定のめどがついた時点」と曖昧な発言をし、次々に政策を打ち出し顰蹙を買った。似たようなことを野田総理もやっている。

折角、勝ち取った総理の座を簡単には手放したくない野田。続く政策で人気を回復し、政権の延命を図ろうとしているのだ。野田総理は一体改革の中身をまとめる国民会議の1日も早いスタートを望んでいる。要は民主党のバラマキと言われた政策を国民会議のテーマに押し込み、マニフェスト違反、増税先行という批判をかわしたいのかもしれない。

でも、自民党はそういう民主党政権の騙しのテクニックに乗ってはいけない。

今の野田政権を見ると、民主党内でも解散できる力は持っていない。

そのことに早く気付き、衆議院の任期一杯どう政治を進めていくか。戦略の変更をすべきではないか。

2012年9月18日火曜日

中国の反日デモ:ひとえに国内問題、関係改善で譲歩するな

故毛沢東の肖像画が掲げられる
反日でも
2012.9.18 日テレミヤネ屋
激化する反日デモも今日、9月18日に最高になるだろうとメデイアは言い、1000隻の漁船が尖閣へ向かうというが、まだ確認されていないという。日本大使館前でのデモも整然と行われているようだが、故毛沢東主席の肖像画や、尖閣とは関係ない「民主、人権、憲政」の横幕もあり、平等な社会主義国家を築こうとした毛沢東を称賛しているようだ。

言い返せば、毛主席後の今の胡錦濤政権までの拡大する格差社会に対する不満の爆発だ。折しも中国も政権交代の時期だ。

暴徒化したデモ隊に破壊された企業には、請われて中国進出をした企業もある。当初から得体が知れない中国への進出にはリスクが大きすぎるとみられていた。カネ儲けばかりでなく、本当に中国人のために経営をしていた企業にとっては、今回の暴挙は裏切られた感じだろう。

テレビで、「今までうまくいっていたのに何故」という現地の日本人のコメントに、それがうかがわれる。

中国は「理性で行動を」と訴えるが、「すべての責任は日本にある」と言い、反日デモで尖閣国有化を阻止しようと圧力をかけ続ける。

野田総理は、何よりも大事なのは毅然たる姿勢で、全体に悪影響が出ないようにクールに対応すると言い、中国にも強く自制を求めた。

メデイアも「外交を尽くせ」と論調する。

しかし、事態の改善を急ぐあまり、お決まりの譲歩をすることだけはやめてほしい。いままで国益を守った解決などできたはずがない。

経済への影響を懸念しての財界の動きも気になる。政治が機能していない時は財界が頑張るしかないという意見もあるが、今は動かず中国に対し見直しをするいい機会ではないか。

そして接続水域、領海侵犯、違法上陸には断固戦うべきだ。我が国の法律で検挙し、送検、厳罰に処すべきだ。凶器準備集合罪だって適用できる。

高度の政治判断で早期釈放などしていると、増長するばかりだ。犯罪者が国に帰れば英雄扱いなどあってはならないことだが、そんなことがあること自体がおかしな国なのだ。

早急な関係改善を急ぐあまり譲歩を重ねることは国益に反する行為だ。

ここはじっくり中国という国とどう付き合うかを見直すチャンスではないか。






2012年9月17日月曜日

激化する尖閣領土問題:これでも中国は、安全保障常任理事国なのか

激化する反日でもを報じるNHKニュース7
2012.9.17

尖閣国有化を機に中国での反日デモが激化し暴徒化している。そのデモへの中国政府の対応、そして中国政府の監視船の領海侵犯行為を見るにつけ、これでも国連の安全保障常任理事国なのかと疑う。

ここに来てメデイア、政府が理性的対応を呼びかけだしたが、中国に対する見方は変わったはずだ。

デモ参加者は圧倒的に若者たちだ。格差の拡大もあって中国政府に対する不満を尖閣問題で反日に矛先を求めた。毛沢東のプラカードが掲げられたことからも現政府に対する不満を表明しているのだと専門家は指摘する。

ひとえに中国の国内問題に対する不満を、理性的で何ら攻撃的行動をしない日本に向けさせている。こんなことで国内問題が解決するとは誰が見ても思えない。

中国の南シナ海での近隣諸国との紛争も含めて、中国の行動は国際紛争を回避するための重要な機関である国連の安全保障常任理事国とは打って変わって自ら紛争の当事者になっている。勿論、当初は中華民国国民政府(台湾)が常任理事国だったが、1971年に中華人民共和国(中国)に変わったいきさつはある。常任理事国の一国が変わったのだが、余りにも大きな変化だった。

中国は近隣諸国との紛争を止め、世界の平和維持の大きな責任を果たすべきであるが、出来なければ安全保障常任理事国を辞退すべきだ。

エコノミスト誌が予測した「2050年の世界」では、中国の隆盛が重視されているが、中国の政治制度が変わるまでは、すべてを支配できるわけではないという。予測通りだと思う。

中国は大きな人口を抱えた大国ではある。都合の悪い時は「大きな途上国」と言ってみたりしているが、名実ともに世界の大国として民主的行動をしてほしいものだ。

野田総理では解散は出来ない


民主党代表選3候補は野田総理の党運営を批判し、野田総理自身が「崖っぷち」というほど党内はバラバラの政権与党で解散などできるはずがない。今後の政治スケジュールを考えながら政権の延命工作をし、衆議員の任期一杯まで解散を引き延ばすしかないのだ。

「近いうち」解散も野田総理と谷垣総裁での会談では何ら具体的な時期の詰めはなかったようだ。谷垣さんが「9月7日の解散もあるかもしれない」と街頭演説で発言したのは、谷垣さんの単なる願望だったのだ。

野田総理は「近いうち」とは、「それ以上でも、それ以下でもない」と珍妙な答弁を繰り返す。それ以上とは衆議員の任期一杯のことで、それ以下とは 9月7日のことか。

確かに時期を表明した途端に総理への求心力はなくなるし、森さんに言わせると「解散時期はうそを言っても許される」不文律があるようだ。

民主党内の体制強化のために、野田総理は代表選後に内閣改造、党役員人事をやるという。名目上は挙党体制の構築だろうが、実質は代表選での再選への工作であることは明らかだ。

民主党は、ここまで党を弱体化し、更に離党者も出そうな状況では、増税問題を隠そうとしても不思議ではなく、次期衆院選マニフェストとも言う改革続行宣言には消費税増税の語句はなかったが、野田総理は「消費税8%、10%を明記する」と明言した。

党は崖っぷちに立たされているが、野田総理は一体改革でまだやらなければならない政策を果敢に実施に移すために代表選に出たのだという。党のことは犠牲にしてでも一体改革を前進させたいのだ。

代表選の結果によっては離党することを仄めかす候補者もいるぐらいだ。

負け戦がはっきりしている解散・総選挙に向け、生き残りをかけた残留、離党が続くのだろう。残れば有権者から批判され、離党すれば離党したで自分のことしか考えていないと批判される。民主党員にとっては茨の道だ。

崖っぷちに立っている政権政党に政治を託すること、原発ゼロ、TPP,外交など難しい政治課題に判断を下す民主党政権を国民はどう思っているのか。

民主党にとっては、解散まで与党であることにメリットは大きいだろう。バラマキ予算など利益誘導で人気を挽回できるチャンスもあるだろうから任期いっぱい政権の座にいたいのだ。

それまでは政権が変われば反故になりそうな政策決定を次々に繰り出すことになる野田。

[後記]
野田総理! 合意に向けた詐欺的「近いうち」解散はやめたらどうか

18日のTBSテレビ NEWS23「民主党代表選候補が激論」で、野田総理は自民党が問責決議に賛成したことで、3党合意、近いうち解散に対して党首会談で見直しの意向を表明した。

しかし、野田ー谷垣会談でも解散時期について具体的な時期ではなく、あいまいな表現に終わった。そのために国会でも問題になったが、野田総理は「それ以上でも、それ以下でもない」と珍妙な答弁を繰り返した。

野田総理は、そんなあいまいな「近いうち」を武器に、野党合意をせまる詐欺的行為はやめた方がよい。

自民党も、早期の解散を急ぐようだが、今の野田総理の民主党内の立場を考えると、解散などできる力は持っていないことに気づくべきだ。
                    (2012.9.19)



2012年9月15日土曜日

どうなる消費税増税、民主は傷つき自民は無傷


財政再建、社会保障と税の一体改革で先行気味の消費税増税で民主党は大きく傷つき、同じ消費税10%を公約した自民党は無傷のまま、それぞれ代表選、総裁選を迎えたが、増税に対する対応には違いも見受けられる。

自民党は政権党だったこともあり所得税改正法の付則で消費税増税が記されていたために、2009年の総選挙で10%の増税を掲げた。一方の民主党は消費税増税の準備は出来ていなかった。

鳩山さんは「4年間は上げない」と明言したが、財務相経験者の菅さんは唐突に参院選で消費税増税を掲げ、自民党が言う10%を目安にすると言った。当然のことながら参院選は民主党が惨敗したが自民党は無傷で、国会はねじれ状態になった。

この時、菅さんは自民党も10%を掲げているのだから、選挙では同条件で民主党だけが不利になるとは思わなかったようだ。また財務省からは選挙で不利になると注意は受けていたが、何故か菅さんは強行した。

続く野田総理も一体改革、消費税増税に「政治生命をかける」と宣言し、先送りせず「決める政治」に突き進んだが、何しろマニフェストには記されていなかったために、当時のマニフェスト作成者で、党内最大派閥の小沢さんらが増税反対の狼煙をあげた。国会審議でも野党から「マニフェスト違反」で追及され続けている。

衆院では圧倒的議席数を誇ったとはいえ反対者も多く、野党の自民党、公明党との3党合意で成立を図ったが、党内の同志よりも野党を頼ったところに党内の分裂、小沢グループの反対者の離党そして新党結成となった。おまけに「国民の生活が第一」のキャッチフレーズまで持って行かれた。

この間、自民党は民主党分裂を目論み反対者の厳重処分、小沢さん切りを執拗に要求していたが、自民党だって増税賛成でまとまっていたわけではない。

民主党内には未だ造反者を抱え、何かあると更なる離党者をだすことを回避するために次期衆院選でのマニフェストのたたき台になる改革続行宣言では、「増税隠し」の手段に出た。

これを受け、私も先に野田総理は「増税前に国民に信を問う」と宣言していたので、消費税増税するのであれば公約に記すべきではないかと「消費税増税隠し:民主党は増税を回避するつもりか」という内容の記事を書いたことがある。

しかし、今回の代表選で野田総理は「消費税8%、10%を公約に明記する」と言明したが、野田総理と民主党執行部では増税に対する姿勢に違いがある。

当然のことながら、他の候補者からは政策決定プロセスの改革、党運営の民主化などがあげられ野田総理の党運営を批判しているし、マニフェストに違反する増税には反対の候補者もいる。

民主党は政権党だから国民の増税批判を一身に受けたのだろう。

日本再生を主張しているが、まずは党再生が先決だろう。野田総理も再選を目指しての工作と思われるが、代表選後に内閣改造、党人事を決行し立て直そうとしている。ということは、解散は任期いっぱいないのだろう。

一方、自民党は消費税増税で無傷だったが、総裁選では「時期が問題で、このデフレ下では増税には反対」という候補者もおり、経済状況がGOの判断基準になるのだ。

同じ消費税増税で民主党は深い傷を負い、自民党は無傷だったが、増税をGO判断する来年中頃は、どんな政権ができているのだろうか。意外に野田政権が続いていて解散と引き換えにGO判断をしたりすることになるのだろうか。

野田総理が「近いうちの解散」ができない時に、自民党は内閣不信任案を出すことになるのか。

讀賣新聞(2012.9.13)によると、日本記者クラブの公開討論会で記者の「近いうち解散」の質問に野田総理は「天地神明に誓って、時期については明示していない」と繰り返したという。

原発ゼロ:エネルギー・国家戦略より民主党公約では

革新的エネルギー・環境戦略概要
読売新聞 2012.9.15

政府はエネルギー・環境会議で「革新的エネルギー・環境戦略」で原発ゼロを決定したが・政権寿命のきわめて短いことが考えられる野田・民主党政権では国家戦略というよりも、衆院選をみこした民主党公約と見た方がいいのではないか。政権が変われば反故の運命でもある。

原子炉を40年で廃炉にしていき2030年代に原発ゼロを可能にするというが、経済界、米国、青森県などからの「原発ゼロ」への批判も大きいことから、安全性の確認できた原発は重要電源として活用するとも言い、玉虫色の内容になってきた。

そして、その裏では「いかなる変化が生じても、柔軟に対応する」と政策変更の余地も増やされているというのだ(讀賣新聞2012.9.15)。

それだけエネルギー長期戦略として「原発 YESかNO」は難しいテーマなのだ。野田政権が再稼働の方針をとったので、野党は一斉に反原発を主張するようになった。民意を問うとして、「0%」、「15%」、「20~25%」の3ケースを提案したら圧倒的に0%だった。

最初は再稼働も仕方ないと思っていた人も、いろんな考えの人と議論するうちにゼロも可能という考えに変わったという。要するに原発ゼロへのYESかNOの判断に十分な情報が提供されていないことだ。

原発へのメリット、デメリットとは何か。

デメリットとしてその危険が挙げられる。こんかいのような福島第一原発の事故を考えると一度事故が起これば、収拾がつかず、家屋を捨て、村を離れる事態まで発展する。放射能汚染は全国的に広がり農畜産物、土壌などへの汚染のみならず人体への影響も避けられない。未だ避難している人たちの生活は厳しく将来計画も立たないのが現状だ。

こういう状況を見ると、原発NOに傾く。

更に生活、産業にも影響が出る。再生可能エネルギーで代替を考えると電気料金は2010年で月に16900円だったのが、2030年には22000~32000円に倍増すると試算されている(五十嵐データ研究所 日テレウェーク 2012.9.15)。野田総理は影響の大きい産業や中小企業には負担軽減を検討するという。
しかし、経済界の電力料金上昇、産業の更なる空洞化を懸念し、原発ゼロの動きに警戒するし、電力会社も儲け頭だった原発が廃炉になれば負の遺産となり経営がくるってくるらしいが、電力会社が本当のデータを国民に示したためしがない。

沖縄は原発がないので電気料金がどうなっているか、沖縄電力のHPから電気料金を調べたが、他の電力会社に比べて高いようだが規模も小さく一概に比較はできないようだ。

原発に反対する人は「危険だ」、「原発は無くてもやっていける」の一点張りだ。確かに今夏の電力需給を見るとやっていけそうだ。「日本維新の会」の橋下さんも大飯原発再稼働反対から突如再稼働も仕方ないと考えを変えたが、今年の夏の需給関係を見たら原発がなくてもやっていけそうで、変節を後悔していた。

私も原発はフェードアウトしかないと思っているが、反原発へのYESかNOの判断材料が余りにも少ないし、経済産業省や電力会社から出てくるネガティブ資料が信頼できるのかどうかも分からない。

こんな重大なエネルギーの国家戦略を政権寿命が長くて後1年もない野田政権が出すこと自体が拙速すぎないか。重大な政策課題だから先送りしない政治姿勢を見せたのだろうが、玉虫色の解決は先送りよりも性質が悪い。

政権が変われば反故の運命にもある原発ゼロを、国家戦略でなく、民主党の公約にすべきだ。

2012年9月14日金曜日

顔か、政策か、力か、それともカネか:民主32万人、自民79万人が選ぶ総理候補


民主党代表選候補者
2012.9.14 NHKニュース7
顔か、政策か、力か、それともカネか。民主党員・サポーター32万人、自民党員79万人が選ぶ総理候補の判断基準は何か。民主党代表選、自民党総裁選での候補者が出そろった。総選挙までは民主党代表が総理だろうし、総選挙後は大方のものが自民党総裁が総理の座に就くと見ている党首選が始まった。

世界の政治経済に大きく影響する11月の米大統領選が民主党のオバマ大統領か、共和党のロムニー氏か。米国人以外でも大きな関心がある大統領選だが、残念なことに投票権はないと嘆いた日本のジャーナリストが昔いた。

大統領選とまでは言わないが、総理候補の選挙だって自民党員、民主党党員・サポーター以外は選ぶことに参加できない。

民主党代表選は、とりあえずは野田総理がどういう政策を打ち出しているかが重要になる。新聞報道によると、日本経済に再生・デフレ脱却、分厚い中間層の復活、政治・行政・地域主権改革、国家の自立・繁栄の秩序をつくる4本柱だという。そして代表選後元気な民主党、元気な日本を作っていくという。

自民党総裁選候補者
2012.9.14 NHKニュース7
それぞれの政策課題は今まで言われてきたことの繰り返しで、中途半端な状況から後1年で前に進むのか。野田総理の進める一体改革は国民の負託を受けていない、主権者は誰かを問うために立候補したという候補者もいれば、党内の政策の決め方、運営の仕方を民主的にし、国民の期待に応えなければならないという候補者もいる。政権党の民主党が挙党体制でやるべきことをやっていかなければならず、今国民に信を問う時期かと疑問と呈する候補者もいる。

野田候補は総理らしく政策を訴えているが、他の候補は党運営など民主党の在り方に疑問を呈し、改革を主張している。一体改革での党分裂の傷跡が深いことが読み取れる。

顔はどの顔を見ても選挙に受ける顔ではない。そういう顔の候補者は執行部や長老が潰してしまった。

各グループの力関係はどうか。野田総理側は早々と内閣改造、党役員人事での工作を始めたようだが、人事権をかざしての候補者選びに介入することはご法度ではないか。

政権側はカネでも操作できる。官邸機密費がある。代表戦が終わった後で、官邸機密費の出費が異常に多かったらカネが動いたことになる。

一方、自民党総裁選はどうか。各候補者の政策よりも派閥の力関係が浮き彫りになってきた感じだ。総選挙後は政権に復帰できる可能性があるので、今から主導権争いをやっているのか。

古賀さんは「若い者が活躍できるステージを作る」と言いながら自派の林さんを候補者に押した。林さんは参議員だが、国会審議でも政策通であることがわかる。また、すでに過去の人となったと思っていた総理経験者の安倍さんまで立候補してきた。最大派閥の町村派だが、その町村さんまで立候補したのだから町村派は分裂状態だ。石破さんは国会審議を聞いていても政策通であることは確かだが、無派閥が支持にどう影響するか。石原さんに至っては口が軽いことが問題になっているが、「政治とカネ」のスキャンダルも抱えている。長老連中に覚えがいいというが、石原さんが総裁になったら長老支配が復活するのか。

総選挙後は、自民党政権の可能性が高いので総裁選びは慎重にすべきであるが、派閥絡みでの候補者選びとなると悪しき派閥政治の復活になる。自民党の党内改革が進んでいないので仕方ないことだが。

代表選、総裁選に参加できないじれったさはあるが、見守るしかないのだ。

2012年9月13日木曜日

孫が小学校でほほえましい罰を受ける


孫が夏休み前に、小学校の図書室から本を借りたが未だ返却されていないという通知を受け、「早く返すか、なくした場合はこの通知書を〇〇先生まで持ってきなさい」と書かれていた。みんなで家中探したが該当する本が見当たらない。母親が聞いてもはっきりしない。

母親が困って、連絡票に「本を探したが見つかりません。どうしたらいいのでしょうか」と書いて孫に渡した。

その日の夕食後、母親が「先生が何か言ってた」と孫に聞くと、孫はランドセルから連絡票を取り出して母親に渡した。

それを見た、母親が笑ってこんな罰もあるのだと感心していた。連絡票には「大丈夫です。健太郎君が働いていますから」と書いてあった。

孫に「どんな仕事をしているの」と聞くと、図書室の掃除や本の整理などを1か月間やるそうだ。

母親は笑って「しっかり働かせてください」と連絡票に書いて、孫に「明日渡すのよ」と念を押すが、孫ははっきり返事をしない。

机の廻りをもっと整理しなさいと母親から叱られていたが、学校の罰にもいろんな罰があるもんだと感心した。

池上本門寺・松涛園公開:西郷・勝の信頼関係が江戸城無血開城へ

松涛園 回遊式庭園

小堀遠州が作ったと言われる池上本門寺の松濤園が一般公開されていることを知り見学したが、寧ろ西郷と勝が江戸城明渡での会見場所と伝えられていることに興味を持った。今から144年前、江戸幕府から明治へと移る歴史的事件の解決方法をこの庭園を見ながら相談したことにロマンとも言うべきものを感じるが、江戸が焦土となることを避けての解決は、2人の信頼関係で成り立っていたのだ。

取りあえず腹ごしらえをしてからと思って、参道前のそば屋「千歳屋」で昼食に入った。店内を見ると約300年前と思われる池上本門寺周辺の俯瞰図が掲げられ、店の位置が書き込まれていた。相当歴史のあるそば屋なのだ。

女主人が、ここで勝さんたちが打ち合わせをして、西郷さんとの会見に向かったと先代から聞いていると話してくれた。この辺を池上というのは池上宗仲公が館と広大な土地を持っていたため池上と言ったそうだ。日蓮聖人を助けたのも池上公だ。

西郷、勝の会見の碑 あずまやは
残っていない
総門をくぐり、加藤清正が寄進したという石段を上り、仁王門を右折し五重塔前を左折、坂を下ると松濤園がある。

中央に池を配し、渓流を思わせるつくりの回遊式の庭園だという。小堀遠州の作の庭園はほかでも見たことはあるが寺院の縁側からの眺めで、このように周囲を歩ける庭園は初めてだ。

茶室も3棟あるが、昭和20年の戦災で伝来の茶室は焼失し、今あるのは茶室「鈍庵」のように裏千家から寄贈されたものらしい。

それらが点在する急斜面に「西郷隆盛、勝海舟会見の碑」が立っている。案内板に、慶応4年(1868年)3月、討幕軍の江戸城総攻撃を前に、討幕軍主席参謀の西郷と幕府軍の勝海舟が会見、江戸無血開城の交渉を行った。四阿(あずまや)で行われたと記されているが、今は残っていない

この庭園を見ながら、歴史に残る重要な事件が相談されていたのだ。池上本門寺には討幕軍の本陣も置かれて、勝海舟が西郷隆盛に会うためにここを訪れたというらしい。勝海舟の別荘、墓が少し離れた洗足池にあるが、勝が池上に来る途中で洗足池が気に入って別荘や墓を作ったと言われている。

江戸城明渡交渉は、1868年3~4月にかけて西郷と勝の間で行われた。西郷は3月15日に江戸城進撃を考えていたが、勝の使者が明け渡に関して、慶喜の処遇や明け渡しなど7か条を提案してきたそうだ。

西郷にしてみれば飲める条件ではなかったようだが、相手が勝だということで信頼し朝廷を説得し、3月14日に総攻撃は中止、勝は江戸焦土作戦も考えていたが、西郷、勝の信頼関係は江戸の焦土を回避し、4月11日の無血の開城へ導いたのだ。
                                                                                                              
この西郷、勝の会見には薩摩藩江戸藩邸という説もあり、そこには記念碑もたっているらしい。

どちらが正しいのかはわからない。

しかし、大事なことは歴史の一大事に当事者がどういう信頼関係に立って交渉していたかだ。

今の政界、民主党・代表選、自民党・総裁選、党首間のコミュニケーションを見ていると信頼関係が成り立っての政局とは思えない。

こんな連中の中から政治史に名の残る政治家が出て来るのか。

池上本門寺・松濤園を見学してつくづく思った。

歴史を刻むそば屋
千歳屋

2012年9月12日水曜日

党首のコミュニケーション不足:谷垣総裁の思いが野田総理に伝わらなかった?


自民党・谷垣総裁と野田総理の動きにチグハグさが目立つことが多かった。党首間のコミュニケーションの欠如で、谷垣総裁の思いが野田総理に通じなかった結果が、谷垣さんの総裁選から離脱で政権復帰を目前にしての敗北となった。特に「近いうち」の解散では、会期内解散に拘ったが、野田総理は反応を示さなかった。私も「谷垣さんが騙されていることに早く気付け」という意味の記事を書いたことがある。

最後は、無理筋な野党7会派の首相問責決議に賛成することで一気に求心力を失ったことになる。7会派の一人が、自民党に賛同させた意義は大きいとコメントしていたが、7会派の自分たちの決議案を優先すべきだというごり押しに谷垣さんが負けたことになった。

谷垣さんは人気がない。自民党への人気回復につながっていない。長老連中の覚えが良くないなどメデイアの報道には芳しいものがなかったが、谷垣さんの内心をよく理解できていなかったのだ。

朝日新聞(2012.9.12)の谷垣総裁との単独インタビュー記事「解散追い込めると思った」で、谷垣総裁の本音をうかがい知ることができる。

谷垣総裁は、3党合意など何故か野田総理に譲歩する行為が目立ったように思えたが、党首間のコミュニケーションを築くことが大切だと思ったようだ。数次にわたる野田総理との会談でも、最後は人払いして2人だけの会談になった。何が話されたかはわからないので憶測を呼ぶことになったが、何もなかったのだ。

党首討論では15分も質問時間を残して打ち切ったことが批判されていたが、野田総理の答弁が後が続かない内容だったために討論できなかったのではないか。野田総理も自分の答弁が言質をとられないように注意する余り討論が続かなかったことに早く気付くべきで、決して勝ったことではないのだ。

野田総理は代表選共同記者会見で、3党合意で社会保障と税の一体改革が成案したことを「決める政治ができた」と胸を張って見せたが、谷垣総裁におうところが大きかった。

「近いうちの解散」も谷垣総裁は7日に言及するのが一番良いと思い、野田総理も同じ思いだろうと考えたというが、谷垣さんの思うようにはいかなかった。野田総理は「それ以上でも、それ以下でもない」と訳の分からない従来の考えを繰り返すばかりだ。

谷垣総裁の思いが野田総理には伝わらなかったのだ。確かに、今野田総理に解散を言う力はないはずだ。

谷垣総裁は総裁選不出馬を宣言し総理の芽はなくなったが、「政治を前に進めようとした」政治家であることを国民は再認識すべきだ。

谷垣総裁のお人よしが、政局に災いしたようにも思えるが、「政治は顔や人気ではない」ことを示したことにもならないか。

2012年9月11日火曜日

民主党代表選共同記者会見:総理の座にこだわり、冷徹さをさらす野田総理か


民主党代表選での共同記者会見の記事を見ていて、総理の座に拘り、冷徹さをさらけ出す野田総理の姿が見えてきた。社会保障と税の一体改革では分裂、党内には未だ造反者を抱え、傷跡は残っているというが、党再生、日本再生のためには中途半端に政権を投げ出せないと自らの続投を正当化してみせる。

対立候補が3人おり、分裂を招いた責任をとるのが政治文化と追及され党再生を目論むも、未だ野田総理から改善策が示されてはいない。細野さんの出馬意向には徹底して潰しにかかったという。閣僚を辞任してけじめをつけろという城島国対委員長の発言には、執行部としての嫌悪がありありだった。

党再生など、今の野田執行部では無理なのだ。

「近いうち」解散では、常に「それ以上でも、それ以下でもない」と珍答弁するが、勝手に誤解した谷垣総裁は自民党総裁選から脱落した。側近連中が判断を誤らせる情報を自民党に送ったのだろう。

政治生命をかけると言わしめた社会保障と税の一体改革、消費税増税は成立したが、増税にGO 判断を下す条件に経済再生がある。1年以内にデフレ脱却、2年以内に競争力回復を謳うが、今までできなかったことがどういう政策で実現するというのか。

何時も言うことは日銀との協調であるが、日銀は金融緩和に過剰な期待はできないと言い、政府の規制緩和、企業の投資意欲を刺激する政策が必要だというのだ。お互いに頼りあっていては何もしないのと同じではないのか。

消費税増税が2009年のマニフェストになかったことに党内外の批判が集中するが、野田総理はいつも「おわびする」というだけで、誰も許す気配はない。

おまけに、次期衆院選のマニフェストのたたき台と言われる民主党・改革続行宣言には、消費税増税の記述はない。野田総理も「増税前に国民の信を問う」と公言していたが、次の総選挙で信を問わなければならないのではないか。

だとすると、マニフェストへの消費税増税隠しはいただけない。記述しないのであれば、民主党は消費税増税を回避したと思われても仕方ないのではないか。

民主党内の更なる分裂を回避しようとする執行部と政権内に考え方の違いがあるのではないか。

政権政党内での混乱は野党での混乱とは大違いで、国民生活に大きく影響する。安定のためには、分裂の責任をどうとるのか。野田総理ははっきりさせるべきではないか。

政権政党の分裂をも物ともせず、難題政策に「決められる政治」を推し進めようとする野田総理を支持する国民がどのくらいいるのか。内閣支持率を上げられる政策があるのか。

勿論国民に不人気な政策も必要であることはわかるが、野田総理がよく口にする「丁寧な説明」がされているとは思えないし、国会審議でもはぐらかしの答弁が目立つ。

そして、国会運営に支障きたすであろう参院での問責決議にどう対応していくのか。何ら国民に説明していない。

2012年9月10日月曜日

谷垣総裁不出馬:何故だ ブレまくって終わるのか

総裁選不出馬会見をする谷垣総裁
2012.9.10 民放テレビニュース

谷垣総裁が記者会見で突然、自民党総裁選への不出馬を宣言した。表向きの理由は同じ執行部から2人出ることは避けたいというのだ。確かに早期解散・総選挙で民主党と闘ってきた経緯がある。違いと言えば、片や若手、長老に人気があり、一方は不人気で「選挙の顔」ではないという。派閥の領袖は「若い者が活躍できるステージ」を作りたいとも言うのだ。

政権選択は政策にあると思うが、まだまだ「選挙の顔」が必要なのだ。それだけ政治のレベルは低いのだ。谷垣さんは世論調査の「総理にふさわしい人」では決まって4,5位に位置し、党の顔としてのアピール力が低いと見られている。

しかし、どんなに批判され、人気がなかったとしても、不出馬、退陣、辞退ともなれば,却って「何か良いところはなかったか」と考えるようになる。

確かに民主党の失点もあったが選挙には勝っている。野党に落ちてからというもの、政権奪還に向け努力してきた真面目さは評価でき、目標達成の目前での不出馬なのだ。

一方で、消費増税国会ではブレまくった印象が強い。3党合意で消費税増税関連法案の成案に貢献したが、「近いうち」の解散では野田総理に振り回された格好だ。財務相経験者として財務省、野田総理に手玉にとられたのだろう。

最後は無理筋の野党7会派の問責決議案に乗って一挙に信頼を落とす結果になった。それだけ会期内の解散・総選挙に拘ったのだ。

突然の不出馬に至った原因は、明日の新聞で検証されるだろう。自民党にあって派閥の領袖でもなく、政治基盤も脆弱で周りの意見に影響されブレる要因にもなったのだろうが、長老連中の支持が得られなかったことも痛手だったのだ。

谷垣さん不出馬で俄然勢いづいたのが石原さんだが、彼だって山崎派にあって政治基盤が強固な訳ではない。万一政権奪取で総理の座に就いたところで、長老に振り回される結果になり支持する議員らが考えているような政権運営はできない。

民主党・代表選、自民党・総裁選への乱立する候補者を見るにつけ、強固で安定な政権を築くことはできず国民にとっては不幸が続くことになる。

[後記]
朝日新聞2012.9.12の「解散追い込めると思った」の単独インタビューを読んで

谷垣さんは、人がよすぎたのだ。首相とコミュニケーションを築こうとしたが、うまくいかなかったようだ。そして谷垣さんは会期内解散を強く望んでいたが、野田さんもそう思っているだろうとの思い入れが強かった。
野田総理には、党内的に解散できる力はないことを見誤ったのではないか。