2012年9月10日月曜日

国家財源枯渇の危機:執行抑制より当初予算の見直しでは

2012年度予算案の構成比

先の国会で特例公債法が不成立になり、今後の目途もたたないために、2012年度の国家予算が10月には底をつくというのだ。そのために予算執行を抑制する策に出ているが、どうして当初予算を見直ししないのか。9日のNHKスペシャル「追跡復興財源19兆円」を見ていて、予算の建て方に役人の盗人根性の猛々しさを思い知らされた。

それと反対に、被災地でのがれき処理で関連自治体の中では抜群の経費節約をやった東松島市の担当者が「処理費は全国の皆さんがご負担しているので、1円でも安く」と言ったコメントに何故か新鮮さを感じた。

2012年度一般会計予算は90.3兆円、昨年度比2.2%減で6年ぶりに昨年度を下回ったというが、復興予算を特別会計に計上、基礎年金国庫負担の財源を交付国債で賄う姑息な手段を使ったためで、実質的には過去最大の予算になったが、借金も過去最悪で38.3兆円で赤字国債の発行が必要になる。

ところが、特例公債法が衆議院を通過したが、廃案になったために税収、税外収入約46兆円、一方累計支出が10月末で約45兆円に達する見込みで、このままのペースだと10月末に使い切ってしまい、財源枯渇の危機が叫ばれ出した。

最近は毎日のように予算執行抑制に関するニュースが続く。地方交付税交付金の一部支払い先送り、困った自治体が銀行から借金する場合は利息を国が負担するとも言う。公共事業は優先度を決めて一部先送り、各省庁の会議や旅費など行政経費を半分以下に、官庁の不急の出張の取りやめ、政党交付金の支給を遅らせる。独法、国立大学法人の運営費交付金も半分以下に抑えるなどの対策があがっており、当面5兆円の予算執行を抑制するという。

抑制ではなく、当初予算の見直しをするべきではないか。

予算が相当適当な理由で組まれていることが、9日のNHKスペシャル「追跡復興予算19兆円」で分かった。

聞きながらメモをしたのだが、復興予算19兆円のうち10.5兆円を所得税2.1%の増税で賄うのだ。その本格的な復興予算になる3次補正9.2兆円のうち全国、被災地外での事業に2.4兆円が投資されている。専門家が見ても事業名だけでは東日本大震災と関連があるかどうかわからないのだ。
しかも、被災県岩手、宮城、福島では申請数4525件だったが、2704件は認定されなかったという。

被災地の要望よりも、廻りまわって被災地の復興に少しはためになる理由づけで中央官庁の推進したい事業を優先づけた復興予算ではなかったのか。経産省の役人は、ニーズと効果に応じて予算配分したというが、一方で他の役人は出来るだけ現場の人たちの希望に沿うようにしたいともいう。

復興予算について財務省は、所得税などでの増税で賄うことに拘った。国の借金を増やさない策のようだが、増税で賄うことは借金せずに予算編成の自由度が上がることになり、官僚にとっては願ってもないことなのだ。

でも、役人にもしっかりした人もいるのだ。被災自治体でガレキの排出量が1,2位を占めた石巻市と東松島市で維持管理費がそれぞれ40億円、5億円と大差がついていた。その原因は東松島市はガレキを収集するのに分別収集していたが、石巻市はごちゃ混ぜでの収集をしたのが大きな原因であり、しかも業者管理も十分でなかったという。

東松島市の担当者が「処理費は、全国の皆さんがご負担しているので、1円でも安くに気を付けた」とコメントしていた。

中央官僚作成の復興予算も被災地の希望を優先し、1円でも安く予算管理していればもっと国民の負担の少ない予算化ができたのではなかろうか。

2012年度予算も特例公債法にめどが立たないから執行抑制で先送りすることばかりでなく、当初予算の見直しが必要ではないのか。

「みんなの党」の江田幹事長が国会審議で増税しなくても10兆円、20兆円はすぐ出ると野田総理を追及していた。国債整理基金特別会計への一般会計からの「定率繰り入れ停止」で10兆円は減らせるのだ。過去に何回も例があるが、今回は話にも上らない。

政府、財務省は「財源枯渇だ」と脅すが、緊急事態ならもっと当初予算に手を突っ込み見直し、削減をすべきではないのか

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