2012年9月29日土曜日

尖閣問題:対中改善を急いで国益を損ねるな

国連総会で演説する野田総理
2012.9.27 テレビニュース

エスカレートする尖閣問題で、対中改善を急ぎ中国の手に落ちるような国益を損ねる対応は避けるべきだ。2年前、中国漁船による尖閣諸島領海侵犯事件での菅政権の対応は、APECを控えての中国との関係悪化を懸念したとはいえ、多くの国民の批判するところとなった。

そして、今、石原東京都知事の尖閣購入発言で全国から14億円の献金を集めたが、国が買い上げる方針転換が、政府の思惑とはかけ離れ日中関係をさらに悪化させる結果になった。

ウラジオストックでのAPEC会場で野田―胡錦濤立ち会談で、胡主席から国の買い上げを反対されたが、その2日後に政府が買い上げを宣言したことが、中国の唐元外相をして「胡錦濤国家主席は面子を潰された」というのだ。

ウラジオストックでのAPEC会場で
野田総理ー胡主席の立ち会談
テレビニュースより
今までも国が借り上げていたし、東京都が所有して港湾施設を作るよりも、国が買い上げて現状を維持する方が中国を刺激しないと考えたのだろう。野田政権だって急に宣言したわけではなく、今までもあらゆるチャンネルで中国側へは説明していたはずだ。

野田総理は26日の国連演説で、領土、領海問題は国際法に従い、平和的に解決するとの原則を堅持し、国際司法裁判所の活用を提案した。至極当然の主張であり、記者会見でも後退する妥協はないと日本の主権を守る決意を示した。

自民党・石破幹事長は、具体的に何故、島の名前を挙げなかったのか。このままではエスカレートするばかりだと苦言を呈したがその通りになりそうだ。

これに対して、国連では中国楊外相が、1895年の戦争末期に日本が尖閣列島を盗み取った。日本が一方的に魚釣島を購入することは、中国領土の主権を侵害すると反論した。何時聞いても中国の主張は支離滅裂で、これが安保理常任理事国かと思うとがっかりする。

政治が思うようにいかなければ、日中友好関係、経済界のチャンネルで中国は要人を招待して、中国寄りの解決の糸口を探ろうとしている。

経団連会長は、「自分たちに問題がなくても相手が問題と言っていることを解決するのがトップの役割」と首相発言を批判した。日本政府が解決する意図は全然ない態度を示していることに懸念を示している。

日中友好関係者、経済界の人間が中国参りしたが、関係修復を急ぐあまり中国の手に落ちることは止めてほしい。国益を害する結果になることは避けるべきだ。

オバマ大統領の演説の時は満席だったが
野田総理の演説になると空席が目立つ
専門家に言わせれば、こんなものだそうだ
2012.9.27テレビニュース
中国の理不尽な対応には怒りを覚える。日本は請われて中国の経済発展に協力してきた。拡大する軍事、人工衛星を打ち上げる中国にODAはないだろうと2008年に問題になった。一部見直しはされたが無償資金協力、技術協力は続いているはずだ。経済援助も累計すれば相当な金額になる。恩義も分からない国に援助はないし、経済界だって儲けばかり考えていては馬鹿にされないか。

ここらで毅然とした態度で、対中政策を見直さないといつまでも馬鹿にされる。

今回の国連総会での日中の攻防は、空席も目立つ会場での深夜の攻防になっただろうが、中国の理不尽さを浮き彫りにしたことは成果だったのではないか。

チャイナ・デイリーがニューヨークタイムズ
ワシントンポストに掲載した意見広告
YOMIURI ONLINE
2012.9.29
また、今新しいニュースとして中国の英字紙「チャイナ・デイリー」が28日付、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズに「魚釣島は中国のものだ」という意見広告を載せたという。駐米大使は「一方的意見で、誤解を与える」と広告を掲載した新聞社に抗議をしたという(YOMIURI ONLINE2012.9.29)。

中国の政権が変わるまで、解決を急がず、理不尽な主張には一つ一つ反論することの繰り返しになる。

そして、これを機に国会でODAについてしっかり議論すべきだ。借金してまで援助する理由があるのか。考えるに、外務省がいい顔をしたいがための援助ではないのか。

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