2012年10月14日日曜日

財政再建と成長路線:相反する両立に苦悩するIMF?


「目をそむけてはいけない。成長なしには
世界経済への未来は危うい」とラガルド
専務理事
2012.10.14 報道ステーション
SUNDAY テレビ朝日
今まで政府債務で経済危機に瀕した国に支援と引き替えに、緊縮政策を求めていたIMFが、今回のIMF総会で世界経済の成長減速に強い懸念を示し方針を転換し、行き過ぎた緊縮財政を避け可能な限り成長戦略をとり、拡大する金融不安に断固足る行動とると国際通貨金融委員会は声明を発表した。

今回の金融危機の発端となったギリシャでは、「これ以上の我慢はできない」と緊縮財政への反対運動が起こったが、政府が緊縮財政を受け入れ支援を受けたが、財政再建目標が先送りされた。それだけ財政再建は困難なのだろう。

財政再建では歳出を減らす緊縮政策が最もわかりやすく、やりやすい政策であるが、国内経済は疲弊し、国民の不満は高まる。

財政再建といいながら、一方で成長政策のための財政出動は相反するもので、その両立には不確実性もあるが、急激な経済の減速を前に成長路線を加味せざるを得なくなったのだ。

IMFの舵取りも重要になってくるが、欧州ではESM(欧州安定メカニズム)の整備、米国には「財政の崖」への対応、日本には特例公債法の速やかな成立が求められた。

我が国の銀行が大量の国債を保有していることにも強い警戒が発せられた。金利が上がれば銀行の損失は増大し、経済危機に直面するのだ。国会で「1%金利が上昇したら銀行の損失はいくらになるのか」と質問された白川総裁は「1%の上昇で、銀行などの損失は6兆円と試算している」と答えていたのを記憶している。

銀行救済のために公的資金を注入すると、さらなる財政悪化につながるため、IMFは銀行監督の強化、地方銀行の再編なども提案した。

我が国は、成長路線に向けデフレ脱却、円高対策の必要性が問われているが政府は「日銀と協調し取り組む」と念仏のように繰り返すが、言うことは「日銀にさらなる金融緩和の要望」なのだ。

「果敢な」とか「徹底した」と冠がつくこともある。

日銀は、今までも資産買い入れ基金の枠を65兆円→70兆円からさらに10兆円増やし80兆円に拡大した。しかし市場の好感度は悪い。

相対的に通貨の供給量が不足しているとみられており、「無制限の枠」が要求されているのだが、日銀の腰は重い。過度の金融緩和への期待を否定する。

また、金融緩和への手段は国債、インデックス債、民間債権、株式などがあるようだが外債の購入はだめらしい。これには為替介入の可能性もあるために日銀ではなく、財務省が処理すべきだと言う。

政府は「さらなる金融緩和」を要求しているが、それが何なのか。どういうプロセスで景気の改善に役立つのか説明すべきではないか。

インフレターゲットも問題になっている。日銀は1%を目処にすると言うが、3~4%をめざし消費を躍起すべきだと言う経済学者もいる。しかし、インフレは実質所得の減少になり消費を控えるのではないかという見方もあるのだ。

日銀の白川総裁の考え方は、講演などの資料によると、今のように長期金利を低く維持していると企業は資金を借りやすくなり、企業が物を買うようになると物価も上がりデフレ脱却にもなり、消費も増え景気は改善するというのだ。

ところが、今は市場に資金はダブついており、むしろ企業は投資意欲が沸かない状態なので、政府による規制緩和などの政策が必要なのではないかというのだ。

政府と日銀は互いに責任をなすり合っているのではないか。これでは成長路線など無理だ。

ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授は、この世界的経済危機を脱出するには、緊縮政策ではなく、財政、金融政策へ大胆かつ積極的な転換が必要であるが、世界のリーダーは間違いを犯し続けて緊縮政策に走っており、再び過ちを犯し続ければゲームオーバーになると警告している。

財政出動→雇用確保→経済成長を提唱しているのだ。

誰の、どんな政策が効果があるのか。わかっていることは不確実性だけだ。

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