2012年11月20日火曜日

喫緊の課題はデフレ脱却:何故、総選挙で経済対策を争点化しないのか


「日本を取り戻す」「日本再生」を言うなら、喫緊の課題はデフレ脱却だろうが、どうして経済政策が争点化されないのか。政党の乱立を前に、公約として議論されているのは、消費税増税、TPP、原発への是非だ。勿論、それぞれの課題が国内経済への影響とも関連して是非が論じられなければならないのだが、声が小さい。

先日のFNNニュースでの世論調査でも分かったが、国民が望む政策は、景気・経済対策が33.6%、医療・年金など社会保障が20.6%で、いま各政党が競っている原発・エネルビー政策は7.9%、消費税増税5.9%、TPPは2.3%でしかない。

当然のことだろう。長年続く日本経済の停滞要因にはデフレ経済がある。

財政出動→経済再生→雇用創出→家計収入増→税収増→赤字財政脱出が望まれる経済再生のパターンだろうが、肝心の出だしである財政出動を財政再建と絡めて考えると、踏ん切りが付かないのだ。

緊縮政策だけでは経済はしぼんでしまう。財政再建もIMFも言い出したように経済成長と両立させる途を考えなければならないのだ。

一時、アメリカ大統領選でデフレ脱却の可能性があった。ロムニー氏が選ばれれば、ドル高、円安の可能性があったのだが、残念ながらロムニー氏は敗れた。オバマ大統領は、海外へ出て行った企業を呼び戻し、雇用を確保するという。当然ドル安で輸出を奨励するのだろう。円高傾向は変わらないのだ。

ところが、野田総理が解散に打って出たとき、市場は反応した。それまで株価は8661~8664円、ドルは79円30~90銭だったのが、15日には株は9024.16円(プラス194円)、ドルは808485銭と円安に動き、政策が野田不況だった感がしてきた。

そして、自民党・安倍総裁が15日の讀賣国際経済懇話会で「無制限の金融緩和」デフレ脱却に意欲を見せたところ市場はさらに株高、円安に動いた。19日は915320銭(プラス129円)、ドルは812829銭と円安で20日も傾向は同じだ。

消費税増税、脱原発、TPPで各党が独自色を出そうと苦労しているが、消費税増税前のデフレ脱却を謳っているのは自民党だけだ(朝日新聞2012.11.15)。

安倍総裁のヴォルテージは上がる。「今までと違う次元のデフレ脱却政策」を進めるというのだ(讀賣新聞2012.11.20)。

民主党と自民党の違いはどこにあるのか。

国会審議でも自民党は民主党政権の経済対策を批判していたが、野田総理は確か需給ギャップを例に取り自民党時代は30兆円以上だったが、今は10兆円に縮小したと反論していた。

安倍総裁は、政権につくと「日本経済再生本部」を設置して指導力を発揮すると言うが、民主党政権でも同じような仕事をする組織はあるはずだ。

安倍総裁は具体的政策として、インフレ目標を2~3%に設定、無制限の金融緩和、国内経済の下支えとして建設国債の日銀買い入れ、家計に眠っている資金を活用する無利子他税国債の発行、弾力的な経済財政運営などを上げている。

一方、政府は月例報告で4ヶ月連続で景気の悪化を認めて、デフレ脱却の道は遠いという(朝日新聞2012.11.17)。また政権内には「成熟社会に達し、もはや成長は見込めない」という考えもあり、GDP以外の指標で経済成長を計る必要性も出されていた。

建設国債の発行、日銀の買い入れ案などは、財政規律を損ねる危険があり反対も強く、行き過ぎたインフレを警戒する識者も多い。

政策課題としては新規性はないと思うが、思い切った内容になっているのは、財務相経験がなく、財務省の呪縛にかかっていないせいか。

消費税増税、TPP,脱原発とそれぞれ国の将来を決める重要課題であることに間違いないが、国内経済再生問題と絡めてしっかり議論してほしいものだ。

「日本再生」「日本を取り戻す」のは、まず雇用の創出からだ。

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