2013年1月21日月曜日

当面の為替水準、1ドル100円:通貨流通量の是非の議論を

1ドル100円が当面の円安の下限になりそうだが、通貨供給量(流通量)の是非から、きちっと議論すべきではないか。15年もデフレから脱却でず、日本経済再生のため円高是正が喫緊の課題と安倍政権は従来と異なる次元の金融緩和を含む「アベノミクス」を発表した。

民主党・野田政権での日銀との合意文書取り交わしでも反応が鈍かった市場だが、安倍総理の口先だけの政策に市場は反応し円安に動き出した。78円台だった為替も見る見る90円台へと下落した。あまりに早い円安は日本経済に支障を来たすとの閣僚発言で一時円高に動くが、円安基調は変わらない。

海外からは通貨安競争と批判されるが、今までの円高が異常だったことを考えると円安への動きは日本経済にとってはプラスだ。

ところで、この円高の要因が何だったのか。

米国の経済状況、ドル安政策、ギリシャをはじめとする欧州の政府債務危機など外的要因もあるが、わが国だって政府債務は1000兆円を越し先進国一悪い状況にある。

それでも円が買われたのだから、海外は相当悪いと市場は見ているのだろう。

それでも要因というと、通貨供給量の差が上げられる。市場に流れる円を増やせば円安になるというのだ。今は少ないから円高になっているという。

政府、市場の一層の金融緩和の要求に日銀はしぶしぶ資産買い入れ枠を増やし対応している。

この通貨供給量については、先の国会でも白川総裁が参考人に呼ばれ質疑が繰り広げられたが、考え方の主張ばかりで平行線のままに終わっている。

通貨供給量の不足を主張する学識者、エコノミストは多い。

内閣府参与になってインフレターゲット論を主張する浜田エール大名誉教授もリーマンショック後、欧米では通貨供給量を3倍に増やしたが、日銀は1.5倍しか増やしていないと言う。

この考え方は多い。先に衆院選での野田総理の五反田駅前の街頭演説(実際は松原・衆院議員の街頭演説)で松原議員も同じ事を聴衆に訴えていた。通貨供給量を増やさなければ円高は改善しないと。

先の国会審議でも通貨供給量が少ないのではないかと参考人の日銀・白川総裁が責められていた。

これに対して、白川総裁はマネタリーベースで対GDP比での比較では先進国一高い比率で決して通貨供給量が少ないわけではないと反論した。

白川総裁の記者会見でも、マネタリーベースで資金供給額を比較、資産買い入れ基金と貸し出し支払残高は120兆円で、名目GDP比27%(米国は約19%)で、今後50兆円を加えるとGDP比40%になり供給量は十分であると言う。日銀には珍しくフリップ・ボードを用意しての記者会見だった。

それぞれが自分に都合の良いデータを使って発言しているのだとしたら問題だ。もし、この供給量の差が問題であるのなら、もっとしっかり国会で議論すべきではないのか。

通貨供給量をどの程度まですれば良いのか。資産買い入れの無制限枠となると行過ぎたインフレの危険もあるだろう。

肝心な点を十分に議論せずに「大胆な金融緩和」云々は、日本経済、国民経済にとっては迷惑な話だ。

28日に国会が召集されるが、早急に審議に入り、国民に真偽を明らかにすべきではないのか。










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