2013年2月28日木曜日

脱デフレ策:日銀を一人いじめしても脱デフレは出来ない


日銀一人をいじめても脱デフレは出来ない。2%物価目標は日銀の責任で早期に達成を期待するというのが安倍総理の口癖であるが、28日の衆院予算委員会で桜内議員(日本維新の会)が、「日銀一人をいじめても脱デフレは出来ない」と政府の責任を追及した。

その前に、桜内議員は、昨年4月は目途(英訳 GOAL)、今は目標(英訳TARGET)を使っているが、違いはあるのかと日銀総裁に質問した。

白川総裁は、米ではGOAL,英国ではTARGETEUではテクニシャンを使って、目途も目標も同じこと、柔軟な物価安定政策にむけ目標を導入したと言い、他の中央銀行も採用していると言う。

さらに桜内議員は、2%物価目標設置での共同声明で責任が曖昧になっていないか。日銀は推進責任に幅広い主体として政府、企業も含め3本の矢を1本に纏めているが、日銀一人をいじめてもデフレ脱却は出来ないのではないかと政府の責任を追求した。

麻生財務大臣は、「おっしゃるとおり」と言い、ヘリコプター・マネーという考えもあるが、日銀と市中銀行で口座の金額を知らせあっているだけで、実際にお金は市中銀行に留まったままだ。お金を市中銀行から外に出すには、第2、第3の矢を同時にやらなければならず、政策の基本に共同責任を負っていると言う意味の答弁をしている。

財務省の考えを代弁しているのだろうが、従来の麻生財務相の考えを繰り返し、安倍総理とはニュアンスが異なる。

しかし、その安倍総理は、2%物価目標は日本銀行の責任で達成することを期待していると言うが、物価目標を安定的にするには、財政でマクロ経済の運用、民間も成長戦略が伴わないと脱デフレは出来ないと、麻生財務相の考えを肯定した。

桜内議員は、2年前からの日銀の資産買い取り政策を高く評価するという一方で、日銀、市中銀行からカネが外に出て行かない。今、日銀がやっている非伝統的金融政策は財政政策ではないのか。買い取り基金は伸びているが、その他は30兆円も減ってきているのではないかと日銀に質問した。

白川総裁は、基金での買い取りは増加し、60兆円増加している。対GDP比でも高く、もっと増えそうだと言う。マネタリーベースでは確実に増えているし、バランスシートも確実に増えていると主張した。

桜内議員は、予め日銀に問いただしての質問だったが、白川総裁にとっては突然の質問だったようで、かみ合っていなかった。

今後は、直接市中へカネが出て行くような基金設置し、融資先を増やしていく工夫が必要ではないいか。

安倍総理は、政策は日銀に任せているが、今後2%物価目標にむかって経済財政諮問会議で4ヶ月に1回報告するようになっている。国会の場で議論し選択肢を選んでいく事になると言う。

2%物価目標達成の責任について、日銀、麻生財務相と安倍総理の考えにニュアンスの差がある。

ここは日銀、麻生財務相の言うように日銀一人の責任では無く、政府、企業の目標達成責任は大きいのではないか。

安倍総理および安倍総理を取り巻くリフレ派の日銀責任論に違和感を覚えないか。

2013年2月27日水曜日

乱高下する円、株価:安倍総理の「アベノミクス」を市場は本当に評価しているのか


乱高下する円、株価。安倍総理の「アベノミクス」を市場は本当に評価しているのか。株価は乱高下を繰り返している。25日(月曜日)にも276円高の11662円だった日経平均株価が、26日(火曜日)は263円安の11398円と動きが激しい。円も94円13銭から91円80銭と動く。円安になれば株高、円高では株安だ。

一方、長期金利も低下し、低水準を維持している。

安倍政権になって2カ月、支持率は今までの政権と違って上昇している。脱デフレを謳い大胆な金融緩和を主張し、次期日銀総裁には金融緩和推進論者を人選し、市場は今一層の金融緩和を期待して円安、株高基調が続く。

この円安、株高基調を安倍総理は「2%物価目標、三本の矢の「アベノミクス」が評価された結果だ」と国会の予算委員会で民主党政権との違いを主張していたが、本当にそうなのか。

投資家の判断材料で他に良い材料、懸念材料が無かった時には「アベノミクス」が評価されるのであって、欧州経済、米国経済の動向に大きく影響されるのだ。 

26日(火曜日)は、イタリア総選挙で反緊縮派が伸び、欧州危機再来の不安から投資家が安全資産にカネを移したために株安、円高、債券高になったという。

ギリシャ、イタリアに限らず国内の財政再建策はなかなか国民に支持されにくい。反緊縮政策で経済が活性化されれば一番いいのだけれど、疲弊に拍車をかける。欧州経済危機は、どういう手を使っても解決は難しく、世界経済に波及することは確かだ。

おまけに米国は、NY株は続伸しているというが、こちらも乱高下が激しい。ブッシュ減税の終わり、赤字国債発行上限枠の問題があり、オバマ政権も崖っぷちに立たされている。

定期的に発表される経済指標と、あらかじめの市場の見通しの結果の違いで株価は大きく変動している。それと連動し東証株価も変動する。

FRBバーナンキ議長は、連邦公開市場委員会内で量的緩和の副作用に懸念が広がるが、「資産購入の利益は明白だ」として、量的緩和策を今後も堅持するという(読売新聞 2013.2.27)。
欧州経済、米国経済に大きく左右され、政府債務が対GDP200%を超え先進国一の財政悪化国でありながらも安全資産として円が買われる。

これが、「アベノミクス」で円安、株高に向かっていた安倍相場に冷や水をかぶせる結果になっている。

今、円安が進んでいるのは、安倍総理の提唱する「アベノミクス」の効果か、日銀が今まで進めてきた非伝統的金融緩和政策の効果なのか。

デフレ脱却が遅々として進まない理由に金融政策が間違っていたと日銀に非難が集中し、日銀総裁人選、日銀法改正まで「日銀の独立性」を侵害し、国債の信任を落とすことが危惧されるほど話題になっているが、本当に日銀のせいなのか。

日銀に言わせれば、市場にはカネがだぶついている。通貨供給量は対GDP比では、先進国一の供給量を維持している。日銀の金融緩和政策と相まって財政政策、成長戦略が必要なのだという白川総裁の考えに賛同する。

それでも更なる金融緩和が必要というが、その理由は何なのか。今までの金融緩和では効果が出なかったというだけでは説得力がない。

2%物価目標、更なる金融緩和、アベノミクスを評価するエコノミストがいる一方で、2%物価目標達成はほとんど無理、このままだと好ましくないインフレを生じるというエコノミストが多くなってきた感じだ。

日本のマクロ経済を主導する経済財政諮問会議では、「デフレをストレートに議論しよう」という意見も民間議員からでたようだ。デフレに落ち込んだ要因は何か。なぜデフレから脱却できないのか。日本経済をリードする人間がどう考えているのか知りたいところだ。

そして、安倍総理は自らの「アベノミクス」が市場に本当に信頼されているのか。リフレ派エコノミストの意見ばかりでなく、デフレ派のエコノミストの意見もしっかり聞き、「強い日本経済」を取り戻してほしい。

2013年2月26日火曜日

2月25日、栃木県北部地震M6.2:こんなところに東北地方太平洋沖地震の誘発地震か

気象庁地震情報
2013.2.25 気象庁HPより

2月25日夕方に発生した栃木県北部地震(M6.2),震度5強は、あの超巨大地震だった2011.3.11東北地方太平洋沖地震の誘発地震だったのか。この東北地方太平洋沖地震は日本の乗っているプレートの歪み、バランスに大きな影響を与え、各地の地震発生確率を上昇させ、その余震、誘発地震も危険視されているのだ。

25日の午後4時半頃は、孫を迎えに保育園に行っているときだ。揺れは感じなかったが、保育園の保母さんに「栃木で大きな地震があったようですよ。気をつけてください」と注意された。

帰ってテレビをつけると地震が報道されていた。栃木県北部、M6.2,深さ10km、日光市湯元で震度5強だ。

気象庁の地震情報を見ると、震源地は栃木県北部、北緯36.9度、東経139.4度だ。地図で確かめると、奥鬼怒、湯元当たりになるか。日光市湯元で震度5強、那須塩原で震度4,日光市内は震度3だ。震度5弱はどうなっているのかと思ったら、震度5弱以上と考えられるが震度を入手していない観測点として、日光市足尾が上げられていた(気象庁地震情報平静25年2月25日16時28分発表)。

気象庁の「各地の震度に関する情報」でも、M2.1~最高の6.2,震度も1~5強と25日22時過ぎまでに35回も揺れている。これも短時間のうちの異常な頻度だ。

私も3年前まで群馬に住んでいたので、この群馬県・栃木県県境付近の日光、足尾の地震には注目していた。時々地震発生の記事が新聞には載っていた地域なのだ。

東日本大震災以降、地震活動が活発化
した地域
フジテレビ ニュースジャパン2013.2.25
ところが、調べてみると、あの3.11東北地方太平洋沖地震の誘発地震では長野県栄村、地下マグマの異常挙動が富士山、箱根で見られたことは、良く知られているが、この群馬県・栃木県県境地域も地震を誘発しているのだ。

気象庁の「3月12日 群馬県・栃木県県境付近の地震活動 2011年」によると、2011年3月11日17時40分(東北地方太平洋沖地震の発生直後)、M4.0が発生、翌12日には深さ6km、M4.5 震度4が発生している。1949年12月に今市地震(M6.4,震度4)が発生しているが、この付近ではM5クラスの地震波発生していなかったと言う。

そこで今回の地震だ。誘発地震と考えられている。

陸域における誘発地震活動
名古屋大学大学院環境学研究科
群馬・栃木県境、今問題になっている
箱根も挙げられている
名古屋大学大学院環境研究科の「日本列島陸域における誘発地震活動について 2011.3.11」によると、東北地方太平洋沖地震発生後、日本列島陸域で誘発されたと思われる地震活動が活発化しているというのだ。

その誘発地震発生場所中に群馬・栃木県境があり、今問題になっている箱根―丹那断層も上げられている。

それによると、東北地方太平洋沖地震以降、中部地方~東日本にかけて東西方向に引っ張られる力が加わっているのではないかという。確か東京に設置されている経緯度基準点も東方向に30cm程度動いていると言われている。

そしてわずかな水圧の上昇でも小さな地震が発生することは分かっており、火山地域や構造線など地殻の強度が全体として弱い場所に選択的に発生しているのではないかと考えられている。

この県境付近は、東北地方太平洋
沖地震の発生直後と翌日にも地震が
発生している誘発地震の起こりやすい
地域なのだ
「群馬県・栃木県県境付近の地震活動
2011年3月12日」
気象庁HPより
何故、こんな群馬・栃木県境付近で大きな地震が発生したのか分かるようだ。

テレビで現場の状況が報じられていた。ドーンという音とともに突き上げるような揺れだったという。震源域が浅く直下だったのだろう。気象庁は、今後1週間はワンランク下の震度4クラスの余震に注意しろという。

今は雪なども多く、雪崩、落雪に注意が必要だが、震度5強を記録した湯元付近は背後に急峻な山が迫っている。群馬側から金精トンネルを出ると中禅寺湖の眺めも良いが、驚くのは山崩れ、地滑りが激しいのだ。豪雨の被害が大きいのだろうが、急斜面に役立つかどうか分からない砂防ダム、地滑り防止の工事がされている。今回の地震でどうなっているか。

あれだけの超巨大地震だ。これからどんな誘発地震が発生するか分からない。そして首都直下型地震、相模トラフ、南海トラフ沿いの超巨大地震は何時起きても不思議ではない発生確率まで来ている。

一方で、発生確率が低くても巨大地震が発生している。

来そうで来ないところに不安が募る。

2013年2月24日日曜日

TPP協議加速:交渉参加優先で課題先送りか

読売新聞 2013.2.24

交渉参加優先で課題先送りしTPP協議を加速することになった。「聖域なき関税撤廃」の高い水準を満たすことが障壁になっていたTPP交渉参加に安倍政権がどう立ち向かうのか注目していたが、「慎重に取り扱うべき事柄」を先送りし、取り敢えず交渉参加表明に漕ぎ着けた格好になった。

讀賣新聞(2013.2.23)によると、両首脳会談で、「聖域なき関税撤廃が前提ではないと言う確信に至ったと対外的に説明しますよ」と迫る安倍総理に、大統領は何も答えなかったという。

安倍総理は訪米前に、「自らオバマ大統領に、この点を確認し交渉頒価の是非を判断したい」と言っていたのだから、オバマ大統領が何も答えなかったことを「了解」と判断したのだろう。

これで、国内で交渉参加について、反対する与党、野党議員を説得できることになったのだ。

記者の要求で握手する場面
テレビ朝日 スクランブル2013.2.24

23日、テレビ東京の「週間ニュース新書」に出演していた民主党の輿石さんをして「うまい手法を使ったモノだ。こういうやり方は民主党政権では出来なかった」と言わしめたが、安倍総理の訪米を控え官僚の事前調整での激しい駆け引きがあったようだ。

民主党政権でも菅総理の時、交渉参加ぐらいは良いだろうと言っていたが、その後の野田総理は交渉参加を主張していたが、相変わらず党内は反対論が強かった。弱体政権、党内不一致では交渉の仕方がなかったのではないか。米国だって警戒するはずだ。

関税撤廃に慎重になるべき事項を抱えたままの交渉参加であり、共同声明でも謳っているが、「TPPの高い水準を満たすことについて作業を完了する」ことを含めて更なる作業が残されていると言うように、「聖域なき関税撤廃の原則」が消えたわけではない。お愛想なしでビジネスライクの会談が前途の多難さを示していないか。

米国はこれから議会承認の手続きが必要になる。

交渉に参加すれば情報も入ってくるだろう。政権、官僚はまずいことを隠すのではなく、きちんと情報を公開すべきである。

2013年2月22日金曜日

量的緩和:米・FRBも白川・日銀総裁警鐘の副作用に悩むのか

読売新聞 2013.2.22

米・FRBが白川・日銀総裁が警鐘した超緩和的金融政策・量的緩和の副作用に悩むか。読売新聞(2013.2.22)によると、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、量的緩和政策を続けることによる副作用への懸念が広がっているという。金融緩和に積極的なバーナンキ議長は何も言っていないというが、同じく積極論者を日銀総裁に選任しようとする日本にも迫ってくる問題だ。

新聞によると、月850億ドル(約8兆円)のペースで債権を買い入れており、雇用が増え、労働市場に改善が見えるまで続ける方針だと言うが、副作用への懸念が広がってきたという。その背景には、資産購入による景気刺激効果が弱まって、メリットが見えなくなっているというのだ。

副作用の一つに物価が望まし水準を上回って上昇していくこと・・好ましくないインフレを恐れていることと、金融緩和が行き過ぎることで金融市場の安定性が損なわれはしないかと言う懸念だ。

そのために、量的緩和を縮小したり、停止すべきではないかという意見も出てきているし、景気の回復度合いによって資産購入を減らしていく準備をすべきだとの意見が強まった。

一方で量的緩和策の終了が早すぎれば、経済や雇用に打撃を与えるとも言う。

米国は日本の苦境に当たり「量的緩和」の必要性を忠告していたが、実際に自分たちがその目に遭うとゼロ金利下での金融政策運営の難しさを認識したようだ。

この点は、我が国でも今国会での予算委員会審議で質疑がされた。ハイパーインフレの危険はないと言われているが、2%物価目標を達成するまで金融緩和をやるのか、2%が見通せる時点で止めるのかとの質問に、安倍総理は「その判断は、専門家に任せる」と逃げるが、「早めに止めて目標を達成出来なかったことが多い」と従来の日銀の姿勢を牽制もした。

金融市場の安定が損なわれないかは、白川・日銀総裁も副作用として警鐘を鳴らしている。今、世界中で物議を醸している債券購入による「量的緩和」は金融政策の切り札となりえる有効な手段かどうかについて議論するために、各国の中央銀行のトップがワシントンに集結し、FRB(米準備制度理事会)主催の会合で、日銀の白川総裁が講演し、「積極的な金融緩和には副作用と限界がある」と警鐘をならしたのだ。

それによると、バブル崩壊後の積極的な金融緩和政策は必要としながらも、低金利が続くと、金利負担が軽いため借金返済の意識が薄れ、家計や企業の財務の健全化が遅れるし、企業投資の健全さも失う。国にあっては、財政の健全化が遅れる。低金利であふれた投資資金は原油や穀物などの投資にまわり、商品市況が高騰するという。何やら今の世界経済の歪んだ状況を言い当てているようだ。

ところで、ここ数年の超緩和的な金融政策を中央銀行のトップはどう考えているのか。

米・セントルイス地区連銀のブラード総裁も、ここ数年経済を支援したが常に適切とは限らない超緩和的金融政策について、過度に傾注することに慎重な姿勢を示した。米経済、ひいては世界経済に弊害をもたらす可能性があるというのだ(朝日新聞デジタル 2012.3.26)。

一方、米国FRBのバーナンキ議長は、世界恐慌を顧みて恐慌を長引かせたのは性急な金融引き締めだったとして、「あまりにも早く政策を逆転させないこと」と指摘し、暗に金融緩和を続ける意向を示したという(朝日新聞デジタル 2012.2.26)。

経済政策、金融政策に、これといった確固たる政策があるわけではなさそうだ。「過去の事例から、あの時にこうやったが失敗したので、今回はこうしてみよう」式の政策ではないか。

米国は一足早く量的緩和の副作用にぶち当たろうとしているが、我が国はこれから2%物価目標達成に向け、積極的な金融緩和論者を新しい日銀総裁に選ぼうとしている。今の日銀の政策委員には可能性の低い2%物価目標を掲げることは日銀の信認を落とすことになりかねないと反対した委員もいる。

どういう新総裁が選ばれ、どういう舵取りをするのか分からないが、好ましくないインフレが危惧される一方で、ゼロ金利下での量的緩和は効果がないという説も根強い。

経済指標をしっかり見ながら、しっかり議論していく必要がありそうだ。「今回こうしたら失敗したので、次はこうすべきだ」では遅すぎるのだ

2013年2月21日木曜日

民主党衆院選・政権運営総括案:何か評価すべき点は無かったのか


民主党の衆院選・政権運営総括案が公開された。あらゆる面で否定的記述だが、何か一つでも胸を張れることがなかったのか。これでは一時的とはいえ民主党を支持した国民が浮かばれない。

自民党・福田政権の時、福田総理と民主党・小沢代表(当時)との間で民主、自民で連立政権構想が話し合われたが、政権交代を目前にした民主党幹部の反対で挫折したことがある。この責任をとって小沢さんが代表辞任を言い出した時、「民主党は未だ政権を担当できる力は無い」といったことがあるが、この3年3ヶ月の民主党政権で、このことがはっきりしたことになる。

国会審議で自民党政権を果敢にせめていた民主党議員の姿と、政権について閣僚になっての姿に大きな乖離を感じざるを得ない。

しかし、何か良いことはなかったのか。

鳩山元総理の政権運営は余りにも稚拙だった。何の根拠も無く普天間問題を混乱させ、「政治とカネ」の問題は国民の信頼を失う結果になった。小沢さんに担がれた総理だったが、「担ぐのは軽くて、パーがいい」を実践したような総理だった。

「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズは良かったが予算の担保もないマニフェスト の内容が明らかになるに従い政権公約の権威を地に落とす結果になった。数人のエキスパートが作成したと言っても政策作成、決定プロセスの曖昧さも明らかになった。

民主党最初の政権を託す人が間違っていたのだ。手堅い岡田さんだったらどうなっていたか。小沢さんでは岡田さんは無理だのか。

その小沢さんの存在は「権力の二重構造」がついて回った。小沢さんが動けば総理の存在感はなくなっていった。鳩山さんの功績は、ともに「政治とカネ」問題で悩む小沢さんを抱き込んで辞任していったことぐらいではないか。

続く菅元総理は、市民運動か出身だから権力には強く当たる傾向があった。「官僚は大馬鹿ものだ」と豪語し「脱官僚」を強引に進めたが、官僚の協力がなかったら何も出来ないことも実証した。

そして菅さんはいろんな意味でついてなかった。中国漁船の領海侵犯ではAPECを控えて中国に配慮しすぎた。3.11東日本大震災は未経験の大震災であったし、福島第一原発津波被災は広範囲に放射能汚染をまき散らす未曾有の大災害になった。

被災地復興で非難されたが、東電の福島第一原発からの総員待避(?)を拒否し、首都圏をも含めた広範囲の避難を回避した功績はあるのではないか。色々混乱はあったが評価すべきだと思う。

参院選でも唐突な消費税増税を提案し惨敗に終わったが、その後の消費税増税への道筋への一歩になったのではないか。

でも、往生際の悪さには閉口した。

最後の野田総理も「決めるのは、私だ」と政治を前へ進める意気込みは評価出来るではないか。自民党政権時代に先送りされていた政治課題へ果敢に取り組んだ。

政治生命を賭けた「消費税増税」を含む社会保障と税の一体改革は、財政再建、社会保障への道筋をつけたことになる。

民主党は総括で、「解散時期の見定めを誤った」としているが、「近いうち解散」もこれ以上先送りすればもっと惨めな結果になっていたのではないか。補正予算などを組んで政権の人気を挽回してからの衆院選を目論んでいた民主党幹部もいたが、そんな可能性はあのときはなかった。

「総理が決断すれば、政治は前へ進む」ことは当たり前と思っていたが、それを実証して見せてくれた野田総理だった。海外特に米国では認められていた総理ではなかったか。

実現可能性の少ないマニフェストで政権につき、尽きない党内のゴタゴタも加わり、たらい回しの政権で続く閣僚の不祥事は、国民に恥をさらし続ける結果にはなったが、古い体質の自民党政権にない斬新さを出そうと努力した点は評価出来るのではないか。

総括案では、もう少しがんばった点を出していっても良かったのではないか。そうでなければ、「党創生に向けた提言」で「改革政党としての旗を掲げ実行に向けて邁進する」と言われても信ずる国民がどれほどいるか。


3年3ヶ月の政権で、国民に良かった点に言及できない民主党に再生の道など無いと思う。




2013年2月20日水曜日

2年で、2%物価目標達成:それでも日銀総裁になりたいのか

2年以内に2%物価目標を達成しなければ成らないが、それでも日銀総裁になりたいのか。安倍総理の掲げるデフレ脱却に向けての成否がかかる2%物価目標設定に次いで、日銀の新総裁、2人の副総裁選びが焦点になってきた。安倍総理は国会予算委員会で「強力に金融緩和を進められる人」といい、アメリカから帰ってきて2月下旬に人選を国会に提出するらしい。

メデイアは、武藤、2人の岩田、黒田、伊藤さん達の名前を挙げ、野党の同意がとれるか、各党の総裁人選条件が飛び交う。ここでも主導権を得ようとしているのか、それとも脱官僚を徹底しようとしているのか。

候補者の中には、円高を主張したとか、ゼロ金利政策解除で政府と考えが違ったとか、過去の言動で適否を論じられている人もいる。なんだかんだと下馬評の飛び交う日銀新総裁選びだ。

そんな中で、「それでも日銀総裁になりたいのか」。

国会同意人事だから候補者の「意見陳述(?)」があるのだろう。5年前に武藤さんがペーパーを読み上げていた場面がテレビで放映していたことを思い出す。結果は同意を得られず、副総裁に決まっていた白川さんが昇格することになった。

ここから財務省の苦悩が始まる。財務省にとっては日銀総裁に椅子は、最高の天下り先なのだ。何かと財務省を目の敵にする者にとっては拒否なのだ。

今回も財務省が暗躍したようだが、みんなの党の反対は強い。安倍政権が、スムーズな人選にしたいのであれば財務省OBは避けることになる。

候補者は、2年で2%物価目標達成に責任を持つことになるが、本当に可能と考えているのか。ただなりたいがために無理を承知で応じることにしているのか。

2%物価目標達成への道筋をかんがえているのか。

好ましくないインフレの危険をどうやってコントロールしようとしているのか。


2%物価目標達成は、日銀の金融政策だけでは難しい。政府の強力な規制緩和、成長戦略が必要になる。それと相まって目標達成を目指すのだといえる人材がほしい(今の白川総裁と被るが)。

「自信を持って予測するエコノミストは信用できないが、自信のなさそうなエコノミストの予測は信頼できる」とは、「専門家の予測はサルにも劣る」という本の趣旨だ。

控えめだが、物価の安定、雇用の確保、そして日銀の独立性を維持できる人材に次期総裁を託せないか。







 



2013年2月19日火曜日

「アベノミクス」を「アべノミス(安倍のミス)」で終わらせないために


まだ実体経済へ効果が出ていない「アベノミクス」の口先政策に市場が反応し、先行き不透明な円安、株高基調が続いているが、時間が経つに従って「アベノミクス」への懸念も高まって来た。経済学者、エコノミストも二分する評価の「アベノミクス」を「アベノミス」(安倍のミス)としないために安倍政権の冷静な政策運営が要求される。

安倍総理が打ち出し日銀もコミットした2%物価目標設定が、民主党政権と安倍政権での経済政策、特に脱デフレ政策の大きな相違点だという。国会・予算委員会でも安倍総理が2%物価目標設定し日銀に責任を負わせたことで市場が反応したと結果、円安、株高の動きが出てきた。

民主党政権ではそれがなかったために失敗に終わったと言いたいようだ。

でも、その2%物価目標の根拠となると「深い認識があってのことではなさそう」だ。予算委員会での民主党・前原議員の「2%の根拠は」と言う質問に、安倍総理は「経済学者は2~3%、あるいは3~4%を提言しているが、達成可能で、且つインパクトを与える為に高め数値として2%にした」と言う意味の答弁をしていた。そこで前原議員の先の発言になったのだ。

脱デフレは喫緊課題であり、各政権で取り組み、日銀も非伝統的金融緩和で対応しているが、その効果が見られていない。

今、安倍総理の「アベノミクス」に市場が反応しているのは、民主党政権とは違って安倍総理の「やる気」、「強い政権」への期待感ではないか。期待を裏切るようなことがあれば、一気に円高、株安に引き返すことになる。民主党・野田政権でも日銀と合意文書を取り交わして脱デフレに当たったが、信頼を失った政権に市場は反応しなかっただけの話ではないか。

目先をチョット変えただけの政策に反応しているのだ。

その安倍総理は市場にカネがダブついているにもかかわらず、さらに通貨供給量を増やし、物価を上げようとしているのだ。

しかし、 今のデフレは不況の原因ではなく結果で、今のゼロ金利下では 大胆な金融緩和でもデフレ脱却にはあまり効果が無いと主張する学者(吉川教授など)もある。
新政権になると、民主党・菅総理の時もそうだったが、今までの政権になかったことをやろうとして日陰だった傍流の経済学者の説を採用しがちである。

「アベノミクス」の第二の矢「財政政策」も、古い体質の自民党の公共投資が目につくと批判が多い。国土強靱化で災害に強い国土、減災に取り組むと同時に古い構築物のメンテナンス元年にしたいという。

赤字国債の発行を伴うので、当然財政再建の問題が出てくるが、景気対策で景気を刺激し、財政再建では増税で税収は増え、経済成長でデフレ脱却をすると言う。今は緊縮政策より
財政出動が大事だとケインズ経済学が再注目されてきた。

先行き不安が募り、モノの価格が全般的に下がる「デフレ」になると、お金の価値は持っているだけで上がる。すると人はモノを買わず需要は拡大しない。こうして不況が生まれる。お金を手元に置くメリットを下げる。このケインズの考えは、今の金融緩和にも繫がっている(ケインズ 朝日新聞 2013.2.18)。

第三の矢「成長路線」も内閣府のHPから開いて第2回規制改革会議の資料「これまでに提起されている課題の代表例」を見た。どの政権だろうが成長戦略が練られる時には、必ず上ってくる課題だ。不思議なのは、どうして今まで進んでいないのかだ。

ほとんどが既存の既得権益者、監督官庁の利権と絡んで規制改革が出来ていないのだ。官僚全体に抑えのきく政治家や民間人が出て来ない限り無理な話だ。

TPP交渉参加の賛否でも与党が半分に分かれている状況では、選挙も控えて政治家の足並みは乱れがちだ。6月のまとめ提出も疑問符がつく。

こう見て来ると安倍総理が強力に主導(?)する「アベノミクス」も先行きどうなることか。

2%物価目標だって達成責任まで日銀に押しつけた格好で、自分には責任はない態度だ。

日銀だって本気で2%物価目標達成を信じている政策委員はいないのではないか。共同声明を発した手前、2%へ向け努力する姿勢を示しているが、白川総裁はいつも財政政策、成長戦略の必要性を謳えている。至極真っ当な考えだ。

「アベノミクス」を「アベノミス」で終わらさないためにも、一部の学識者の言うことばかりでなく、広く議論を起こしバランスのある政治をやってほしものだ。

2013年2月18日月曜日

デフレと金融政策:論争点は「デフレは不況の原因か、結果なのか」


デフレ脱却に向けて金融政策論争が激しさを増しているが、その論争点は「デフレは不況の原因か、結果なのか」であり、どちらに立つかにより政策も違ってくる。安倍政権がよりどころとするリフレ派はデフレが不況の原因で、金融政策でインフレに転換出来ると言うが、デフレ派は不況がデフレの原因で金融政策は効果が無いと真っ向対立するのだ。

ここで重要なのは、経済がゼロ金利下にあることだ。ゼロ金利の下では金融政策がデフレ脱却の為に果たし得る役目はきわめて限られてくる。デフレと金融政策を巡る論争は、混迷する現代マクロ経済学を反映しているという(「デフレーション」 吉川洋 日経新聞出版社 2013.1.8)。

実際に今まで日銀は非伝統的金融緩和を実施してきたが、市場にはカネがダブついているのに、デフレ状態が続く結果になっていた。

ところが、安倍総理(当時は自民党総裁)が大胆な金融緩和、2%の物価目標を掲げて選挙戦を戦いだして市場は反応し、円安、株高基調に替わってきた。民主党政権、日銀のこれまでの政策が間違っていたのではないかと考えられるようになった。

丁度、18日のNHK参議院予算委員会の国会中継で民主党の小川議員、桜井議員が民主党政権と安倍政権での金融政策の違いを質問していた。

民主党政権も「2%以下のプラス、当面1%目途」で、民主党と考えは同じではないかと追求するが、安倍総理は市場が反応しなかったではないか。替わらなかったではないかと反論する。

今、資金は流しているが物価は上がらない。金融緩和で物価が上がるのかとの質問に、
2%と言う物価目標が示されていなかったし、達成責任も明確にされていなかったと安倍総理は答弁する。

安倍総理は金融緩和→円安、株高→企業利益アップ→投資、給与増→物価上昇の道筋を描いているようだが、今は相場に影響が出ているが実体経済へはこれからだ。

2%の物価目標は、2%達成まで緩和を実行するのか、それとも達成できる見通しがついた時点で止めるのかの質問に、安倍総理は2%の安定目標達成には専門家の判断によると言い、判断するのは日銀の仕事であると言及を避けた。
そして2%と言う物価安定目標を設定している国にハイパーインフレになった国はないと巷間言われているハイパーインフレの危険を打ち消した。

日銀は十分な金融緩和をやっていると思うかとの質問には、安定目標設定、達成責任が明確でなかったので十分とは言えなかったと言うが、現在執っている手段に対して介入することになるのでコメントしなかった。

「デフレの原因は何か」という本質的な質問が出た。

安倍総理は、「貨幣現象」で、金融政策で対応し2%物価目標は正しい方向だと答える。貨幣を増やせば物価は上がる。デフレは脱却できるというのだ。カネはどこに行くのかというと、国債、外債、株式などが考えられるのだ。

これは標準的なマクロ経済学の考え方なのだ。でも、今まで日銀は非伝統的な金融緩和で量的緩和を進めてきたが、効果が上がらなかった。市場にはカネがダブついたままその先にカネが行かない。

麻生財務相は、金融緩和は第一の矢、株式や為替に効果が出て民間に行くには、第二の矢、第三の矢の財政政策、成長戦略が必要だと真っ当な答弁をした。金融緩和に重点を置く安倍総理とは少し考え方が違う。

デフレが不況の原因であれば、大胆な金融緩和で市場にカネを流せば物価も上がるだろう。今まで効果が無かったのは、安倍総理に言わせると2%物価安定目標がなかったことと、日銀に責任を持たせていなかったことだが、本当にそうなのか。

一方、デフレは不況の結果だと考えるとゼロ金利下での金融緩和は効果がないことになる(吉川洋 同上「デフレーション」)。

他の先進国も低インフレの時代に入ったが、日本だけがデフレにかかった原因は、雇用システムが崩壊し、賃金の低下がデフレを定着させたという(吉川)。雇用システムが変容していったのだ。

現代マクロ経済学は「よく言って全く役に立たない、悪く言えば有害なものだとクルーグマン教授は言い、世界の中央銀行がゼロ金利の下で手探りで続ける試行錯誤を支えているのは「古いマクロ経済学だ」と言う(同上)。

どちらの主張が正しいのか。その判断は、どのくらいの円安と株高がいつまで続くかだ。

今書店では、「アベノミクス」に関する出版物が店頭に並んでいる。気になることはネガティブな内容のタイトルの本が多いことだ。給料が上がり家計が潤いインフレ気分が出てくるまでには時間がかかりすぎる。それまで安倍政権は持つかもきがかりだ。

この危機的な状況のなかで、白川氏が総裁でいたことのありがたみをかみしめるべきだ。次の総裁が誰になるのか全く不明であるが、「アベノリスク」がさらに進み、最後は「アベノミス」などとならないよう心から願う次第だ(世界を救った「気遣いの人」 AERA2013.2.25)

辞任する白川総裁の功績を称えるこの文に、国民の願望がある。

2013年2月17日日曜日

日銀・新総裁は、白川総裁続投がベストではないか


日銀新総裁は、白川総裁続投がベストではないか。15年もデフレから脱却できなかったことで日銀の金融政策が批判され白川総裁が矢面に立っているが、冷静に考えると白川日銀総裁は間違っていないのではないか。「アベノミクス」の一本目の矢「大胆な金融政策」も「2%物価目標」を日銀は飲んだのだから、実施は任せたらどうなのか。

日銀は、今まで小出しとはいえ非伝統的な金融緩和政策をとってきたが、一向にデフレ脱却は出来ない。安倍総理の口先政策で今、円安、株高基調が続いているが今後どうなるかは不透明だ。麻生財務相が「まだ何もしていないのに」と言うように市場は期待感だけでリスク・オンに動いている感じだ。

新総裁に、金融緩和積極論者と見られる財務次官経験者、大学教授、国際金融機関総裁などの名前が上がり、さらに日銀、財務省の駆け引きが取りざたされ、○○さんなら円高に○○さんなら円安、株高が続くという。

「輪転機でお札をドンドン刷る」ことがデフレ対策に効果があるということが学説で立証されているのか。一説には否定されているという。

日銀総裁の条件も厳しい。組織を動かせる人と、政府と対等に議論出来る人、市場とも対話が出来る人など出てきているが、やっぱり日銀の仕事は、物価の番人、国民の生活の安定を確保することと、日銀は銀行としての業務だ。「最後の貸し手」としての大事な業務もある。

ただ、金融緩和積極論者だからというだけで大学教授、財務省OBを選ぶのは危険すぎないか。今国内では行き過ぎたインフレが心配されている。

参議院予算委員会では、民主党議員が質問で「2%物価目標達成まで金融緩和をやるのか、それとも2%達成が見込める手前で止めるのか」と行き過ぎたインフレへの警戒をにじませていた。安倍総理は、「日銀には、2%達成の責任を持たせるが、そこは専門家の判断に任せる」と言及を避けた。

金融緩和積極論者だとついつい行き過ぎたインフレへのコントロールを見失いがちだが、白川総裁のように2%物価目標に警戒する姿勢があれば、うまくコントロールできるのではないか。

「アベノミクス」の二本目、三本目の矢はどうなっているのか。

「アベノミクス」の二本目の矢「財政出動」も、国土強靱化を名目に公共事業のバラマキ(?)懸念が拭えない。補正予算をくわえ赤字国債の発行で財政再建の道も遠くなる。財政出動と財政再建は今のところ相反する道だ。安倍政権での財政再建への道筋も見えない。

三本目の矢「成長戦略」は、どうなのか。

規制改革会議の論点がメデイアに出た。経済活性化、民需主導の経済成長を実現するために大胆な規制改革を推進し、6月の成長戦略まとめに盛り込むという(「今後の規制改革会議の運営について」より)。

内閣府のHPから、規制改革会議 第2回規制改革会議で配付された資料2「これまでに提起されている課題の代表例」を開いてみた。国民一般、経済界などから寄せられた規制改革要望のうち、その代表的なものを整理し、分野別に列挙したものだという。

成長戦略は各政権毎に検討された課題であるが、相変わらず同じ内容が続く。逆に言えば一向に解決(実施)されていない内容なのだ。すべての項目が「○○すべきではないか」で結ばれている。

すべての項目で、利害が対立しているのだ。讀賣新聞(2013.2.16)の「規制改革59項目提示」によると、混合診療の拡大は医師会が反発、エネルギー/環境では石炭火力の建設手続き簡略化で経済産業省と環境省が対立、解雇規制の見直しでは労組が反発、農業生産法人の要件緩和では農協が反発という。

利得権益で改革攻防が続き、これでは成長戦略も検討した結果しか残らない。大きく政治問題に絡んでくるが、選挙が控えているとトーン・ダウンする。

経済も、先行き不透明な円安、株高基調、経済再生へ一歩を踏み出したかどうかも判断しかねる状況だ。

安倍総理のリーダーシップが試されるが、今のところは抵抗の少ない日銀に日銀法改正を盾に2%物価目標を迫っただけだ。

そんな安倍政権だから、金融政策こそしっかりした舵切りが必要だ。行き過ぎたインフレへの警戒、国民、市場への説明責任、国際的にも評価されており、中央銀行としての銀行業務に通じている白川総裁続投しかないのではないか。

2013年2月15日金曜日

「アベノミクス」のインフレ・リスク:「そう思うから そうなる」?


インフレ・ターゲットを設定し、脱デフレを推進するアベノミクスが高い評価を得ている一方で、好ましくないインフレ、インフレ制御が効かない危惧もあり、その賛否でメデイアは華々しく議論を展開している。インフレを目指すのだからインフレ・リスクもあるだろうが、経済分析、実例を明示しての記述だから「そう思うと そうなる?」の心境になる。

メデイアではリフレ派、デフレ派の対立と言うが、リフレ派は「不況の原因はデフレにある」としてマネーを市場につぎ込み不況から脱出しようとする金融政策論者で安倍政権の政策を主導する。デフレ派は「デフレは不況の結果」であって金融政策でインフレ期待を作り出すのは困難だと言い日銀の政策に近いと見ることが出来る。

でも、日銀に言わせれば市場にはカネがダブついている。日銀は非伝統的金融緩和をやってきたがデフレ・マインドが強くインフレ・マインドに転換しない。金融政策を盲信するエコノミストは日銀を責め立てる。

そこで安倍総理は2%物価目標を無理強いし、日銀にその達成責任を負わそうとする。それに対して日銀は当初2%物価目標設定に反対していたが、日銀法改正まで臭わされると組織防衛の為もあってか、設定に踏み切った。しかし、金融政策だけでは無理で成長戦略政策などの必要性を強調する。

政府と日銀は共同声明を発表したとは言え、思考には隔たりがあり、新総裁の選任が注目されている。

このデフレ脱却に向けた経済政策に経済学は役に立っているのか。誰でも疑問に思うところである。経済学会がしっかりした議論をして国民に判断資料を提案すべきだと思うのだが、統一見解など無理な話のようだ。

経済問題は純粋に経済学で解ける問題は少ない。社会問題、政治問題と大いに絡んでいるからだ。

デフレ脱却、強い経済を取り戻すには、金融政策の是非までの議論は出来るが、そこから先の規制緩和、成長戦略は利得権益、痛みを伴う問題を含み政治の問題になるのだ。

そうはいっても、実体経済への影響はこれからと言っても「アベノミクス」は始まっている。市場はこれに期待して円高、株安の行き過ぎた日本経済を本来の姿に戻そうとする修正局面で円安、株高基調が進んでいる。

麻生副総理・財務相が「何もしていないのに株は上がり、為替は円安になった」とよく言っているが、裏にどういう事情があるにせよ、言っていることは確かだ。

インフレ期待だけで、こうなんだから成長戦略の具体策である規制改革が出てくればどうなるのか。

円安になれば輸出産業は潤うが、輸入物価は高くなる。特に食料品、エネルギーの高騰は国内のインフレを助長する。

企業はここのところの円安、株高で業績改善をPRしているが、賃上げとなると「まだ、先行き不透明」として給料が上がるのは、まだ先のようだ。給料は上がらず、物価だけ上がる好ましくないインフレが目の前に来ている感じだ。

好ましくないインフレ、行過ぎたインフレは「そう思うから そうなる」のだろうか。兎に角、インフレに転じると舵取りが難しくなると言う主張は理解できるのだが・・。


2013年2月13日水曜日

デフレ脱却への期待感:何故、民主党政権に無く、安倍政権でありそうなのか

自民党本部

安倍政権になってデフレ脱却への期待感が強まっているが、何故、民主党政権ではなかったのか。その要因に民主党・菅、野田元総理は財務相経験者だったが、安倍総理は経験していなかった。そして、衆院選を控え直接国民に脱デフレ政策を訴えることが出来たことではないか。

菅、野田元総理は財務相経験者だったので財務省の意向を受け、財政再建を優先する余り、参院選を前に選挙には不利になる消費増税を唐突に打ち上げたり、消費税増税に政治生命を賭ける行動に出た。

自民党も当時の谷垣総裁は財務相経験者で、消費税増税10%を公約に掲げたが、選挙では野党と言うことで不利な立場は回避できた。

民主党本部
一方、安倍総理は財務相を経験していなかったために、大胆な政策を打ち出すことが出来たのではないか。今までの日銀の小出しの金融緩和ではデフレ脱却が不可能とみると、今まで影の存在だったインフレターゲット論に軸足を移した。

折しも、衆院選を控えて直接国民に脱デフレ政策、強い日本経済を取り戻す政策を訴えることが出来た。このチャンスは大きかったのではなかろうか。

国民は民主党・野田元総理の「前へ進むか、後退するか」の訴えにも反応せず、安倍総裁のチャレンジに拍手を送った。

案の定、民主党は惨敗、国民は安倍総裁の経済政策を支持した。

これで、日銀、財務省は「国民の民意が何か」を知ったはずだ。日銀は従来の「2%以下のプラス、当面1%の物価目標を目指す」方針も、安倍総理の日銀法改正まで盾に迫る2%物価目標、インフレターゲット論に屈することになった。

日銀本店
選挙戦期間中から、市場が円安、株高に動いたのだから今までの日銀、財務省の方針が間違っていた(?)と見られても仕方ないことだ。

この日銀の変節ぶりに先の衆院予算委員会で民主党・前原経済財政担当相がかみついた。

民主党・野田政権でも日銀と合意文書を取り交わし、協調して脱デフレに当たることにしたばかりだったからだ。違う点と言えば、1%目途が2%物価目標になったぐらいだ。

目途も目標も同じ目標ではないか。白川総裁も「フレキシブル・インフレーション・ターゲッティング」では目途と目標を区別する意味は無くなっていると言ったばかりではないか。

それでもメデイアやエコノミストは「2%物価目標」をインフレターゲット論を採用したと「アベノミクス」ともてはやした。

民主党も人気挽回に日銀との共同歩調を協調するつもりだったのだろうが、落ち目の民主党政権と再び日の出を迎えようとする自民党・安倍政権では勝負はあったようなものだ。

その「アベノミクス」が迎えるのは「天国か、地獄か」の議論が華々しい。インフレはどっちかというと悪く考えやすい。好ましくないインフレ、物価は上がるが給料は上がらない。ハイパーインフレになれば制御出来なくなる。

日銀・白川総裁は、効果が出るまで時間がかかるので好ましくない事象が現れるかどうか慎重に検証しながら見守っていくと言う意味の発言を繰り返している。

1%目途も覚束ない現状で、2%という高い目標を設定させられ、未達の場合は説明責任を課せられる予期せぬ政策への対応に危機感を持っているのだろう。

財務省なら財政再建、成長戦略なら経済産業省、取り得る経済政策で官庁のウエイトも変わってくる。

自民党政権は、成長戦略を謳うが、財政再建も視野に入れるという。そして、海外からは通貨安競争の疑念も持たれ、打ち消しに躍起だ。日銀に政治圧力を加えることは日本国債の信認にも影響が出てくる。

安倍総理も財務相経験者でないことは利点でもあるが、無鉄砲な政策は日本経済を脅かすことになる。

バランスの取れた政策をとっていけるのか。一抹の危惧はある。

2013年2月12日火曜日

北朝鮮、核実験強行:常に騒いでないと忘れられる弱小国の悲哀か

核実験の可能性を伝えるNHKニュース
2013.2.12

北朝鮮が核実験を強行した。北朝鮮という国は何か騒いでいないと忘れられる弱小国の悲哀なのだろうか。専門機関の予測通り、12日午前11時57分頃、核実験を強行した。日本を含め世界の安全保障に重大な脅威をあたえる事態になったのだ。

NHKの国会中継に続き、NHKニュースを見ていたら画面に「北朝鮮で揺れ観測 核実験? 韓国メデイアが伝える」というテロップが流れ、直ぐ解説報道に移った。地震波と核実験での振動の伝わり方の違いも説明した。



米・地質調査所の発表
NHKニュース 2013.2.12
次いで画面には、米地質調査所の情報として「11時57分、M4.9,北緯41.29度、東経129.08度」、次いで気象庁が「11時57分 M5.2 特異な振動 北緯41.2度、東経129.3度」を発表した。

気象庁はさらに、13時30分、「北朝鮮付近を震源とする地震波の観測について(第2報)と発表した。

それによると、今回の地震と21年5月25日9時55分、18年10月9日10時35分の地震と14年4月17日のM4.6の自然地震の振動波形を比較して、今回の振動波形は自然地震による可能性はないと発表した。

気象庁発表
2013.2.12 NHKニュース
北朝鮮は核保有国から核武装国へ変わろうとしている。昨年の長距離弾道ミサイル発射で国連安保理は制裁決議をしたにもかかわらず、今回の核実験の強行だ。さらに制裁を強めることになるのだろう。

指導者が若くなったので「少しは変わるだろう」と誰でも思ったことだろうが、クリントン前長官と同じく「がっかりした」ことになる。

前の第一書記が「我々のような弱小国は、騒いでいないと忘れられる」と発言したことがメデイアに載っていたのを思い出す。

国民が貧困の極みにあるのだから、世界と協調する路線に転じた方が得策と思うのだが、国内事情が許されないのだろう。悲しいことだ。

12日午後の衆院予算委員会
開始時間を13時10分に遅らせたが
10分過ぎて阿部総理が入る。
質問者の北朝鮮の核実験について質問に
答え、情報収集、分析の徹底、放射性物質
の測定、モニタリング、国際社会との連携
を指示したという


2013年2月11日月曜日

自民党しか頼れない政治の危うさ

自民党本部 官邸との差をどう解決
していくのか

自民党しか頼れない政治の危うさを感じる今回の讀賣新聞(2013.2.11)の世論調査結果だった。「強い日本」復活へ自民党安倍政権への期待が高い。政権発足時は65%程度の支持率だったが、他の政権とは違って安倍政権は71%へ支持率を上げている。

デフレ脱却で日銀に強い姿勢を示し円安・株高基調へ導き、経済界には賃上げ要求、アルジェリア・テロ事件では政府救援機を飛ばし、復興予算も増額、原発再稼働もゼロから見直す。尖閣列島を巡る中国側のとんでもないレーダー照射事件も国民への情報提供を優先する姿勢、こうなると集団的自衛権問題も現実味を帯びてくる。

強い日本、日本再生へ安倍政権の期待が膨らむのは当たり前のことだ。

その一方で、第二、第三極を目指すとした日本維新の会、みんなの党への期待の低調さは、さもありなんとする主導権争いが目を引く。

みんなの党の渡辺代表の言動が党内分裂の懸念をかき立てているし、日本維新の会の石原、橋下共同代表制は内部抗争の結果であり、何やら民主党の鳩山・菅体制の時を思い出させる。日本維新の会も民主党の二の舞を演じることになるのだろうか。

世論調査での政党支持の問いに、自民42%、民主6%、維新5%、みんな3%、支持政党なし39%。参院選での比例代表投票先の問いには自民42%、民主7%、維新13%、みんな5%、決めていないが21%だ。

自民以外の政党の支持は軒並み数%の低調さ、比例投票に至っては支持政党なしが減った分、維新13%、みんな5%と上がったが民主党は1ポイントの上昇のみ。

民主党幹部は「厳しい結果、一つ一つ積み上げていくしかない」とお決まりの発言であるが、再生への道は見えてこない。更なる分裂しかないのではないか。

日本維新の会も、まだ可能性を残しているが、大阪維新の会と旧太陽の党での抗争は根強いものがあり分裂しか解決できない。

頼れるのは自民党一党か。

政権政党を監視する政党の不在に一抹の不安を感じる日本の政治だ。

2013年2月10日日曜日

日銀新総裁選考基準、問われるのは政治家の資質ではないのか


新聞報道によると、新しい日銀総裁選びで、日銀トップとして組織管理能力、危機管理能力に加えて独立性を堅持する能力、胆力の他に「明快に説明する能力」が求められているという。裏返せば白川・日銀総裁にその能力がなかったと言うことか。それとも下馬評に上がる候補者に対する選考基準と言うことか。

私は、白川・日銀は国民、市場にしっかり説明していると思う。一方で、政治家は国会審議で日銀と論争する能力、姿勢に問題があるのではないかと思う。

日銀の経済分析、それに伴う金融政策は日銀総裁や政策委員の記者クラブ、地方の経済界での講演などで知ることが出来る。日銀のHPを開けば誰でも見ることが出来る。

お金の動きを把握しているので、その判断は正しいと思う。

それでも、どうして明快に説明する能力が要求されるのか。政治家は日銀のレポートを読んでいるのか。

そして金融政策に関する国会審議でのやり方に工夫がなさ過ぎるのではないか。

NHKの国会中継がある度に聞くようにしているが、質問者の国会議員は自らの考えを述べ質問するが、日銀総裁も従来の考えを繰り返すだけで、いつも平行線で議論がかみ合わない。

質問者は何故、白川総裁や安倍総理に交互に質問を仕向け、政策の違い、その是非を国民の前にあぶり出せないのか。

政治家は日銀総裁に不満をぶつけるが、日銀総裁の資質の問題ではなく、政治家自身の問題ではないのかと常に思う。

こんなことでは、例え積極的な金融緩和推進論者が新総裁に選ばれても、政策の議論が進まなければ説明責任の問題ではない事になる。

大胆な金融緩和を要求するのであれば、それなりの説明責任が必要になる。偏に国会議員の資質の問題ではないか。

安倍総理も2%物価目標強要の説明責任を果たすべきだ。

民主党改革原案:3首相の責任指摘は分かるが、改革案は?

民主党の綱領、改革に関する意見募集
民主党HPより

民主党の改革原案がまとまったという。鳩山、菅、野田の民主党歴代3首相の責任は厳しく指摘されているが、党改革原案が分からない。讀賣新聞(2013.2.9)によると、衆院選大敗の理由として「トップの失敗の連鎖が続き、期待外れの政権というイメージを与え続けた」と明記しているが、これからの改革がどうなるか説明がない。

改革原案ポイントは上がっているが、3年間の民主党政権の反省であって何ら新しい内容ではない。改革という以上は、「これからどうするか」ではないか。

民主党のHPを開いてみた。

「民主党の新しい綱領案や党改革についてあなたのご意見をお寄せください」という意見募集が目にとまった。

[綱領案を見る]をクリックすると、民主党綱領 たたき台(案)が出てくる。前文と綱領からなっている。

民主党政権にとって、いろんな意見があるだろうが、一番問題は政策決定プロセスが不明朗であったこと、党内統治が全く出来ていなかったことではないか。

その反省から、綱領の「政治姿勢」では、積極的な議論と結論の遵守を旨とし健全な党内統治を目指すと言うし、公開・参画・対話を重んじ、国民との協調による政策の決定と実行を目指すとも言う。

組合組織に偏重しない政治家個人の後援組織の構築が大事なのではないか。そこから政治課題が見いだされるし、行動が出来るのである。自民党が下野しても政権の座に戻れたのには、個人の地方組織が健在だったことだ。

こんな状態では民主党の再生など覚束ない。負けた時は皆その理由は、言われなくても分かっている。必要だったのは勝った時に、何故、勝ったのかを検証しなかったことだ。政権交代を手段ではなく、目的にしてしまったための失敗だったのだ。

国会が開会され予算委員会も始まったが、民主党はねじれ国会での優位を傘に、人事案などに旧態依然とした抵抗を見せ、党内で対応の不統一が見受けられる。

他の野党も民主党との協調路線を避け、距離をとりつつあるように見える。

今後どういう改革案が出てくるのか分からないが、こんな民主党に期待できるのか。一抹の不安がある

憲法改正:第96条改正手続きを第96条で改正できるか


憲法改正の発議条件を緩和するために憲法改正手続きである第96条で第96条を改正できるのか。8日の衆院予算委員会で日本維新の会の中田議員が憲法改正について、中身の議論ではなく発議条件である2/3を1/2に緩和する手続きについて質問した。

9日の新聞には、その質疑が載っていなかったので記すことにした。

日本国憲法は第96条で「この憲法の改正は、各議院の総議員の2/3以上の賛成で、国会が、これを発議し・・・」と規定し、さらに「国民投票でその過半数の賛成を必要とする」とも規定し、改正が著しく困難な世界でも稀な硬性憲法である。

ところが、これでは憲法改正が難しいので、手続きを緩和し憲法改正を狙っているのだ。

安倍総理は、国民の50~60%の人が求めている憲法改正を発議条件が2/3の賛成を要求しているのは、おかしいのでここを変えていく。憲法調査会で議論を深め、国民的問題意識を深めたいと言う。

自民党でリーダー的存在である古屋国家公安委員長も議員連盟の代表として答弁に立ち、国民が憲法改正の可否について主体的に参加する重要性を説いた。

中田議員は、「公明党はどうか」と太田国土交通相にも質問をむけた。太田国交相は「時代の要請に合わせて、変えるものは変える」と言うが、慎重に扱い合意を形成しなければならないと、党内事情もあってか、苦しい答弁をしていた。

中田議員は、日本維新の会は積極的に取り組むと質問を結んだ。

本当に憲法96条の改正手続きを憲法第96条で改正できるのか。学説では原則として不可能なのだ。

憲法改正論者が、憲法の他の規定を改正しやすくするための議論であるとすると警戒しなければならない。

でも、国会改革など憲法を変えなければ進まない政策課題もある。不可能とばかり言って入られない状況なのだ。

2013年2月8日金曜日

7日衆院予算委員会で2%物価目標設定の背景が明るみに


民主党が再び野党になって初めての予算委員会で、前原元経済財政担当相がトップバッターとして質問に立った。アベノミクスの1本の矢である「大胆な金融緩和」で2%物価目標の根拠について質問の矢を放ったが、前原議員曰く「深い認識があったとは言えない」ことが明るみになった。

前原議員は日銀に対して「2%以下のプラス、当面1%を目途」と言い、2~3%に反発していたが、何故、2%を受け入れたのか。日銀法改正を回避する為だったのか」と問い、安倍総理には「選挙期間中は2~3%を主張していたが、何故、2%にしたのか。深い認識があってのことか」と問いかけた。

安倍総理は、デフレ脱却にはマインドの変換が必要で、クルーグマンは2~3%、数人のエコノミストは3~4%を提唱していたが、インパクトを与えるためにも高めの数字を示し、可能性のある数字として2%を設定した。日銀もコミットしてフォローアップする仕組みも出来たと答弁した。2%目標達成は日銀の責任であるとも付け加えた。

日銀・白川総裁は、バブル期の19890年代始めで1.3%、1985年~2011年まで平均で0.56%で、2%は難しいのではないか。物価上昇率を高くし成長力を強化することと相まって、その方向に向かうことが重要なのではないかと言う趣旨の答弁し、日銀法改正を回避する為ではないと言う。

前原議員は、総理のリーダーシップ、政治の圧力(日銀法改正、人事など)で現段階では円安、株高に動いているが、日銀の独立性を侵害すれば円の信認にも影響が出てくると警告した。

デフレ脱却で鳴り物入りで訴えた2%物価目標も特に深い認識があってのことではなく、その達成も日銀に丸投げとはどういうことか。

前原議員も、「金融政策だけでは無理だと言う日銀の方が正しい」と言っていたが、日銀の2%への変節も苦し紛れの説明に聞こえる。

今の円安、株高も安倍総理の口先政策の影響もあるが、海外特にアメリカ経済、欧州経済に左右される要因も大きい。今後は実体経済がどうなるかだが、市場は冷静な判断をすべきではないか。

過剰な反応で好ましくないインフレだけは避けなければならない。

2013年2月7日木曜日

物価目標2%の根拠:インパクトを与えるために高目の数値?

物価目標2%の根拠は、インパクトを与えるための高目の数値だったのか。7日から始まった衆議院予算委員会のNHK国会中継を聞いた。民主党が再び野党になって初めて前原元経済財政担当相が質問に立ち、デフレ脱却に向けた2%の物価目標の根拠を質問し、安倍総理は「インパクトを与えるために高めの数値を出した」と答えた。

前原議員は「質問は良かったが、答弁はまずかった」と切り返し、これからも機会があるごとに質問するという。

前原議員は、週刊誌で騒がれ政務官を辞任した徳田議員問題、従軍慰安婦問題で官房長官の対応、靖国神社参拝問題に続いてアベノミクスに質問が及んだ。

まず、イギリスの例を挙げ政権が交代すると前政権を否定するが、民主党政権でのよい政策は受け継いだ方がいいと思うがどうかと質問、安倍総理も広い度量で成長戦略に取り入れたいと答えた。

これは重要なことだ。政権交代による政策の不連続性は、行政を混乱させ国民生活に影響が大きい。

次いで、日銀法の改正で替える点は、世界銀行と同じく国民とのかかわり、雇用にも責任を持つことだという。

参考人の白川総裁は、インフレターゲット、法による運営の理念に基づき金融政策で「柔軟な物価安定政策」を目指すのは今後とも同じで、中央銀行の独立性、理念を共有し、物価安定、金融の安定で雇用の安定にも貢献するつもりだという。

前原議員も民主党政権時、経済財政担当相として、3回決定会合に出席したが、その時の議論と今の発言は相当かい離していると指摘し、2%以下のプラス、当面1%を目処にし、つめていく考えを封印したのかと問いかける。

「何故、2%を受け入れたのか」と問い詰めた。

白川総裁は、2%以下のプラスで当面1%の目処は、金融政策に効果が出てくれば上げていく。現在は物価の見通しも少し上がってきたし、市場もリスク回避姿勢が変わってきた。見通しが変わる。円高も見直しが進む。日銀の経済見通し、物価見通しも変わってきている。1%から2%へ、成長力強化策が進んでくると1~2%の間で説明(責任)をすることができると弁明する。

前原議員は「正直に答えてくれ」と不快感を示し、日銀法改正阻止にために2%を認めたのではないかと問いかける。

白川総裁は、そんな事実はない。物価の安定で国民の生活に貢献するという。

前原議員は、バブル期で1.3%、2014年で0.9%、過大に見積もっているのではないかというが、白川総裁は1980年代前半1.3%、1985~2011年で平均で0.56%で2%は難しいが、成長力の強化など努力が必要で、その方向に向いていくのが重要だ。リスク問題も検証しながらやっていくという意味の発言をした。

2%達成の責任にも言及し、安倍総理は2%達成へ日銀に責任を持たせるというが、日銀は日銀だけではだめだという。違いがあるのかとの質問に、安倍総理は日銀の責任で早く実現していくという。

前原議員は、白川総裁は金融緩和だけではダメというが、白川総裁の方が正しいのではないか。

現段階の結果では、安倍総理のリーダーシップの成果が出ているが、これからは副作用も考えなければならない。無制限緩和では規律がきかなくなる。

安倍総理は選挙前2~3%を主張し、日銀は1%を目途と言っていたが、今は2%を受け入れた。何の根拠があって2~3%が2%になったのか。

前原議員は、「深い認識があってのことか」と畳み掛けた。

安倍総理は、デフレ脱却にはマインドを転換する必要がある。クルーグマン教授は2~3%、数人のエコノミストは3~4%を提言していたが、ショックを与えるには3~4%だが、強めの数字を示し、政府、日銀の目標として結果を出す。2%は可能性のある数字だ。日銀もコミットしフォローアップもする仕組みもできた説明した。

2%について、インパクトを与えるための高めの数字で、安倍総理自身が根拠を持っているわけではなく、ブレーンとなる経済学者の受け売りのようだ。

日銀はカネの動きを把握しているので、前原議員の言うように白川総裁の考えの方が正しい気がする。日銀の金融緩和政策だけでは無理な話で、これからは政治の問題になる。

朝日新聞(2013.2.7)によると、日銀の審議委員が前橋で講演し、物価上昇率2%を目指すには4%程度の賃金の伸びが必要だという。

丁度春闘の最中だ、安倍総理は経済界に強力に賃上げ要請をしたらどうか。

日銀ばかりでなく、政、財、労で共同歩調を取らなければ、2%物価目標は難儀な気がするが。














2月6日、ソロモン諸島沖地震、M8:津波注意報50cm、8時間後に解除

ソロモン諸島沖地震と津波注意報
日テレ ミヤネ屋 2013.2.6

6日午前10時12分頃、ソロモン諸島沖でM8.0の地震が発生、近くで91cmの津波が報告されたとテレビが伝えた。気象庁は14時41分、北海道から九州、沖縄、小笠原諸島にかけて50cm程度の津波警報を発令した。22時45分にすべての注意報が解除されるまで8時間経った。

いつも思うことだが、もっと早く確実な情報を提供できないのか。3.11の経験から注意報発令、避難勧告で高台への避難をしているニュースを見ると感心する。

でも、何回もこう言う「大したことはない」という経験を重ねていくと、3.11以前にかえって避難する人もなく、海に様子を見に行く事にならないだろうか。

地震発生で、津波の危険が出たときは、ジェット・ヘリを飛ばし、レーザーなどで海面高さを測定してより正確な危険情報を提供することが出来ないのか。

国土強靱化対策で防災、減災の公共投資が予定されているが、海面の測定が出来るジェット・ヘリを3機ぐらい配置することが出来ないのか。

今、それぞれの地域の海岸線、岸壁の高さ、堤防高さを考えてより実体にあった避難勧告が出来れば、より防災に役立つのではないかと思う。

釜石で21時17分20cm(17時30分 50cm)、小笠原諸島で18時20cm(注意報 16時30分 50cm)、和歌山・串本で19時40分20cm(注意報 17時30分 50cm)、八丈島で20時半40cm(17時 50cm)など(テレビ朝日 報道ステーション2013.2.6)、予測はなかなか難しい。

震源域
テレビ朝日 報道ステーション
2013.2.6
2007年4月のソロモン諸島沖地震はM7.9,最大で8.5mの津波が発生しており、大きな地震が頻発している地域だ。今回はインド・オーストラリア・プレートが潜り込んでいる太平洋プレートで発生したM8の地震だ(同上報道ステーション)。

津波の来襲の情報に関しては、もう少し工夫がほしいと思った。

2013年2月6日水曜日

白川総裁、任期前辞任:金融緩和積極論者に替わると経済にプラスなのか

白川総裁の任期前辞任を伝える
NHK おはよう日本
2013.2.6

白川・日銀総裁が、任期途中で辞任することになったが、金融緩和積極論者に替わることが日本経済にとってプラスになるのか。早速市場が反応した。5日午後5時1ドル92円19~20銭の円高・ドル安だったが、午後6時半には円売りが加速し、93円台半ばと2年9ヶ月前の円安・ドル高になった(毎日jp2013.2.5)。

勿論、4月には総裁の任期切れになり、副総裁の任期が3月と言うことで同時の新体制作りを考えると当然ではなるが、今後は新総裁選びが政治課題になって来たことでいろんな憶測が飛ぶ。

安倍総理の意向に沿った金融政策への転換が早まるとの見方も出てきて、総裁選びが政治問題化してきた。民主党やみんなの党は総裁選考基準を発表し、イニシアテイブをとろうとするし、みんなの党は候補者名まで言及する事態だ。

安倍総理は、日銀総裁人選について、「デフレ脱却に向け、2%目標を早期に実現するために、大胆な金融緩和を推進できる人」と条件を挙げている。

この政治の動きに「日銀の独立性」が保てるのかと懸念する人も多い。安倍総理は日銀法の改正も選択肢の一つと日銀にプレッシャーをかけ続けているので、日銀が独立性を守れるかどうかは疑問だ。

新体制になった日銀が打ち出す金融政策は、常に政治との関わりで論じられる事になる。

ところで、白川総裁の舵取りは間違いだったのか。

白川総裁は5日に、安倍総理との会談で辞任の理由を記した「私の考え」と題するペーパーを渡したそうだ(asahi.com 2013.2.5)。どんな内容かは分からないが、今までの金融政策の考え方を述べているのだろう。

白川総裁は、日銀の独立性を堅持する能力は持っていたと思うし、記者クラブや講演会での市場に対する説明も我が国の経済の現状を解析し、金融政策を推進していたことは分かる(その金融政策の是非は別として)。しかし国会の審議では国会議員の質問と日銀の考え方は平行線のままだった。

政治家と日銀の政策での溝は、このところにあったのではないか。政治家は日銀の政策を十分に理解しようとしていなかったのではないか。過去に政権と日銀との政策の不一致で政治の言うことを聞かず、今までデフレが長引いている見方が政治には強い。

経済学者、エコノミストにも、日銀の金融政策を批判する者も多いことは確かだ。

安倍総理が、「強い経済を取り戻す」と、大胆な金融緩和を提唱した途端に市場は円安、株高に動いたことから、日銀の政策は間違っていたと烙印を押されたようなものだ。

しかし、市場は「気分屋」だ。口先政策だけで未だ実体経済に影響を与える政策は実行されていない。国民や経営者のマインドを変えていけるかどうかはこれからの問題なのだ。

そして、今後の争点は、大胆な金融緩和に消極的だと日銀を批判してきた新総裁候補者と今まで従来にない強力な緩和策を世界に先駆けて実施してきたと主張する日銀のどちらが日本経済にプラスになるかだ。

「過大な金融緩和への期待は危険だ」という日銀の声をどう聞くかだ。