2013年2月19日火曜日

「アベノミクス」を「アべノミス(安倍のミス)」で終わらせないために


まだ実体経済へ効果が出ていない「アベノミクス」の口先政策に市場が反応し、先行き不透明な円安、株高基調が続いているが、時間が経つに従って「アベノミクス」への懸念も高まって来た。経済学者、エコノミストも二分する評価の「アベノミクス」を「アベノミス」(安倍のミス)としないために安倍政権の冷静な政策運営が要求される。

安倍総理が打ち出し日銀もコミットした2%物価目標設定が、民主党政権と安倍政権での経済政策、特に脱デフレ政策の大きな相違点だという。国会・予算委員会でも安倍総理が2%物価目標設定し日銀に責任を負わせたことで市場が反応したと結果、円安、株高の動きが出てきた。

民主党政権ではそれがなかったために失敗に終わったと言いたいようだ。

でも、その2%物価目標の根拠となると「深い認識があってのことではなさそう」だ。予算委員会での民主党・前原議員の「2%の根拠は」と言う質問に、安倍総理は「経済学者は2~3%、あるいは3~4%を提言しているが、達成可能で、且つインパクトを与える為に高め数値として2%にした」と言う意味の答弁をしていた。そこで前原議員の先の発言になったのだ。

脱デフレは喫緊課題であり、各政権で取り組み、日銀も非伝統的金融緩和で対応しているが、その効果が見られていない。

今、安倍総理の「アベノミクス」に市場が反応しているのは、民主党政権とは違って安倍総理の「やる気」、「強い政権」への期待感ではないか。期待を裏切るようなことがあれば、一気に円高、株安に引き返すことになる。民主党・野田政権でも日銀と合意文書を取り交わして脱デフレに当たったが、信頼を失った政権に市場は反応しなかっただけの話ではないか。

目先をチョット変えただけの政策に反応しているのだ。

その安倍総理は市場にカネがダブついているにもかかわらず、さらに通貨供給量を増やし、物価を上げようとしているのだ。

しかし、 今のデフレは不況の原因ではなく結果で、今のゼロ金利下では 大胆な金融緩和でもデフレ脱却にはあまり効果が無いと主張する学者(吉川教授など)もある。
新政権になると、民主党・菅総理の時もそうだったが、今までの政権になかったことをやろうとして日陰だった傍流の経済学者の説を採用しがちである。

「アベノミクス」の第二の矢「財政政策」も、古い体質の自民党の公共投資が目につくと批判が多い。国土強靱化で災害に強い国土、減災に取り組むと同時に古い構築物のメンテナンス元年にしたいという。

赤字国債の発行を伴うので、当然財政再建の問題が出てくるが、景気対策で景気を刺激し、財政再建では増税で税収は増え、経済成長でデフレ脱却をすると言う。今は緊縮政策より
財政出動が大事だとケインズ経済学が再注目されてきた。

先行き不安が募り、モノの価格が全般的に下がる「デフレ」になると、お金の価値は持っているだけで上がる。すると人はモノを買わず需要は拡大しない。こうして不況が生まれる。お金を手元に置くメリットを下げる。このケインズの考えは、今の金融緩和にも繫がっている(ケインズ 朝日新聞 2013.2.18)。

第三の矢「成長路線」も内閣府のHPから開いて第2回規制改革会議の資料「これまでに提起されている課題の代表例」を見た。どの政権だろうが成長戦略が練られる時には、必ず上ってくる課題だ。不思議なのは、どうして今まで進んでいないのかだ。

ほとんどが既存の既得権益者、監督官庁の利権と絡んで規制改革が出来ていないのだ。官僚全体に抑えのきく政治家や民間人が出て来ない限り無理な話だ。

TPP交渉参加の賛否でも与党が半分に分かれている状況では、選挙も控えて政治家の足並みは乱れがちだ。6月のまとめ提出も疑問符がつく。

こう見て来ると安倍総理が強力に主導(?)する「アベノミクス」も先行きどうなることか。

2%物価目標だって達成責任まで日銀に押しつけた格好で、自分には責任はない態度だ。

日銀だって本気で2%物価目標達成を信じている政策委員はいないのではないか。共同声明を発した手前、2%へ向け努力する姿勢を示しているが、白川総裁はいつも財政政策、成長戦略の必要性を謳えている。至極真っ当な考えだ。

「アベノミクス」を「アベノミス」で終わらさないためにも、一部の学識者の言うことばかりでなく、広く議論を起こしバランスのある政治をやってほしものだ。

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