2013年2月6日水曜日

白川総裁、任期前辞任:金融緩和積極論者に替わると経済にプラスなのか

白川総裁の任期前辞任を伝える
NHK おはよう日本
2013.2.6

白川・日銀総裁が、任期途中で辞任することになったが、金融緩和積極論者に替わることが日本経済にとってプラスになるのか。早速市場が反応した。5日午後5時1ドル92円19~20銭の円高・ドル安だったが、午後6時半には円売りが加速し、93円台半ばと2年9ヶ月前の円安・ドル高になった(毎日jp2013.2.5)。

勿論、4月には総裁の任期切れになり、副総裁の任期が3月と言うことで同時の新体制作りを考えると当然ではなるが、今後は新総裁選びが政治課題になって来たことでいろんな憶測が飛ぶ。

安倍総理の意向に沿った金融政策への転換が早まるとの見方も出てきて、総裁選びが政治問題化してきた。民主党やみんなの党は総裁選考基準を発表し、イニシアテイブをとろうとするし、みんなの党は候補者名まで言及する事態だ。

安倍総理は、日銀総裁人選について、「デフレ脱却に向け、2%目標を早期に実現するために、大胆な金融緩和を推進できる人」と条件を挙げている。

この政治の動きに「日銀の独立性」が保てるのかと懸念する人も多い。安倍総理は日銀法の改正も選択肢の一つと日銀にプレッシャーをかけ続けているので、日銀が独立性を守れるかどうかは疑問だ。

新体制になった日銀が打ち出す金融政策は、常に政治との関わりで論じられる事になる。

ところで、白川総裁の舵取りは間違いだったのか。

白川総裁は5日に、安倍総理との会談で辞任の理由を記した「私の考え」と題するペーパーを渡したそうだ(asahi.com 2013.2.5)。どんな内容かは分からないが、今までの金融政策の考え方を述べているのだろう。

白川総裁は、日銀の独立性を堅持する能力は持っていたと思うし、記者クラブや講演会での市場に対する説明も我が国の経済の現状を解析し、金融政策を推進していたことは分かる(その金融政策の是非は別として)。しかし国会の審議では国会議員の質問と日銀の考え方は平行線のままだった。

政治家と日銀の政策での溝は、このところにあったのではないか。政治家は日銀の政策を十分に理解しようとしていなかったのではないか。過去に政権と日銀との政策の不一致で政治の言うことを聞かず、今までデフレが長引いている見方が政治には強い。

経済学者、エコノミストにも、日銀の金融政策を批判する者も多いことは確かだ。

安倍総理が、「強い経済を取り戻す」と、大胆な金融緩和を提唱した途端に市場は円安、株高に動いたことから、日銀の政策は間違っていたと烙印を押されたようなものだ。

しかし、市場は「気分屋」だ。口先政策だけで未だ実体経済に影響を与える政策は実行されていない。国民や経営者のマインドを変えていけるかどうかはこれからの問題なのだ。

そして、今後の争点は、大胆な金融緩和に消極的だと日銀を批判してきた新総裁候補者と今まで従来にない強力な緩和策を世界に先駆けて実施してきたと主張する日銀のどちらが日本経済にプラスになるかだ。

「過大な金融緩和への期待は危険だ」という日銀の声をどう聞くかだ。


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