2013年3月3日日曜日

インフレ目標、TPP参加:旧民主党政権vs安倍総理の成果の攻防


脱デフレを目指したインフレ目標、TPP参加で民主党旧政権対安倍総理の成果を競う攻防が続いている。「ねじれ国会」での補正予算が1票の差で可決したことも驚くが、今国会の予算委員会は面白い。

安倍政権が成果を上げ(?)、支持率も70%を超える中で、民主党の担当閣僚だった議員は地団駄を踏んでいるのではなかろうか。民主党政権でもやっていたことが、何故評価されず、安倍政権で評価されているのか。

民主党が下野して初めての予算委員会審議のトップバッターにたった前原元経済財政相は、2%物価目標設定で参考人の白川総裁に「何故、2%以下のプラス、1%目途を2%物価目標に変えたのか」と迫った。野田政権でも合意文書を締結、定期的に会合を持って報告し合うようになっていたからだ。

白川総裁は苦しい言い訳をしていたが、安倍総理が選挙期間中に2%物価目標を国民に訴え、政権に返り咲いたことを考えるとこれが国民の民意と受け取ったのだろう。日銀法改正も臭わされれば組織防衛で屈したことになる。

前原議員は、「組織防衛のためか」と問いただしたが、白川総裁は当然否定した。

安倍総理は、今まで低迷していた株価が株高に転じ、円高が円安に進んだのは2%目標を掲げた結果で、日銀もコミットし経済財政諮問会議で4か月毎に報告するシステムも作り上げたと「民主党政権とはここが違う」と自らの成果を主張した。

前原議員にしてみれば、自ら日銀の決定会合に出席しての「脱デフレ」への熱の入れようだったので日銀の変節と安倍総理の成果の横取りは我慢できなかったのだろう。

そして、TPP参加問題でも玄葉元外務相が、「オバマ大統領との共同文書は当たり前のことを記しただけだ」と民主党政権時から交渉していたことだと主張し、特に目新しい内容ではないと主張した。

安倍総理は、訪米してオバマ大統領と会談し「聖域なき関税撤廃の条件はなかった」ことを確認し、合意内容を文書にし国内での説得材料に仕立て上げたのだ。野田政権もTPP交渉参加に向けていたが、如何にせん国内、党内を二分する議論が繰り広げられていた。

民主党政権でもやっていたことだと言うが、成果としたのは安倍総理であって、「悔しかったら、何故やらなかったのか」と言われても仕方のないことだ。

しかし、このオバマ大統領との会談は、安倍総理自身がビジネスライクで愛想のない会談と言ったようにチョット異様だった。共同記者会見でも顔を合わせるでもなく、笑顔もなく、記者に要求されて初めて笑顔でのぎこちない握手になった。

新聞報道では、「聖域なき関税撤廃の条件はない」こともオバマ大統領がYESと明言したのではなく、黙っていたので日本側が押し切ったとのことらしい。

農業など例外事項が必要な日本に取って、米国だって自動車関連では例外事項も抱えているようだ。交渉に参加してみなければ分からないが、不参加より参加を選んだ方が良いのではなかろうか。

3年3ヶ月前までの野党の民主党とは違って、いまは政権を経験した実績から質疑が出来るメリットはあるが、成果を独り占めされては我慢ならないところだろう。

民主党政権と安倍政権では、どこが違うのか。

民主党政権の低迷と、たらい回し政権では「やる気」と「強い政権」のイメージは大違いだが、安倍総理だって石破さんに負けていたが、国会議員だけの投票では派閥の領袖の支持を取り付けて総裁→総理に舞い戻った経緯がある。「自民党は新しくなった」という割には、古い体質の自民党政権なのだ。

そして野田政権では、余りにも財務省に頼りすぎた。政治主導を掲げながらこの姿には違和感を覚えたものだ。

安倍政権は成長路線を目指すので当然経済産業省がバックにつくが、公共事業拡大への懸念、財政再建への道筋が見えにくくなってきた。

日銀新総裁に金融緩和積極論者を選んで、「アベノミクス」を進めようとしているが、その成否については不透明感が漂う。低金利下での金融緩和政策には効果なしとする意見が多いのだ。

野田政権の不人気にも困ったが、安倍総理の暴走(?)感にも懸念が続く。失敗したときの反動は余りにも大きすぎないか。

参議院選までは安全運転と言うが、それでは国民を騙すことにならないか。

前原議員は、民主党政権に反対した政策ではなく、良い政策は継続してほしいと要望したが、バランス感のある政治が要求される。

NHK日曜討論
2013.3.3
参議院での補正予算が1票の差で可決したことに驚くと同時に、安倍総理は「決められない政治から決められる政治への大きな第一歩」と評価したが、国民が望んでいる政治になってくるのだろうか。

野田総理も、最後は自ら決断して政治を進めていくレールを引きつつあったが、時すでに遅しだった。

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