2013年3月14日木曜日

自民・TPP集約、総理・参加表明:守る国益、損なう国益


安倍総理の環太平洋経済連携協定(TPP)参加表明に向け、自民党の意見集約がまとまり容認決議となった。問題は国益を守れるかだが、守れる国益、損なう国益は何か。安倍総理は15日に参加表明するとともに、政府は参加が与える影響の試算を公表するという。

民主党政権時、菅元総理が「平成の開国」と言い、自民党も国家百年の大決断というように党を二分する、否国論を二分する政治課題だ。

しかし、しっかり議論されているのか。この間の自民党のTPP対策委員会では、推進派の委員長と慎重派の尾辻さんが取っ組み合い寸前の口論を始めたシーンがテレビで流れた。そして13日の総会では、たった2時間で支持することが決まった。

どこまでがやらせで、どこからが本音か。

ところで、今回の安倍総理のとった手法は手が込んでいた。選挙で「聖域なき関税撤廃」の原則があれば参加しないと公約した。そして、参加するためにオバマ大統領との共同文書で「聖域なき関税撤廃はない」ことを文書で確認し、それを国民の説得材料に使った。野田政権時の玄葉・元外相をして「新しさは何もない」と言わしめたが、文書にしたのは「政治は結果」だと挑発した。

「政治は結果」と言うが、安倍総理は「交渉に参加出来ることを政治の結果」と言うのか、それとも「国益が守れての参加を政治の成果」というのか。

最初から不参加では、チャンスを失いそうだし、成長戦略として規制改革を目指すのであれば参加だろう。

参加を支持する者は、規制緩和で新しいビジネス・チャンスを作れると思う人あり、反対する人は、衰退一方の農林水産分野、食の安全などを守りたい人、利権を維持したい人達だろう。

憲法で保障する生存権、社会保障制度、職業選択の自由なども怪しくなってくる。

私も最初は、従来の利権構造を打破し、規制改革をするならTPP参加が手っ取り早いと考えていた。でも今までグローバリゼーションを標榜し、アメリカ帰りの学者、経営者が効率的で、競争社会を築いた結果、日本の良き慣習、システムと言われていたモノが失われ、殺伐とした社会を形成することになった。

今回のアメリカ主導のTPP交渉を新聞で見てみると、あらゆる点でアメリカの国益に準じている。米国は、国内景気の刺激、雇用の創出のため海外に出て行った企業を呼び戻そうとしている。輸出によってアメリカ経済を立て直そうとしているのだ。ドル安政策もその一環だ。

おまけに、TPPで不利益な行為を受けた場合は、その国を相手に賠償を請求できることにもなっている。喜ぶのは弁護士だけだ。すでにカナダで事例があると聞いたことがある。

安倍政権は、交渉参加に漕ぎ着けたが、どの程度国益が守れるのか。

聖域の確保を最優先し、出来ないと判断した場合は、脱退を辞さないことを自民党は決議しているが、交渉する官僚にその力はあるのか。国民にとってまずいことは隠して交渉を進めるのが官僚のやり方ではなかったのか。

TPP交渉参加を急ぐために、国益を損なうようなことがあってはならない。今までも余り進捗していないことを考えると、各国それぞれ聖域を抱えているのだろう。

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