2013年4月8日月曜日

東電・福島第一原発地下貯水槽汚染水漏れ:これも仮設的感覚の事態か

東電・福島第一原発で地下貯水槽から放射能汚染水漏れが発生し、復旧作業に暗雲が立ち込めている感じだが、これも東電の安全軽視の仮設的感覚での事態なのか。廃炉を目指すしかないので東電としては余り金をかけず、仮設的設備で対応をしようとしている結果なのか。しかし、如何にせん危険な設備であることに変わりはないのだ。仮設設備のつなぎ合わせでは、いつか大きな事故に結び付くのではないか。

新聞報道によると2号地下水槽に続き、3号地下水槽でも汚染水漏れが見つかったという。

貯水槽内には約29万ベクレルの汚染水がたまっているが、シートとシートの間で約6000ベクレル、シートの外側で約30ベクレルの汚染水がリークしているのがわかったというのだ。そこで汚染水濃度と漏出量120トンから7100億ベクトルの放射性物質の漏出量を計算していあるが、専門家から疑問が投げかけられている(読売新聞2013.4.8)。

そのリークの原因として、シート同士の継ぎ目、突起物によるシート破損、漏水検知用パイプの設置の不具合などが挙げられている。

私も10年ちょっと前に産業廃棄物最終処分場を建設した経験があるので興味を持って新聞を見た。

遮水シートを敷設されているのは分かっていたが、詳細がやっと朝日新聞(2013.4.8)で分かった。

ポリエチレン遮水シート(1.5mm)の2重構造に外側にベントナイト遮水シート(6.4mm)、その間に長繊維不織布が敷かれた構造で、今考えられる最高の材質、構造ではないかと思う。決して仮設的ものではない。

しかし、問題は施工技術なのだ。

地下に穴を掘ったとき法面、地盤処理が重要なのだ。湧き出る地下水対策、シートを破損する恐れのある突起物などの除去、シートとの密着性を保つための法面処理は重要だ。

シート施工も溶着作業は専門家がやるべきだ。ちょっと見れば素人でもできそうであるがこれが難しい。コスト削減を要求すると、作業員の技術を落とすことになる。

地下水の差し込みはできるだけ避けることだ。シート下に地下水が差し込んでくると、石ころが出てきたり、地盤との密着性が悪くなり継ぎ目付近にトラブルが出てくる。必ず集水管を敷設してとトラブルを防止する必要がある。

一説によると、漏水検知パイプを設置したときにシートに穴をあけたという。その部分の処理が不十分だった可能性もあるという。シートを切るときは最善の注意が必要だ。

場所が管理区域で、誰でもいいわけではなく、技術者の確保にも問題があったのだろう。きちんとやっていればこんな問題は起きないはずだと思うのだが。

[後記]
8日のテレビニュースで、汚染水漏出の原因は漏水検知装置を設置するパイプ挿入箇所が引き裂かれて破損し、そこから汚染水がシート間に流れ込んだと言う内容の発表があった。
シート材質の引き裂き強度は塩ビなどに較べてポリエチレンは強度があるが、満水にしたために短期間で破損が広がったという説明に疑問がある。

遮水シートに穴を開ける異常なことをやるのだから、その部分から破損が進むことはわかっていたはずだ。何故、毎日の点検、定期的な点検で発見できなかったのか。

高濃度の放射能汚染水のリークは、絶対に避けなければならない安全意識があれば、点検は密にやっているべきだ。そうすれば早期に異常が発見でき、漏水を防止できたのではないか。

それと、地下貯水槽の周りから差し込む地下水をどう処理していたのか。通常であれば集水管を敷設し地下水汲み上げ井戸に集め、異常が無ければ外部へ放出するのではないか。
その地下水集水,監視システムをどう築いていたのか。
                                     (2013.4.8)




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